回旋異常

お子さんの歩き方を見て、「うちの子、うちまたかも」「よく転ぶけど大丈夫?」と心配になっていませんか。つま先が内側や外側に向いていると、何か病気なのではないかと不安になるのは、親として当然のことです。

しかし、その心配は必要ないかもしれません。実は、お子さんの「うちまた」や「そとまた」(回旋異常)のほとんどは、病気ではなく成長過程で見られるごく自然な変化なのです。特別な治療をしなくても、多くは成長とともにまっすぐな歩き方になっていきます。

この記事では、回旋異常の原因や種類、ご家庭での見守り方について詳しく解説します。本当に治療が必要となるのはごくまれなケースです。正しい知識を得て、過度な心配から解放され、お子さんの成長を安心して見守りましょう。

回旋異常の概要

お子さんの歩き方を見て、つま先が内側や外側に向いていると、親御さんは心配になるものです。

この状態は「回旋異常」と呼ばれ、一般的に「うちまた」や「そとまた」として知られています。

しかし、お子さんの足に見られる問題の多くは、成長過程で起こる正常な変化の範囲内です。

骨や筋肉が発達するにつれて、自然にまっすぐに改善していくことがほとんどと言われています。

【回旋異常の基本的な考え方】

  • ほとんどが自然に改善します 成長とともに自然に良くなることがほとんどで、過度な心配は必要ない場合が多いです。
  • 診察が基本となります 普段の様子の聞き取りや、医師による身体の診察で、お子さんの状態を正確に評価できます。
  • 特別な検査や治療はまれです レントゲン検査や特別な道具(装具)は、通常は必要ありません。手術は、日常生活に大きな支障があるなど、ごく限られた場合にのみ検討されます。

まずは、この状態が病的なものではなく、成長の一環であることが多いと知っておくことが大切です。

回旋異常の種類

回旋異常は、歩くときにつま先がどちらを向くかによって、大きく2種類に分けられます。 つま先が内側を向く「内股(うちまた)」と、外側を向く「外股(そとまた)」です。

内股(ないまた)

つま先が内側を向いてしまう状態で、特に赤ちゃんや歩き始めの乳幼児に最も多く見られます。 原因となる体のねじれの場所によって、さらに3つのタイプに分けられます。

ねじれの場所

種類

特徴

足

中足骨内転(ちゅうそくこつないてん)

足の甲の骨が原因で、足の先だけが内側に曲がっている状態です。生後すぐから見られることが多いです。

すね

脛骨内捻転(けいこつないねんてん)

すねの骨(脛骨)が内側にねじれている状態です。ひざのお皿は前を向くのに、足先が内側を向きます。

太もも

大腿骨前捻(だいたいこつぜんねん)

太ももの骨(大腿骨)の付け根が内側にねじれています。女の子に多く、ぺたんこ座り(W座り)をする子によく見られます。

外股(そとまた)

つま先が外側を向いてしまう状態です。 内股に比べると見られることは少なく、少し大きくなったお子さんに見られることがあります。 すねの骨(外旋脛骨捻転)や、太ももの骨(大腿骨後捻)が外側にねじれることが原因です。

このように、ひとくちに回旋異常といっても、原因となる体の場所によって種類が異なります。 どのタイプかによって、自然に良くなっていく時期の目安も変わります。 診察では、お子さんの年齢や歩き方、座り方などから、どのタイプかを判断していきます。

回旋異常の原因

お子さんの歩き方を見て「うちの子だけかな」と、ご心配になる親御さんは少なくありません。

しかし、回旋異常の原因のほとんどは病気ではなく、骨が成長する過程で見られる自然な変化です。

お子さんがお母さんのお腹の中にいたときの姿勢や、乳児期の寝方、座り方などが影響していると考えられています。

原因となる骨のねじれの場所によって、主に3つのタイプに分けられます。

ねじれの場所

専門用語

よく見られる年齢

特徴的な姿勢など

太ももの骨

大腿骨前捻(だいたいこつぜんねん)

3〜6歳ごろ

女の子に多く、ぺたんこ座り(W座り)をするお子さんによく見られます。

すねの骨

脛骨内捻転(けいこつないねんてん)

1〜3歳ごろ

歩き始めの時期に目立ち、お腹の中での足の向きが影響していると考えられます。

足の骨

中足骨内転(ちゅうそくこつないてん)

