脊髄刺激療法
飲み薬やリハビリを続けても一向に良くならない、3ヶ月以上続くつらい痛み。「もう打つ手がない」と、諦めかけてはいませんか?そのしつこい痛みには「脊髄刺激療法(SCS)」という新たな選択肢があるかもしれません。
この治療法は、脊髄にごく微弱な電気を流して痛みの信号を和らげるもので、その有効性は多くの研究で示されています。1,561人のデータを分析したある研究では、従来の治療法よりも腰や足の痛みを和らげる効果が高く、痛みが半分以下になった人の割合も多いことが報告されました。
この記事では、痛みを軽減し、あなたらしい生活を取り戻すことを目指す脊髄刺激療法を詳しく解説します。本格的な治療の前に効果を試せる「お試し期間」もあるこの治療法が、あなたの生活の質を高める一助となるかもしれません。
脊髄刺激療法の概要
飲み薬やリハビリなど、様々な治療を続けてもなかなか良くならない、長引くつらい痛みにお悩みの方もいるでしょう。
脊髄刺激療法(SCS)は、そのような痛みを和らげるための治療法です。 背骨の中を通っている「脊髄(せきずい)」という太い神経の近くに、ごく弱い電気を流し、痛みの信号が脳に伝わるのをやわらげます。
この治療は、痛みの原因そのものを治すものではありません。 つらい痛みを軽くすることで、日常生活での活動範囲を広げ、生活の質(QOL)を高めることを目的としています。
- 期待できること
- 痛みが和らぎ、体を動かしやすくなります。
- 夜、痛みで目が覚めることが減り、ぐっすり眠れるようになります。
- 痛みを抑えるためのお薬の量を、減らせる可能性があります。
多くの研究で、この治療法の有効性が示されています。 従来の医療管理と比べて、特に腰や足の慢性的な痛みを和らげ、生活の質を向上させる効果が期待できることがわかっています。
実際に治療を始める前には、効果があるかどうかを確認するための「お試し期間(トライアル)」があります。 そのため、ご自身に合った治療法かを見極めてから、本格的な治療に進むかどうかを判断できます。
脊髄刺激療法の種類
脊髄刺激療法で使う電気刺激には、主に2つのタイプがあります。 どちらの方法が良いかは、痛みの種類や患者さんの状態によります。 医師と相談しながら、あなたに最適な方法を選んでいきましょう。
1. 低頻度(ていひんど)刺激
昔から中心的に使われている、伝統的なタイプの刺激方法です。
- 刺激の感じ方 痛みがある場所に「トントン」「ザーザー」といった、 心地よいと感じる弱い刺激が伝わります。
- 仕組み 脳に伝わる「痛い」という信号を、この心地よい刺激で ブロックすることで、つらい痛みを和らげる仕組みです。
- 特徴 体の向きを変えた時などに刺激の感じ方が変わることがあります。 ご自身でリモコンを操作したり、自動で調整する設定にしたりします。
2. 高頻度(こうひんど)刺激
こちらは比較的新しいタイプの刺激方法です。
- 刺激の感じ方 とても速いリズムで刺激するため、体は刺激を感じません。 「何も感じないのに痛みが和らぐ」という特徴があります。
- 仕組み 刺激を感じることなく、痛みを和らげる効果が期待できます。
- 特徴 刺激感がないので、日常生活で意識することが少ないです。 ただし、電池の消費量は多くなる傾向にあります。
これらの治療法は、飲み薬やリハビリといった従来の治療に比べ、 より高い効果が期待できることが、複数の研究でわかっています。
ある研究では、13の臨床試験に参加した1561人のデータを分析しました。 その結果、脊髄刺激療法は従来の治療よりも、 腰や足の痛みを和らげ、生活の質を高める効果が高いと示されました。 特に、痛みが半分以下になった人の割合が高いことも報告されています。 あなたに合った刺激方法を見つけることが、治療の第一歩です。
脊髄刺激療法の原因
この治療は、様々な方法を試しても良くならない、 長引くつらい痛みに対して行われます。
ケガなどが治るにつれて軽くなる通常の痛みと違い、 3ヶ月以上続く痛みを「慢性疼痛」と呼びます。 その中でも特に治りにくい痛みが、この治療の対象です。
この治療が有効とされる痛みの原因には、 主に以下の2つのタイプがあります。
- 神経の異常による痛み(神経障害性疼痛) 神経は、体の情報を脳に伝える電線のようなものです。 この電線が傷つくと、間違った「痛い」という信号が 脳に送られ続け、しびれや焼けるような痛みが出ます。
- 血の巡りの悪さによる痛み(虚血性疼痛) 手足の血管が細くなり、血の流れが悪くなる状態です。 十分な酸素や栄養が届かず、じっとしていても 強い痛みを感じることがあります。
近年の研究では、この治療法の有効性が示されています。 ある研究では1561人のデータを分析した結果、 飲み薬などの治療と比べて、脊髄刺激療法の方が 腰や足の痛みを和らげる効果が高いことがわかりました。 生活の質を高める選択肢の一つとして考えられています。
脊髄刺激療法の症状
