小児ネフローゼ症候群
「朝起きるとお子さんのまぶたが腫れぼったい」「急に体重が増えた気がする」。そんな日常の些細な変化に、不安を感じたことはありませんか?その見慣れない様子は、もしかしたら腎臓が発している大切なサインかもしれません。
小児ネフローゼ症候群は、2歳から6歳のお子さんに多く見られる腎臓の病気です。実は、お子さんの約9割ははっきりした原因がわからずに発症します。多くはステロイド治療で改善しますが、約17%は薬が効きにくいタイプとされ、早期の的確な診断がその後の治療を大きく左右します。
この記事では、ご家庭で気づける症状のチェックリストから、原因、検査、治療法までを専門医がわかりやすく解説します。大切なお子さんの変化を見逃さないために、まずは正しい知識を身につけませんか?
小児ネフローゼ症候群の概要
小児ネフローゼ症候群は、腎臓の病気の一つです。 腎臓には、血液をきれいにするフィルターがあります。 このフィルターの調子が悪くなることが原因です。 体に必要な「たんぱく質」という栄養が、 尿と一緒にたくさん外へ出ていってしまいます。
血液中のたんぱく質が減ると、体の水分が乱れます。 その結果、まぶたや足を中心に全身がむくみます。 このむくみの症状を「浮腫(ふしゅ)」と呼びます。
この病気のポイントを、以下にまとめました。
- どんな病気? 腎臓のフィルターから、大事なたんぱく質が たくさん尿へ漏れ出てしまう病気です。
- 主な症状は? まぶたや足の「むくみ」です。 急に体重が増えることもあります。
- 誰に多い? 2歳から6歳くらいのお子さんに多く見られます。 特に男の子に多い傾向があります。
- 原因は? お子さんの場合の約9割は、はっきりした原因が わからない「特発性」というタイプです。
治療はステロイドというお薬を使うことが基本です。 しかし、お子さんによってはお薬が効きにくい 「ステロイド抵抗性」と呼ばれるタイプもあります。 ある研究では、この病気のお子さんの約17%が ステロイドの効きにくいタイプだったとされます。
特に、発症したときの年齢が少し高かったり、 尿検査で血が混じっている(血尿)場合は、 お薬が効きにくい可能性を示すサインです。 早めに専門の医師に相談することが大切です。
小児ネフローゼ症候群の種類
小児ネフローゼ症候群は、いくつかの種類に分けられます。 「原因」と「お薬の効き方」という2つの見方で分類します。 どのタイプかを知ることが、治療の第一歩になります。
原因による分類
まず、病気がなぜ起こったのか、その原因で分けます。
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種類 |
特徴 |
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特発性(とくはつせい) |
はっきりした原因がわからず、腎臓のフィルターが 急に不調になるタイプです。 お子さんの約9割がこの種類にあたります。 |
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二次性(にじせい) |
血管の病気など、ほかの病気がきっかけとなって 起こるタイプです。 |
お薬の効き方による分類
お子さんのほとんどを占める「特発性」は、さらに分類します。 治療で使う「ステロイド」というお薬への反応で見分けます。
- ステロイド感受性(かんじゅせい) ステロイドがよく効いて、尿たんぱくが消えるタイプです。 多くのお子さんはこのタイプなので、ご安心ください。
- ステロイド抵抗性(ていこうせい) ステロイドを一定期間使っても、なかなか効かないタイプです。 ある研究では、お子さんの約17%がこのタイプとされます。
発症した年齢が少し高い場合や、高血圧の症状、 尿に血が混じる「血尿(けつにょう)」があると、 お薬が効きにくいサインかもしれません。
特に、見た目ではわからなくても検査でわかる 「顕微鏡的血尿」は、重要な手がかりになります。 この場合は、腎臓を詳しく調べる検査をしたり、 別の治療薬を考えたりする必要があります。
小児ネフローゼ症候群の原因
「なぜうちの子が?」と、ご心配になりますよね。 実は、小児ネフローゼ症候群の詳しい原因は、 まだはっきりとわかっていないことがほとんどです。
原因が特定できないものを「特発性」と呼びます。 この病気のお子さんの、約9割がこのタイプです。 体をバイ菌などから守る「免疫」という仕組みが、 何かのきっかけで腎臓を攻撃してしまうため、 と考えられています。
ごくまれに、血管の病気などがきっかけで起こる 「二次性」というタイプもあります。
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種類 |
原因と考えられること |
割合 |
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特発性(とくはつせい) |
はっきりした原因は不明です。 体を守る仕組み(免疫)の 異常が関係すると考えられています。 |
約90% |
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二次性(にじせい) |
ほかの病気(血管の病気など)や お薬の影響で起こります。 |
約10% |
このように原因不明なことが多い病気ですが、 最近の研究でお薬の効きやすさのヒントが 少しずつわかってきました。
