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女の子の約1,000人から2,500人に1人の割合で見られる「ターナー症候群」。これは病気ではなく、染色体の特徴によって起こる生まれつきの「個性」です。多くの場合、知的発達に問題はありませんが、低身長や思春期の遅れといった、成長過程での特徴が見られます。
しかし、本当に注意すべきは、目に見えないリスクかもしれません。ある研究では、ターナー症候群の子どもや若い方の約16%に高血圧が見られると報告されており、将来の心臓や血管の健康を守るためには正しい知識が不可欠です。この記事では、ターナー症候群の正しい知識と、健康な社会生活を送るための治療やサポートについて詳しく解説します。
ターナー症候群の概要
ターナー症候群は、女の子にみられる生まれつきの体質の一つです。 私たちの体の設計図である「染色体」に特徴があります。
通常、女性は性別を決めるX染色体を2本持っています。 しかし、ターナー症候群の方では、X染色体が1本しかない、 あるいは一部が欠けている、といった違いが見られます。
これは病気というよりも個性として捉える考え方が大切です。 敬意を込めて「ターナー女性」と呼ぶこともあります。
ターナー症候群の主な特徴
- 低身長
5歳ごろから、同じ年齢の子と比べて身長が低い傾向が はっきりしてくることがあります。
- 思春期がこない、または遅れる
卵巣の働きが十分でないため、 自然に月経が始まらない場合があります。
- その他の身体的特徴
首の後ろの皮膚が広い、髪の生え際が低い、 といった特徴がみられることもあります。
知的な発達には問題がないことがほとんどです。 しかし、成長の過程で注意が必要な合併症がいくつかあります。 特に、心臓や血管の病気との関連が知られています。
ある研究では、ターナー症候群の子どもや若い方のうち、 約16%が高血圧であると報告されています。 高血圧は将来の心臓や血管の病気を防ぐためにも、 早い段階から血圧を定期的に確認し、管理することが大切です。 多くの方は、適切な医学的サポートを受けながら、 健康な社会生活を送っています。
ターナー症候群の種類
ターナー症候群は、体の設計図である染色体の状態によって、 いくつかの種類(タイプ)に分けることができます。
この染色体の組み合わせのタイプのことを、 専門的には「核型(かくがた)」と呼びます。 どのタイプかによって、症状の現れ方が少しずつ異なります。
主な種類は以下の通りです。
- モノソミー型(45,X)
ターナー症候群の方の約半数を占める、最も多いタイプです。 通常、女の子のX染色体は2本ですが、このタイプでは1本です。
- モザイク型
体の中に、X染色体が1本の細胞と、 正常なX染色体が2本ある細胞の2種類が混ざっている状態です。 正常な細胞の割合によって、症状の現れ方には個人差があります。
- 構造異常型
X染色体は2本ありますが、そのうちの1本の形が少し違います。 例えば、染色体の一部がなかったり、 通常とは違う形をしていたりするタイプです。
これらのタイプは生まれつきのもので、後から変わることはありません。 血液検査で染色体を詳しく調べることで、どのタイプか分かります。
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染色体の主な種類
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特徴
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割合の目安
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モノソミー型 (45,X)
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X染色体が1本しかない
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約45%
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構造異常型
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X染色体の一部の形が違う
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約15~18%
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モザイク型
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正常な細胞と異常な細胞が混在
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約7~16%
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Y染色体を含む型
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Y染色体の一部を持つ
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約6~11%
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ターナー症候群の原因
ターナー症候群の原因は、体の設計図である「染色体」にあります。 これは生まれつきのもので、後からなるものではありません。
ほとんどの場合、ご両親から遺伝するものではないとされています。 誰にでも起こりうる、偶然の現象によって生じるものなのです。
私たちの体を作る細胞一つひとつには、染色体が入っています。 染色体は通常46本あり、性別を決めるのは「性染色体」です。
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性染色体の組み合わせ
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一般的な女性
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X染色体が2本(XX)
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一般的な男性
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X染色体とY染色体が1本ずつ(XY)
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ターナー症候群の女性は、このX染色体が1本しかなかったり、 2本あっても、そのうちの1本の一部がなかったりします。
このような染色体の変化は、お母さんの卵子やお父さんの精子が 作られる過程で、たまたま起こるものです。 ご両親の年齢や生活習慣などが原因になることはありません。
ターナー症候群の原因のポイント
- 原因は?
性別を決めるX染色体が1本しかない、 または一部の形が違うことです。
- いつ起こるの?
お母さんの卵子やお父さんの精子が作られる段階で、 偶然に起こります。
- 遺伝するの?
