脱水症
「夏に熱中症とセット」というイメージが強い脱水症。しかし、私たちの体は一年中、常に水分不足の危険にさらされていることをご存知でしょうか?
実は、病院に入院していないお年寄りの約4人に1人、具体的には24%もの方が、ご自身では気づかないまま脱水状態にあるという研究結果があります。さらに、長期介護施設入居者では34%、他の病気を持つ方では37%、腎臓機能が低下している方では42%と、驚くほど高い割合で脱水が見られます。
脱水症は、単なる喉の渇きでは済まされず、命に関わる病気や入院の原因となることもあります。この記事では、見過ごされがちな脱水症の意外な真実と、その種類、原因、そして症状や対策について詳しく解説します。大切なご自身の、そしてご家族の健康を守るために、ぜひ最後までお読みください。
脱水症の概要
私たちの体は、半分以上が水分でできています。この大切な水分は、体温を一定に保ったり、食べたものから得た栄養を体のすみずみまで運んだり、体の中でいらなくなったものを外に出したりする、とても重要な役割を担っています。もし、この水分が足りなくなってしまうと、体のバランスが崩れて、いろいろな不調が起こるのが「脱水症」です。
脱水症と聞くと、夏に熱中症とセットで考える人も多いでしょう。しかし、脱水症は夏の暑い時期だけでなく、一年中いつでも起こる可能性があります。特に注意が必要なのがお年寄りの方々です。ある研究では、病院に入院していないお年寄りの約4人に1人、具体的には24%もの方が、自覚がないまま脱水状態になっていることがわかっています。
お年寄りの脱水症は、ただ喉が渇くだけではありません。命に関わることもあり、長期にわたる健康上の問題を引き起こしたり、病院に入院する原因になったりすることもあります。特に、長期介護施設に入居しているお年寄りの方々では、34%が脱水状態にあるという報告があります。また、すでに病気を持っている方では37%、腎臓の働きが少し弱っている方では42%と、脱水になる危険性が高まります。
この研究からもわかるように、脱水症は放っておくと大変なことになりかねません。しかし、きちんと対策すれば予防できる病気でもあります。水を飲むという行動を理解し、効果的な水分補給の方法を見つけることが、私たち自身の健康を守るために非常に大切です。
脱水症の種類
私たちのからだは、半分以上が水分でできています。この水分と一緒に、体のバランスをとる「電解質(でんかいしつ)」という大切な成分も含まれています。電解質とは、簡単に言うと塩分などのことで、からだの中でとても重要な働きをしています。脱水症は、これらの水分と電解質がからだの中から減ってしまう状態のことを言います。
この減り方が「どんな風に減ってしまうか」によって、脱水症は大きく3つのタイプに分けられます。それぞれのタイプで、からだに起こる変化も少しずつ異なります。
- 高張性(こうちょうせい)脱水
- からだの水分が、電解質よりも先に多く減ってしまうタイプです。
- 血液が濃くなるため、口や喉がカラカラに渇くのを強く感じやすいのが特徴です。
- 「とにかく水が飲みたい!」というサインがはっきりと出やすいでしょう。
- 等張性(とうちょうせい)脱水
- 水分と電解質が、だいたい同じくらいの量でからだから失われるタイプです。
- お腹を壊して下痢をしたり、吐いたり、たくさん汗をかいたりすることで起こりやすいです。
- からだが全体的に少ししぼんだように感じられることがあります。
- 低張性(ていちょうせい)脱水
- 水分が減るよりも、電解質、特に塩分がからだから多く出ていってしまうタイプです。
- めまいや吐き気、体がだるく感じるなどの症状が出やすいとされています。
実は、ご高齢の方々では、これらのタイプに加えて特に「低摂取(ていせっしゅ)脱水」という種類の脱水が多く見られます。これは、喉の渇きを感じる力が弱くなったり、水分を摂るのが大変だと感じたりすることで、無意識のうちに飲む水の量が減ってしまうことで起こる脱水です。
私たち医師が調べた研究では、病院に入院していないお年寄りの約4人に1人、具体的には24%もの方が、自覚がないまま脱水状態になっていることがわかっています。さらに、特に注意が必要なグループもいます。長期介護施設に住んでいる方では34%、他に病気を持っている方では37%、そして腎臓の働きが少し弱っている方では42%もの方が脱水になっているという結果も出ています。
このような脱水は、ただ喉が渇くだけではありません。命に関わる病気につながったり、長い間体調が悪い状態が続いたりすることがあり、病院に入院する大きな原因にもなっているのです。しかし、これらの脱水は、日頃から意識して水分をこまめに摂ることで、多くの場合防ぐことができます。
脱水症の原因
