ケーラー病

元気に走り回っていたお子さんが、急に足の痛みを訴えだしたら心配ですよね。「成長痛かな?それともどこかで捻挫したのかな?」と考えるかもしれません。しかしその痛み、もしかしたら「ケーラー病」という、あまり聞き慣れない病気のサインかもしれません。

ケーラー病とは、足の土踏まずの骨が一時的に弱くなる、骨の成長期に特有の病気です。特に3歳から5歳くらいの男の子によく見られ、歩いたり走ったりすると痛みが強くなるのが特徴です。子どもが無意識に足を引きずって歩くようなら、注意が必要かもしれません。

この病気は骨折などと間違われやすく、正しい診断がとても重要になります。この記事では、ケーラー病の詳しい原因や症状、そして専門的な治療法までを分かりやすく解説します。お子さんの大切な足を守るため、まずはこの病気について知ることから始めましょう。

ケーラー病の概要

元気に走り回るお子さんの足に、急な痛みが出たら心配ですよね。 もしかしたらそれは「ケーラー病」という病気かもしれません。

ケーラー病とは、お子さんの足の骨に起こる病気の一つです。 土踏まずのアーチを作る「舟状骨(しゅうじょうこつ)」という骨が、 一時的に弱くなってしまう状態を指します。

骨がぐんぐん成長する時期、特に3歳から5歳くらいの男の子によく見られます。 この時期の舟状骨は、血の巡りが少し不安定になりがちです。 そのため骨が一時的に栄養不足になり、弱ってしまうと考えられています。

ケーラー病の主な特徴をみてみましょう。

  • 痛む場所
  • 足の甲の内側、土踏まずの一番高いところ
  • 主なサイン
  • 痛みや腫れ、熱っぽさを感じる
  • 痛みが強くなる時
  • 歩いたり走ったり、足に体重をかけると痛みが強まります
  • 足を引きずって歩くようになることもあります

子どもの足の痛みは、捻挫や単なる成長痛と間違われやすいです。 似た症状を起こす病気には、ときには骨折などもあります。 子どもの骨の病気は、正しい診断をすることがとても重要です。 専門の医師がきちんと診断することで、不要な検査や治療を避けられます。

多くの場合、ケーラー病は骨が成長すれば自然に治っていきます。 だからこそ、まずは専門医に相談し、安心して回復を目指しましょう。

ケーラー病の種類

「ケーラー病」と聞くと、一つの病気を思い浮かべるかもしれません。 しかし、実は障害が起きる骨の場所によって、いくつかの種類があります。

これらは、成長期の子どもの骨に起こる「骨端症」という仲間です。 骨端症とは、骨がぐんぐん成長する端の部分(骨端)に、 一時的に血が届きにくくなることで起こる病気の総称です。

足に起こるケーラー病には、主に2つのタイプが知られています。

種類

別名

障害が起きる場所

第1ケーラー病

(単に)ケーラー病

足の甲の真ん中にある舟状骨(しゅうじょうこつ)

第2ケーラー病

フライバーグ病

足の人差し指の付け根にある第2中足骨頭

一般的に「ケーラー病」と言う場合、この第1ケーラー病を指します。 土踏まずの痛みや腫れが特徴的な症状として現れます。

骨端症は足だけでなく、体の他の部分にも起こることがあります。 例えば、股関節の近くに痛みが出る「ヴァン・ネック・オデルバーグ病」です。 この病気は非常にまれで、股関節の痛みや歩きにくさが特徴です。

症状が他の病気と似ているため、診断が難しいことも少なくありません。 ある研究のまとめでは、最も多い誤診は骨折だったと報告されています。 だからこそ、子どもの骨をよく知る専門医の診断がとても大切なのです。

ケーラー病の原因

ケーラー病がなぜ起こるのか、実はまだはっきりとは分かっていません。 ですが、いくつかの要因が重なって起こると考えられています。 主な原因は、元気いっぱいな成長期のお子さんの骨の特性にあります。

考えられる3つの主な要因を見ていきましょう。

  • 骨の成長部分が弱い 子どもの骨の端には「骨端(こったん)」という部分があります。 ここは骨が伸びるための軟骨で、大人の骨より衝撃に弱いです。
  • 舟状骨(しゅうじょうこつ)に負担が集中する 舟状骨は、土踏まずのアーチのてっぺんにある骨です。 歩いたり走ったりする時に、体重による力が集中しやすい場所です。
  • 舟状骨への血の巡りが悪くなる 舟状骨は他の骨に比べて、硬い骨になるのが少し遅い特徴があります。 そのため、繰り返しの負担で血の流れが一時的に悪くなりやすいです。 栄養が届かず骨が弱り、平たくつぶれることが原因と考えられています。

