うっ血性心不全

階段を上るだけで息が切れる、足がむくむ、夜になると咳が出る…。そんな症状を「年のせいかな?」と見過ごしてはいませんか。もしかしたら、それは心臓のポンプ機能が弱まることで起こる「うっ血性心不全」という病気のサインかもしれません。

この病気の厄介な点は、症状が肺の病気と非常によく似ていることです。実際に、肺の病気(COPD)の悪化で入院した方のうち、原因が肺だけだったのは約57%に過ぎず、残りの多くは心不全を併発していたという驚きの研究結果もあります。

この記事では、専門家でさえ判断が難しい「うっ血性心不全」について、症状の見分け方から原因、治療法までを詳しく解説します。ご自身の体調と照らし合わせ、手遅れになる前に心臓からのSOSに気づくきっかけにしてください。

うっ血性心不全の概要

心臓は、血液を全身に送り出すポンプの役目をしています。 このポンプの力が弱まると、うっ血性心不全になります。

ポンプの力が弱まると、血液の流れが滞ってしまいます。 体のあちこちで、まるで交通渋滞のような状態になるのです。 この血液の渋滞を「うっ血」と呼びます。

うっ血が起きると、肺や手足に余分な水分が溜まります。 その結果、息切れやむくみ、咳などの症状が現れるのです。

しかし、息切れなどの症状は他の病気でも起こります。 特に、肺の病気である慢性閉塞性肺疾患(COPD)とは、 症状が似ているため見分けるのが難しいことがあります。

ある研究では、COPDが悪化したとして入院した患者さんのうち、 原因がCOPDだけだったのは約57%に過ぎませんでした。 残りの方は、心不全を同時に起こしていたり、 心不全だけが原因だったりしたのです。

このように、呼吸が苦しい原因を特定するのは専門家でも難しく、 慎重な判断が求められます。 気になる症状があれば自己判断せず、受診することが大切です。

うっ血性心不全の種類

うっ血性心不全は、心臓のどの部分の働きが弱るかで種類が分かれます。 主に「左心不全(さしんふぜん)」と「右心不全(うしんふぜん)」です。 どちらの機能が低下するかで、現れる症状も変わってきます。

種類

どこの働きが弱る?

どんな症状が出やすい?

左心不全

酸素を多く含んだ血液を<br>全身に送り出す左側のポンプ機能

肺に血液がたまりやすくなります(肺うっ血)。<br>・階段をのぼった時の息切れ<br>・夜、横になると咳が出て苦しい<br>・ピンク色の泡のような痰(たん)が出る

右心不全

全身から戻ってきた血液を<br>受け取る右側のポンプ機能

全身の血のめぐりが悪くなります(体うっ血)。<br>・足のすねや甲のむくみ<br>・お腹が張る、食欲がない<br>・首の血管がふくれる

多くの場合、最初に左心不全が起こることが多いです。 左側の不調が続くと心臓全体に負担がかかります。 そして、右心不全の症状も合わさった「両心不全」になることもあります。

ここで注意したいのは、息切れなどの症状は他の病気でも起こる点です。 特に、肺の病気である慢性閉塞性肺疾患(COPD)とは、 症状が似ており、診断が難しい場合があります。

実際に、COPDが悪化したとして入院した方を調べたある研究では、 原因がCOPDだけだったのは約57%という結果でした。 残りの方は心不全も起こしていたり、心不全だけが原因だったりしたのです。

このように、呼吸が苦しい原因を特定するのは専門家でも簡単ではありません。 気になる症状があれば、自己判断せず専門の医療機関を受診してください。

うっ血性心不全の原因

うっ血性心不全は、心臓のポンプ機能が弱くなった「状態」です。 その背景には、心臓に負担をかけるさまざまな病気が隠れています。 原因となる病気を知り、適切に対処することが治療の第一歩です。

主な原因には、心臓に長期間負担をかけ続ける病気が挙げられます。 心臓が疲れ果ててしまい、ポンプの力が落ちてしまうのです。

主な原因となる病気

心臓にどう影響するか?

高血圧

血管の圧力が常に高い状態です。<br>心臓は強い力に逆らって血液を送る必要があり、<br>だんだん疲れてしまいます。

心筋梗塞・狭心症

心臓の筋肉に栄養を送る血管が詰まったり狭くなったりする病気です。<br>これにより心臓の筋肉の働きが弱まります。

心臓弁膜症

血液の逆流を防ぐ「弁」がうまく機能しなくなります。<br>血液の流れが滞り、心臓に負担がかかります。

心筋症

心臓の筋肉そのものに異常が起こり、<br>ポンプとしての力が直接低下してしまいます。

この他にも、脈のリズムが乱れる「不整脈」や腎臓の病気、 生まれつきの心臓の病気なども原因となることがあります。

また、息苦しさの原因は心臓だけとは限りません。 肺の病気である慢性閉塞性肺疾患(COPD)と、 うっ血性心不全が同時に起こっていることも珍しくないのです。

実際に、COPDが悪化したとして入院した患者さんを調べた研究では、 原因がCOPDだけだったのは約57%に過ぎませんでした。 残りの多くの方は、心不全を同時に起こしていたのです。

このように、原因を正確に見極めるのは専門家でも簡単ではありません。 健康診断などで原因となりうる病気を指摘された場合は、 心不全を予防するためにも、早めに治療を始めることが重要です。

うっ血性心不全の症状

心臓のポンプ機能が弱まると、体は様々なSOSサインを出します。 「年のせいかな?」と感じるような、ささいな変化も少なくありません。 しかし、そのサインを見逃さないことが、早期発見・治療につながります。

