血便

トイレで便に血が混じっていたり、トイレットペーパーに血が付いたりして、ドキッとした経験はありませんか。「きっと痔だろう」と、つい自己判断で放置してしまいがちですが、そのサインを見過ごすのは大変危険です。

実はその血便、大腸がんや潰瘍性大腸炎といった、早期発見が極めて重要な病気のシグナルかもしれません。便の色は出血箇所を推測する手がかりとなり、黒い便から鮮やかな赤い血まで、その意味は様々です。

この記事では、血便の種類ごとの原因や、がんになる前のポリープ発見率を高める最新の内視鏡検査について詳しく解説します。あなたの体の異変を正しく理解し、手遅れになる前に行動するために、ぜひご一読ください。

血便の概要

血便とは、文字通りうんちに血液が混じっている状態のことです。 トイレットペーパーに付くわずかな赤い血から、 便全体が黒っぽくなるものまで、その見た目は様々です。

血便と聞くと、多くの人が痔(じ)を思い浮かべるかもしれません。 しかし、大腸がんや潰瘍性大腸炎のような、 早く治療を始めるべき病気のサインであることもあります。

血便の原因を正確に調べるためには、大腸カメラ検査が重要です。 この検査の技術は進歩しており、より精密な観察が可能になりました。 例えば、LCIという特殊な光を使って観察する方法があります。

ある研究によると、LCIを用いることで、がんになる前のポリープを 従来の方法より見つけやすくなったことが示されています。 病気の芽を早く見つけるためにも、血便は放置しないでください。

血便の種類

ひとくちに血便といっても、その色や見た目はさまざまです。 便の色は、体のどのあたりから出血しているのかを推測する、 とても大切な手がかりになります。

血便は、主に次の4つの種類に分けられます。

種類

見た目の特徴

考えられる出血の場所

黒色便(タール便)

黒くてドロドロとした、のりのような便

胃や十二指腸など、食道に近い消化管

暗赤色便

赤黒い、またはレンガのような色の便

小腸や、大腸の奥のほう

鮮血便

真っ赤な血が便に付着、またはポタポタ落ちる

肛門や直腸など、出口に近い部分

粘血便

ゼリー状の粘液と血液が混じった便

炎症が起きている大腸

黒色便は、血液が胃酸によって酸化することで黒く変化します。 一方で鮮血便は、出血してから時間が経っていない証拠です。 このように、色から出血部位をある程度予測できます。

ただし、これはあくまで目安にすぎません。 出血してから便として出るまでの時間や出血量によって、 色は変わるため、自己判断は絶対にしないでください。

また、見た目ではわからないほど、ごくわずかな出血もあります。 大腸がんやポリープからの出血が、これにあたることが多いです。 ある研究では、特殊な光(LCI)を使うことで、 がんになる可能性のあるポリープ(腺腫)や、 平べったいポリープ(SSL)の発見率が高まると報告されました。

どのような色の血便でも、体に異常が起きているサインです。 気になる症状があれば、必ず専門の医療機関を受診しましょう。

血便の原因

血便とひとことで言っても、その原因は非常にさまざまです。 おしりの身近なトラブルから、お腹の中に隠れている、 早期発見が重要な病気のサインまで考えられます。

血便を引きおこす主な原因には、以下のような病気があります。

  • 痔(いぼ痔・切れ痔) 排便時に硬い便が肛門を傷つけたり、 いぼ痔の表面がこすれたりして出血します。 痛みを伴い、鮮やかな赤い血が出ることが多いです。
  • 大腸ポリープ・大腸がん 便が通過する際、ポリープやがんの表面をこすって出血します。 初期は自覚症状がほぼなく、出血もごく微量なため、 自分では気づきにくいのが非常に厄介な点です。
  • 感染性腸炎 細菌やウイルスに感染し、腸の粘膜が炎症を起こします。 粘膜が傷つくことで、下痢や腹痛とともに出血します。
  • 炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎など) 腸に原因不明の慢性的な炎症が起こる病気です。 腸の粘膜がただれ、ゼリー状の粘液と血液が混じった便が出ます。
  • 虚血性腸炎 大腸へ栄養を送る血管の血流が悪くなることで起こります。 突然の強い腹痛の後に、下痢と血便が見られることが多いです。

特に注意したいのが、自覚症状に乏しい大腸ポリープや早期がんです。 最近の国際的な共同研究では、内視鏡技術の進歩が報告されました。 特殊な光(LCI)を使うことで、従来の方法(WLI)に比べて、 がんになる前のポリープ(腺腫)の発見率が向上したのです。 さらに、見つけにくい平坦なポリープ(SSL)の発見率も、 有意に高まることが示されています。

わずかな出血も見逃さない精密な検査が、病気の早期発見に繋がります。 どのような血便でも、まずは専門医に相談することが大切です。

血便の症状

「血便」とひとことで言っても、その色や状態はさまざまです。 腹痛や熱など、血便と同時にあらわれる体のサインも重要です。 これらは、体のどこで異常が起きているかを知る手がかりです。