1歳未満の赤ちゃん

足の甲の骨が内側にカーブしており、これも胎内での姿勢が原因の一つです。

これらの原因のほとんどは、お子さん自身の成長する力によって、自然にまっすぐになっていきます。

そのため、特別な靴やギプスのような装具は基本的に必要ありません。

お子さん一人ひとりの成長の個性と捉え、まずは温かく見守ってあげることが大切です。

回旋異常の症状

お子さんの歩き方を見て、「うちの子だけ歩き方が変かも」と心配になることはありませんか。 これは多くの親御さんが抱える、ごく一般的なお悩みです。

回旋異常の症状は、お子さん自身が痛みを訴えることはほとんどありません。 主に、歩き方や走り方など、見た目の特徴として現れます。

どのような症状があるか、チェックリストで見ていきましょう。

【内股(うちまた)でよく見られる症状】 □ 歩くときや走るとき、つま先が内側を向いている □ 足がもつれるような感じで、よく転んでしまう □ 靴のかかとの外側だけが、とくにすり減りやすい

内股は特に、歩き始めの乳幼児のお子さんによく見られる特徴です。

【外股(そとまた)でよく見られる症状】 □ つま先が外側を向き、がに股のように見える □ ペンギンのように、体を左右に揺らしながら歩く □ 椅子に座ったとき、ひざが自然と開いてしまう

外股は内股に比べると頻度は少なく、少し大きくなったお子さんに見られる傾向があります。

これらの症状の多くは、お子さんの成長過程で見られる一時的なものです。 骨格がしっかりしてくると、自然にまっすぐな歩き方になっていくことがほとんどです。

しかし、転ぶ回数がとても多い、お子さん本人が痛みを訴えるなど、ご心配な点があれば一度ご相談ください。

回旋異常の検査・診断

お子さんの歩き方が気になると、「何か痛い検査をするのかな」とご心配になるかもしれません。

しかし、回旋異常の診断では、体に負担をかけるような特別な検査を行うことはほとんどありません。

医師がお話を聞き、お子さんの体を直接診ることで、ほとんどの場合は診断が可能です。

【回旋異常の検査・診断の3ステップ】

  • 1. お話を聞くこと(問診) いつから気になり始めたか、転びやすいか、痛みがあるかなど、日常の様子をくわしくお聞きします。
  • 2. 歩き方を見ること(歩行観察) 実際に歩いてもらい、足の向きや体のバランス、歩き方の特徴などを注意深く観察します。
  • 3. 体を直接見ること(身体診察) ベッドにうつ伏せになってもらい、股関節やひざ、足首の関節がどのくらいねじれているかを測ります。 この「捻転プロファイル検査」で、ねじれの原因の場所や程度を客観的に評価できます。

ほとんどの回旋異常は、これらの診察で十分に評価が可能です。

そのため、骨の状態を見るレントゲン検査は、通常は必要ありません。 骨の病気など、何か他の原因が強く疑われるごくまれな場合にのみ、レントゲン検査を検討します。

これらの結果を総合的にみて、お子さんの状態を診断します。 多くは成長とともに自然に良くなる範囲のものですので、過度な心配はいりません。

回旋異常の治療

お子さんの歩き方を見て、すぐに治療が必要なのかと、ご心配になるかもしれません。

しかし、ほとんどの回旋異常は特別な治療を必要とせず、自然に治ることが大半です。

治療の基本的な考え方は、以下のとおりです。

【回旋異常の治療方針】

  • 基本は「経過観察」です ほとんどの回旋異常は病気ではなく、お子さんの成長過程の一つと考えられています。 骨や筋肉が発達するにつれて、足のねじれは自然にまっすぐになっていきます。 そのため、定期的な診察で成長の様子を見守る「経過観察」が基本となります。
  • 装具や特別な靴は基本的に不要です 以前は、ねじれを矯正するための特別な靴や装具が使われることもありました。 しかし、その後の研究で、これらの装具を使っても使わなくても、治る速さや結果に変わりはないことがわかっています。 そのため、現在ではお子さんの負担になるだけの可能性がある、装具などによる治療は推奨されていません。
  • 手術が検討されるのはごくまれなケースです 例外的に、8歳を過ぎてもねじれの角度が非常に強い場合に限り、手術を検討することがあります。 具体的には、頻繁に転んでしまうなど、日常生活に大きな支障(機能障害)が出ている場合です。 しかし、これはあくまで例外的なケースであり、手術が必要になることは、ほとんどありません。

まずは心配しすぎず、専門の医師に相談し、お子さんの足の状態を正しく評価してもらうことが大切です。