肝臓病

「沈黙の臓臓」と呼ばれる肝臓。その名の通り、病気がかなり進行するまで自覚症状がほとんど現れません。そのため「自分は健康だ」と思っていても、気づかないうちに深刻な状態になっていることも少なくないのです。あなた自身の体からのSOSサイン、見逃していませんか?

肝臓病の原因はお酒だけだと思われがちですが、ウイルスや食生活、さらには体の免疫システムの異常など、その要因は多岐にわたります。実は、一見無関係に思えるお口の病気である歯周病が、全身の炎症を引き起こし、肝臓の機能を悪化させる可能性も指摘されているのです。

この記事では、肝臓病の様々な種類と原因、そして見逃しがちな初期症状について詳しく解説します。手遅れになる前に、あなたの体を守るための正しい知識を身につけ、日々の健康管理に役立ててください。

肝臓病の概要

肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれています。 病気がかなり進むまで自覚症状が出にくいからです。 そのため、気づかないうちに病気が進行してしまうことも珍しくありません。

肝臓は私たちが生きていくうえで、欠かせない働きを担っています。

  • 栄養をエネルギーに変える(代謝) 食事からとった栄養分を、体で使える形に変えて蓄えます。
  • 毒素を分解する(解毒) アルコールや薬、体内でできた有害な物質を分解します。
  • 消化を助ける液体を作る(胆汁の生成) 脂肪の消化や吸収を助ける「胆汁(たんじゅう)」を作ります。

肝臓病とは、このような肝臓の働きが悪くなってしまう状態のことです。

私たちの体はすべてつながっており、一つの不調が全身に影響します。 例えば、お口の病気である歯周病もその一つです。 多くの研究をまとめた信頼性の高い報告があります。 歯周病があると糖尿病になるリスクが1.22倍高まるとされています。 肝臓の病気も糖尿病などの生活習慣病と深く関わっています。 そのため、体全体の健康を考えることがとても大切なのです。

肝臓病の種類

ひとくちに肝臓病といっても、原因は一つではありません。 原因によって、いくつかの種類に分けられます。 代表的な肝臓病について、その特徴を知っておきましょう。

肝臓病の種類

主な原因や特徴

ウイルス性肝炎

B型やC型などの肝炎ウイルスに感染して起こります。慢性化すると肝硬変や肝がんへと進行する恐れがあります。

アルコール性肝疾患

長期間にわたるお酒の飲み過ぎが原因です。「脂肪肝」から「肝炎」、そして「肝硬変」へと悪化していきます。

非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)

お酒を飲まないのに肝臓に脂肪がたまる病気です。肥満や糖尿病などの生活習慣病と深く関わっています。

自己免疫性肝炎

本来体を守る免疫が、自分の肝臓を攻撃してしまう病気です。

薬物性肝障害

飲み薬やサプリメントなどが原因で起こることもあります。

特に、免疫が関わる病気は体全体に影響を及ぼします。 前の章で、歯周病が糖尿病のリスクを高めることをお伝えしました。 近年の信頼できる研究では、他の病気との関連もわかっています。

歯周病がある人は、ない人と比べて関節リウマチのリスクが1.27倍、 骨粗鬆症のリスクが1.40倍高まるという報告があります。 お口の中の不調が、全身の免疫のバランスを乱すことがあるのです。 自己免疫性肝炎も、このような免疫の異常が原因の一つと考えられます。

肝臓病の原因

肝臓病の原因は、決して一つではありません。 ウイルスやお酒だけでなく、生活習慣や体の仕組みも関係します。 ご自身の生活を振り返りながら、原因を知っておきましょう。

主な原因は、次の4つに分けられます。

  • ウイルスの感染 B型やC型肝炎ウイルスが体に入り、肝臓にすみつくことで起こります。 ウイルスが肝臓の細胞を壊し、炎症が続いてしまう状態です。
  • お酒の飲み過ぎ アルコールを分解するのは肝臓の大切な仕事です。 しかし、飲み過ぎが続くと肝臓は働き続けで疲れ果ててしまいます。 その結果、脂肪がたまったり、炎症が起きたりします。
  • 食べ過ぎや運動不足 お酒を飲まない方でも、肝臓に脂肪がたまることがあります。 肥満や糖尿病といった生活習慣病が、肝臓に負担をかけるのです。 これを「非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)」と呼びます。
  • 体の仕組みの異常 本来、体を守るための免疫システムという仕組みがあります。 この仕組みが勘違いをして、自分の肝臓を攻撃することがあります。 「自己免疫性肝炎」などが、このタイプの病気です。

また、肝臓の不調は、一見関係なさそうな場所から始まることもあります。 例えば、お口の病気である歯周病もその一つです。 多くの信頼できる研究をまとめた報告があります。 歯周病がある人は、ない人に比べて糖尿病になるリスクが1.22倍、 関節リウマチになるリスクが1.27倍高まるとされています。

歯周病菌が作る毒素が全身に回り、体のあちこちで炎症を起こします。 この全身の炎症が、肝臓の働きを悪くしたり、 免疫の異常を引き起こしたりする可能性があるのです。 お口の健康を守ることは、巡り巡って肝臓を守ることにもつながります。

肝臓病の症状

肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれています。 ダメージを受けても、残った部分が懸命に働くためです。 そのため、症状が現れたときには病気が進んでいることもあります。

