高尿酸血症

健康診断で「尿酸値が高い」と指摘されたことはありませんか?痛みなどの自覚症状がないため、「自分は大丈夫」とつい後回しにしてしまいがちですが、その状態こそが「サイレントキラー(静かな殺し屋)」と呼ばれる高尿酸血症の始まりかもしれません。

実は、日本の成人の約14%、つまり7人に1人が高尿酸血症とされており、決して他人事ではありません。放置すれば激痛を伴う痛風だけでなく、腎臓の機能低下や、ある研究では約19%(およそ5人に1人)が糖尿病を合併していたという衝撃的な報告もあります。

この記事では、症状がないうちに静かに進行する高尿酸血症の本当の怖さと原因、そして今日からできる対策について詳しく解説します。手遅れになる前に、ご自身の健康を見直すきっかけにしてください。

高尿酸血症の概要

高尿酸血症とは、血液の中に「尿酸」が増えすぎた状態です。 尿酸は、細胞が新しく生まれ変わる際に出る燃えカスのようなものです。 健康診断などの血液検査で、尿酸値が7.0mg/dLを超えると診断されます。

日本では成人の約14.0%が高尿酸血症とされています。 これは、およそ7人に1人が当てはまる計算です。 特に男性に多いですが、最近は若い方や女性にも増えています。

高尿酸血症の基本

解説

診断の基準

血液中の尿酸値が7.0mg/dLを超える状態です。

主な特徴

ほとんどの場合、痛みなどの自覚症状がありません。

進行すると…

激しい痛みの「痛風」や腎臓の機能低下、尿路結石などを引き起こします。

高尿酸血症の怖い点は、ほとんど自覚症状がないことです。 そのため「サイレントキラー(静かな殺し屋)」とも呼ばれます。 知らないうちに、他の病気を引き起こす可能性もあります。

ある研究では、高尿酸血症の人の約19%が糖尿病を合併していたと報告されています。 これは、およそ5人に1人が該当する高い割合です。 食生活も尿酸値に大きく影響することがわかっています。 例えば、お肉など動物性の食品や甘いものを多く摂る食事は、高尿酸血症のリスクを高めます。 一方で、野菜中心の食事はリスクを下げることが指摘されています。

症状がないからと安心せず、健康診断で尿酸値の高さを指摘されたら注意が必要です。 これを機に、ご自身の生活習慣を見直すことがとても大切になります。

高尿酸血症の種類

高尿酸血症は、尿酸が増える原因によって、主に3つのタイプに分けられます。 自分がどのタイプかを知ることは、治療方針を決めるうえでとても大切です。 あなたの体の状態に合わせて、効果的な対策を立てていきましょう。

タイプ

特徴

腎排泄低下型

尿酸を体の外に出す力が弱いタイプです。

産生過剰型

体の中で尿酸を作りすぎてしまうタイプです。

混合型

上記の2つが合わさったタイプです。

腎排泄低下(じんはいせつていか)型は、腎臓から尿酸を十分に排泄できないタイプです。 高尿酸血症と診断された方の多くが、このタイプに該当すると言われています。 体の「ゴミ処理場」である腎臓の働きが、少し落ちている状態と考えると分かりやすいでしょう。

産生過剰(さんせいかじょう)型は、体の中で尿酸が過剰に作られてしまうタイプです。 尿酸のもとになる「プリン体」を食事から多く摂ることが原因の一つになります。 ある研究では、動物性の食品や甘いものを多く摂る食生活は、高尿酸血症のリスクを高めることが示されています。

混合(こんごう)型は、尿酸が作られすぎる「産生過剰型」の要素と、尿酸をうまく出せない「腎排泄低下型」の両方の特徴をあわせ持つタイプです。

また、どのような体質が高尿酸血症と関連するかの研究も進んでいます。 例えば、伝統中国医学の考え方では、特定の体質がリスクを高める可能性が報告されています。

  • 痰湿(たんしつ)体質 体に余分な水分や汚れがたまりやすい人
  • 湿熱(しつねつ)体質 体に熱がこもりやすく、ジメジメしている人
  • 気虚(ききょ)体質 エネルギーが不足しがちな、疲れやすい人

