シェーグレン症候群

「目がゴロゴロするドライアイ」「口がネバネバするドライマウス」。こうしたありふれた不調を、単なる疲れや加齢のせいだと見過ごしていませんか?もしかしたらそれは、体を守るはずの免疫が誤って自身を攻撃してしまう自己免疫疾患、「シェーグレン症候群」のサインかもしれません。

この病気の影響は目や口の乾燥だけにとどまらず、関節痛や原因不明の疲労感など、全身に及ぶ可能性があります。特に注意すべきは肺の合併症で、複数の研究を分析した結果、患者さんの約23%に肺が硬くなる「間質性肺疾患」が合併すると報告されており、特に男性は注意が必要です。

この記事では、シェーグレン症候群の知られざる全体像から、見逃してはならない症状、検査、治療法までを詳しく解説します。あなたのその不調、放置せずに原因を探ってみませんか。

シェーグレン症候群の概要

シェーグレン症候群は、体を守る免疫の異常によって起こります。 免疫が自分自身の体を攻撃してしまう「自己免疫疾患」の一種です。 主に涙や唾液をつくる部分が攻撃され、乾燥症状がみられます。

  • 目の乾燥(ドライアイ) 目がゴロゴロしたり、光をまぶしく感じたりします。
  • 口の乾燥(ドライマウス) 口が渇いて食べ物が飲み込みにくくなる、虫歯が増えるなどです。

この病気の影響は、目や口の乾燥だけにとどまりません。 関節の痛みや皮膚の乾燥、原因のわからない疲労感など、 症状が全身に及ぶ可能性があるため注意が必要です。

特に重要な合併症として、肺の病気があります。 複数の研究報告を分析した結果、患者さんの約23%に 「間質性肺疾患」という病気が合併することがわかっています。 これは肺が硬くなり、息切れなどを引き起こす病気です。 特に男性は、この肺の合併症に注意が必要とされています。

シェーグレン症候群の種類

シェーグレン症候群は、原因となる他の病気があるかどうかで、 大きく2つのタイプに分けられます。 この分類は、今後の治療方針を決めるうえでとても大切です。

  • 一次性(原発性)シェーグレン症候群 シェーグレン症候群だけが、単独で発症するタイプです。 体の不調の原因が、この病気だけである状態を指します。
  • 二次性シェーグレン症候群 他の病気と一緒に発症するタイプを指します。 特に関節リウマチなど、「膠原病(こうげんびょう)」と 呼ばれる病気に合併することが多くみられます。 膠原病は、シェーグレン症候群と同じく 免疫の異常によって起こる病気の仲間です。

また、症状が現れる場所によっても分類されます。 目や口の乾燥症状を「腺症状」と呼びます。 それ以外の関節や皮膚、内臓の症状を「腺外症状」と呼びます。

腺外症状のなかでも、特に一次性の患者さんで注意が必要なのは、 前の章で触れた肺の合併症、「間質性肺疾患」です。 ある研究の分析では、男性であることが肺の病気を発症する 独立した危険因子であることが示唆されています。 そのため、男性の患者さんは特に肺の状態を注意深く診ていきます。

シェーグレン症候群の原因

シェーグレン症候群がなぜ起こるのか、 そのはっきりした原因はまだわかっていません。 しかし、体の「免疫」というシステムの異常が、 病気の正体であることは明らかになっています。

免疫は、ウイルスなどから体を守る大切な働きをします。 ところが、何かのきっかけで自分自身の体を 誤って攻撃してしまうことがあります。 これを「自己免疫疾患」と呼びます。

シェーグレン症候群では、この免疫の異常な働きが、 主に涙や唾液をつくる「腺組織」に向けられます。 なぜ免疫の異常が起こるのかについては、 いくつかの要因が複雑に絡むと考えられています。

  • 遺伝的な要因 特定の遺伝子を持つ人が、 発症しやすい傾向にあることが知られています。
  • 環境的な要因 ウイルスへの感染などが引き金となり、 免疫の異常が始まるのではないかと考えられています。
  • 女性ホルモンの影響 患者さんの多くが女性であることから、 女性ホルモンが関わっている可能性も指摘されています。

また、免疫の異常は目や口だけでなく、全身に及びます。 特に肺が硬くなり息切れなどを起こす「間質性肺疾患」は、 注意すべき合併症の一つです。 複数の研究を分析した結果、患者さんの約23%に この肺の合併症がみられると報告されています。

研究では、男性であることが肺の合併症を発症する 独立した危険因子であることも示唆されました。 そのため、男性の患者さんは特に肺の状態を 注意深く診ていく必要があります。

シェーグレン症候群の症状

シェーグレン症候群の症状は、大きく2種類に分けられます。 涙や唾液をつくる「腺組織」に現れる「腺症状」と、 体のさまざまな部分に起こる「腺外症状」です。 どのような症状が出るかは、人によって大きく異なります。

腺症状(目や口の乾燥)

