「沈黙の臓器」とも呼ばれる膵臓。ここにできるがんは初期症状がほとんどなく、発見が難しいことで知られています。体の不調に気づいたときには、病状が進行していることも少なくありません。しかし、その危険な病の発症リスクが、私たちの身近な食生活に潜んでいることが分かってきました。
ある研究では、スナック菓子やカップ麺といった「超加工食品」を多く食べる人は、そうでない人に比べて膵臓がんになるリスクが約1.5倍も高まる可能性が示されています。あなたの普段の食事が、知らず知らずのうちにリスクを高めているかもしれません。
この記事では、発見が難しい膵臓がんの症状や原因、そして最新の治療法までを詳しく解説します。手遅れになる前に、まずは正しい知識を身につけ、ご自身の生活習慣を見直すきっかけにしてみませんか。
膵臓がんの概要
膵臓(すいぞう)は、お腹の奥深く、胃のうしろ側にある臓器です。 体にとって、主に2つの大切な役割を担っています。
- 消化を助ける 食べたものを細かく分解するための消化液(膵液)を作ります。
- 血糖値の調整 血液中の糖の量を調整するインスリンなどのホルモンを作ります。
この膵臓の細胞が、何らかの原因でがん細胞に変化したものが膵臓がんです。
膵臓がんは、初期の段階では症状がほとんど現れないことが特徴です。 また、体の深い場所にあるため、検査でも見つけにくいがんの一つです。 そのため「静かなる臓器」のがんとも呼ばれ、注意が必要になります。
近年の研究では、日々の食生活が発症に関係することもわかってきました。 特に、加工度が高い「超加工食品」を多く食べる食生活は注意が必要です。 超加工食品とは、スナック菓子やカップ麺、清涼飲料水などを指します。
ある複数の研究を分析した報告によると、超加工食品を多く食べる人は、 あまり食べない人に比べて膵臓がんになるリスクが約1.5倍高くなる、 という可能性が示されています。
まずは、膵臓がんがどのような病気かを知り、 ご自身の生活習慣を見直すきっかけにすることが大切です。
膵臓がんの種類
膵臓がんは、がん細胞がどこから発生したかによって種類が分かれます。 がんの種類によって性質や治療法が異なるため、特定はとても重要です。
膵臓にできる腫瘍は、主に以下の2つに分けられます。
- 消化液をつくる「外分泌腺」から発生する腫瘍
- ホルモンをつくる「内分泌腺」から発生する腫瘍
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がんができる場所
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がんの名前
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どんながん?
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外分泌腺
(消化液の通り道など)
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浸潤性膵管がん
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・膵臓がんの90%以上を占めます
・一般的に「膵臓がん」という場合は
このがんを指すことが多いです
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腺房細胞がん
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・比較的まれにみられるがんです
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内分泌腺
(ホルモンを作る細胞)
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神経内分泌腫瘍(NET)
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・膵管がんに比べて進行がゆっくりな
ことが多いです
・ホルモンを過剰に作ることがあります
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このように膵臓がんには複数の種類があり、治療法も進化しています。 例えば、手術で切除できると判断された場合でも、 手術の前に化学療法(抗がん剤治療)を行うことがあります。 この方法で、生存期間が改善する可能性を示した研究報告もあります。
また、新しい治療法の研究も世界中で進められています。 伝統的な医学で使われてきた植物由来の成分に、 がん細胞の増殖を抑える働きがあることもわかってきました。 将来、膵臓がんの新しい治療法につながるかもしれません。 ご自身の状態を正確に診断してもらうことが、適切な治療への第一歩です。
膵臓がんの原因
膵臓がんが発生するはっきりとした仕組みは、まだ完全にはわかっていません。 しかし、がんになる可能性を高めてしまう要因(危険因子)は複数あります。 これらの要因が一つでもあるからといって、必ずがんになるわけではありません。 危険因子がいくつか重なることで、リスクが高まると考えられています。
主な危険因子として、以下のものが挙げられます。
- 喫煙 タバコに含まれる有害物質は、膵臓がんの最も大きな危険因子の一つです。
- 肥満 標準よりも体重が多すぎる状態は、体に負担をかけリスクを高めます。
- 糖尿病 特に、長期間にわたって糖尿病を患っている方は注意が必要です。
- 慢性膵炎(まんせいすいえん) 膵臓に長い間、炎症が続く病気も危険因子となります。
- 家族歴 血のつながりのあるご親族に、膵臓がんになった方がいる場合です。
また、日々の食生活も、膵臓がんの発症に深く関わることがわかってきました。 特に注意が必要なのは、ソーセージや菓子パン、カップ麺といった「超加工食品」です。 超加工食品は、工業的な製造過程で多くの添加物が加えられた食品を指します。
