大腸ポリポーシス

大腸の粘膜に、きのこ状のできものが100個以上も発生する「大腸ポリポーシス」。この病気は、遺伝が原因の場合、将来的に大腸がんになる可能性が極めて高くなる、見過ごすことのできない疾患です。

がんを予防するために大腸をすべて切除する手術が選択されることもありますが、「手術さえすれば安心」と考えているなら、それは大きな誤解かもしれません。実は、手術で新しく作った便をためる袋(パウチ)にも、ポリープやがんが発生するリスクがあることが研究で報告されています。

この記事では、大腸ポリポーシスの種類や原因から、手術後の注意点まで詳しく解説します。ご自身や大切なご家族の健康を守るため、この病気に関する正しい知識を深めていきましょう。

大腸ポリポーシスの概要

大腸ポリポーシスとは、大腸の粘膜にポリープというきのこ状のできものが、100個以上もできてしまう状態を指します。消化管ポリポーシスと呼ばれることもあります。

この病気は、大腸だけの問題にとどまらない可能性があります。ポリープは、大腸以外の消化管や体の他の部分にもできることがあります。

影響がでる可能性のある場所

胃・十二指腸・小腸

骨

軟部組織(筋肉や脂肪など)

眼

ポリープには、がんになる可能性のある「腫瘍性」のものと、その可能性が低い「非腫瘍性」のものがあります。

特に遺伝が関係するタイプでは、がんを防ぐために大腸を全て切除する手術が必要になることがあります。しかし、手術で安心というわけではありません。

手術では、小腸を使って便をためるための袋(パウチ)を新しく作ります。研究報告によると、このパウチにもポリープやがんが発生するリスクがあることがわかっています。パウチにできるがんは非常にまれですが、定期的に検査をしていても発生することがあり、その後の経過が良くないこともあります。

そのため、手術が終わった後も、定期的に内視鏡検査(カメラの検査)を受けることが、がんの予防と早期発見のために非常に大切になります。

大腸ポリポーシスの種類

大腸にたくさんのポリープができるこの病気は、原因によっていくつかの種類に分けられます。大きくは、親から子へ体質が受けつがれる「遺伝性」のものと、そうではない「非遺伝性」のものです。

分類

主な種類

遺伝性ポリポーシス

・家族性大腸腺腫症(FAP)

・ポイツ・ジェガース症候群

・若年性ポリポーシス

・カウデン病

非遺伝性ポリポーシス

・炎症性ポリポーシス

・過形成性ポリポーシス

遺伝性ポリポーシス

遺伝子の変化が原因で起こるタイプのポリポーシスです。中でも「家族性大腸腺腫症(FAP)」は、将来的に大腸がんになる可能性が非常に高くなります。

そのため、がんを予防する目的で大腸を全て切除する手術が必要になることがあります。しかし手術後も安心というわけではありません。

手術で小腸を使って新しく作った便をためる袋(パウチ)に、ポリープができることは珍しくありません。このポリープの多くは良性で、内視鏡で管理できます。

しかし、ごくまれにパウチにがんが発生することが報告されています。パウチのがんは進行が早いこともあるため、専門の医療機関で継続的に内視鏡検査を受けることが非常に重要です。

非遺伝性ポリポーシス

遺伝とは関係なく、潰瘍性大腸炎やクローン病といった腸の炎症などが原因で起こるタイプのポリポーシスです。

このように、大腸ポリポーシスは種類によって性質や治療方針が大きく異なります。そのため、まずは内視鏡検査や遺伝子検査などで、ご自身のタイプを正確に診断することが治療の第一歩となります。

大腸ポリポーシスの原因

大腸ポリポーシスの原因は、大きく2つのタイプに分けられます。生まれつき体の設計図(遺伝子)に変化があるタイプと、他の病気がきっかけになるタイプです。

遺伝子の変化が原因のタイプ

私たちの体を作る設計図である「遺伝子」の変化が原因で起こります。代表的なものが「家族性大腸腺腫症(FAP)」です。これはAPC遺伝子という、がんを抑える働きを持つ設計図の一部に変化があることで発症します。

  • 遺伝のしかた
  • 親御さんのどちらかがこの病気の場合、お子さんには性別に関わらず50%の確率で受け継がれる可能性があります。

このタイプの方は、がんを防ぐために大腸を切除する手術が必要になることが多いです。しかし、手術後も安心というわけではありません。

研究報告によると、手術で作った便をためる袋(パウチ)にも、ポリープやがん(パウチ新生物)が発生するリスクがあることがわかっています。

パウチにできるポリープの多くは良性で、内視鏡での管理が可能です。しかし、非常にまれですが、定期的に検査をしていてもがんが発生することがあり、その後の経過が良くないこともあります。

そのため、手術が終わった後も、専門の医療機関で継続的に内視鏡検査を受けることが、がんの予防と早期発見のために非常に大切です。

他の病気が原因のタイプ

遺伝とは関係なく、他の病気が引き金となってポリープがたくさんできることがあります。

  • 主な原因となる病気
  • 潰瘍性大腸炎
  • クローン病

これらの病気は、大腸の粘膜に長い間、強い炎症(火事のような状態)が続くことが特徴です。炎症が続くと粘膜が傷つき、それを治そうと細胞が何度も分裂します。この過程で、細胞の設計図に間違いが起こりやすくなり、結果としてポリープが発生することがあります。

