胃炎

キリキリとした胃の痛みや、スッキリしない胃もたれ。その不快な症状は、世界のおよそ半数が経験するといわれる「胃炎」が原因かもしれません。多くの人が悩む身近な病気だからと、つい放置してしまっていませんか?

慢性胃炎の主な原因として知られるピロリ菌ですが、実は胃の中だけでなく「お口の中」にも潜んでいることがわかってきました。そのため、胃の治療とあわせて口腔ケアを行うことが、除菌の成功率を高め、再発を防ぐという驚きの研究報告もあるのです。

この記事では、胃炎の原因や種類、そしてピロリ菌と口内環境の意外な関係までを詳しく解説します。ご自身の症状と向き合い、つらい不調を根本から改善するためのヒントを見つけてください。

胃炎の概要

胃のキリキリとした痛みや、なんだかスッキリしない胃もたれ。 このような胃の不快な症状は、胃の壁を守る粘膜(ねんまく)に炎症が起きる「胃炎」が原因かもしれません。

胃炎は決して珍しい病気ではなく、世界のおよそ半数の人が経験するといわれています。 急に強い症状が出る「急性胃炎」と、長い時間をかけてじわじわと進行する「慢性胃炎」の2種類に分けられます。

特に慢性胃炎の原因として、ヘリコバクター・ピロリ菌の感染が深く関わっています。 実はこのピロリ菌、胃の中だけでなくお口の中に潜んでいることもわかってきました。

実際に、胃のピロリ菌治療とあわせてお口の中を清潔に保つことで、除菌の成功率が高まり、再発率が低下するという研究報告があります。 お口の中を清潔にすることは、胃の健康を守ることにも繋がるのです。 胃の不調を感じたら、放置せずに専門の医療機関へ相談しましょう。

胃炎の種類

ひとくちに「胃炎」といっても、原因や症状の現れ方で種類が分かれます。 急に強い症状が出る「急性胃炎」と、じわじわと進行する「慢性胃炎」が代表的です。

急性胃炎 食べ過ぎや飲み過ぎ、ストレス、薬の副作用が原因です。 胃の壁を守る粘膜(ねんまく)が、急な刺激で荒れてしまいます。

慢性胃炎 多くはヘリコバクター・ピロリ菌という細菌の感染が原因です。 自覚症状がないまま、胃の炎症が何年も続くこともあります。

それぞれの特徴を下の表にまとめました。

種類

主な原因

主な症状

急性胃炎

暴飲暴食、ストレス、薬など

みぞおちの急な痛み、胸やけ、吐き気

慢性胃炎

ピロリ菌感染、生活習慣など

胃もたれ、鈍い痛み(症状がない場合も)

この他にも、慢性胃炎が長く続き胃の粘膜が薄くなる「萎縮性(いしゅくせい)胃炎」や、ストレスで胃の働きが乱れる「神経性胃炎」があります。

近年、胃の不快な症状を和らげる「補完代替(ほかんだいたい)医療」の研究も進んでいます。 これは普段の治療を補うための方法です。 ある研究では、特定のハーブ製品が胃炎による腹痛や胸やけ、吐き気を和らげることが報告されました。 さらに、お腹の張りやガスといった腸の症状も改善したとされています。

胃炎の原因

胃炎を引き起こす原因は、決して一つではありません。 いくつかの要因が複雑に絡み合い、胃の粘膜に炎症を起こします。

慢性胃炎の主な原因として知られるのが「ピロリ菌」の感染です。 胃炎に長く悩む方の、およそ8割がこの菌に感染しています。 ピロリ菌は胃の粘膜にすみつき、胃を守るバリアを壊します。 さらに毒素を出して、胃の壁をじわじわと傷つけてしまうのです。

このピロリ菌は、実は胃だけでなく口の中にも潜んでいます。 そのため、お口の中を清潔に保つことが非常に大切です。 ある研究では、お口のケアと胃の治療を一緒に行うことで、ピロリ菌の除菌成功率が高まり、再発率が下がることが報告されました。

ピロリ菌の他にも、胃炎の原因は生活の中に隠れています。

  • 食事や飲み物 アルコールの飲み過ぎ、コーヒーや香辛料の摂りすぎなど。 胃の粘膜を直接刺激し、炎症を引き起こすことがあります。
  • ストレス 精神的な負担や過労は、自律神経のバランスを崩します。 その結果、胃酸が過剰に出て胃の壁を攻撃してしまいます。
  • 薬の副作用 痛み止め(非ステロイド系抗炎症薬)などは、胃の粘膜を守る大切な物質を減らしてしまうことがあります。

ピロリ菌が原因の胃炎には、菌を取り除く治療が行われます。 最近では、患者さんの負担を軽くする治療法の研究も進んでいます。 飲む薬の種類を減らしても、従来と同等の高い効果が期待できる治療法も報告されており、選択肢は増えています。

