参考論文
GLP-1 Receptor Agonists and Risk of Adverse Cerebrovascular Outcomes in Type 2 Diabetes: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials – PubMed
, Stefanou MI, et al., Dergunova LV, Filippenkov IB, Limborska SA, Myasoedov NF., Banerjee M, Maisnam I, Mukhopadhyay S., He L, Wang J, Ping F, Yang N, Huang J, Li Y, Xu L, Li W, Zhang H., Mainak Banerjee et al., Qin J, Song L., Gera A, et al., Satinath Mukhopadhyay 1 ,, Rimesh Pal 2 ,, Bilen Y, et al., Dergunova LV, et al., Wei J, Yang B, Wang R, Ye H, Wang Y, Wang L, Zhang X., Pan SY, et al., Mainak Banerjee 1 ,, Banerjee M, et al., Milloh-Raz H, et al., Milloh-Raz H, Twig G., Kirthana Nair 2, Bilen Y, Almoushref A, Alkwatli K, Osman O, Mehdi A, Sawaf H., Qin J, et al., Wei J, et al., Lee HY, et al., He L, et al., Pan SY, Weng CH, Tsai SF, Sheen YJ, Lin HJ, Tien PT, Lin JF, Lin CH, Wang IJ, Chou CC.
- 研究目的・背景: 2型糖尿病患者におけるGLP-1受容体作動薬(GLP-1RAs)が虚血性/出血性脳卒中および一過性脳虚血発作(TIA)に与える影響は未解明であるため、これらのGLP-1RAの脳血管イベントに対する効果を統合し、ベースライン変数が効果に与える影響を調査することを目的とした。
- 主要な手法・アプローチ: 2型糖尿病成人を対象とした24週間以上の無作為化比較試験(RCTs)を対象に、PubMed、Embase、Web of Science、Cochrane Libraryなどのデータベースを検索したシステマティックレビューおよびメタアナリシスを実施。GLP-1RA治療群と対照群の脳血管イベントのリスク比(RR)を固定効果モデルを用いて算出し、統合した。個別薬剤、治療期間、ベースライン患者特性に基づいたサブグループ解析を行い、エビデンスの質はGRADEフレームワークで評価した。
- 主要な結果・知見:
- 28のRCTs、計74,148人の患者が特定された。
- GLP-1RAの使用は、対プラセボ/アクティブ比較薬と比較して、有害な脳血管イベントのリスクを有意に減少させた(RR 0.83; 95% CI 0.76-0.91)。
- 非致死性脳卒中のリスク減少(RR 0.85; 95% CI 0.76-0.94)と関連したが、致死性脳卒中では関連しなかった(RR 0.80; 95% CI 0.61-1.05)。
- 虚血性脳卒中(RR 0.73; 95% CI 0.60-0.89)および虚血性脳卒中/TIA複合(RR 0.76; 95% CI 0.65-0.90)のリスク減少と関連したが、出血性脳卒中とは関連しなかった(RR 0.92; 95% CI 0.51-1.64)。
- 治療効果はベースラインのeGFRおよび糖尿病罹病期間によって異なり、デュラグルチド、皮下/経口セマグルチドで統計的に有意な効果が認められた。
- 結論・今後の展望: GLP-1RAs、特に長時間作用型製剤は、2型糖尿病患者の虚血性脳血管イベントを減少させた。この効果は、糖尿病罹病期間が短い患者とeGFRが高い患者でより顕著であった。
- GLP-1受容体作動薬(GLP-1RAs)は、2型糖尿病患者の有害な脳血管イベント、特に虚血性脳卒中および一過性脳虚血発作(TIA)のリスクを有意に減少させる。
- この有益な効果は非致死性脳卒中に限定され、致死性脳卒中や出血性脳卒中には観察されなかった。
- 特に長時間作用型製剤(例:デュラグルチド、セマグルチド)で効果が顕著であり、効果の大きさは患者の糖尿病罹病期間が短いほど、またeGFRが高いほど顕著であった。
参考論文
