大腸がん

今や日本で最も多くの人がかかるがん、それが大腸がんです。2019年の統計では全てのがんの中で罹患者数が第1位となり、特に女性のがん死亡原因では1位を占めています。「男性の約10人に1人、女性の約13人に1人」という数字は、この病気が誰にとっても他人事ではない現実を物語っています。

しかし、大腸がんは早期に発見すれば治癒が期待できる病気でもあります。この記事では、食生活などの身近な原因から見逃しやすい初期症状、そしてがん細胞の自滅(アポトーシス)を促す新しい研究までを詳しく解説します。ご自身と大切な人の未来のために、正しい知識を身につけましょう。

大腸がんの概要

大腸がんは、食べ物の通り道の最後の部分である「大腸」にできる、悪性のできもの(腫瘍)のことです。大腸は結腸と直腸からできており、特に肛門に近いS状結腸と直腸にがんができやすい傾向があります。

食生活が欧米化したことなどを背景に、日本で大腸がんにかかる人は増え続けています。今や、私たちにとって非常に身近な病気の一つと言えるでしょう。

日本の大腸がんの現状(データに基づく)

がんにかかる人の数

全てのがんの中で最も多い(2019年)

一生のうちにかかる確率

男性:約10人に1人

女性:約13人に1人

がんで亡くなる原因

男性:3番目に多い

女性:1番目に多い

このように大腸がんは身近な病気ですが、そのぶん治療法の研究も世界中で活発に行われています。例えば、ある種の植物に含まれる「ググルステロン」という成分が注目されています。

研究によると、この成分はがん細胞が増えるのを抑えたり、がん細胞が自ら壊れるように仕向けたりする働きを持つことがわかってきました。この仕組みを「アポトーシス」と呼びます。こうした研究が、新しい治療法の開発につながるのではないかと期待されています。

大腸がんの種類

「大腸がん」とひとことで言っても、実はいくつかの種類があります。 がんができた場所や、がんになった原因によって分類されます。 ご自身のがんの種類を知ることは、治療法を考えるうえで大切です。

大腸がんのほとんどは、大腸の粘膜にある腺細胞から発生します。 このタイプのがんを「腺がん」と呼びます。 この腺がんは、がんができた場所によって、大きく2つに分けられます。

種類

がんができる場所

特徴

結腸がん

盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸

日本人では、特に肛門に近いS状結腸にできやすいと言われます。

直腸がん

直腸

結腸がんと同様に、日本人にできやすいがんの一つです。

また、発生する原因によっても分類されることがあります。 多くは食生活などの生活習慣が関係するものです。 しかし、中には遺伝的な要因が強く関わる特殊なタイプもあります。

  • 家族性大腸腺腫症(FAP)
  • 大腸にたくさんのポリープ(腺腫)ができ、がん化しやすい病気です。
  • リンチ症候群
  • 遺伝子の働きで、大腸がんや他の臓器のがんになりやすい体質です。

がん細胞は、細胞が自ら死んでいく仕組み「アポトーシス」が壊れています。 そのため、がん細胞は無秩序に増え続けてしまうのです。 最近の研究では、このアポトーシスを再び促す物質が注目されています。 例えば、ある植物由来の「ググルステロン」という成分です。 この成分が、大腸がんを含む様々ながん細胞の増殖を抑える可能性が示されています。

大腸がんの原因

大腸がんができる原因は一つではありません。 私たちの普段の「生活習慣」と、生まれ持った「遺伝的な要因」の2つが大きく関係していると考えられています。 ご自身の生活を振り返り、リスクを知ることが予防の第一歩です。

リスクを高める生活習慣

毎日の何気ない習慣が、大腸がんのリスクを高めることがあります。 特に、食生活の欧米化は大きな原因の一つとされています。 以下の項目に当てはまるものがないか、チェックしてみましょう。

  • 食生活の乱れ
  • 牛肉や豚肉などの赤身肉や、ハムやソーセージなどの加工肉をよく食べる。一方で、野菜や果物をあまり食べず、食物繊維が不足しがちである。
  • 過度な飲酒
  • 定期的にお酒を飲む習慣がある。
  • その他の習慣
  • 肥満気味である、タバコを吸う、運動する習慣があまりない。

