嗄声
「最近、声がかすれる」「話していると疲れやすい」と感じることはありませんか?多くの方が経験する「声がれ」ですが、風邪やカラオケのせいだと軽く考えていると、実は体からの重要なサインを見逃しているかもしれません。
いわゆる声がれを指す「嗄声(させい)」は、声の使いすぎだけでなく、声帯ポリープや加齢、さらには甲状腺の病気やその治療が原因で起こることもあります。実際に、ある研究では甲状腺の治療に伴う合併症として、約1%の頻度で声がれが起こると報告されています。
この記事では、嗄声がなぜ起こるのか、その種類や原因、そして適切な対処法までを詳しく解説します。2週間以上続くその声の変化、見過ごさずに原因を探ってみませんか。
嗄声の概要
「嗄声(させい)」とは、声がかれたり、かすれたりする状態です。 いわゆる「声がれ」や「かすれ声」のことを指す医学的な言葉です。 声がガラガラする、弱々しいなど、声の質が変わってしまいます。
私たちの声は、のどにある「声帯」という器官から生まれます。 声帯は左右に一対ある、薄いヒダのような組織です。 このヒダが肺からの息で細かく振動することで、声の元が作られます。
しかし何らかの理由で声帯がうまく閉じなくなったり、 きれいに振動しなくなったりすると、嗄声が起こります。 風邪やカラオケの歌いすぎなど、多くの方が経験する身近な症状です。
これらの場合は一時的なものがほとんどで、心配はいりません。 しかし、嗄声は喉やその周りの病気が隠れているサインでもあります。 例えば、甲状腺の病気の治療が原因で声に影響が出ることがあります。
ある研究では、甲状腺のできものに対する治療の合併症として、 約1%の頻度で嗄声が起こることが報告されています。 この場合の嗄声は、まれであり、ほとんどが一時的なものです。
このように、のど自体に問題がなくても嗄声は起こりえます。 もし声がれが2週間以上続く場合は、その原因を調べることが大切です。
嗄声の種類
ひとくちに「声がれ」といっても、その原因はさまざまです。 原因を正しく知ることが、適切な対応への第一歩となります。 嗄声は、主に以下の2つのタイプに分けられます。
- 器質的(きしつてき)嗄声 声帯そのものの形に変化が起きてしまうタイプです。
- 機能的(きのうてき)嗄声 声帯の形に問題はないのに、うまく機能しないタイプです。
器質的嗄声
声帯に炎症が起きたり、できものができたりすることが原因です。 声帯のヒダがうまく閉じず、すき間から息が漏れて声がかすれます。
- 炎症によるもの 風邪やタバコの吸いすぎなどで声帯が腫れてしまい、声がかすれます。
- できものによるもの 声の使いすぎで、声帯に「ポリープ」や「結節(けっせつ)」というマメができます。 歌手や先生など、声をよく使う職業の方に見られやすい状態です。
- 加齢によるもの 年齢とともに声帯がやせて縮んでしまう「声帯萎縮」も原因の一つです。
機能的嗄声
声帯自体に明らかな異常はないものの、動きに問題が生じるタイプです。 声帯を動かす神経のトラブルなどが考えられます。
- 神経の麻痺によるもの 声帯を動かす神経が麻痺して、声がかすれることがあります。 甲状腺や肺などの病気や、その手術が原因となる場合があります。 ある研究報告では、甲状腺のできものを治療した際、 約1%の頻度で声がれが起こるとされています。 これは重い合併症とされますが、発生はまれで一時的なことがほとんどです。
- 心因性のもの 強いストレスが引き金となり、声が出にくくなることもあります。
このように嗄声の種類はさまざまです。 気になる症状が続く場合は、自己判断せず専門の医療機関に相談しましょう。
嗄声の原因
声がかすれる「嗄声(させい)」は、のどの奥にある声帯のトラブルサインです。 原因は、風邪のような身近なものから、注意が必要な病気まで多岐にわたります。 原因は大きく2つのタイプに分けられます。
1. 声帯そのものに問題がある場合
声帯の形が変わったり、動きが悪くなったりするタイプです。 声帯のヒダがきちんと閉じず、声がかすれてしまいます。
- 炎症 風邪をひいたり、カラオケで歌いすぎたりすると声帯は腫れてしまいます。 赤く腫れた声帯はうまく振動できず、ガラガラ声になります。
- できもの 声の使いすぎで、声帯に「ポリープ」や「結節」というマメができます。 また、喫煙者に多い喉頭がんは、嗄声が最初のサインになることがあります。
- 加齢 年齢と共に声帯の筋肉がやせ細る「声帯萎縮」が起こります。 声帯にすき間ができてしまい、息がもれるような弱々しい声になります。
2. 声帯を動かす神経に問題がある場合
声帯は「反回神経」という神経の指令で動いています。 この神経が麻痺すると、声帯がうまく動かなくなり声が出にくくなります。 甲状腺や肺などの病気が、この神経を圧迫することが原因の一つです。
また、甲状腺の手術などの治療によって、神経に影響が出ることもあります。 ある研究では、甲状腺のできものを治療した際に、 約1%の頻度で声がれが起こると報告されています。 これは重い合併症とされますが、発生はまれで一時的なことがほとんどです。
嗄声の症状
「嗄声(させい)」と聞くと、単に声がかすれる状態を思い浮かべるでしょう。 しかし、現れるサインは声の変化だけにとどまりません。 声だけでなく、のどの感覚や呼吸の状態などにも注意が必要です。
