絨毛がん
妊娠したときに作られる「胎盤」から発生する、少し珍しい「絨毛がん」という病気をご存知でしょうか。妊娠や出産という喜ばしい経験の後に起こりうる病気であり、がんと聞くと、誰もが大きな不安を感じるかもしれません。
しかし、絨毛がんは他のがんと大きく異なり、抗がん剤が非常に効きやすいという大きな特徴を持っています。実際に、適切な治療によって治る見込みは非常に高く、5年後も元気に過ごしている方の割合は約90%と報告されています。
この記事では、絨毛がんの詳しい原因や症状、そして希望の持てる治療法について分かりやすく解説します。ご自身の体を守るために、まずは正しい知識を身につけましょう。
絨毛がんの概要
絨毛がんは、妊娠したときに作られる胎盤(たいばん)から発生する、少し珍しいタイプのがんです。胎盤とは、お腹の赤ちゃんに栄養を送るための大切な組織です。このがんは主に子宮にできますが、体の他の場所に広がりやすい(転移しやすい)性質も持っています。
絨毛がんの主な特徴をみていきましょう。
- 発生のもと 胎盤を作る「絨毛細胞」という細胞が、 がんになることで発生します。
- 発生のきっかけ 「胞状奇胎(ほうじょうきたい)」という、 絨毛細胞が異常に増える病気の後に起こることが多いです。 しかし、普通の妊娠や流産の後に見つかることもあります。
- 治療への反応 転移しやすい一面はありますが、 抗がん剤という、がん細胞と戦うお薬が、 とても効きやすいという大きな特徴があります。
がんの治療は、その危険性を慎重に見極めて方針を決めます。例えば、膵臓(すいぞう)のがんに関する研究では、腫瘍の大きさなどから悪性度を判断します。そして、すぐに手術をせずに、注意深く見守る(経過観察)という選択肢も考えられています。
この考え方は、絨毛がんの治療でも大切です。精密な検査で体の状態を正確に把握することで、一人ひとりに合った治療計画を立てられます。適切な治療を行えば、治る見込みは非常に高く、5年後も元気に過ごしている方の割合は約90%と報告されています。
絨毛がんの種類
絨毛がんは、「絨毛性疾患」という病気のグループの一員です。このグループには、がんだけでなく、性質がおだやかなものまで、いくつかの種類が含まれています。そのため、全ての絨-毛性疾患がすぐに手術が必要なわけではありません。
例えば、膵臓(すいぞう)にできる腫瘍の研究では、腫瘍の大きさなどから悪性の危険度を慎重に判断します。危険性が低いと判断されれば、すぐに手術せず、注意深く見守る「経過観察」という選択肢がとられることもあります。
この考え方は、絨毛性疾患の治療でも非常に重要です。精密な検査で病気の種類や状態を正確に見極め、一人ひとりに合った治療計画を立てていきます。
主な絨毛性疾患には、以下のようなものがあります。
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種類 |
主な特徴 |
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侵入胞状奇胎 |
胞状奇胎の組織が、子宮の筋肉の中に深く入り込んだ状態です。 がんではありませんが、抗がん剤による治療が必要です。 性質はおだやかで、お薬でほとんど治ることが期待できます。 |
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絨毛がん |
悪性度が高く、子宮の外へ広がりやすい(転移しやすい)性質があります。 しかし、抗がん剤というお薬がとても効きやすいという大きな特徴もあります。 |
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胎盤部トロホブラスト腫瘍(PSTT) |
非常に珍しい腫瘍です。 抗がん剤が効きにくいため、手術が主な治療法になります。 |
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類上皮性トロホブラスト腫瘍(ETT) |
PSTTと同じく、非常に珍しい腫瘍で、似たような性質を持っています。 |
このように、絨毛性疾患は種類によって性質や治療法が大きく異なります。だからこそ、専門の医師による正確な診断を受け、ご自身の状態に最も適した治療法を選択することが何よりも大切です。
絨毛がんの原因
絨毛がんの原因は、妊娠のときに作られる胎盤のもとになる「絨毛細胞」という細胞が、がん細胞に変わってしまうことです。なぜ細胞ががんに変わるのか、その詳しい仕組みはまだ完全には解明されていません。
しかし、絨毛がんを発症する方の多くは、その前に「胞状奇胎(ほうじょうきたい)」という状態を経験しています。
- 胞状奇胎とは? 受精卵のトラブルによって起こる異常な妊娠のことです。 お腹の赤ちゃんが育たず、代わりに胎盤になるはずの絨毛細胞が、 ぶどうの房のように異常に増えてしまう状態を指します。
- 危険性はどのくらい? 胞状奇胎を経験した全ての人が、絨毛がんになるわけではありません。 実際に絨毛がんに進むのは、胞状奇胎になった方のうち1~2%ほどです。
他のがんの研究、例えば膵臓(すいぞう)の腫瘍の研究では、腫瘍の「大きさ」や「壁在結節(へきざいけっせつ)」というこぶの有無が、悪性化する危険性と強く関係することがわかっています。
このように、がんになる前の段階で危険なサインを見つけることがとても重要です。絨毛がんの場合、この「胞状奇胎」という状態そのものが、がんへと進む危険性を高めるサインと考えられています。だからこそ、胞状奇胎の治療後は、慎重な経過観察が欠かせません。