これらの習慣は、腸の中で炎症を引き起こしやすくなります。 慢性的な炎症は、細胞ががん化するきっかけになることがあるのです。

無視できない遺伝的な要因

ご家族やご親戚に大腸がんになった方がいる場合も注意が必要です。 がんになりやすい体質が遺伝することがあるためです。 特に、遺伝が強く関係する以下の病気が知られています。

  • 家族性大腸腺腫症(FAP)
  • 大腸にポリープがたくさんできてしまい、がん化しやすい病気です。
  • リンチ症候群
  • がんを抑える遺伝子の働きが弱く、大腸がんなどになりやすい体質です。

原因にアプローチする新しい研究

生活習慣の乱れや遺伝的な要因は、細胞の正常なサイクルを乱します。 健康な細胞は古くなると自ら壊れていきますが(アポトーシス)、がん細胞はこの仕組みが壊れて無秩序に増え続けます。

最近の研究では、このアポトーシスを再び促す成分が注目されています。 例えば「ググルステロン」という植物由来の成分です。 この成分は、がん細胞が増えるのを抑えたり、炎症に関わる物質(炎症マーカー)を減らしたりする可能性が研究で示されています。 こうした研究が、将来の新しい予防法や治療法につながることが期待されます。

大腸がんの症状

大腸がんは、初期の段階では自覚できる症状がほとんどありません。 静かに進行するため、気づかないうちにがんが大きくなっていることがあります。

がんが進行すると、からだは様々なサインを出し始めます。 ご自身の体調の変化を見逃さないように、以下の項目を確認してみましょう。

【大腸がんの主な症状チェックリスト】

  • 便の変化
  • □ 便に血が混じる(血便)
  • □ 便秘や下痢をくり返すようになった
  • □ うさぎのフンのようなコロコロした便が出る
  • □ 便が以前より細くなった
  • □ 便を出し切れていない感じがする(残便感)
  • おなかの症状
  • □ おなかが張る感じがする(腹部膨満感)
  • □ 腹痛が続く
  • □ おならの回数が増えたり、臭いが強くなったりする
  • 全身の症状
  • □ 貧血を指摘された、または立ちくらみがある
  • □ 特に理由がないのに体重が減ってきた

これらの症状は、がん細胞の異常な増え方が原因で起こります。 健康な細胞は古くなると自ら壊れる仕組み(アポトーシス)を持っています。 しかし、がん細胞はこの仕組みが壊れているため、無秩序に増え続けます。 その結果、がんが腸を狭くしたり、表面から出血したりするのです。

また、がんの周りで炎症が起きることも、症状の一因となります。 最近の研究では、植物由来のある成分が、がん細胞の増殖を抑えたり、炎症に関わる物質(炎症マーカー)を減らしたりする可能性が示唆されています。

大腸は長い臓器のため、がんができた場所によって症状の出方が異なります。

がんの場所

主な症状の特徴

右側の大腸

(盲腸、上行結腸など)

このあたりでは便がまだ液体状です。そのため、がんが大きくなるまで症状が出にくい傾向があります。貧血やだるさ、腹痛などで気づかれることが多いです。

左側の大腸

(S状結腸、直腸など)

肛門に近づくと便は固形になります。そのため、血便や便秘、便が細くなるなど、便そのものの変化として症状に気づきやすいのが特徴です。

これらの症状は、必ずしも大腸がんだけが原因とは限りません。 しかし、もし気になる症状が続く場合は、自己判断せず専門の医療機関に相談することが何よりも大切です。

大腸がんの検査・診断

大腸がんは、早い段階で見つかれば治りやすいがんです。 しかし、初期には症状がほとんどないため、気づかないうちに進行します。 症状がなくても定期的に検査を受け、がんを早期発見することが重要です。

大腸がんの検査は、主に以下のステップで進められます。

ステップ1:最初の入り口「便潜血検査」

市区町村のがん検診などで行われる、最も手軽な最初の検査です。 便の中に、目には見えないわずかな血液が混じっていないかを調べます。 大腸がんやポリープがあると、便が通る時に出血することがあります。 この検査は、大腸からのSOSサインを早期にキャッチするためのものです。 毎年この検査を受けることで、死亡率を約60%も下げられると報告されています。