Association Between CYP2B6 Polymorphisms and Efficacy of Clopidogrel in Minor Stroke or Transient Ischemic Attack – PubMed
Xin Qiu et al., CHANCE Investigators
- 研究目的・背景: CYP2B6はクロピドグレル代謝に関わる重要な酵素であるが、軽度脳卒中または一過性脳虚血発作(TIA)患者におけるCYP2B6多型とクロピドグレルの二次脳卒中予防効果との関連は未解明であった。
- 主要な手法・アプローチ: CHANCE(Clopidogrel in High-Risk Patients With Acute Nondisabling Cerebrovascular Events)無作為化臨床試験の事後解析として、2009年10月から2012年7月にかけて中国の軽度脳卒中またはTIA患者2853名を対象に、CYP2B6-516G>T (rs3745274) および CYP2B6-1456 T>C (rs2054675) 多型とクロピドグレルの有効性・安全性の関連を調査した。主要評価項目は90日以内の新規脳卒中(有効性)とあらゆる出血(安全性)であった。
- 最も重要な結果・知見:
- 対象患者の32.8%がCYP2B6-516 GT/TTまたは-1456 TC/CC遺伝子型のキャリアであった。
- CYP2B6多型の有無にかかわらず、アスピリン+クロピドグレル併用療法とアスピリン単独療法の有効性(新規脳卒中発生率の差)に有意な相互作用は認められなかった(P interaction=0.29)。
- 90日新規脳卒中発生率は、非キャリア群で併用療法7.1% vs 単独療法11.3%、キャリア群で併用療法9.7% vs 単独療法12.2%であった。
- 90日以内のあらゆる出血発生率は、非キャリア群では併用療法2.2% vs 単独療法1.9%、キャリア群では併用療法1.9% vs 単独療法0.7%であった。キャリア群では併用療法で出血リスクが高い傾向が見られたが、統計的な有意差は示されていない(HR 3.23 [95% CI, 0.86-12.12])。
- 1年間の追跡期間でも同様の結果が観察された。
- 結論・今後の展望: CYP2B6-516 GT/TTまたは-1456 TC/CC遺伝子型のキャリア・非キャリア間でアスピリン+クロピドグレルの有効性に有意差は観察されなかった。この結果は、軽度脳卒中患者ではCYP2B6多型の有無にかかわらず、二次予防においてアスピリン単独療法よりもアスピリン+クロピドグレル併用療法から恩恵を受ける可能性を示唆している。
- CYP2B6遺伝子多型がクロピドグレルの代謝に関わるが、軽度脳卒中/TIA患者における二次脳卒中予防効果との関連は不明であった。
- CHANCE無作為化臨床試験の事後解析として、2853名の中国患者を対象にCYP2B6の2つの多型(-516G>T, -1456 T>C)とアスピリン+クロピドグレルの有効性・安全性の関連を調査した。
- CYP2B6多型の有無とアスピリン+クロピドグレル併用療法の有効性(新規脳卒中予防)との間に統計的に有意な相互作用は認められなかった。
- 軽度脳卒中患者は、CYP2B6多型のキャリア・非キャリアいずれも、二次予防においてアスピリン単独療法よりもアスピリン+クロピドグレル併用療法から恩恵を受ける可能性が示唆された。
- キャリア群ではアスピリン+クロピドグレル併用療法で出血リスクが高い傾向が見られた。
参考論文
Disparate statin prescribing following hospital discharge for stroke or transient ischemic attack: Findings from COMPASS – PubMed
, Cascio Rizzo A, et al., Yao X, Shah ND, Gersh BJ, Lopez-Jimenez F, Noseworthy PA., Jacqueline Halladay 4 , , Stephanie Hart 5 , , Ovbiagele B, Saver JL., Cheryl Bushnell 3 , , Ovbiagele B, et al., Dearborn-Tomazos JL, et al., Pamela Duncan 3, Sara Jones 2 , , Doyle M Cummings et al., Alan C Kinlaw 6 7 , , Sanossian N, et al., Fang Wen 2 , , Matt Psioda 2 , , Mysha Sissine 3 , , Sanossian N, Ovbiagele B., Doyle M Cummings 1 , , Yao X, et al.