ほとんどの場合は遺伝しません。
この体質は、生まれてくる女の子の約1,000人〜2,500人に 1人の割合で見られると報告されています。
ターナー症候群の症状
ターナー症候群の症状は、いつ、どのように現れるか人それぞれです。 生まれた直後にわかる体の特徴もあれば、 成長の過程で少しずつ明らかになるものもあります。 知的発達には問題がないことがほとんどです。
体に現れる主な特徴
いくつかの特徴的なサインが見られることがあります。 ただし、これらのすべてが当てはまるわけではありません。
- 低身長
体の成長に関わる設計図(SHOX遺伝子)が 一つ少ないことが影響し、身長の伸びが緩やかになります。 特に5歳ごろから、周りの子との差が目立つことがあります。
- 首や手足の特徴
生まれたばかりの赤ちゃんでは、手足の甲がむくんでいたり、 首の後ろの皮膚がたるんで広く見えたり(翼状頸)することがあります。
- その他のサイン
髪の毛の生え際が低い、肘が少し外側に曲がっている、 胸の幅が広い、といった特徴が見られることもあります。
思春期の変化と注意したい合併症
体の成長とともに、注意が必要な点も出てきます。 特に、心臓や血管の健康を守ることがとても大切です。
- 思春期の変化がゆっくり
卵巣の働きが十分でないため、胸がふくらむなどの 第二次性徴が遅れたり、自然に月経が始まらなかったりします。
- 注意したい合併症
- 心臓や血管の病気
大動脈という太い血管に異常が起きやすいことが知られています。 ターナー症候群の方の健康に長く関わるため、 定期的な検査が欠かせません。
- 高血圧
ターナー症候群の子どもや若い方のうち、 約16%が高血圧であると報告されています。 これは5人〜6人に1人くらいの割合です。 高血圧は心臓に負担をかけるため、早期発見と管理が重要です。
- 繰り返す中耳炎
特に小さい頃は、中耳炎になりやすい傾向があります。 繰り返し起こると、聞こえにくさにつながることもあるため注意が必要です。
ターナー症候群の検査・診断
ターナー症候群の診断は、血液検査で体の設計図である 「染色体」を詳しく調べることで確定します。 血液の中にある細胞を取り出し、X染色体の数や形に 特徴がないかを確認するのです。
この検査で、X染色体が1本しかなかったり、 一部が欠けていたりすることが分かると診断がつきます。 診断が確定した後は、他に体の不調(合併症)がないか、 全身をチェックする検査が非常に重要になります。
【診断後に行われる主な検査】
- 血圧測定
心臓や血管の健康を守るために、定期的な血圧測定は欠かせません。 ある研究では、ターナー症候群の小児や青年期の約16%に 高血圧が見られると報告されています。
さらに詳しく調べるため、24時間血圧を記録する機械を 身につける検査(ABPM)が勧められることもあります。 この検査では隠れた高血圧も見つけやすく、 高血圧が見つかる割合も約21%と高くなることが分かっています。
- 超音波検査(エコー検査)
痛みなく体の中の状態を見ることができる検査です。 心臓や腎臓に生まれつき形の異常がないかを調べます。
- 血液検査
卵巣の働きを調べるホルモンの値や、 甲状腺の機能、血糖値などを確認します。
- 聴力検査
特に小さい頃は中耳炎を繰り返しやすい傾向があるため、 聞こえ方に問題がないか定期的にチェックします。
これらの検査を通して全身の状態をしっかり把握し、 一人ひとりに合った健康管理の計画を立てていきます。
ターナー症候群の治療
ターナー症候群の体の設計図(染色体)自体を治すことはできません。 しかし、それぞれの症状に合わせた治療をきちんと行うことが大切です。 治療によって、多くの方が健康な毎日を送ることができます。
治療の大きな目的は、次の3つです。
- 身長の伸びをサポートすること
- 女性らしい体の変化を自然に促すこと
- 将来の健康を守るため、合併症を予防・管理すること
成長ホルモン治療
低身長に対して、身長の伸びを助けるための治療です。 小さい頃から思春期が終わる頃まで、お薬の注射を続けます。 この治療で、最終的な身長が標準的な範囲に近づくことが期待できます。
女性ホルモン補充療法
卵巣の働きが十分でないため、思春期が自然に始まらないことがあります。 そのため、10歳〜14歳ごろから女性ホルモンのお薬を飲み始めます。 この治療で、胸がふくらむなどの体の変化が起こり、月経も始まります。 また、骨を丈夫に保つという大切な役割も担っています。
合併症の管理と治療
ターナー症候群では、心臓や血管の病気に特に注意が必要です。 特に、子どもの頃から高血圧になりやすいことが分かっています。 ある研究では、ターナー症候群の小児や青年期の約16%に 高血圧が見られたと報告されています。
高血圧は将来の健康に影響するため、早く見つけることが重要です。 そのため、特別な機械で24時間続けて血圧を測る検査(ABPM)も行います。 この詳しい検査では、高血圧が見つかる割合が約21%とさらに高くなります。 隠れた高血圧を見つけるためにも、定期的な検査は欠かせません。