ご自身の体が出す小さなサインを見逃さないことが大切です。 「年のせいかな?」と思わずに、体の変化に目を向けましょう。 以下のリストで、気になることがないか確認してみてください。

【肝臓からのSOSサインかもしれません】

  • 体がだるく、疲れやすい 栄養をエネルギーに変える力が落ちているサインです。
  • 食欲がない、吐き気がする 解毒機能が低下し、体内に毒素がたまっているかもしれません。
  • 皮膚や白目が黄色くなる(黄疸) 胆汁に含まれる黄色い色素が分解できずに体にたまります。
  • 尿の色が濃くなる(ビールのような色) 黄疸の原因となる色素が尿に混じって出てきます。
  • 手のひらが不自然に赤くなる(手掌紅斑) ホルモンのバランスが崩れることで起こります。

また、肝臓の不調は一見関係ない場所に現れることもあります。 例えば、お口のトラブルである歯周病もその一つです。 多くの研究をまとめた信頼性の高い報告があります。

歯周病がある人は、ない人と比べて、 骨がもろくなる骨粗鬆症のリスクが1.40倍になるとされます。 歯周病菌が作る毒素が血液に乗って全身に広がるためです。 この全身の炎症が、肝臓の機能を悪化させる可能性も指摘されています。

これらのサインは、体があなたに送る大切なメッセージです。 一つでも当てはまる場合は、お早めに医療機関へご相談ください。

肝臓病の検査・診断

肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれています。 病気が進むまで、なかなかSOSサインを出してくれません。 健康診断で異常を指摘されても、症状がないからと安心は禁物です。 早期発見のために、どのような検査が行われるのかを知っておきましょう。

肝臓病の検査は、主に次の3つのステップで進められます。

  1. お話を聞くこと(問診)と診察 生活習慣(お酒や食事)や、過去の病気、ご家族のことなど、 診断の手がかりになる情報をお聞きします。
  2. 血液検査 肝臓の細胞が壊れると、中の成分が血液中に漏れ出します。 血液検査では、この漏れ出た成分の量を測って、 肝臓のダメージ具合を調べます。

検査項目

わかること

AST(GOT), ALT(GPT)

肝臓の細胞がどれくらい壊れているかの指標です。

γ-GTP(ガンマGTP)

お酒の飲み過ぎや薬による負担がわかります。

血小板、アルブミン

肝臓が食べ物の栄養を処理する力がわかります。

また、肝臓の病気は糖尿病などの生活習慣病と深く関わっています。

実は、お口の病気である歯周病も無関係ではありません。

多くの信頼できる研究をまとめた報告があります。

歯周病がある人は、ない人と比べて糖尿病になるリスクが、

1.22倍も高まることがわかっています。

体はすべてつながっているため、総合的に状態を見ることが大切です。

3. 画像検査 血液検査で異常が見つかった場合、肝臓の形を直接確認します。 パズルのピースを組み合わせるように、診断を確定していきます。

  • 腹部超音波(エコー)検査 お腹にゼリーを塗り、超音波をあてて肝臓の様子を見ます。 痛みはなく、脂肪肝や肝臓がんの有無などを調べられます。
  • CT検査・MRI検査 体の断面図を撮影し、超音波より詳しく肝臓を調べます。

これらの検査結果を総合的に判断し、今後の治療方針を決めていきます。

肝臓病の治療

肝臓病の治療は、原因や肝臓の状態によって変わります。 治療の目標は、肝臓に負担をかける原因を取り除くことです。 そして、肝臓の機能をできる限り守り、回復を助けます。

治療は主に、次の2つのアプローチを組み合わせて行います。

  • 原因に直接アプローチする治療
  • 肝臓そのものを守り、働きを助ける治療

原因に合わせた治療法

まず、肝臓の不調を引き起こしている根本原因を断つことが重要です。 原因によって、治療法は以下のように異なります。

原因

主な治療法

ウイルス性肝炎

抗ウイルス薬を使い、体内のウイルスの活動を抑えます。

アルコール性肝障害

最も効果的な治療は、お酒をやめること(断酒)です。

脂肪肝

食事の見直しや運動など、生活習慣の改善が治療の中心です。

自己免疫性肝炎

免疫の誤った攻撃を抑えるお薬(ステロイドなど)を使います。

全身の健康が肝臓を守る

肝臓の治療は、肝臓だけを見ていては不十分です。 体はすべてつながっており、全身の状態を整えることが大切です。 例えば、お口の病気である歯周病も肝臓の健康と無関係ではありません。

信頼性の高い多くの研究をまとめた報告があります。 歯周病がある人は、ない人と比べて、 全身の病気になるリスクが高まることがわかっています。

  • 糖尿病 リスクが1.22倍に高まります。
  • 関節リウマチ リスクが1.27倍に高まります。
  • 骨粗鬆症 リスクが1.40倍に高まります。

歯周病菌が作る毒素が血流に乗り、全身で炎症を起こします。 この慢性的な炎症が、肝臓の働きを悪くする可能性があるのです。 お口のケアは、巡り巡って肝臓を守ることにもつながります。

肝臓を守るための治療

原因への治療と同時に、弱った肝臓を助ける治療も行います。 肝臓の炎症を抑え、細胞が壊れるのを防ぐお薬を使うこともあります。 また、肝臓が再生するための栄養を食事や栄養剤で補うことも大切です。 治療は医師と二人三脚で進めていきましょう。