私たちの体から水分が減ってしまう原因は、大きく分けて二つあります。一つは「水分が体に入ってくる量が少ないこと」、もう一つは「体から出ていく水分が多いこと」です。例えるなら、お風呂の湯船を想像してみてください。お湯が減ってしまうのは、蛇口から出るお湯が少ないか、栓が抜けてお湯がたくさん流れ出てしまうかのどちらかですね。
1. 水分が体に入ってくる量が少ない場合(摂取不足)
元気な時は喉が渇けばすぐに水分を摂ります。しかし、次のような理由で、気づかないうちに水分が足りなくなってしまうことがあります。
- 喉の渇きを感じにくいこと
- 特に、お年寄りの方では、体の機能がゆっくりになるため、喉の渇きを感じるセンサーが鈍くなりがちです。
- ある研究では、病院に行っていないお年寄りの約4人に1人、具体的には24%もの方が、ご自分では気づかないうちに脱水状態になっていることがわかっています。
- これは、周りにいる大人4人のうち1人が、もしかしたら脱水になっている可能性がある、というくらい身近なことなのです。
- 忙しさや飲み込むのが大変なこと
- 遊びに夢中になったり、仕事で集中したりしていると、水分補給を忘れてしまうことがあります。
- また、病気や体の状態によっては、水を飲むこと自体が大変だと感じる方もいらっしゃいます。
- 例えば、長期的に介護を受けているお年寄りの方々では、34%もの方が脱水状態にあると報告されています。
- 他にも、すでに何か病気をお持ちの方では37%、腎臓の働きが少し弱くなっている方では42%と、脱水になる危険性が高まります。
- 私たち医師の目から見ても、これらの数字は、いかに「水分の摂取不足」が見過ごされやすいかを示しています。
2. 体から出ていく水分が多い場合(喪失増加)
普通に生活していても、汗や尿として水分は体から出ていきます。しかし、普段よりもたくさんの水分が出ていってしまうと、脱水症になることがあります。
- たくさんの汗をかくこと
- 夏の暑い日に外で遊んだり、スポーツをしたりすると、汗がたくさん出ます。
- 熱を出して体が熱くなっている時も、体温を下げるために汗をかきやすくなります。
- この時、水分をしっかり補給しないと、どんどん体から水分が失われてしまいます。
- 下痢や嘔吐があること
- お腹の調子が悪くて、下痢が続いたり、吐いてしまったりすると、体の中の水分や塩分(電解質)が一気に外に出てしまいます。
- 特に小さなお子さんや、体力の落ちたお年寄りの方では、すぐに脱水が進んでしまうので注意が必要です。
- 特定の病気があること
- 糖尿病などの病気では、尿の量が増えやすくなります。
- おしっこがたくさん出ることで、体の水分も一緒にたくさん失われてしまうことがあります。
これらの原因がいくつか重なると、脱水症になる危険性はさらに高まります。特に、喉の渇きを感じにくい高齢者の方や、何らかの理由で水分補給が難しい方々にとっては、周りの大人が気を配り、こまめな水分補給を促すことがとても大切です。
脱水症の症状
私たちの体は、たくさんの水分で満たされています。この大切な水分が減ってしまうと、体から「助けて!」という「SOSサイン」として、いろいろな不調が体に現れるのです。
最初に気づくサインは、多くの場合「のどがカラカラに乾く」という感覚です。これは、体が水分を必死に求めている証拠です。
しかし、体から水分がどんどん減っていくと、さらに困った体のサインが増えてきます。
- 口や唇がカサカサする
- お口の中が乾いて、なんだかねばつくような感じがします。
- 唇もひび割れたり、乾いたりしやすくなります。
- 尿の量が少なくなる、色が濃くなる
- トイレに行く回数が減ってしまうことがあります。
- 出るおしっこの色が、いつもよりかなり濃い黄色になるのもサインです。
- からだがだるい、めまいがする
- 「なんか体が重いな」「元気が出ないな」と感じることが増えます。
- 急に立ち上がったときに、頭がぼーっとしたり、ふらついたりすることもあります。
- 食欲がわかない
- 「ご飯を食べたくないな」と感じることがあります。
- 吐き気がすることもあります。
- 皮膚の元気がなくなる
- 手の甲の皮膚をそっとつまんで、すぐに離してみてください。
- 元気な皮膚はすぐに元に戻りますが、脱水が進むとしわがゆっくりと戻るように感じます。
- これは、皮膚の水分が減っているという、見た目にもわかるサインです。
特に、お年寄りの方々は脱水症に注意が必要です。なぜなら、喉の渇きを感じる力が弱くなっていることが多いからです。私たち医師が調べた研究では、病院に通っていないお年寄りの約4人に1人、具体的には24%もの方が、ご自分では気づかないうちに脱水状態になっていることがわかっています。これは、血清浸透圧という、体の水分バランスを測る信頼できる検査でわかったことなんです。
