発声障害
「最近、声がうまく出ないな…」そう感じたことはありませんか?風邪とは違い、声がかすれたり、途中で止まったり、話すのがすぐに疲れたりする状態は「発声障害」かもしれません。
声は、大切な人とのコミュニケーションや日々の生活に欠かせない道具です。もし声の不調が続くと、学校生活や友人との会話が億劫になり、不安な気持ちになることも。特に、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の後遺症として、急性期に約79%もの方が声の不調を感じたという報告もあり、誰もが無関係ではありません。
この記事では、発声障害の概要から、なぜ声が出にくくなるのか、その種類や原因、そして適切な治療法まで詳しく解説します。ご自身の症状と照らし合わせながら、大切な声を健康に保つための一歩を踏み出すきっかけにしてください。
発声障害の概要
「なんだか最近、声がうまく出ないな…」と感じたことはありませんか? 風邪をひいたときに声がカスカスになるのは、たいてい一時的なものです。 でも、そうではないのに声がずっと出にくかったり、途中で止まってしまったり、話すのがすぐに疲れてしまったりする状態を「発声障害」と呼びます。 これは、声に関する体の不調なのですね。
声は、お友達と楽しくおしゃべりしたり、先生に質問したり、家族と気持ちを伝えあったりするために、とても大切な道具です。 もし声がうまく出なくなると、学校生活が少し大変になったり、みんなと話すのが嫌になったり、悲しい気持ちになったりすることがあります。 私たち医師は、皆さんの声の不調が普段の生活にどれくらい影響しているのかを知るために、いくつかの方法を使います。
その一つに、「ボイスハンディキャップインデックス(VHI)」というテストがあります。 これは、皆さんが声のことでどんなときに困るか、どれくらい困っているかを、いくつかの質問に答えてもらうことで数値にする方法です。 このVHIは、声の困り具合を測るのに「とても役立つ」と多くの先生たちが考えています。 実際に、声の困りごとを調べるための「信頼できる道具」であるとされています。 しかし、実はこのテストについて、世界中のたくさんの研究者が今も「もっと詳しく知りたいこと」を調べている途中なのです。 たとえば、研究によって少しずつ結果が違うこともあり、まだまだ「完璧な答え」が見つかっているわけではありません。 私たち医師も、このVHIの結果だけで全てを判断するのではなく、皆さんの声を実際に聞かせてもらい、お話をしっかり聞いて診断するようにしています。
声の不調は、大人だけでなく、小学生の皆さんにも起こることがあります。 もし「あれ?いつもと違うな」と感じたら、一人で悩まずに、早めに私たちお医者さんに相談してくださいね。 声の健康は、皆さんが毎日を楽しく過ごすために、とっても大切なんですよ。
発声障害の種類
「発声障害」と一言で言っても、実は様々なタイプがあります。 声の不調は、体のどこに問題があるかによって、大きく3つのグループに分けられます。 まるで風邪にいろんな種類があるように、発声障害にもそれぞれ特徴があるのです。
- 器質性発声障害(きしつせい はっせいしょうがい)
- これは、声の元となる「声帯(せいたい)」に、目に見える変化が起こるタイプです。
- たとえば、声帯に「ポリープ」と呼ばれる小さなできものができたり、炎症を起こして赤く腫れたりすることがあります。
- 声帯の形そのものが変わってしまうため、声が出にくくなるのですね。
- 病気やケガなどで喉の構造が変化するのが特徴です。
- 機能性発声障害(きのうせい はっせいしょうがい)
- このタイプは、声帯自体には見た目の異常がありません。
- でも、声帯を動かすための筋肉の使い方が悪かったり、使いすぎたりすることで、うまく声が出せなくなります。
- 特に「筋緊張性発声障害」は、声帯をコントロールする筋肉が緊張しすぎてしまうことで起こるものです。
- ストレスや心の疲れが関係していることも少なくありません。
- 実は、このような筋緊張性発声障害には、集中的な音声療法が効果的である可能性があります。
- 週に1回ずつ治療を受けるよりも、短期間で集中して治療を行う方が、声の改善や治療への満足度を高めることがあると研究で示されています。
- 患者さんの生活スタイルに合わせて、最適な治療方法を選ぶことが大切です。
- 神経性発声障害(しんけいせい はっせいしょうがい)
- このタイプは、声帯そのものや筋肉には問題がないのに、声帯を動かす「神経」にトラブルが起きることで声が出にくくなります。
- 脳から声帯へ「声を出せ!」という命令がうまく伝わらない状態です。
- 例えば、パーキンソン病という病気や、脳梗塞といった脳の病気が原因となることがあります。