このような体質の方は、高尿酸血症のリスクが通常より高いとされています。 自分のタイプや体質を知ることで、より個人に合った生活習慣の改善や治療法の選択につながります。 まずは専門の医療機関で相談し、ご自身の状態を正確に把握することが重要です。

高尿酸血症の原因

高尿酸血症は、血液中の尿酸が増えすぎることが原因です。 体の中で尿酸が作られる量と、体の外に出される量のバランスが崩れると起こります。 その背景には、毎日の生活習慣や生まれ持った体質などが複雑に関係しています。

食生活の影響

食生活は、尿酸値に直接影響する最も大きな原因の一つです。 特に、尿酸のもとになる「プリン体」を多く含む食事には注意が必要です。

ある研究では、どのような食事で高尿酸血症のリスクが変わるかが示されています。

  • リスクを高める食事 お肉や魚介類などの動物性の食品や、甘いお菓子やジュースなどです。 これらを多く摂る食生活は、高尿酸血症のリスクを高めることが分かっています。
  • リスクを下げる食事 野菜やきのこ、海藻などを中心とした植物性の食事です。 このような食事は、高尿酸血症のリスクを下げることが報告されています。

特に、甘いジュースなどに含まれる「果糖」は、体内で尿酸を作る働きを活発にします。 プリン体だけでなく、果糖の摂りすぎにも気をつけることが大切です。

体質や遺伝的な要因

ご家族に高尿酸血症の方がいる場合、遺伝的に尿酸値が高くなりやすいことがあります。 これは、生まれつき尿酸を体の外に出す力が弱いといった体質が考えられます。

また、東洋医学の考え方では、特定の体質との関連も指摘されています。 ある研究では、高尿酸血症の方には以下の体質が多いと報告されました。

体質の種類

分かりやすい特徴

痰湿(たんしつ)

体に余分な水分や汚れがたまりやすい人です。

湿熱(しつねつ)

体に熱がこもりやすく、ジメジメしやすい人です。

気虚(ききょ)

エネルギーが不足しがちで、疲れやすい人です。

ご自身の体質を知ることは、生活習慣を見直すうえでのヒントになります。

他の病気や薬の影響

肥満や高血圧、脂質異常症といった生活習慣病も、高尿酸血症と深く関わります。 これらの病気は腎臓の働きに影響し、尿酸の排泄を妨げることがあります。

特に、糖尿病との関係は深く、注意が必要です。 ある研究では、高尿酸血症の人の約19%が糖尿病を合併していたと報告されました。 これは、およそ5人に1人という、決して少なくない割合です。

また、普段飲んでいるお薬が、尿酸値を上げる原因になることもあります。 例えば、血圧を下げる薬の一部(利尿薬)などは、尿酸の排泄を抑える作用を持ちます。 お薬が原因かもしれないと思っても自己判断で中止せず、必ず主治医に相談してください。

高尿酸血症の症状

高尿酸血症の最も大きな特徴は、ほとんど症状がないことです。 「サイレントキラー(静かな殺し屋)」とも呼ばれています。 ご自身では気づかないまま、静かに病気が進行する怖さがあります。 健康診断で指摘されても、つい放置してしまう方が多いのが現状です。

しかし、症状がないからといって安心するのはとても危険です。 症状が出たときには、病気がかなり進んでいるサインかもしれません。 血液に溶けきれなくなった尿酸が、体の中で悪さを始めると症状が出ます。 主な症状には、関節や腎臓にあらわれるものがあります。

症状の種類

どのような症状か

関節の痛み(痛風発作)

ある日突然、足の親指の付け根などが激しく痛みます。

風が当たるだけでも痛いほどの、耐えがたい痛みです。

赤く腫れ上がり、熱を持つことも特徴です。

腎臓のトラブル

尿酸の結晶が腎臓にたまり、働きを悪くします。

尿路結石ができると、背中や脇腹に激痛が走ります。

痛風発作は、血液中の尿酸がトゲトゲの針のような結晶になることで起こります。 この結晶が関節に突き刺さるため、激しい痛みを感じるのです。

また、症状がなくても体の中では他の病気のリスクが高まっています。 ある研究では、高尿酸血症の方の約19%が糖尿病を合併していたと報告されました。 これは、およそ5人に1人が糖尿病も抱えている計算になります。 特に高齢の方や、一部の血圧の薬(利尿薬)を飲んでいる方で、この傾向はより高まります。 自覚症状がなくても、尿酸値を管理することが大切です。