ケーラー病のような骨端症は、他の病気と症状が似ていることがあります。 ある研究のまとめでは、最も多い誤診は骨折だったと報告されています。 正しい診断は、お子さんが不要な検査や治療を避けるためにとても大切です。 そのため、子どもの骨をよく知る専門医が慎重に原因を見極めます。

ケーラー病の症状

ケーラー病の主な症状は、足の甲の内側にあらわれます。 土踏まずの一番高くなっている部分が痛むのが特徴です。

はじめは軽い痛みでも、だんだんと強くなっていくことがあります。 特に、歩いたり走ったりして足に体重をかけると痛みが悪化します。 そのため、お子さんが無意識に痛みをさけるような行動を見せます。

【ケーラー病でみられる症状のチェックリスト】

  • 足の甲の痛み
  • 土踏まずの盛り上がった部分に痛みがあります。
  • 痛みが強くなる時
  • 歩いたり走ったりすると、痛みが強くなります。
  • 見た目の変化
  • 痛む部分が少し腫れたり、熱っぽく感じたりします。
  • 歩き方の変化
  • 痛みをさけるため、つま先で歩いたり足を引きずったりします。

子どもの足の痛みには、ケーラー病以外にも様々な原因があります。 痛む場所で考えられる病気は違うため、どこが痛むかを知ることが重要です。

ある研究のまとめでは、似た症状の病気で最も多い誤診は骨折でした。 正しい診断は、お子さんが不要な検査や治療を避けるためにも大切です。 症状は片方の足に多いですが、まれに両足に見られることもあります。

ケーラー病の検査・診断

お子さんの足の痛みがケーラー病か調べるため、まず丁寧にお話を聞きます。 いつから、どこが、どんな時に痛むか、といった情報が診断のヒントです。 そのうえで、診断をはっきりさせるためにレントゲン検査を行います。

レントゲン検査は、ケーラー病の診断でとても重要な手がかりになります。 足の甲の真ん中にある「舟状骨(しゅうじょうこつ)」という骨の状態を、 詳しく調べることができます。

【レントゲン検査で確認する主な変化】

  • 骨の硬化
  • 血の流れが悪くなった舟状骨が、他の骨より白く濃く写ります。
  • 骨の扁平化
  • 弱くなった舟状骨が、体重の力で平たくつぶれたように見えます。
  • 骨の亀裂
  • まれに骨にひびが入ったり、割れたりして見えることもあります。

診断をより正確にするため、痛みのない方の足もレントゲン撮影します。 左右の舟状骨を見比べることで、病気による変化がより分かりやすくなります。

子どもの足の痛みは、他の病気と症状が似ていることがよくあります。 ある研究のまとめでは、似た症状で最も多い誤診は骨折だったとされます。 正しい診断は、お子さんが不要な検査や治療を避けるためにも大切です。

診断がついた後も、骨がきちんと回復しているかを確認するために、 定期的にレントゲン検査を行うことがあります。

ケーラー病の治療

ケーラー病の治療は、痛みの原因である足の骨(舟状骨)を休ませることです。 お子さんの骨が本来持っている、自分で治ろうとする力を助けるのが目的です。 そのため、手術をしない「保存療法」という方法が治療の中心となります。

治療で最も大切なのは、痛む足を安静にして、負担をかけないことです。 歩いたり走ったりすると舟状骨に体重がかかり、症状が悪化しやすくなります。 痛みが強い時期は運動をひかえ、骨が回復するのを待ちましょう。

具体的な治療法には、主に以下のようなものがあります。

  • 装具を使った治療
  • 痛む骨への負担を軽くするために、特別な道具を使います。
  • 靴の中敷き(インソール)
  • 土踏まずのアーチを支える中敷きを靴に入れる方法です。
  • 舟状骨にかかる体重を分散させ、痛みを和らげる効果が期待できます。
  • ギプスでの固定
  • 痛みがとても強い場合には、ギプスで足を固定することもあります。
  • 体重が完全にかからないようにして、骨をしっかり休ませます。
  • お薬による治療
  • 痛みがつらい時には、症状を和らげるお薬を使うこともあります。
  • これは、あくまでつらい症状を軽くするための補助的な治療です。

ケーラー病は、適切な治療で骨の成長とともに自然に治っていく病気です。 多くの場合、1年ほどで回復に向かい、後遺症が残ることもまれです。

ただし、子どもの足の痛みには、骨折など似た症状の病気が隠れています。 ある研究のまとめでも、似た症状の病気で最も多い誤診は骨折でした。 正しい診断は、お子さんが不要な検査や治療を避けるためにとても大切です。 気になる症状があれば、自己判断せず、まずは整形外科を受診しましょう。