胃炎の症状

「胃炎」と聞くと、胃がキリキリ痛む様子を想像するかもしれません。 しかし、症状は胃だけでなく、お腹全体に現れることもあります。

胃炎のサインは人それぞれで、複数が同時に出ることも少なくありません。 ご自身の体調と見比べて、当てはまるものがないか確認してみましょう。

もしかして胃炎?症状セルフチェック

  • □ みぞおちの辺りが痛む、空腹になると痛む
  • □ 胸のあたりが焼けるように熱い(胸やけ)
  • □ 胃酸など酸っぱいものが上がってくる感じがする
  • □ 吐き気がする、胃がむかむかする
  • □ 胃が重たく、いつまでも食べ物が残っている感じがする(胃もたれ)
  • □ お腹がパンパンに張る感じ(膨満感)
  • □ あまり食欲がない
  • □ 黒っぽくてドロっとした便が出る

胃の不調は、すぐ下にある腸の働きにも影響することがあります。 実際に、胃炎の患者さんを対象にしたある研究が報告されています。 その研究では、特定のハーブ製品を普段の治療に加えたところ、腹痛や胸やけ、吐き気といった胃の症状が和らぐことが示されました。 さらに、お腹がゴロゴロ鳴ったり、ガスでお腹が張ったりといった腸の不快な症状も改善したとされています。

特に注意が必要なのは、はっきりした症状がないまま静かに進行する慢性胃炎です。 「なんとなく調子が悪い」と感じる程度でも、胃の中では炎症が続いている可能性があります。 気になる症状があれば、自己判断せず専門の医療機関へ相談しましょう。

胃炎の検査・診断

胃の痛みや不快感で病院を受診された場合、まずはお話を詳しくうかがいます。 どのような症状がいつからあるか、食生活やストレス、普段飲むお薬などを聞きます。 原因のヒントを探るための、とても大切な「問診」です。

そのうえで、胃の状態を正確に知るために、次のような検査を進めていきます。

内視鏡検査(胃カメラ) 胃炎の診断で中心となるのが、胃の中を直接のぞく内視鏡検査です。 口や鼻から細いカメラを入れ、食道から胃、十二指腸の粘膜を観察します。 粘膜の荒れ具合や、ただれ(びらん)、傷(潰瘍)がないかを調べます。 胃がんにつながる可能性のある、粘膜の萎縮(いしゅく)も確認できます。

ピロリ菌感染の検査 慢性胃炎の主な原因である、ピロリ菌がいるかどうかも大切な検査です。 胃カメラを使う方法と、使わない方法があります。

検査方法

特徴

内視鏡を使う方法

胃カメラの際に、胃の粘膜をほんの少しだけつまんで調べます。<br>(迅速ウレアーゼ試験、組織鏡検法など)

内視鏡を使わない方法

専用の袋に息を吹き込む「尿素呼気試験」や、血液・便を調べる方法があります。

これらの検査結果を総合的に判断し、胃炎の診断を確定します。 ピロリ菌の感染が見つかれば、菌を退治する「除菌治療」を検討します。 最近の研究では、患者さんの負担を軽くする治療法も報告されています。 飲む薬の種類を減らしても、従来の治療法と同じくらいの効果が期待できる方法です。 薬の種類が減ることで、飲み忘れにくく、治療を続けやすいという利点もあります。 ご自身の状態に合った検査や治療法を、医師とよく相談して決めていきましょう。

胃炎の治療

胃炎の治療は、原因や症状の重さに合わせて進めていきます。 主に「お薬による治療」と「生活習慣の見直し」が基本です。 この2つを車の両輪のように組み合わせ、胃の回復を目指します。

お薬による治療

お薬の治療では、つらい症状を和らげることが最初の目標です。 同時に、荒れてしまった胃の粘膜が元に戻るのを助けます。

  • 胃酸の分泌をおさえる薬 出すぎてしまう胃酸を調整し、胃への刺激を軽くします。
  • 胃の粘膜を保護する薬 胃の壁にバリアのような膜を作り、胃酸の攻撃から守ります。
  • 胃の動きを助ける薬 胃もたれがある場合に、食べ物の消化をスムーズに進めます。

慢性胃炎の多くは、ピロリ菌という細菌が原因です。 ピロリ菌が見つかった場合は、菌をやっつける「除菌治療」を行います。 最近の研究では、飲む薬の種類を減らした治療法も報告されています。 この方法は、従来の複数の薬を使う治療と同じくらいの効果が期待できます。 薬が少ない分、飲み忘れにくく、治療を続けやすいという利点もあります。

生活習慣の見直し

お薬で症状を抑えるだけでなく、胃に負担をかける習慣をやめることが大切です。 食事は消化の良いものを選び、香辛料や脂っこいものはひかえましょう。 アルコールやタバコも胃の粘膜を直接傷つけるため、控えることが望ましいです。 また、十分な休息をとり、ストレスを上手に解消することも回復への近道です。

普段の治療を助ける方法として、植物由来の成分が使われることもあります。 ある研究では、特定のハーブ製品を治療に加えたところ、腹痛や胸やけといった胃の症状が和らいだという報告があります。 さらに、お腹の張りやガスなど、腸の不快な症状も改善したとされています。 ただし、自己判断で使わず、必ず医師に相談してから取り入れましょう。