さらに、特に気をつけてほしいグループの方々がいます。例えば、長期介護施設で生活しているお年寄りの方では34%、すでに他の病気を持っている方では37%、そして腎臓の働きが少し弱っている方では42%もの方が脱水になっている、という報告があります。これらの数字は、脱水がいかに身近にあり、そして重い病気につながる危険があるかを示しています。
脱水症がひどくなると、ただ体調が悪いだけでなく、ぐったりして元気がなくなったり、頭がぼんやりして意識がはっきりしなくなったりと、もっと大変なことになりかねません。時には、命に関わる病気につながったり、病院に入院が必要になったりすることもある、とても怖い状態なのです。
だからこそ、小さなお子さんやご家族など、周りの大人が「もしかして脱水かも?」と、少しでも早く気づいてあげることがとても大切です。早めに脱水のサインに気づき、適切な水分補給や医療機関への受診をすることで、体を守る第一歩になります。
脱水症の検査・診断
私たちの体が水分不足になっていないか、またどのくらい足りていないかを調べるには、お医者さんによる検査と診断がとても大切です。まずは、医師が患者さんの様子をじっくり見て、お話を聞くことから始めます。
どのような症状があるのか、いつから体の調子が悪いのか、普段どれくらいの水分を摂っているのかなどを詳しく伺います。
体の水分が足りているかを知るための「SOSサイン」は、いくつかあります。
- 見た目のチェック
- お口の中や唇がカサカサしていないか確認します。
- 皮膚のうるおいやハリがあるか、つまんでみてすぐに元に戻るかも大切なポイントです。
- おしっこの検査(尿検査)
- トイレに行く回数が減っていないか、おしっこの色がいつもより濃い黄色になっていないかなどを調べます。
- おしっこにどんな成分が含まれているかを調べることでも、体の水分状態がわかります。
- 血液の検査(血液検査)
- 体の中の水分と塩分(電解質)のバランスがどうなっているか、血液を調べて確認します。
- 特に「浸透圧(しんとうあつ)」という、血液の濃さを表す数字はとても大切です。
- この数字が高いと、体の中の水分が足りていない可能性が高いと判断されます。
実際に、ある研究によると、病院に入院していないお年寄りの約4人に1人、具体的には24%もの方が、この浸透圧の数字から脱水状態になっていることがわかっています。ご自身では気づいていない場合も多いので、周りの方も注意して見てあげることが大切です。
特に注意が必要な方もいます
脱水症は誰にでも起こりえますが、特に注意が必要なグループがあります。私たち医師の調査では、以下の方々で脱水状態にある割合が高いことが分かっています。
- 長期介護施設で生活しているお年寄りの方:34%
- 他の病気をすでに持っている方:37%
- 腎臓の働きが少し弱くなっている方:42%
これらのグループの方々では、脱水症になる危険性が高まります。診察では、お一人おひとりの状態をより丁寧に確認し、脱水が疑われる場合はすぐに検査を進めます。
これらの診察と検査の結果を合わせて、医師が脱水症かどうか、そしてその状態がどのくらい進んでいるのかを診断します。脱水症は予防できる病気ですから、早期に気づき、適切な対策をすることが重要です。
脱水症の治療
体から水分と塩分(電解質)が減ってしまったら、これらを補うことが脱水症の治療の基本です。 脱水の程度によって、治療方法は変わってきます。
1. 軽い脱水の場合 「少し喉が渇くな」と感じる程度の脱水なら、ご自宅で水分補給ができます。 水やお茶だけでは塩分が足りないので、スポーツドリンクや経口補水液(けいこうほすいえき)を少しずつ、こまめに飲みましょう。 吐き気がある時でも、少量ずつなら体へ吸収されやすいです。
2. ひどい脱水の場合 吐き気がひどく何も飲めない、体がぐったりする、意識がぼんやりするなどの症状が出たら、すぐに病院へ行きましょう。 病院では点滴(てんてき)で、水分と塩分を直接血管に送ります。 これにより、体の調子を早く回復することができます。
お年寄りの脱水症に特に注意が必要です お年寄りの方は、喉の渇きを感じにくく、水分を控える傾向があります。 そのため、脱水症になる危険性が高いのです。 ある研究では、病院に行っていないお年寄りの約4人に1人(24%)が脱水状態だとわかっています。 私たち医師の調査では、次のグループで脱水状態の割合が高いと報告されています。
- 長期介護施設で生活するお年寄り:34%
- 他の病気をすでに持つお年寄り:37%
- 腎臓の働きが少し弱いお年寄り:42%
お年寄りの脱水症は、周りのご家族や介護者がこまめな水分補給を促すことで予防できます。 ご本人が気づかなくても、周りの方がサインに気づいてあげることが大切です。 脱水症かもしれないと感じたら、症状が軽いうちでも迷わず医療機関にご相談ください。