この治療は、長い間続いているつらい「痛み」や「しびれ」を 和らげるために行われます。 薬を飲んだりリハビリをしたりしても良くならない、 3ヶ月以上続く痛みが主な対象です。
具体的には、以下のような症状でお悩みの方に、 この治療法が選択肢の一つになります。
- 腰のしつこい痛み じっと座っていても、少し動いただけでも痛む状態です。
- 足に広がる痛みやしびれ お尻から太ももの裏、ふくらはぎにかけて電気が走るように痛みます。
- 腕や手の痛みやしびれ 首から腕、指先にかけてジンジンとしびれるような感覚です。
- 血の巡りの悪さによる痛み 手足が冷たく感じ、じっとしていても焼けるように痛むことがあります。
実際に、この治療法が有効であることを示す研究報告があります。 1561人のデータを分析したある研究では、 従来の治療と比べて、脊髄刺激療法の方が 腰や足の痛みを和らげる効果が高いことが示されました。 痛みが半分以下になった人の割合が高いという結果も出ています。
この治療で痛みが和らぐと、生活に良い変化が期待できます。
- 体を動かすのが楽になり、散歩や家事がしやすくなる
- 夜、痛みで起きることが減り、朝までぐっすり眠れる
- 痛みの不安が減り、気持ちが明るく前向きになる
- 飲んでいる痛み止めの薬を、減らせる可能性がある
この治療は、ただ痛みを軽くするだけではありません。 痛みで諦めていた、あなたらしい生活を取り戻すことを目指します。
脊髄刺激療法の検査・診断
この治療法が、あなたの痛みに合っているかを見極める検査を行います。 いきなり手術をするのではなく、効果があるかを確認するお試し期間があります。 安心して治療に進めるか、ご自身で判断できるとても大切なステップです。
まず、外来での詳しいお話合いから始まります。 医師があなたの痛みの状態を正確に知るため、以下のことを教えてください。
- 痛みの状態 いつから、どこが、どのように痛むのか
- これまでの治療 どんなお薬やリハビリを試してきたか
- 生活での困りごと 痛みでできなくなったこと、つらいこと
その後、MRIなどの検査で、背骨や神経の状態を画像で詳しく確認します。
診察や検査の結果、この治療が有効な可能性があると判断された場合、 次に「トライアル(試験刺激)」というお試し期間に進みます。 これは、本格的な手術の前に効果を実感できる、非常に重要な過程です。
トライアル(試験刺激)の簡単な流れ
- 入院 1〜2週間ほど入院していただきます。
- 電極を入れる 部分的な麻酔をして、背中から電気を流す細いコード(電極)を 脊髄の近くに入れます。
- 効果を体験 体の外にある装置からごく弱い電気を流し、 痛みが和らぐかを実際に体験します。
- 最終判断 痛みが十分に軽くなったと実感できた場合に、 機械を体に入れる本格的な手術を検討します。
もし、トライアルで満足できる効果がなければ、手術は行いません。 体に入れたコードを抜き、退院となるのでご安心ください。
ある研究では、1561人のデータを分析した結果、この治療法は 従来の飲み薬などによる治療と比べて、痛みを和らげる効果が高く、 生活の質を高める選択肢となり得ることが示されています。 この検査は、その効果をご自身の体で確かめるための大切な機会なのです。
脊髄刺激療法の治療
飲み薬やリハビリを続けても良くならない痛みに対して、この治療を考えます。 いきなり手術をするのではなく、2つのステップで慎重に進めていきます。 安心して治療を受けられるように、大切な「お試し期間」があるのが特徴です。
ステップ1:トライアル(お試し期間)
まず、この治療が本当にあなたの痛みに合うか、実際に試す期間を設けます。
- 目的 ご自身の体で、痛みが和らぐ効果があるかをしっかり確認します。
- 方法 1〜2週間ほど入院していただきます。 部分的な麻酔の後、背中に電気を流す細いコードを入れます。 体の外にある機械から電気を流し、痛みの変化を体験します。
- 判断 この期間で痛みが楽になったと実感できれば、次のステップを考えます。 もし効果がなければコードを抜いて終了です。無理に治療は進めません。
ステップ2:刺激装置の植込み(本番の手術)
トライアルで良い効果があり、ご自身が希望した場合のみ、本番の手術に進みます。
- 方法 心臓のペースメーカーに似た小さな機械(Lサイズの卵くらい)を お腹やおしりの皮膚の下に埋め込みます。手術は2〜3時間ほどです。
- 手術の後 機械は体の中に全て収まるため、見た目では分かりません。 退院後はご自身でリモコンを使い、痛みに合わせて刺激を調整できます。 定期的に病院で、機械のチェックや刺激の調整を行います。
ある研究では1561人のデータを分析しました。 その結果、飲み薬などの従来の治療に比べて、この治療法の方が 腰や足の痛みを和らげ、生活の質を高める効果が高いと示されています。 この2段階の治療は、あなたに合った方法かを見極めるための大切な手順です。