高尿酸血症の検査・診断

健康診断で尿酸値の高さを指摘されたら、それは体からの大切なサインです。 放置せずに、まずは医療機関で詳しい検査を受け、ご自身の状態を正確に把握しましょう。 検査は主に、お話を聞く「問診」、血を採る「血液検査」を中心に行われます。

1. 問診と診察

まず、普段の生活について詳しくお話を伺います。 どのような食事を好み、どのくらいの量のお酒を飲むかなどをお聞きします。 これは、高尿酸血症のリスクを高める食生活かどうかを確認するためです。

2. 血液検査

血液検査では、血液中の尿酸の濃度(尿酸値)を測ります。 尿酸値が7.0mg/dLを超えている場合、高尿酸血症の可能性が高まります。 ただし、食事などの影響で数値は変動しやすいため、日を変えて複数回測定し、診断します。

また、尿酸値だけでなく、他の項目も同時に調べることが一般的です。 ある研究では、高尿酸血症の方の約19%が糖尿病を合併していたと報告されています。 そのため、血糖値も測定し、隠れた糖尿病がないかを確認することはとても重要です。 あわせて、尿酸を排出する腎臓の機能や、脂質の数値などもチェックします。

3. その他の検査

必要に応じて、さらに詳しい検査を行うこともあります。

検査の種類

何を調べるか

尿検査

尿酸が「体内で作られすぎている」のか、「体の外へ出しにくい」のか、あなたの体のタイプを判断するヒントになります。

画像検査

関節に痛み(痛風)がある場合、超音波(エコー)検査で関節の様子をみます。

関節に尿酸の結晶がたまっていないか、直接目で見て確認できます。

これらの検査結果を総合的にみて、診断を確定します。 その上で、あなたに合った治療方針を一緒に考えていきましょう。

高尿酸血症の治療

高尿酸血症の治療は、主に2つの大きな柱で進めます。 「生活習慣の改善」とお薬の力を借りる「薬物療法」です。

生活習慣の見直しが治療の基本ですが、それだけでは不十分な場合もあります。 尿酸値が目標まで下がらない時や、痛風発作を経験した方は薬物療法を考えます。 治療の目的は、尿酸値を安全な範囲で管理し、痛風発作や合併症を防ぐことです。

治療の目標値

目指すべき尿酸値は、患者さんの状態によって異なります。 ご自身の目標をしっかり把握し、治療に取り組むことが大切です。

対象となる方

目標とする血清尿酸値

痛風発作の経験がない方

6.0mg/dL 以下を目指します。

痛風発作を繰り返す方

痛風結節(尿酸の塊)がある方

6.0mg/dL 以下を厳守します。

結節を溶かすため、より低い値を目指すこともあります。

お薬による治療

お薬には、体内で尿酸が作られるのを抑えるタイプや、尿からの排泄を促すタイプがあります。 これらのお薬は、単に尿酸値を下げるだけではありません。 腎臓を守るという、非常に大切な効果も報告されています。

ある研究では、アロプリノールやフェブキソスタットといったお薬が、慢性腎臓病の進行を遅らせる可能性が示されています。 腎臓の機能低下をゆるやかにし、将来の健康を守ることにも繋がるのです。

治療を始める際は、急に尿酸値が下がると、かえって痛風発作が起きることがあります。 そのため、少量のお薬から始め、定期的に検査をしながら少しずつ調整していきます。 症状がないからと自己判断で中断せず、医師の指示に従って治療を継続しましょう。

また、高尿酸血症の方は糖尿病を合併しやすいこともわかっています。 ある研究では、高尿酸血症の人の約19%が糖尿病を合併していたと報告されました。 これは、およそ5人に1人という高い割合です。 尿酸値と血糖値をあわせて管理することが、将来の健康のためにとても大切になります。