この病気の代表的な症状は、目と口の強い乾燥感です。

  • 目の症状(ドライアイ) 涙の量が減ることで、目がゴロゴロしたり傷ついたりします。 光をいつもよりまぶしく感じたり、目が疲れやすくなります。
  • 口の症状(ドライマウス) 唾液が出にくくなり、口の中が乾いてネバネバします。 乾いた食べ物が飲み込みにくく、長く話すのがつらくなります。 また、虫歯や口内炎ができやすくなるのも特徴です。

腺外症状(全身にあらわれる症状)

乾燥だけでなく、全身にさまざまな症状が出ることがあります。

  • 皮膚 皮膚が乾燥して、かゆみが出ることがあります。
  • 関節 関節に痛みが出たり、朝起きると手が動かしにくくなります。
  • 全身 原因がわからない熱が出たり、強いだるさが続きます。
  • 肺 痰のからまない空咳や、少し動いただけでの息切れです。

特に肺の症状は、注意深く見ていく必要があります。 複数の研究を分析した結果、患者さんの約23%に 「間質性肺疾患」という病気が合併することがわかっています。 これは肺が硬くなり、息切れなどを引き起こす病気です。

この肺の合併症は、病気のその後に影響することがあります。 研究では、特に男性の患者さんは肺の病気を発症しやすい 傾向があることも示唆されています。 気になる症状があれば、早めに専門医に相談しましょう。

シェーグレン症候群の検査・診断

シェーグレン症候群の診断は、一つの検査だけで決まりません。 患者さんからお聞きする症状と、客観的な検査結果を、 専門の診断基準に照らし合わせて総合的に判断します。 まるでパズルのピースを一つひとつ集めるような作業です。

主な検査には、以下のものがあります。

  • 眼科での検査 涙の量や目の表面の状態を詳しく調べます。 – シルマー試験 目盛りのついた専用紙を下まぶたにはさみ、 5分間で涙がどれくらい染み込むかを測定します。 – ローズベンガル試験など 特殊な色素で目の表面を染め、乾燥による傷がないか、 顕微鏡で詳しく観察する検査です。
  • 唾液の量を調べる検査 唾液をつくる機能が低下していないかを確認します。 – ガムテスト ガムを10分間噛み続け、その間に出る唾液の量を測ります。 – 唾液腺シンチグラフィ 唾液腺の働きを画像で見る検査です。 薬が唾液腺に取り込まれ、口の中に分泌される様子を評価します。
  • 血液検査 自分の体を攻撃してしまう「自己抗体」がないか調べます。 シェーグレン症候群に特有の「抗SS-A抗体」や 「抗SS-B抗体」の有無は、診断の重要な手がかりです。
  • 組織検査(生検) 診断を確定するために行われることがある検査です。 下唇の裏側を小さく切開し、唾液腺の組織を少しだけ採取します。 免疫細胞が唾液腺に集まっていないかを顕微鏡で確認します。

また、この病気は目や口だけでなく全身に影響が及ぶため、 肺の状態を調べることも非常に重要です。 複数の研究報告を分析した結果、患者さんの約23%に 「間質性肺疾患」という肺の病気が合併することがわかっています。 そのため、必要に応じて胸のCT検査や呼吸機能検査も行います。 特に男性の患者さんは肺の合併症が起こりやすいため、 より注意深く検査を進めていきます。

シェーグレン症候群の治療

シェーグレン症候群を根本から治す治療法はまだありません。 そのため、治療の目標は大きく2つに分けられます。 つらい症状を和らげて生活の質を保つことと、 病気の活動性を抑えて進行を防ぐことです。

治療は、主に乾燥症状に対するものと、 全身の症状に対するものの2本柱で進めます。 患者さん一人ひとりの状態に合わせた治療が大切です。

乾燥症状に対する治療

目や口など、体の表面に現れる乾燥症状を和らげます。 それぞれの場所に応じた、きめ細やかなケアが重要です。

  • 目の乾き(ドライアイ)
  • 人工涙液やヒアルロン酸を含む点眼薬で、目の潤いを補います。
  • 涙の出口である涙点(るいてん)に栓をして、 自分の涙を目に留まりやすくする治療も有効です。
  • 口の乾き(ドライマウス)
  • 唾液の分泌を促すお薬や、人工唾液を使用します。
  • こまめな水分補給やうがいも大切です。
  • 唾液が減ると虫歯になりやすいため、 定期的な歯科受診と丁寧な歯磨きが欠かせません。

全身の症状に対する治療

関節や内臓など、全身に症状が及ぶ場合は、 免疫の異常な活動を抑える治療が必要になります。

  • 関節の痛み
  • 炎症を抑えるお薬(非ステロイド性抗炎症薬)を使い、 関節の痛みを和らげます。
  • 内臓の病変(特に肺)
  • 注意すべき合併症に、肺が硬くなる「間質性肺疾患」があります。
  • 複数の研究をまとめた分析では、患者さんの約23%に この肺の病気が合併すると報告されています。
  • この病気は、将来の健康に影響を与える可能性があるため、 早期発見と治療が非常に重要です。
  • 研究では、特に男性の患者さんは肺の合併症を起こす 危険性が高いこともわかっています。
  • 肺など重い症状には、免疫の過剰な働きを抑える ステロイドや免疫抑制薬を使って治療を進めます。