処女膜閉鎖症
「毎月生理のような腹痛があるのに、経血はこない…」そんな悩みを誰にも言えずに抱えていませんか?その症状は、約2,000人に1人の割合で起こるとされる「処女膜閉鎖症」という病気が原因かもしれません。これは生まれつき腟の入り口が閉じている状態で、放置すると将来の妊娠に影響が及ぶ可能性もあります。
また、「処女膜は性交渉でしか傷つかない」というのも実は誤解です。この記事では、処女膜閉鎖症の症状や治療法、そして激しい運動などでも起こりうる処女膜裂傷について、原因から対処法まで詳しく解説します。ご自身の体のことを正しく知り、大切な体を守るための第一歩にしてください。
処女膜裂傷の概要
処女膜閉鎖症とは、腟の入り口にある「処女膜」という薄い膜に、生まれつき穴が開いていない状態を指す病気です。
通常、処女膜には生理の血液(月経血)が外に出るための小さな穴があります。しかし、この穴がないと初経を迎えても、月経血を体の外に出すことができません。
原因のほとんどは、お母さんのお腹の中で体がつくられる過程で起こる先天的なもので、約2,000人に1人の割合で起こるとされる、比較的まれな病気です。
出口を失った血液は腟や子宮の中に溜まり、以下のような症状を引き起こします。
- 周期的なおなかの痛み
- 生理の時期になると、出血はないのに周期的におなかが痛くなります。
- おしっこや便のトラブル
- 溜まった血液が膀胱や腸を圧迫し、尿が出にくくなったり便秘になったりします。
- おなかのしこり
- 下腹部に、溜まった血液が原因のしこりを触れることもあります。
この状態を放置すると、溜まった血液が卵管などに影響を及ぼすことがあります。これが将来の妊娠が難しくなる原因になることもあるため、早期発見と治療が大切です。
処女膜裂傷の種類
処女膜が傷つくことを「処女膜裂傷(しょじょまくれっしょう)」と言います。 これは病気ではなく、原因や傷の状態によっていくつかの種類に分けられます。 ご自身の状態を正しく知るために、どのような種類があるか見ていきましょう。
処女膜裂傷は、主に何が原因で起こったかによって分類されます。
- 性交渉による裂傷 初めての性交渉の時などに起こることが多い、自然なものです。
- 性交渉以外による裂傷 激しい運動や自転車での転倒、タンポンの誤った使用などで起こります。
- 出産による裂傷 出産時に赤ちゃんがお母さんの体を通ることで生じるものです。
また、傷がどこに、どのようにできたかによっても状態は異なります。 診察の際には、医師が傷の状態を詳しく確認します。
- 傷ができた場所 腟の入り口を時計に見立てて、「6時の方向」のように場所を特定します。 場所によって、血管の多さなどが違うため痛みの程度も変わります。
- 傷の深さや形 皮膚の表面だけの浅い傷から、少し深い傷まで様々です。 傷の深さや大きさによって、出血の量も変わってきます。
このように、処女膜裂傷といっても原因や状態は人それぞれです。 ほとんどの場合は自然に治りますが、出血が多かったり痛みが続く際は、 自己判断せず、婦人科を受診することが大切です。
処女膜裂傷の原因
処女膜が傷つく、いわゆる処女膜裂傷の原因は一つではありません。 多くの人が「初めての性交渉」を思い浮かべるかもしれませんが、 実は日常生活の様々な出来事が原因で起こり得ます。
性交渉の経験がなくても処女膜が傷つくことは、決して珍しくありません。 主な原因を具体的に見ていきましょう。
- 性交渉 最も一般的に知られている原因です。 腟の入り口が十分に広がっていない状態で、 物理的な圧力がかかることで膜が伸び、裂けることがあります。
- 激しい運動 自転車のサドルに強く股間を打ち付けたり、 乗馬や体操の開脚など、股間に強い力がかかる運動も原因となります。
- タンポンの使用 腟に入れる角度や位置が適切でなかったり、 無理やり出し入れしたりすると、その摩擦で傷つく場合があります。
- ケガや事故 転倒して股間を強打するなど、 予期せぬ事故によって陰部に強い衝撃が加わった際にも起こり得ます。
大切なのは、処女膜の厚さや硬さ、伸縮性には大きな個人差がある点です。 生まれつき膜が非常に薄い人や、よく伸びる柔軟な膜を持つ人もいます。 そのため、同じ状況でも必ず傷つくわけではありません。
処女膜裂傷の症状
処女膜が傷ついた時に起こる症状は、主に「出血」と「痛み」です。 しかし、症状の現れ方は膜の硬さや傷のつき方で大きく変わります。 全く何も感じない方もいれば、はっきり症状が出る方もいるなど個人差が大きいです。
代表的な症状として、出血と痛みの2つが挙げられます。