ある研究では、この病気のお子さんの約17%が 初めに使うステロイドというお薬が 効きにくいタイプだったと報告されています。
特に、発症した年齢が少し高い場合や、 目には見えないわずかな血尿(顕微鏡的血尿)は、 お薬が効きにくい可能性を示すサインです。 早めに治療の方針を決めるための大切な情報です。
小児ネフローゼ症候群の症状
この病気のサインは、少し分かりにくい変化から始まります。 「なんだか元気がないな」と感じることが最初のきっかけです。
最も特徴的な症状は「むくみ(浮腫)」です。 はじめは朝起きたとき、まぶたが腫れぼったい程度です。 次第に足や、男の子ではおちんちんの袋までむくみます。 お子さまの様子で、気になる点がないか確認しましょう。
【おうちでできる症状チェックリスト】
- 見た目の変化
- 朝、まぶたが腫れぼったい
- 顔全体がふっくらして見える
- 足のすねを指で押すと、へこんだまま戻りにくい
- いつも履いている靴がきつくなった
- おしっこや体重の変化
- 短い期間で体重が急に1〜2kg増えた
- おしっこの量が減った
- おしっこが石鹸水のように泡立つ
- 体全体の調子
- 元気がなく、食欲もない
- お腹が張る、痛がる、下痢をする
- むくみがひどくなると、息苦しそうにする
また、見た目では分かりにくい症状も重要です。 血圧が高くなったり、尿に血が混じる「血尿」も この病気の大切なサインです。
ある研究では、目には見えないわずかな血尿(顕微鏡的血尿)は お薬の効きやすさに関係すると報告されています。 気になる症状があれば、早めに小児科を受診してください。
小児ネフローゼ症候群の検査・診断
お子さんのむくみなどから病気が疑われる場合、 まず検査で体の状態を詳しく調べて診断を確定します。 主に「おしっこの検査」と「血の検査」が中心です。
診断のために行う、基本の検査は以下のとおりです。
- おしっこの検査(尿検査) 体の栄養である「たんぱく質」が、 尿に大量に漏れ出ていないかを調べます。 これが診断で最も重要なポイントになります。
- 血の検査(血液検査) 血液中のたんぱく質(特にアルブミン)が 減っていないか(低アルブミン血症)を確認します。 コレステロールなどの脂質が増えていないかも見ます。
これらの検査で診断がつくと、さらに詳しく調べます。 むくみでお腹や胸に水がたまっていないかなどを、 レントゲン検査や超音波(エコー)検査で確認します。
また、検査結果から治療薬の効きやすさも予測します。 ある研究では、この病気のお子さんの約17%が、 初めに使うステロイドというお薬が 効きにくいタイプだったと報告されています。
お薬が効きにくい可能性を示すサインは以下の通りです。
- 病気が始まったときの年齢が少し高い
- 目には見えないわずかな血尿(顕微鏡的血尿)
- 血圧が高いこと
特に、目に見えない血尿は治療方針を決める上で、 とても重要な手がかりになります。 もしお薬が効きにくい場合や、他の病気が疑われる際は、 「腎生検(じんせいけん)」という検査を行うこともあります。 腎臓の組織を少しだけ採って、顕微鏡で詳しく調べる検査です。
小児ネフローゼ症候群の治療
この病気の治療は、入院して行うことが基本です。 お薬の力で、腎臓のフィルターを休ませてあげます。 体調を整えながら、じっくり治療を進めていきましょう。
治療の中心となるのは、「ステロイド」というお薬です。 これは、体の免疫の働きを穏やかに調整するお薬です。 腎臓への攻撃を抑え、フィルターの調子を整えます。
多くのお子さん(約8〜9割)は、このお薬がよく効きます。 治療を始めて2〜3週間ほどで、尿たんぱくが消えます。 この良い状態を「寛解(かんかい)」と呼びます。 寛解になったら、お薬の量をゆっくり減らしていきます。
しかし、良くなっても約7割のお子さんは再発をします。 再発をくり返す「頻回再発型」のお子さんや、 お薬を減らすと再発する「ステロイド依存性」の場合は、 「免疫抑制剤」という別のお薬を一緒に使うこともあります。
ごくまれに、ステロイドが効きにくいお子さんもいます。 ある研究では、お子さんの約17%がこのタイプとされます。 特に、発症した年齢が少し高い場合や、 目に見えない血尿(顕微鏡的血尿)があると、 お薬が効きにくいサインの可能性があります。 その場合は「腎生検」で腎臓の状態を詳しく調べます。 そして、その子に一番合った治療法を慎重に決めます。
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お薬の効き方による分類 |
主な治療法 |
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ステロイドが効くタイプ (ステロイド感受性) |
・ステロイド薬を飲みます。 ・良くなったら少しずつ薬を減らします。 |
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再発をくり返すタイプ (頻回再発型・ステロイド依存性) |
・ステロイド薬を飲みます。 ・免疫抑制剤という別のお薬も使います。 |
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ステロイドが効きにくいタイプ (ステロイド抵抗性) |
・腎生検で腎臓の状態を詳しく調べます。 ・その子に合った別の治療を考えます。 |