また、まれではありますが、正常な出産や流産、中絶の後にも絨毛がんが発生することがあります。
絨毛がんの症状
絨毛がんの症状は、がんができた場所によって変わります。子宮にがんがある場合と、体の他の場所に広がった(転移した)場合とで、現れるサインが異なります。初期の段階では、症状に気づきにくいこともあります。
子宮にがんがあるときの症状
最も多く見られるのは、妊娠や出産が終わった後も続く、子宮からの異常な出血です。以下のようなサインに注意しましょう。
- 不正性器出血 胞状奇胎の治療後や、出産・流産が終わった後も、 生理でもないのに出血がだらだらと続く状態です。 これは最も一般的な症状です。
- 月経の異常 出産や流産の後に、正常な生理がなかなか始まらない、 または生理が来ない(無月経)ことがあります。
- つわりのような症状 妊娠が終わっているはずなのに、吐き気などの つわりのような不快な症状が続くことがあります。
他の場所へ広がったときの症状(転移の症状)
絨毛がんは、血液の流れに乗って、全身に広がりやすい特徴があります。特に肺への転移は、絨毛がんの約3分の2で見られます。
- 肺への転移 なかなか治らない咳や息切れが出たり、 血の混じった痰(たん)が出たりします。
- 脳への転移 ひどい頭痛やめまい、吐き気を感じることがあります。 手足のしびれやまひ、けいれんが起こることもあります。
- 肝臓への転移 お腹の右上のあたりに痛みを感じたり、 皮膚や白目が黄色くなる黄疸(おうだん)が現れたりします。
これらの症状は、病気を知るための大切なサインです。しかし、病気の危険度を正確に判断するには、症状だけでは不十分な場合があります。
例えば、膵臓(すいぞう)の腫瘍に関する研究では、症状がなくても、腫瘍の「大きさ」や「壁在結節(へきざいけっせつ)」というこぶの有無が、悪性かどうかを見極める重要な手がかりになると報告されています。
これは絨毛がんの診断でも同じ考え方が重要です。気になる症状があれば、自己判断せず専門の医師に相談し、検査で体の状態を正確に調べることが、適切な治療への大切な第一歩となります。
絨毛がんの検査・診断
絨毛がんの疑いがある場合、いくつかの検査を組み合わせて診断します。 体の状態を正確に把握し、最適な治療法を見つけるためです。 主に「血液検査」「画像検査」「病理検査」の3つの方法があります。
1. 血液検査
妊娠に関わるホルモン(hCG)の値を調べる検査です。 絨毛がんは、このhCGを大量に作り出す特徴があります。 妊娠が終わった後もhCGの値が高い場合、絨毛がんのサインと考えます。 この数値は、がんの勢いを知るための大切な指標になります。
2. 画像検査
超音波(エコー)やCT、MRIといった機械で体の中を撮影します。 がんの正確な場所や大きさ、広がり具合を確認するためです。 特に絨毛がんは肺に広がりやすいため、胸のCT検査は非常に重要です。
他のがんの研究では、腫瘍の「大きさ」や「こぶ」の有無が、 悪性度を判断する重要な手がかりになると報告されています。 絨毛がんでも、画像検査で得られる情報は治療計画に欠かせません。
3. 病理検査
がんが疑われる組織の一部を採取し、顕微鏡で詳しく調べます。 がん細胞があるかどうかを直接確認し、最終的な診断を確定します。 ただし、体の負担を考え、血液検査や画像検査の結果から、 総合的に診断を下すこともあります。
絨毛がんの治療
絨毛がんの治療法は、一人ひとりの状態に合わせて慎重に決められます。 がんの広がり具合や体の状態を正確に把握することが、治療の第一歩です。
治療方針は慎重に決める
例えば、膵臓(すいぞう)にできる腫瘍の研究報告があります。 その研究では、腫瘍の「大きさ」や「こぶ」の有無を調べます。 そして、悪性になる危険性が低い場合は、すぐに手術をしません。 手術をせずに、注意深く見守る「経過観察」という選択をします。
この考え方は、絨毛がんの治療でも非常に重要です。 精密な検査結果をもとに、がんの危険度や性質を正確に見極めます。 その上で、あなたに最も合った治療計画を立てていくのです。
治療の3つの柱
絨毛がんの治療は、主に以下の3つの方法を組み合わせて行います。 治療の中心は、抗がん剤を使う「化学療法」です。 絨毛がんは、他のがんと比べて抗がん剤が効きやすい特徴があります。
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治療法 |
内容 |
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化学療法 |
がん細胞をやっつけるお薬(抗がん剤)を点滴などで体に入れます。 がんの広がり具合に応じて、複数のお薬を組み合わせるのが一般的です。 |
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手術療法 |
抗がん剤の効果が十分でない場合や、がんが子宮に限られている場合に行います。 脳などに広がったがんを取り除くために手術をすることもあります。 |
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放射線治療 |
脳など、体の決まった場所にがんが広がった場合に行われることがあります。 化学療法や手術と組み合わせて、治療効果を高める目的で行います。 |
絨毛がんの治療成績は非常に良く、希望を持てる病気です。 5年後も元気に過ごしている方の割合は約90%と報告されています。 医師とよく相談し、ご自身の状態に合った治療に臨みましょう。