ステップ2:大腸の中を詳しく調べる「精密検査」

便潜血検査で「陽性」と判定された場合などに行う詳しい検査です。 いくつかの方法がありますが、最も正確なのは大腸内視鏡検査です。

主な精密検査

どのような検査か

大腸内視鏡検査

肛門からカメラのついた細い管を入れ、大腸の中を直接観察します。がんやポリープを直接見て、疑わしい組織を採って調べることができます。小さなポリープなら、その場で切除することも可能です。

CTコロノグラフィー

炭酸ガスで大腸を膨らませてCT撮影を行います。そのデータから大腸の3D画像を作り、詳しく調べます。内視鏡検査より体への負担が少ない検査です。

注腸X線検査

肛門からバリウム(造影剤)と空気を入れ、大腸の形や粘膜の状態をレントゲンで撮影して調べる伝統的な検査です。

ステップ3:がんの確定と進行度の確認

内視鏡検査などで採った組織を、顕微鏡で詳しく調べるのが病理検査です。 この検査でがん細胞の有無が最終的に確定します(確定診断)。 がんと診断されたら、CT検査やMRI検査でがんの広がりを調べます。 他の臓器への転移がないかを確認し、治療方針を決定していきます。

このような検査と並行し、がん細胞の性質に関する研究も進んでいます。 がん細胞は、古くなっても自ら壊れる仕組み(アポトーシス)が壊れています。 ある植物由来の「ググルステロン」という成分が、このアポトーシスを促し、大腸がんを含むがん細胞の増殖を抑える可能性が研究で示唆されています。 こうした基礎研究が、未来の新しい治療法開発につながると期待されています。

大腸がんの治療

大腸がんの治療法は、がんの進み具合(ステージ)で決まります。 がんがどのくらいの深さまで達しているかなどを調べて決めていきます。 患者さんご自身の体の状態や希望も、もちろん大切になります。 早く見つければ、体への負担が少ない治療で治る可能性が高まります。

主な治療法には、大きく分けて以下の4つの方法があります。 これらを単独、または組み合わせて治療を進めていきます。

  • 内視鏡治療
  • お腹を切らずに、カメラを使ってがんを取り除く方法です。
  • 外科治療(手術)
  • お腹を切って、がんを直接取り除く基本的な治療法です。
  • 薬物療法(化学療法)
  • お薬(抗がん剤)を使って、がん細胞を攻撃する方法です。
  • 放射線治療
  • 放射線をあてて、がん細胞を小さくする方法です。

がんの進み具合によって、どの治療法を選ぶかが変わってきます。

がんの進行度(ステージ)

主な治療法

ごく早期のがん

(がんが浅い部分にある)

内視鏡治療

少し進んだがん

(リンパ節への転移の可能性がある)

外科治療(手術)、薬物療法

転移・再発したがん

(他の臓器にがんが広がっている)

薬物療法、放射線治療、外科治療

内視鏡治療

がんがごく早期で、リンパ節に転移している可能性が低い場合に行います。 おしりからカメラを入れ、がんを内側から切り取る治療法です。 お腹を切らないため、体への負担が少なく、入院期間も短くてすみます。

外科治療(手術)

内視鏡治療では取りきれない、少し進行したがんの基本的な治療法です。 がんのある腸と、転移の可能性がある周りのリンパ節を一緒に切除します。 お腹を大きく切る「開腹手術」と、小さな穴で行う「腹腔鏡手術」があります。

薬物療法(化学療法)

「抗がん剤」というお薬を使い、がん細胞が増えるのを抑える治療法です。 手術で取りきれなかった小さながんをたたいたり、手術が難しいがんを小さくしたりします。 がん細胞は、古くなっても自ら壊れる仕組み「アポトーシス」が壊れています。 最近の研究では、ある植物由来の成分(ググルステロン)が注目されています。 この成分は、がん細胞にアポトーシスを再び促し、増殖を抑える可能性が示唆されています。 こうした研究が、将来の新しい薬の開発につながることが期待されます。

放射線治療

主に、骨盤の中にある直腸がんに対して行われることが多い治療法です。 手術の前にがんを小さくしたり、手術後に再発を防いだりする目的で使われます。