「ドキッ」とするその動悸、薬で抑えながらも「いつまで続くのだろう」と不安に感じていませんか。実は不整脈には、薬物療法だけでなく、根本的な完治を目指せる「カテーテルアブレーション」という治療の選択肢があります。
この治療法は、ある研究でお薬よりも再発が少なく、心房細動では約70〜80%の改善が期待できるとされています。気になる合併症の発生率も全体で約4.5%と報告されており、治療技術の進歩でより安全なものになりつつあります。
この記事では、そんなカテーテルアブレーションの具体的な方法や種類、気になる安全性について、最新の研究データも交えながら詳しく解説します。あなたの不安を解消し、治療へ一歩踏み出すための情報がここにあります。
カテーテルアブレーションの概要
カテーテルアブレーションは、不整脈の治療法の一つです。 不整脈とは、心臓のドキドキというリズムが乱れる病気です。
心臓は、体中に血液を送るポンプの役目をしています。 このポンプは、心臓の中を流れる「電気の命令」で動きます。 この電気の命令に異常が起きると、不整脈が発生します。
この治療では、カテーテルという細くて柔らかい管を使います。 足の付け根の血管から、心臓までカテーテルを進めます。 そして、不整脈の原因となっている心臓の異常な部分を、 カテーテルの先で熱を加えたり(焼灼)、冷やしたりします。 こうして、おかしな電気の命令が出ないようにするのです。
不整脈の治療には、お薬を飲む方法もあります。 しかし、ある研究によると、カテーテルアブレーションは、 お薬での治療と比べて不整脈の再発が少ない傾向です。 また、治療に伴う問題(合併症)が起こる割合も、 カテーテルアブレーションの方が低いと報告されています。
治療にかかる時間は不整脈の種類によりますが2〜3時間ほどです。 入院も数日間で済むことが多く、体への負担も考慮されています。
カテーテルアブレーションの種類
カテーテルアブレーション治療にはいくつかの種類があります。 不整脈の原因の場所や心臓の状態に応じて使い分けます。 どの方法を選ぶかは、医師が総合的に判断します。
主な治療法には、以下の種類があります。
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治療法の名前
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どんなふうに治療するの?
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主な対象となる不整脈
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高周波カテーテルアブレーション
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カテーテルの先から高周波の電気を流します。<br>異常な電気信号の原因を点で焼いて治療します。
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発作性心房細動<br>持続性心房細動など
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バルーンアブレーション
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先に風船がついたカテーテルを使います。<br>風船をふくらませ、冷たいガスなどでまとめて治療します。
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主に発作性心房細動
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パルスフィールドアブレーション
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特殊な電界を発生させ、心臓の筋肉だけに作用させます。<br>周りの組織を傷つけにくいと考えられています。
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発作性心房細動<br>持続性心房細動など
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特に高周波アブレーションでは治療範囲の研究が進んでいます。 発作性心房細動の患者さんを対象にしたある研究があります。 標準的な範囲の治療に加えて、さらに広く治療した場合と、 1年後に不整脈が再発する割合を比較しました。 その結果、両者に大きな違いはないと報告されています。
このことから、やみくもに広く治療すれば良い訳ではないのです。 患者さん一人ひとりの状態に合わせた治療が大切になります。 ご自身の状態に合う方法を医師とよく相談して決めましょう。
カテーテルアブレーションの原因
この治療が必要になるのは、心臓のリズムが乱れる不整脈が原因です。 心臓は規則的な電気の命令で、ポンプのように動いています。 しかし、この電気の通り道や発生場所に異常が起きることがあります。 おかしな電気が生まれたり、余計な回り道ができたりするのです。 これが不整脈を引き起こし、カテーテル治療の対象となります。
原因となる不整脈には、主に以下の種類があります。
- 心房細動(しんぼうさいどう) カテーテルアブレーションで最も多い不整脈です。 異常な電気の約9割は、肺から戻る血管の付け根から発生します。 これにより、心臓の上の部屋である「心房」が小刻みに震えます。
- 心室頻拍(しんしつひんぱく) 心臓の下の部屋「心室」から異常な電気が発生する不整脈です。 時に命の危険もあるため、しっかりとした治療が求められます。 治療法にはお薬とカテーテル治療があり、どちらがより良いか、 多くの研究結果をまとめた報告でも比較検討されています。
- その他の不整脈 ほかにも、発作性上室性頻拍(ほっさせいじょうしつせいひんぱく)や 心房粗動(しんぼうそどう)なども治療の対象になります。
これらの不整脈を起こす異常な電気の発生源や通り道を、 カテーテルで熱を加えて治療し、正常なリズムを目指します。
カテーテルアブレーションの症状