ご自身の体調と照らし合わせて、チェックしてみましょう。

【自分で気づける初期症状のチェックリスト】

  • □ 坂道や階段をのぼるだけで、以前より息が切れる
  • □ 足のすねを指で5秒ほど押すと、へこんだまま戻りにくい
  • □ 疲れやすくなり、日中のだるさがなかなか抜けない
  • □ 夜、布団に入って横になると、咳が出やすい
  • 急な体重増加 数日で2〜3kg増えた場合は注意が必要です。 これは太ったのではなく、体に余分な水分が溜まっているサインです。

これらの症状は、心臓のポンプ力が落ちてきた初期段階で見られます。 一つでも当てはまる場合は、注意深く体調を観察してください。

【放置は危険!すぐに受診を考えるべきサイン】 症状が進行すると、よりはっきりとした危険なサインが現れます。 以下のような症状がある場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。

  • じっとして安静にしていても息苦しい
  • 横になると息苦しくて眠れず、起き上がると少し楽になる
  • ピンク色で泡のような痰(たん)が出る

特に「横になると苦しいが、座ると楽になる」という症状は、 心不全に特徴的なサインの一つです。

また、息切れや咳は、肺の病気でも起こるため見分けるのが難しいです。 実際に、肺の病気(COPD)の悪化で入院した方を調べた研究があります。 その結果、原因が肺の病気だけだったのは約57%でした。 残りの方は、心不全を同時に起こしていたのです。

このように、呼吸の苦しさの原因を見極めるのは専門家でも簡単ではありません。 自己判断はせず、気になる症状があれば必ず専門医に相談してください。

うっ血性心不全の検査・診断

息切れやむくみなど、うっ血性心不全が疑われる症状がある場合、 まず問診で詳しいお話を聞き、身体の診察を行います。 しかし、症状だけでは原因を特定するのが難しいこともあります。

特に、肺の病気である慢性閉塞性肺疾患(COPD)と症状が似ています。 ある研究では、COPDの悪化として入院した方のうち、 原因がCOPDだけだったのは約57%に過ぎなかったと報告されています。 残りの多くは心不全を同時に起こしていたのです。

このように、原因を正確に見極めるために、いくつかの検査を組み合わせて、 慎重に診断を進めていくことが非常に重要になります。

【心不全を診断するための主な検査】

  • 胸部X線(レントゲン)検査 心臓の影が大きくなっていないか(心拡大)を確認します。 また、肺に水が溜まって白く写っていないか(肺うっ血)も見ます。
  • 心電図検査 心臓が動く時の微弱な電気信号を記録する検査です。 不整脈や心筋梗塞など、心不全の原因となる病気のサインを見つけます。
  • 血液検査 心臓に負担がかかると血液中に増えるホルモンの値を測定します。 この「BNP」という数値は、心不全の有無や重症度を知る重要な手がかりです。
  • 心エコー(心臓超音波)検査 超音波を使い、心臓の動きを直接映像で見る検査です。 ポンプ機能の強さや、血液の逆流を防ぐ弁の状態などを詳しく観察できます。

これらの検査結果をパズルのように組み合わせて総合的に評価し、 うっ血性心不全の診断を確定します。

うっ血性心不全の治療

うっ血性心不全の治療は、2つの大きな目標を掲げて進めます。 一つは息切れやむくみといった症状を和らげ、生活の質を高めることです。 もう一つは、病気の進行を防ぎ、より長く元気に過ごせるようにすることです。

治療を始める前に、症状の原因を正確に見極めることが非常に重要です。 なぜなら、息切れなどの症状は他の病気でも起こりうるからです。 特に、肺の病気である慢性閉塞性肺疾患(COPD)とは、 症状が似ており、診断が難しい場合があります。

ある研究では、COPDが悪化したとして入院した方のうち、 原因がCOPDだけだったのは約57%に過ぎませんでした。 残りの多くの方は、心不全を同時に起こしていたのです。 このように、原因の特定には慎重な判断が求められます。

そのため、丁寧な検査と診断に基づいて、 一人ひとりに合った治療計画を立てることが不可欠です。 治療は主に以下の3つの柱で進められます。

  • 原因となっている病気の治療 心不全を引き起こした高血圧や心筋梗塞など、根本の原因を治療します。 原因を取り除くことで、心臓にかかる負担を直接的に減らせます。
  • お薬による治療(薬物療法) 心臓の負担を減らし、つらい症状を和らげるためにお薬を使います。 お薬は複数種類を組み合わせて使うことが一般的です。

主なお薬の種類

期待される主な働き

利尿薬

体の余分な水分や塩分を尿として出し、<br>むくみや息切れを楽にします。

ACE阻害薬・ARB

血管を広げて血圧を下げ、<br>ポンプとして働く心臓の負担を軽くします。

β遮断薬

心臓の働きすぎを抑えて休ませることで、<br>心臓を守る働きがあります。

SGLT2阻害薬

心臓や腎臓を守る作用が注目されています。<br>心不全による入院や悪化を防ぐ効果が期待されます。

  • お薬以外の治療(非薬物療法) お薬の効果が十分でない場合や、特定の状態の患者さんに検討されます。
  • デバイス治療 ペースメーカーなどを体内に植え込み、心臓の働きを電気的に助けます。
  • 外科的治療 悪くなった心臓の弁を取り替える手術や、狭くなった血管を広げる手術です。

これらの治療は、患者さんの年齢や体の状態、心不全の重症度によって、 組み合わせて行われます。 どの治療法が最適か、医師とよく相談しながら決めていくことが大切です。