最近では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)にかかった後も、声がかすれたり、声が出しにくくなったりする人が増えています。 これは、ウイルスによる喉の炎症が原因であったり、重症化して人工呼吸器の治療を受けたことで喉に負担がかかったりすることが関係しています。 ある調査によると、急性期のCOVID-19の患者さんのうち、なんと約79%もの人が声の不調を感じていたことが報告されています。 このような声の不調は、一時的なものだけでなく、治療が終わった後も長く続いてしまう「後遺症」となることもあります。 しかし、この問題は「仕方がない」と見過ごされがちで、十分に注目されていないと感じています。 もし、新型コロナウイルスにかかった後に声の調子が悪いと感じたら、一人で悩まずに、専門の医療機関で診てもらうことが大切です。 声の治療(音声療法)など、専門的なケアが必要になることもあります。
発声障害の原因
「どうして声が出にくくなるんだろう?」と心配になりますよね。 発声障害の原因は、実は一つだけではありません。 まるで、風邪の原因がウイルスだったり、急な気温の変化だったりするように、声の不調にも色々な理由があります。 私たち医師は、皆さんの声の不調がどこから来ているのかを、丁寧に調べていきます。
まず、声の元となる「声帯(せいたい)」そのものに問題が起こることがあります。 例えば、大きな声を出したり、無理な歌い方を続けたりすると、声帯に炎症が起きたり、小さな豆のようなできもの(声帯結節や声帯ポリープ)ができたりすることがあります。 これは、声帯が「もう疲れたよ!」と訴えているサインのようなものです。 大人になると、声帯の筋肉がだんだん弱くなることも、声がかすれる原因になることがあります。
最近では、病気が原因で声が出にくくなることも分かってきました。 特に、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)にかかった方の中には、声の調子が悪くなる方がたくさんいらっしゃいます。 ある研究によると、ウイルスにかかってすぐの急性期には、約8割(79%)もの患者さんが声の不調を感じていたと報告されています。 喉がウイルスで炎症を起こしたり、重い病気で人工呼吸器のチューブを喉に入れたりしたことが原因になることもあります。 新型コロナウイルスによる声の不調は、病気が治った後も長く続く「後遺症」となることがあります。 しかし、この問題は「仕方ない」と見過ごされてしまうことも多く、十分な治療を受けられないケースもあるので、私たち医師は心配しています。 もし、ウイルスにかかった後に声の不調を感じたら、早めに専門の病院で相談してくださいね。
また、声帯を動かす「神経」や「脳」にトラブルが起きることで、声が出にくくなることもあります。 例えば、脳梗塞やパーキンソン病といった病気が原因で、脳から声帯へ「声を出して」という命令がうまく伝わらなくなることがあります。 とても珍しい病気ですが、「下位脳神経神経鞘腫(かいいのうしんけいしんけいしょうしゅ)」という、脳から出る神経にできる腫瘍(しゅよう)が原因になることもあります。 この病気は、約48歳くらいの年齢の方に見つかることが多く、声が出しにくいこと(約47%)だけでなく、食べ物や飲み物がうまく飲み込めない「嚥下(えんげ)障害」が主な症状として約63%の方に見られることがあります。 このような神経の病気が原因の場合は、専門的な検査と治療が必要です。
その他にも、テストの前で緊張したり、心配事があったりするストレスや心の疲れが原因で、一時的に声が出にくくなることもあります。 このように、声の不調の原因は本当にたくさんあるのです。 もし「いつもと声の感じが違うな」「なんだか話しにくいな」と感じたら、一人で悩まずに、私たちお医者さんに相談することが大切です。 早めに原因を見つけて、適切な対応をすることで、皆さんの大切な声を健康に保つことができます。
発声障害の症状
「あれ?いつもの声と違うな」「なんだか話しにくいな」と感じることはありませんか? 発声障害の症状は、まさにこのような「声の変化」として現れます。いつもの元気な声と違うな、と感じたときには、体からの大切なサインかもしれません。
発声障害の代表的な症状は、声のかすれや声が出しにくい状態です。例えば、お友達と話しているときに声が途中で途切れてしまったり、以前より声の高さや大きさが不安定になったりすることも症状の一つです。長く話すとすぐに息が続かなくなり、喉に違和感や痛みを感じる方もいらっしゃいます。私たち医師は、皆さんの声が日常生活でどれくらい困るかを詳しく聞かせてもらっています。
特に、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)にかかった方の中には、声の不調を感じる方がたくさんいます。ある研究では、病気にかかってすぐの急性期には、約79%もの人が声が出にくくなる「失声症(声が出なくなること)」を経験したと報告されています。これらの声の症状は、病気が治った後も長く続く「後遺症」となることがあり、私たちはこの問題が「仕方がない」と見過ごされがちであると心配しています。症状が続く場合には、専門的な治療(集学的管理や音声療法)が必要となることもあります。また、重症化して人工呼吸器の治療を受けた方は、喉に負担がかかることで声が出にくくなることがあります。この喉の負担は、人工呼吸器のチューブの種類や装着期間、患者さんの体位など、様々な要因に関連して起こりやすいことがわかっています。
