手白癬

「手の水虫」と聞いて驚かれた方もいるかもしれません。手白癬は、足の裏などでお馴染みの水虫と同じ「白癬菌」というカビが手に感染して起こる病気です。

手のひらのガサガサや小さな水ぶくれなど、一見すると手荒れと勘違いしやすい症状が特徴ですが、放置すると症状が悪化することも。

2016年の国内調査では皮膚真菌症の約85.2%が白癬菌による病気と報告されており、手白癬も決して珍しくない身近な疾患です。この記事では、意外と知られていない手白癬の原因や主な症状タイプ、適切な対処法を詳しく解説。ご自身の手の異変を見逃さず、健康な手を取り戻しましょう。

手白癬の概要

「手の水虫」と聞くと、少し驚かれるかもしれません。 手白癬(てはくせん)は、足の裏などによくできる水虫と同じカビの仲間が、手に感染して起こる病気です。 このカビは「白癬菌(はくせんきん)」と呼ばれています。

普段の健康な手は、なめらかで乾燥していますね。 しかし、このカビが皮膚に入り込むと、手の表面にある「角質層(かくしつそう)」で増えていきます。 角質層とは、皮膚の一番外側の、体を守る固い層のことです。 そして、白癬菌が増えることで、手にかゆみや皮むけなどの症状が出てきます。

手白癬は、足の水虫を触った手からカビが移ることで、発症する場合が多く見られます。 これは「自己感染(じこかんせん)」と呼ばれるものです。 そのため、足に水虫がある方は、特に注意が必要となるでしょう。

実は、手白癬は決して珍しい病気ではありません。 日本では、カビが原因で起こる皮膚の病気を「皮膚真菌症(ひふしんきんしょう)」と呼びます。 2016年に日本で行われた調査では、皮膚真菌症と診断された全6,776例の患者さんで、約85.2パーセントが白癬菌による病気であったと報告されています。

白癬菌による病気の中でも、足の水虫である「足白癬(あしはくせん)」が3,314例、爪の水虫である「爪白癬(つめはくせん)」が1,634例と多くを占めます。 しかし、手白癬も決して少なくない、身近な皮膚の病気の一つなのです。 手白癬の主な原因となるカビは、「トリコフィトン・ルブルム」という種類であることが多いです。

もし、手の皮膚に何か異常を感じたら、早めに皮膚科を受診しましょう。 早期に対処することで、症状の悪化を防ぎ、手の健康を取り戻すことができます。

手白癬の種類

手の皮膚に現れる「手白癬」の症状は、患者さんによってさまざまです。この病気は「白癬菌(はくせんきん)」というカビが原因で起こりますが、実は皮膚に住み着くカビは白癬菌だけではありません。たとえば、「カンジダ菌」という別の種類のカビも、皮膚に病気を起こすことがあります。カンジダ菌が原因で、わきの下や股の間に赤みやただれができる「カンジダ性間擦疹(かんじだせいかんさつしん)」という病気もあるのです。このように、皮膚の病気を起こすカビにも、いくつかの種類があることが分かっています。

手白癬は、症状の現れ方によって大きく分けて二つの種類があります。これは、カビの増え方や、皮膚のどの部分に特に影響が出やすいかによって決まります。

角質増殖型(かくしつぞうしょくがた)

  • 手のひらがガサガサになるタイプです。
  • 健康な手の皮膚はしっとりしていますが、このタイプでは、皮膚が厚く硬くなってしまいます。
  • ひどくなると、乾燥した冬のように、ひび割れて痛みを感じることもあります。
  • このタイプの大きな特徴は、かゆみをほとんど感じないことです。
  • そのため、多くの方が「ただの手荒れだ」と思い込んでしまい、治療が遅れてしまうことがあります。
  • 特に、手のひら全体や指のつけ根の部分から症状が広がりやすい傾向があります。
  • 通常の乾燥肌や手湿疹(しっしん)との区別は、皮膚科の先生による詳しい診察が必要です。

小水疱型(しょうすいほうがた)

  • 小さな水ぶくれができるタイプです。
  • 手のひらや指の間に、プツプツとした小さな水ぶくれがいくつも現れます。
  • この水ぶくれには、強いかゆみを伴うことがよくあります。
  • かゆくてついついかきむしってしまうと、水ぶくれが破れてしまい、さらに症状が広がってしまうこともあります。
  • 特に、汗をかきやすい夏場に症状が悪化しやすい傾向があるため、注意が必要です。