複数の研究を分析したある報告では、食生活と膵臓がんの関連が示されました。 超加工食品を最も多く食べる人は、最も少ない人と比べて、 膵臓がんになるリスクが49%も高くなる可能性が指摘されています。
これらの危険因子は、一つひとつは小さく見えるかもしれません。 しかし、日々の生活習慣が積み重なることで、将来の健康を左右するのです。 禁煙やバランスの良い食事、適度な運動などを心がけることが、 膵臓がんからご自身の体を守るための大切な一歩となります。
膵臓がんの症状
膵臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれ、がんが潜んでいても気づきにくいです。 症状が出たときには、病気が進んでいることも少なくありません。 体のささいな変化を見逃さないために、サインを知っておきましょう。
膵臓がんの主な症状チェックリスト
- □ お腹の上の方や背中が重苦しい、または痛む
- □ 体や白目が黄色っぽくなる(黄疸)
- □ ダイエットをしていないのに体重が急に減る
- □ 食欲がわかない、吐き気がする
- □ 便の色が白やクリーム色っぽくなる
- □ 急に糖尿病と診断された、または糖尿病が悪化した
これらの症状の中でも、腹痛や背中の痛み、体重減少は比較的よくみられます。 がんが大きくなって周りの神経を圧迫すると、鈍い痛みが続くのです。
また、がんが胆汁という消化液の通り道を塞いでしまうこともあります。 すると、胆汁が血液の中に逆流して、皮膚や目が黄色くなる「黄疸」が出ます。 胆汁が便に混ざらなくなるため、便が白っぽくなるのも特徴です。
特に注意したいのが、理由のない体重減少です。 これは、がん細胞が体の栄養をどんどん使ってしまうために起こります。 単に痩せるだけでなく、筋肉が落ちて体力が低下してしまうこともあります。 この状態を「サルコペニア」や「フレイル(虚弱)」と呼びます。 ある研究では、膵臓がんの患者さんで、この状態が多くみられると報告されました。 体力が落ちると、その後の治療にも影響が出る可能性があるため注意が必要です。
これらの症状は、膵臓がん以外の病気でも起こります。 しかし、複数当てはまる場合や、症状が続くときは自己判断しないでください。 できるだけ早く、お近くの医療機関を受診して相談することが大切です。
膵臓がんの検査・診断
膵臓は体の奥にあるため、がんがあっても症状が出にくく発見が難しいです。 そのため、いくつかの検査を組み合わせて、がんを慎重に探していきます。 がんの有無や場所、大きさを正確に知ることが、治療への第一歩です。
検査のステップ 膵臓がんの検査は、体に負担の少ないものから段階的に行われます。
- 手がかりを見つける検査
- 血液検査 がん細胞が作り出す「腫瘍マーカー(CA19-9など)」の値を調べます。 ただし、この数値だけでがんの診断はできず、あくまで一つの目安です。
- 腹部超音波(エコー)検査 お腹にゼリーを塗り、超音波の出る機械をあてて膵臓を観察します。 体に負担が少なく、外来ですぐにできる手軽な検査です。
- 詳しく調べる検査
- CT検査・MRI検査 体の輪切りのような詳しい写真を撮り、がんの正確な場所や大きさを調べます。 がんが周りの血管や臓器に広がっていないかも、ここで詳しく評価します。
- 診断を確定させる検査
- 精密検査と病理診断 CT検査などでがんが疑われた場合、胃カメラに似た内視鏡で詳しく調べます。 そして、がんが疑われる部分の細胞を少しだけ採って顕微鏡で観察します。 これを「病理診断」といい、がん細胞がいるかを確認して診断を確定します。
正確な診断は、その後の治療法を選ぶ上でとても重要です。 例えば、磁石の性質を持つ小さな粒子を使った温熱療法のような、 新しい治療法の研究も進められています。 ある研究では、この治療で生存期間が延びる可能性も示されました。 こうした治療の選択肢を広げるためにも、正確な診断は欠かせません。
また、診断の段階から、治療やその後の生活を見据えることも大切です。 手術を控えた方が自宅で運動をすることで、体力が改善したという研究報告もあります。 検査を受けて診断を待つだけでなく、治療に向けて体力を保つ意識も重要です。
膵臓がんの治療
膵臓がんの治療は、がんの進み具合やできた場所、体の状態を考えて決めます。 手術、お薬、放射線の3つが中心で、これらを組み合わせて治療を進めます。 お医者さんや看護師さんなど、チームで一番良い方法を一緒に考えます。
主な治療法
- 手術療法 がんを取り除き、病気を治すことを目指す治療の中心です。 最近では、手術の前にお薬の治療(化学療法)を行うこともあります。 先にお薬でがんを小さくすることで、手術でがんを取り除ける可能性が高まります。 この方法で、元気に過ごせる時間が延びる可能性を示した研究報告もあります。 また、手術に耐える体力を保つため、自宅での運動も大切です。 手術前に軽い運動を続けることで、体力が改善したという研究結果もあります。
- 化学療法(お薬の治療) 抗がん剤というお薬を使い、がん細胞が増えるのを抑える治療法です。 点滴や飲み薬で、全身に広がったがん細胞を攻撃することができます。 手術が難しい場合や、手術後にがんが再び現れるのを防ぐ目的で行います。
- 放射線療法 エネルギーの高い光線(X線など)を体の外からがんにあてる治療です。 がん細胞を狙い撃ちして、小さくする効果が期待できます。 多くの場合、お薬の治療(化学療法)と一緒に行われます。
これらの治療に加えて、世界中で新しい治療法の研究も進められています。 例えば、磁石の性質を持つとても小さな粒を使い、がんだけを温めて攻撃する治療法です。 ある研究では、この治療で生存期間が延びる可能性も示されました。
また、昔から薬草として使われてきた植物の成分にも注目が集まっています。 がん細胞が自ら壊れていく「アポトーシス」という仕組みを、 この成分が後押しすることが研究でわかってきました。 このように、治療の選択肢は少しずつですが、確実に増えています。