とても珍しい病気ですが、「下位脳神経神経鞘腫(かいいのうしんけいしんけいしょうしゅ)」という、脳の神経にできる腫瘍(しゅよう)が原因で声が出にくくなることもあります。この病気は、平均すると48歳くらいの方に見つかることが多く、初めに気づく症状として、約47%の方に声の障害(発声障害や構音障害)が見られます。また、飲み込みにくさ(嚥下障害)も約63%の方に現れる主な症状です。この病気の治療を受けた後にも、一時的に声のかすれ(嗄声)や飲み込みにくさが現れることがありますが、多くの場合、これらは一時的なものです。
このような声の症状は、日常生活でのコミュニケーションに支障をきたし、不安やストレスにつながることがあります。もし、ご自身やご家族の「声の変化」に気づいたら、一人で抱え込まずに、早めに私たち医師にご相談くださいね。大切な声を健康に保つために、適切な診察と治療を受けていきましょう。
発声障害の検査・診断
「なんだか声の調子が悪いな…」と感じたら、まずは耳鼻咽喉科の先生に相談することが大切です。正確な診断を受けることで、皆さんに合った治療へと進むことができます。私たちお医者さんは、皆さんの声の不調を詳しく知るために、いくつかの検査を行います。
最初に、先生が皆さんのことをじっくりお伺いします。いつから声が出しにくいのか、どんな時に特に困るのか、学校生活や遊びで声を使うときに何か不便はないかなど、たくさんお話ししてください。声以外の体のことでも、心配なことがあれば教えてくださいね。
次に、細いカメラを使って喉の奥を直接見ていきます。このカメラは鼻から優しく入れて、声の元になる「声帯(せいたい)」がどんな形をしているか、ちゃんと動いているかを確認します。声帯に小さなポリープができていないか、赤く腫れていないか、先生がしっかり見ていきます。さらに詳しく調べる時には、光を当てて声帯の動きをスローモーションのようにゆっくりと観察する特別な検査を行うこともあります。
そして、皆さんの「声の困り具合」を知るためのテストも行います。これには「VHI(ボイスハンディキャップインデックス)」という質問形式のテストがあります。このテストは、皆さんが声のことでどんなときに困っているかを質問に答えてもらうことで、数字にして測るものです。
このVHIは、全体としては質問がちゃんと一つのことを測れていることが、とても良い結果として示されています。なんと、90%以上の高い確率で、質問がバラバラなことを聞いているわけではないと研究でわかっているのです。しかし、たくさんの研究を比べてみると、結果が少しずつ違うことも多く、このテストがどれくらい確かなのかは、まだ「もう少し調べないといけないね」と考える先生もいます。また、「本当に測りたい声の困りごと」を、このテストがちゃんと測れているのかどうか、まだハッキリしない部分があることもわかってきました。
私たちお医者さんは、これらの検査結果と、皆さんの話を総合的に見て、声の不調の原因がどこにあるのかを判断します。そして、一人ひとりに合った一番良い治療の方法を一緒に考えていきます。早めに原因を見つけて、皆さんの大切な声を健康に保っていきましょう。
発声障害の治療
「なんだか声が出にくいな」と感じたら、その不調をそのままにしないで、ぜひ私たちに相談してくださいね。声の不調は、放っておくとお友達との会話や発表など、学校生活にも影響が出てしまうことがあります。皆さんに合った治療を受けることで、また安心して声を出せるようになります。
発声障害の治療には、主に次の3つの方法があります。
- 音声療法(ボイスセラピー)
- 薬物療法
- 外科的治療
声の不調の原因や症状の重さによって、一人ひとりに一番良い治療計画を一緒に考えていきましょう。
音声療法(ボイスセラピー)
音声療法は、言語聴覚士という声の専門家と一緒に、正しい声の出し方を練習する治療です。声を出す時に使う筋肉の動かし方や、息の使い方を改善していきます。これにより、声帯への負担を減らし、楽で聞き取りやすい声を取り戻せるようにサポートします。
最近の研究では、週に一度ずつ時間をかけて行う治療だけでなく、短期間に集中して行う「集中的音声療法」も注目されています。集中的な治療は、声の状態や心の状態、治療への満足度といった点で、これまでの治療と同じくらい良い効果をもたらす可能性があるとされています。さらに、集中的な治療は、一度良くなった声の状態を長く保つことにもつながる傾向があることが分かっています。
私たち医師や専門家は、集中的な治療が声の出し方を早く学び、その良い状態を定着させるのに役立つと考えています。しかし、どのような治療を選ぶかは、皆さんの生活スタイルや通院のしやすさ、そして何よりも「こんな治療を受けたい」という気持ちを大切にして決めることが重要です。そのため、クリニックでは柔軟に予約や治療計画を調整できるように心がけています。
薬物療法
声帯の炎症を抑えるお薬や、声帯を動かす神経の働きを整えるお薬が使われることがあります。声の不調の原因によっては、これらの薬が症状を和らげるのに役立ちます。
外科的治療
もし声帯にポリープのような「できもの」があったり、声帯の動きが悪くなっていたりする場合には、手術が必要になることもあります。手術は、声帯の形や機能を正しい状態に戻すことを目指し、声が出やすいようにするための治療です。