ご自身の状態を確かめるために、以下の項目を確認してみましょう。

【血便の症状セルフチェック】

  • 便の色や状態 □ 便全体が黒く、ドロっとしている □ 真っ赤な血が便の表面に付いている □ トイレットペーパーに真っ赤な血が付く □ 赤黒い血のかたまりが便に混じる □ ゼリー状の粘液と血液が混ざっている
  • 便以外の症状 □ 腹痛がある □ 下痢または便秘がある □ 熱がある □ 便が急に細くなった □ 思い当たる節なく体重が減った

黒っぽい便は、胃や十二指腸など食道に近い場所での出血が考えられます。 鮮やかな赤い血は、肛門に近い大腸や直腸からの出血のサインです。 また、下痢や発熱を伴うなら、感染症や腸の炎症かもしれません。

しかし、最も注意すべきなのは、目に見える血便や痛みがない場合です。 大腸ポリープやごく初期のがんでは、自覚症状がほぼありません。 最近の内視鏡検査では、特殊な光(LCI)を使う技術が役立っています。 ある国際的な研究によると、LCIを用いることで、 がんになる前のポリープ(腺腫)や、見つけにくい平坦なポリープ(SSL)の 発見率が、従来の光よりも高まることが示されました。

症状が軽い、または血便だけでも、決して自己判断しないでください。 精密な検査で早期発見につなげるため、早めに医療機関へ相談しましょう。

血便の検査・診断

血便が出たとき、その原因を正確に突き止めることが治療への第一歩です。 まずは問診で、血便の状態や他の症状について詳しくお話を伺います。 いつからか、便の色は、腹痛はあるかなど、些細なことでも教えてください。

その後、原因を探るために、必要に応じて以下の検査を進めていきます。

  • 直腸指診 医師が肛門から指を入れ、直腸や肛門の近くに異常がないか、 直接触って確かめる、とても基本的で重要な診察です。
  • 便潜血検査 便に混じった、目には見えないごくわずかな血液を検出します。 大腸がん検診で広く行われていますが、痔でも陽性になります。
  • 血液検査 知らないうちに出血が続き、貧血になっていないかを確認します。 また、体の中で炎症が起きていないかを調べることもできます。
  • 内視鏡検査 血便の原因診断で、中心的な役割を果たすのが内視鏡検査です。 体の内側から直接カメラで観察し、出血の原因を特定します。

【内視鏡検査の種類】

  • 大腸カメラ(下部消化管内視鏡) 主に赤い血便のときに、大腸からの出血を疑って行います。 最近は、特殊な光(LCI)を使う技術が検査の精度を高めています。 ある国際的な研究では、LCIを用いることで、 がんになる前のポリープ(腺腫)や、平坦で発見が難しいポリープ(SSL)の 発見率が、従来の光(WLI)より高まることが示されました。 病気の芽をより早期に見つけ、治療につなげることが可能です。
  • 胃カメラ(上部消化管内視鏡) 黒い便(タール便)の場合は、胃や十二指腸の出血を疑います。 口や鼻から細いカメラを入れ、食道や胃の内部を調べます。

これらの検査結果を総合的に判断し、診断を確定させていきます。 血便は、体からの重要なサインです。見過ごさずにご相談ください。

血便の治療

血便の治療は、出血の原因となっている病気を治すことが基本です。 自己判断で様子を見るのではなく、まずは医療機関を受診しましょう。 正確な診断を受けることが、適切な治療への第一歩になります。

治療法は、原因によって大きく異なり、主に以下の方法があります。

  • 薬で治す(薬物療法) 感染性腸炎や潰瘍性大腸炎など、腸の炎症が原因の場合、 炎症を抑える薬や、原因菌に合わせた抗生物質を使います。
  • カメラで取る(内視鏡治療) 大腸ポリープやごく早期のがんが見つかった場合に行います。 検査で使った大腸カメラで、その場で切除できることもあります。
  • 手術で治す(外科手術) 進行した大腸がんなど、内視鏡では取りきれない場合に選択します。 病気の部分を確実に取り除くための治療です。
  • 生活を見直す(生活習慣の改善) 痔が原因の場合、薬による治療と並行して、 食生活や排便習慣を見直すことがとても重要になります。

適切な治療を選ぶためには、大腸カメラによる精密な観察が欠かせません。 最近は、特殊な光(LCI)を使う技術で検査の精度が向上しています。 ある国際的な研究では、LCIは従来の光に比べ、 がんになる前のポリープ(腺腫)の発見率が高いと報告されました。

さらに、平坦で発見が難しいポリープ(SSL)も見つけやすくなります。 病気の芽を早期に発見し、体への負担が少ない治療につなげます。 より多くの病変が見つかることで、その後の検査計画も変わります。 より慎重に経過をみるため、次の検査までの間隔を短くするなど、 患者さん一人ひとりに合わせた、より安心な経過観察が可能です。