- 出血 ティッシュに少し付く程度の、ごくわずかな出血であることがほとんどです。 人によっては下着が少し汚れることもありますが、多くはすぐに止まります。 生まれつき膜がよく伸びる方など、全く出血しないことも珍しくありません。
- 痛み チクッとするような、一瞬の軽い痛みを感じる場合が多いです。 痛みを感じない方もいれば、生理痛に似た鈍い痛みが続く方もいます。 ほとんどの場合、痛みは長くは続かず、自然に消えていきます。
処女膜裂傷の多くは、特別な治療をしなくても自然に良くなります。 ただし、以下のような症状がある場合は、婦人科の受診を検討してください。
【受診をおすすめする症状リスト】
- 生理の時と同じか、それ以上に出血が続いている
- だんだんと痛みが強くなってくる
- 日常生活に影響が出るほどの強い痛みが続く
- 傷ついた部分が熱っぽく感じたり、腫れたりしている
これらの症状は、別の原因が隠れている可能性も考えられます。 不安な症状が続く場合は、自己判断せずに専門の医師に相談しましょう。
処女膜裂傷の検査・診断
「毎月お腹が痛くなるのに、生理がこない」 このような症状がある場合、「処女膜閉鎖症」が原因かもしれません。 原因をはっきりさせて、適切な治療につなげるために、 いくつかの検査を行って詳しく調べていきます。
診察では、まず問診(もんしん)でお話を詳しくうかがいます。 いつから、どんな症状があるのかを教えてください。 周期的なお腹の痛みや、おしっこ・便の出にくさなど、 気になることは何でも正直にお話しいただくことが大切です。
次に、お医者さんが目で見て確認する視診(ししん)を行います。 処女膜が閉じていると、中に溜まった血液が透けて見えたり、 腟の入り口が少し膨らんでいたりすることがあります。 プライバシーには十分に配慮して診察しますのでご安心ください。
体の内側の状態を調べるために、画像検査も行います。 体に負担の少ない超音波(エコー)検査が中心です。 お腹の上にゼリーを塗り、機械をあてることで、 子宮や腟に血液が溜まっていないかを確認できます。
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検査の種類 |
主な目的 |
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問診(もんしん) |
症状の種類や始まった時期など、詳しいお話をお聞きします。 |
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視診(ししん) |
医師が外陰部の状態を直接目で見て、異常がないか確認します。 |
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超音波検査 |
体に負担なく、腟や子宮の中に血液が溜まっていないか調べます。 |
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MRI検査など |
必要に応じて、骨盤の中をより詳しく確認するために行います。 |
これらの検査は、患者さんの体の状態に合わせて行われます。 不安なことや分からないことがあれば、遠慮なく医師に相談してくださいね。
処女膜裂傷の治療
処女膜が閉じていて生理の血が外に出られない場合は治療が必要です。 溜まった血液を外に出し、毎月のお腹の痛みをなくすのが目的です。 治療は「処女膜切開術(しょじょまくせっかいじゅつ)」という、 簡単な手術で行うのが一般的です。
この手術は、閉じている処女膜をメスで数ミリほど少しだけ切って、 生理の血が通るための小さな出口を作ってあげるものです。 手術は眠っている間に行う「全身麻酔」をかけるので痛みはありません。 出口ができると、溜まっていた血液がきちんと外に出るようになります。 これにより、つらかったお腹の痛みやおしっこの出にくさが楽になります。
手術で作った出口は、傷が治る過程でまたくっついてしまうことがあります。 せっかく作った道が塞がらないように、手術後も何度か通院が必要です。 お医者さんがしっかり状態を確認するので安心してくださいね。
手術の後で、特に気をつけてほしいことが2つあります。
- 自分で触ったり、針で刺したりしない ばい菌が入ってしまい、もっとひどい病気になる危険があります。 気になることがあれば、必ずお医者さんに相談してください。
- お医者さんの指示通りに病院へ行く 出口がまた塞がっていないかを確認するための大切な診察です。 きちんと通院することで、安心して過ごせるようになります。
この手術でほとんどの方の症状は良くなります。 将来の自分の体のためにも、とても大切な治療です。 不安な気持ちもあると思いますが、勇気を出して相談してください。