カテーテルアブレーションは不整脈を治すための治療です。 しかし、どんな医療行為でも、好ましくない症状が出ることがあります。 これを「合併症(がっぺいしょう)」と呼びます。 治療の前に、どんなことが起こる可能性があるか知っておきましょう。
最近の多くの研究をまとめた信頼性の高い報告があります。 それによると、合併症が起こる割合は全体で約4.5%です。 入院が長引くような少し重い合併症に限ると約2.4%でした。 この割合は、ここ10年で低くなる傾向にあります。 治療の技術が進み、より安全になってきている証拠です。
具体的に起こる可能性のある合併症には、以下のようなものがあります。
- 血管に関する合併症 最も多い合併症で、全体の約1.3%を占めます。 カテーテルを入れた足の付け根から血が出たり、 青あざ(内出血)ができたりすることです。
- 心タンポナーデ まれですが、心臓を包む袋の中に血がたまる状態です。 心臓がうまく動けなくなるため、すぐに血を抜く処置をします。
- 脳梗塞(のうこうそく) 治療中にできた血の塊が、頭の血管に詰まることです。 起こる頻度は低いですが、とても注意が必要な合併症です。
- 神経への影響 心臓の近くには、横隔膜や食道を動かす神経があります。 治療の熱で、これらの神経に影響が出ることがあります。 しゃっくりが続いたり、お腹が張ったりする場合があります。
これらの合併症を防ぐため、医師は細心の注意を払っています。 例えば、血液をサラサラにする薬を使い、血の塊を防ぎます。 心配なことがあれば、いつでも医師に相談してください。
カテーテルアブレーションの検査・診断
治療を安全で効果的に行うため、詳しい検査は欠かせません。 不整脈の種類や原因を正確に突き止めることが第一歩です。 一人ひとりの心臓の状態に合わせ、最適な治療計画を立てます。
まず、心臓の電気的な活動を調べる検査を行います。 心電図や24時間ホルター心電図で、不整脈の種類や頻度を調べます。 次に、心臓超音波(心エコー)検査で心臓の形や動きを確認します。 ポンプ機能など、心臓の基本的な働きに問題がないかを見ます。
さらに、治療の精度と安全性を高めるため、以下の検査も重要です。
- 造影CT検査 心臓や血管の立体的な地図(3D画像)を作成します。 治療で使うカテーテルの通り道を確認するのに役立ちます。 また、食道の位置を把握し、合併症を防ぐことにも繋がります。
- 経食道心エコー検査 胃カメラのような細い管を使い、心臓の裏側から観察します。 心臓の中に血の塊(血栓)がないかを確認する大切な検査です。
これらの検査結果を元に、医師が治療が適切かを総合的に診断します。
また、治療には不安がつきものです。 最近では、治療中の心の負担を軽くするための研究も進んでいます。 ある研究では、瞑想アプリを使った患者さんの不安や痛みが和らぎ、 鎮静剤の使用量が減ったという結果が報告されました。 心と体の両面から、安心して治療を受けられる工夫が進んでいます。
カテーテルアブレーションの治療
カテーテルアブレーションは、不整脈の根本原因にアプローチする治療法です。 お薬が症状を抑える対症療法であるのに対し、この治療は不整脈そのものの完治を目指します。
お薬の治療との違い
どちらの治療法が適しているかは、不整脈の種類や患者さんの状態によります。 お薬とカテーテル治療には、それぞれ以下のような特徴があります。
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治療法
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カテーテルアブレーション
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抗不整脈薬(お薬)
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特徴
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・不整脈の根本原因に働きかける<br>・治療が成功すればお薬が不要になることも
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・不整脈の症状を抑えることが目的<br>・毎日服用し続ける必要がある場合が多い
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研究報告
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・期外収縮という不整脈では、お薬より再発が少ない可能性が示されています。<br>・有害事象の発生率もお薬より低い傾向という報告があります。
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・薬の種類によっては副作用が起こることがあります。
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ある研究では、期外収縮という不整脈を持つ患者さんを対象に比較が行われました。 カテーテル治療は、お薬よりも不整脈の再発や頻度を減らす効果が高い可能性が示唆されています。
治療の基本的な流れ
治療は、一般的に次のような手順で進められます。
- カテーテルの挿入 足の付け根や首、腕の血管からカテーテルという細い管を入れます。
- 原因箇所の特定 レントゲンや「3Dマッピングシステム」という心臓の立体地図を作る装置で、 不整脈の原因となっている場所を正確に見つけ出します。
- アブレーション(焼灼) カテーテルの先端から高周波を流し、60℃程度の熱で原因部分を治療します。
- 治療時間 不整脈の種類にもよりますが、治療は平均して2〜3時間程度で終わります。
治療の効果と安全性
心房細動の場合、約70〜80%の方で症状の改善が期待できます。 しかし、一度で完治しない場合や、再発する可能性もゼロではありません。 ある研究では、治療する範囲を標準より広げても、再発率には大きな差がなかったと報告されました。 そのため、一人ひとりの状態に合わせた適切な範囲の治療が重要です。
また、治療中の痛みや不安を和らげるための研究も進んでいます。 最近では、瞑想アプリを使った患者さんの不快感が和らぎ、 鎮静剤の使用量を減らせたという研究結果も報告されています。 心と体の両面から、安心して治療を受けられる環境づくりが進んでいるのです。