どちらのタイプも、見た目では他の皮膚の病気と見分けるのが難しいことがあります。自己判断で「これは手荒れかな」と市販薬を使うと、かえって症状を悪化させてしまう可能性もあります。もし手の皮膚に何かおかしいなと感じたら、できるだけ早く皮膚科を受診して、適切な診断と治療を受けることが大切です。

手白癬の原因

手白癬は、「白癬菌(はくせんきん)」というカビが原因で起こる皮膚の病気です。このカビは、私たちの手の表面にある「角質層(かくしつそう)」という部分をとても好みます。角質層は、体を守る皮膚の一番外側の層で、硬い「ケラチン」というタンパク質でできています。白癬菌は、このケラチンを栄養にしてどんどん増えていくのです。

手白癬になる一番多い原因は、ご自身の足にある「水虫」からカビが手に移ってしまうことです。これを「自己感染(じこかんせん)」と呼びます。足の水虫を触った手で、そのまま何もせずに他の場所を触ると、カビが手に移ってしまう可能性があります。

日本で行われた調査では、皮膚にカビが感染する病気のうち、約85%が白癬菌によるものだと報告されています。その中でも、足の水虫が最も多く、次に爪の水虫が多いことがわかっています。そして、この白癬菌のほとんどは「トリコフィトン・ルブルム」という種類のカビです。足の水虫の原因として最も多いこのカビが、手に移って手白癬を引き起こすことが多いのです。

ご家族の中に足の水虫の方がいる場合も注意が必要です。例えば、家族みんなで使うタオルや足ふきマットを共用することで、カビが手にうつってしまうことがあります。ご家族間での感染を防ぐためにも、清潔に保ち、共用は避けるようにしましょう。

白癬菌は、ジメジメしていて暖かい場所がとても好きです。水仕事が多くて手が濡れている時間が長い方や、長時間手袋をしている方は、手が蒸れやすくなります。このような環境では、白癬菌が増えやすくなるため、手白癬にかかるリスクが高まります。また、手に小さな傷があると、そこからカビが皮膚の中に入り込みやすくなることもあります。普段から手を清潔に保ち、乾燥させることを心がけることが大切です。

手白癬の症状

手白癬は、カビの仲間が手に感染して起こる病気です。 もし手のひらや指に、普段とは違う変化が現れたら、手白癬のサインかもしれません。 ただの肌荒れだろうと自己判断してしまうと、症状がどんどん広がってしまうことがあるため注意が必要です。

この病気の症状は、大きく分けて2つのタイプがあります。 一つは手のひらなどがガサガサになる「角質増殖型(かくしつぞうしょくがた)」です。 もう一つは小さな水ぶくれができる「小水疱型(しょうすいほうがた)」と呼ばれます。 どちらのタイプも、健康な手の皮膚とは明らかに違う変化が見られます。

「角質増殖型」は、手のひらや指の皮膚が厚く硬くなる特徴があります。 白い粉を吹いたように見えたり、ひび割れて痛みを伴ったりすることもあります。 かゆみをほとんど感じないことも多いため、乾燥による手荒れと勘違いしやすいタイプです。 しかし、放置すると皮膚の深い部分までカビが入り込み、治療が難しくなることもあるので気をつけましょう。

「小水疱型」は、手のひらや指の側面に、プツプツとした小さな水ぶくれが現れます。 この水ぶくれには、強いかゆみを伴うことが特徴です。 かきむしると水ぶくれが破れてしまい、そこから皮膚がむけ落ちて赤くただれてしまうこともあります。 特に汗をかきやすい夏場は、症状が悪化しやすい傾向があるため注意が必要です。

どちらのタイプであっても、手の皮膚が全体的に赤くなったり、うろこ状に剥がれ落ちたりする症状が見られることがあります。 多くの場合、利き手など片方の手だけに症状が出やすいことも、手白癬の特徴の一つです。 また、手の白癬菌が爪にも移り、爪が厚くなったり変色したりする「爪白癬(つめはくせん)」を併発することもあります。

手白癬の症状の現れ方には、日本全国で大きな違いは見られないことがわかっています。 2016年に日本で行われた皮膚真菌症の調査では、地域による症状の頻度に有意な差はないと報告されています。 そのため、お住まいの地域に関わらず、気になる手の症状があれば皮膚科を受診しましょう。 かゆみがなくても、手や爪に普段と違う変化があれば、早めに専門医に相談することが大切です。 早期発見と適切な治療で、症状の悪化を防ぎ、手の健康を取り戻すことができます。