あなたの声やのどに、以下のような症状がないか確認してみましょう。
声の変化
声帯がうまく振動しない、または閉じないことで起こる症状です。 ・ガラガラ声やかすれ声になる ・息がもれるような、弱々しく力のない声になる ・話している途中で声が裏返ったり、途切れたりする ・声を出そうとしても、うまく音にならない
のどの感覚
声帯やその周りの炎症、またはできものが原因で感じることがあります。 ・のどに痛みやイガイガした感覚がある ・何かが詰まっている、張り付いているような違和感がある ・痰がからみ、咳が出やすくなる
注意すべきその他のサイン
声帯のトラブルが、呼吸や飲み込みの機能に影響を及ぼしているサインです。 ・息を吸うときにヒューヒューと音がする、息苦しい ・食べ物や飲み物が飲み込みにくい、むせやすい
これらの症状は、原因によって現れ方が異なります。 例えば、風邪であればのどの痛みを伴うことが多いです。 一方で、息苦しさや飲み込みにくさを伴う場合は注意が必要です。
また、甲状腺の病気やその治療が原因で嗄声が起こることもあります。 ある研究では、甲状腺のできものの治療に伴う合併症として、 約1%の頻度で発声障害が起こると報告されています。 これは重い合併症とされますが、発生はまれで一時的なことがほとんどです。
気になる症状があれば、それが体からの大切なサインかもしれません。
嗄声の検査・診断
声がれが続いて心配になり病院へ行くと、原因を調べる検査を行います。 原因を正確に突き止めることが、適切な治療への第一歩となるためです。 検査は、まず患者さんから詳しくお話を聞く「問診」から始まります。
1. 問診
医師は、声の状態や生活習慣などについて質問をします。 これらは、嗄声の原因を探るための重要な手がかりになります。
- いつから声がかすれていますか?
- どのような声のかすれ方ですか?(ガラガラ、か細いなど)
- のどの痛みや息苦しさ、飲み込みにくさはありませんか?
- タバコやお酒の習慣、声をよく使う仕事かどうか
- 過去に甲状腺や首、胸の手術を受けたことがあるか
2. 喉頭ファイバースコープ検査
問診の次に行われる、嗄声診断の中心となる検査です。 鼻から細いカメラ(ファイバースコープ)を入れます。 のどの奥にある声帯の様子を、直接モニターで観察します。 この検査で、声帯の形や色、動き方をリアルタイムで確認できます。
【この検査でわかること】
- 声帯ポリープや声帯結節 声帯にできたマメや腫れものの有無がわかります。
- 声帯の炎症や腫れ 声帯が赤くなっていないか、腫れていないかを確認します。
- 喉頭がんなどの腫瘍 悪性の病気が隠れていないかを調べます。
- 声帯の動き(声帯麻痺) 声帯が正常に閉じたり開いたりしているかを確認します。
3. その他の検査
さらに詳しい情報が必要な場合は、追加で検査を行うこともあります。 例えば、声帯を動かす神経は首から胸を通ってのどに達します。 この神経の通り道に異常がないか、CTやMRIなどの画像検査で調べます。
また、甲状腺の病気の治療が声に影響を与えることもあります。 ある研究報告では、甲状腺のできものに対する治療の一環で、 約1%の頻度で発声障害が起こることが示されています。 これは重い合併症とされますが、発生はまれで一時的なことがほとんどです。
このように様々な検査を組み合わせて、原因を正確に診断します。
嗄声の治療
声がかすれる「嗄声(させい)」の治療は、原因によって方法が異なります。 まずは原因を正確に突き止め、それに合った治療を選ぶことが大切です。 治療は、大きく分けて2つのアプローチがあります。
1. 手術をしない治療(保存的治療)
声帯の炎症や、声の出しすぎが原因の場合に選ばれる治療法です。 声帯への負担を減らし、回復を促すことを目的とします。
- 声の安静 声帯を休ませる、最も基本的で重要な治療です。 できるだけ声を使わず、会話は筆談などで行うことが理想です。
- 薬物療法 風邪などによる炎症を抑えるために、消炎薬などを使います。 ネブライザーという吸入器で、薬剤を直接のどの粘膜に届けることもあります。
- 音声治療 言語聴覚士という声の専門家とリハビリを行います。 声帯に負担のかからない、正しい声の出し方を身につけます。
2. 手術による治療
ポリープやがんなどの病気や、保存的治療で改善しない場合に行います。
- 喉頭微細手術(ラリンゴマイクロサージェリー) 声帯にできたポリープや結節などを、顕微鏡で拡大しながら切除する精密な手術です。
- 声帯内注入術 加齢でやせてしまった声帯に、コラーゲンなどを注入します。 声帯をふっくらさせ、すき間を埋めて声のかすれを改善します。
- 甲状軟骨形成術 神経の麻痺で動かなくなった声帯の位置を、のどの外から調整する手術です。
また、甲状腺の病気の治療が声に影響を及ぼすこともあります。 甲状腺のできものに対する治療の副作用として、声がれが起こることがあります。 複数の研究をまとめた信頼性の高い報告によると、その頻度は約1%です。 これは重い合併症とされますが、発生はまれで、ほとんどが一時的なものです。
どの治療法が最適かは、専門医の診断によって決まります。 声のかすれが続く場合は、自己判断せず耳鼻咽喉科を受診しましょう。