原因のタイプ

具体的な病気の例

特徴

遺伝子の変化

・家族性大腸腺腫症(FAP)

・ポイツ・ジェガース症候群 など

・生まれつきの体の設計図が原因

・手術後も定期的な内視鏡検査が重要

他の病気

・潰瘍性大腸炎

・クローン病 など

・腸に長引く炎症が原因

・元の病気の治療も並行して行う

大腸ポリポーシスの症状

大腸ポリポーシスは、初期段階では自覚できる症状がほとんどありません。しかし、ポリープの数が増えたり大きくなったりすると、体にサインが現れます。

次のような症状がないか、ご自身で確認してみてください。

【大腸ポリポーシスの主な症状チェックリスト】

  • 便に血が混じる、または便器が赤くなる(血便)
  • ポリープの表面が、硬い便でこすれて出血することで起こります。
  • 下痢や便秘を繰り返すなど、お通じが安定しない
  • ポリープが腸の動きを乱すことで、便通に異常が出やすくなります。
  • お腹の張りや不快感、痛みがある
  • 理由がはっきりしないのに体重が減ってきた
  • 立ちくらみや息切れがする(貧血の症状)
  • ポリープからの出血が少しずつ続くと、体全体の血液が不足して貧血になります。

特に、遺伝が原因の家族性大腸腺腫症(FAP)では、血便がきっかけで病気が見つかることが多くあります。

また、FAPの患者さんは、がん予防のために大腸を切除する手術を受けることがあります。しかし、手術後も安心というわけではありません。

ある研究報告では、手術で作った便をためる袋(パウチ)に、新しいポリープができることは珍しくないとされています。このポリープの多くは良性で内視鏡で管理できますが、ごくまれにがんになる可能性も指摘されています。

パウチにできるがんは進行が早いこともあるため、手術後も定期的な内視鏡検査を受けることが非常に大切です。気になる症状があれば、自己判断せず早めに専門の医療機関へご相談ください。

大腸ポリポーシスの検査・診断

大腸ポリポーシスが疑われる場合、まず原因をはっきりさせることが重要です。どのタイプの病気かを正確に知ることが、治療への第一歩となります。

検査の中心は、おしりから細いカメラを入れる**大腸内視鏡検査(大腸カメラ)**です。この検査で、大腸の粘膜を直接すみずみまで観察します。

【大腸カメラで確認すること】

  • ポリープの数 大腸の中にポリープがいくつあるかを確認します。
  • ポリープの大きさや形 がんになる可能性が高い形をしていないかを調べます。
  • 組織の採取(生検) 検査中にポリープの一部をつまみ取り、がん細胞が含まれていないかを顕微鏡で詳しく調べます。

この病気は、大腸だけに影響がとどまらないことがあるため、他の検査も組み合わせます。

検査の種類

目的

画像検査

(CT検査など)

腸全体の様子や、他の臓器への影響がないかを立体的に詳しく見ます。治療方針を決めるための重要な情報となります。

遺伝子検査

(血液検査)

病気の原因が、生まれつきの体の設計図(遺伝子)にあるかを調べます。ご家族の将来の健康のためにも役立つことがあります。

その他の検査

(胃カメラ、目の検査など)

胃や十二指腸、目など、大腸以外の場所に合併症が出ていないかを確認します。

特に遺伝が原因のタイプでは、がんを防ぐために大腸を切除する手術を行うことがあります。しかし、手術後も安心というわけではありません。

ある研究報告では、手術で作った新しい便だめ(パウチ)にポリープができることは珍しくないとされています。そして、非常にまれですが、定期的な検査を受けていてもパウチにがんが発生し、その後の経過が良くない場合があることもわかっています。

そのため、手術が終わった後も、専門の医療機関で定期的に内視鏡検査を受け続けることが、がんの早期発見のために非常に重要です。

大腸ポリポーシスの治療

大腸ポリポーシスの治療法は、一つではありません。 ポリープの種類や数、そして原因によって方針が大きく変わります。 がんになるリスクや今の症状などを総合的に考えて、 一人ひとりに最も合った治療法を選んでいきます。

主な治療法には、以下の3つの選択肢があります。

治療法

どんなときに行う?

具体的な内容

外科手術

家族性大腸腺腫症(FAP)など

がんに変わるのを防ぐため、大腸を切り取る。

内視鏡治療

若年性ポリポーシスなど

大腸カメラを使い、ポリープを直接切り取る。

薬物療法

潰瘍性大腸炎などが原因の場合

腸の炎症を鎮めるステロイドなどの薬を使う。

特に、遺伝が原因の「家族性大腸腺腫症(FAP)」は、 将来的に大腸がんになる可能性が極めて高いことがわかっています。 そのため、がんを防ぐ目的で、大腸をすべて切り取る手術が基本です。 この手術は、がんになる前の20代前半までに行うことが望ましいです。

しかし、手術を受ければそれで終わり、というわけではありません。 手術では小腸で新しく便をためる袋(パウチ)を作ります。 ある研究報告によると、このパウチにポリープができることは珍しくなく、 多くは内視鏡を使って管理できるとされています。

一方で、非常にまれですが、定期的な検査を受けていてもパウチにがんが発生し、 その後の経過が良くない場合があることもわかっています。 だからこそ、手術が終わった後も専門の医療機関で、 継続して内視鏡検査を受け続けることが非常に重要なのです。