手白癬の検査・診断

もし手のひらがガサガサしたり、小さな水ぶくれができたりしたら、心配になりますよね。 「これって手荒れかな?」と自分で思っても、まずは私たち皮膚科の先生に相談することがとても大切です。 自己判断で市販薬を使うと、かえって症状が悪くなったり、手白癬ではない別の病気を見逃してしまったりする可能性があるからです。

クリニックでは、まず先生が皆さんの話をじっくりと聞きます。 いつごろから、どんな症状があるのか、ご家族の中に足の水虫など同じような症状の人がいないかなどを確認します。 そして、皆さんの手の状態を直接見て、どこに症状が出ているか、どんな特徴があるかなどを詳しく調べます。

手白癬かどうかをはっきりと診断するために、一番大切なのが「顕微鏡(けんびきょう)検査」です。 この検査では、かゆみがある部分や皮がむけている部分など、症状が出ているところの皮膚を、ほんの少しだけ採取させていただきます。 「痛いのかな?」と心配になるかもしれませんが、痛みはほとんどありませんので安心してくださいね。

採取した皮膚を特別な液で処理し、小さなカビを見るための機械(顕微鏡)で拡大して観察します。 そうすると、もし手白癬であれば、「白癬菌(はくせんきん)」という悪いカビがいるかどうかを直接確認することができるのです。 日本で行われた調査では、皮膚にいる悪いカビの約85%が白癬菌による病気だとわかっています。 そして、白癬菌の中でも「トリコフィトン・ルブルム」という種類が、手白癬の一番よくある原因の悪いカビです。

この顕微鏡検査は、手白癬とよく似た症状が出る「湿疹(しっしん)」や「掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)」などの他の病気と見分けるためにも、とても重要な検査です。 私たち医師は、皆さんの手を守るために、この検査をとても大切にしています。 もし顕微鏡検査で白癬菌がはっきり見つからなかった場合や、さらに詳しいカビの種類を知りたい場合には、「培養(ばいよう)検査」を行うこともあります。 これは、採取した皮膚を育てて、どんなカビが増えてくるかを確認する検査です。 結果が出るまでに数週間かかることもありますが、より確実な診断のために行われることがあります。

正確な診断が、手白癬をきちんと治していくための最初のステップとなります。 手の症状に気づいたら、早めに皮膚科を受診して、適切な診断と治療につなげましょう。

手白癬の治療

手白癬は、カビの仲間が原因となる病気です。 しかし、適切な治療を根気強く続けることで、症状は改善し、健康な手を取り戻すことができます。 「もしかして手白癬かな?」と気づいたら、早めに皮膚科を受診することが大切です。 自己判断で市販薬を使うと、かえって症状を悪化させてしまうこともあるので注意しましょう。

手白癬の治療には、主に2つの方法があります。

  • 塗り薬(外用薬)
  • 手白癬の症状が比較的軽かったり、まだ皮膚の表面だけにとどまっていたりする時に使います。
  • 塗り薬には、白癬菌というカビを退治する成分が入っています。
  • 手白癬の原因となるカビは「トリコフィトン・ルブルム」という種類であることが多く、そのカビにしっかり効く薬を選んで治療を進めます。
  • 症状が良くなったように見えても、皮膚の奥にはまだカビが残っていることがあります。
  • 医師が指示した期間は、毎日忘れずに塗ることがとても重要です。
  • 途中でやめてしまうと、せっかく治りかけていたのに、また再発してしまうことがあります。
  • 飲み薬(内服薬)
  • 症状が手の広い範囲に広がっている場合や、塗り薬だけではなかなか治らない時に飲み薬を考えます。
  • 特に、爪にまでカビが移って「爪白癬(つめはくせん)」を併発している場合は、飲み薬が効果的です。
  • 2016年の日本で行われた調査では、皮膚に起こるカビの病気(白癬症)の中で足の水虫(足白癬)が最も多く、次に爪白癬が多いことが分かっています。
  • 飲み薬は、体の内側からカビに働きかけて、しっかりと退治してくれます。
  • 薬の種類や飲む期間は、患者さんの状態やカビの種類によって異なります。
  • 医師の指示通りに服用し、最後まで飲み切ることが完治への近道です。

手白癬の治療では、足の水虫(足白癬)も一緒に治すことがとても大切です。 なぜなら、足から手にカビが移って手白癬になることが多いためです。 もし足に水虫がある場合は、治療と同時に、タオルなどを共有しないように気をつけることで、ご家族への感染も防ぐことができます。 治療期間は、症状の重さによって数週間から数ヶ月かかることもあります。 焦らず、根気強く治療を続けることで、必ず健康な手に戻ることができますので安心してください。