- 研究目的・背景: 虚血性脳卒中または一過性脳虚血発作(TIA)後の高強度スタチン処方を推奨するガイドラインがあるにもかかわらず、その処方パターンに不均衡がある可能性を調査した。
- 主要な手法・アプローチ: 27の参加病院における脳卒中およびTIA患者3211人を対象に、入院前の薬剤と退院時のスタチン処方を調査した。退院時の任意のスタチン処方および高強度スタチン処方を、年齢、人種(白人 vs. 黒人)、性別、居住地域(都市 vs. 非都市)別にロジスティック混合モデルを用いて比較した。
- 最も重要な結果・知見:
- 患者の90%が任意のスタチンを、55%が高強度スタチンを退院時に処方された。
- 白人患者は黒人患者と比較して、任意のスタチン処方を受けることが少なかった (OR 0.71)。
- 脳卒中患者はTIA患者と比較して (OR 1.90)、都市部居住者は非都市部居住者と比較して (OR 1.66)、任意のスタチン処方を受けることが多かった。
- スタチン処方された患者のうち、75歳超の白人患者の42%、黒人患者の51%のみが高強度スタチンを処方された。75歳超の患者における高強度スタチン処方のオッズ比は0.44であった。
- 結論・今後の展望: 脳卒中またはTIA後、スタチン処方は白人患者、TIA患者、非都市部居住者で依然として低い。高強度スタチン処方は特に75歳超の患者で限定的である。これらのデータは、脳卒中後の患者に対するガイドラインに準拠した処方を改善するための取り組みに役立つ可能性がある。
- 脳卒中またはTIA後のスタチン処方は人種、疾患の種類、居住地域によって不均衡が存在する。
- 特に白人患者、TIA患者、非都市部居住者ではスタチン処方率が低い傾向にある。
- ガイドラインで推奨される高強度スタチン処方は、特に75歳超の高齢患者で限定的である。
- これらの知見は、脳卒中後の患者に対するガイドライン準拠の処方を改善するための介入策の策定に有用である。
参考論文
Selective outcome reporting in randomised controlled trials including participants with stroke or transient ischaemic attack: A systematic review
Weibel S, et al., Sbidian E, et al., Rustam Al-Shahi Salman 2, Alvarez Campano CG, et al., Ghosn L, et al., Mohshin Syed 1, Paula R Williamson 3, Alvarez Campano CG, Macleod MJ, Aucott L, Thies F., Emily S Sena 2, Helena Martin 1, Janjua S, et al., Janjua S, Powell P, Atkinson R, Stovold E, Fortescue R., Mohshin Syed et al.
- 研究目的・背景: 脳卒中または一過性脳虚血発作(TIA)患者を対象としたランダム化比較試験(RCT)における主要評価項目でのアウトカム報告バイアス(ORB、すなわち結果に応じて選択的に報告すること)の有病率は不明であった。
- 主要な手法・アプローチ:
- Cochrane Database of Systematic Reviewsから、2008年から2020年に発表された、脳卒中またはTIA患者への治療介入を含むRCTレビューを検索した(2021年2月3日時点)。
- これらのRCTから無作為にサンプルを抽出し、結果報告前に試験登録記録またはプロトコルが公開されているものを対象とした。
- 2名のレビューアが、試験登録記録、プロトコル、統計解析計画、および出版物間のアウトカム報告の不一致を、「Outcome Reporting Bias in Trials group」の分類システムを用いて評価した。
- 600のRCTのうち、123件(21%)が評価対象となった。
- ORBのリスクなしと判断されたRCTは110件(89%)、低リスクが7件(6%)、高リスクが6件(5%)であった。
- Cochraneレビューに含まれ、試験登録記録またはプロトコルが特定できた脳卒中/TIA RCTでは、主要アウトカムにおけるORBの有病率は低かった。
- 懸念すべき点として、評価対象外のサンプルの大部分で試験登録記録またはプロトコルを特定できなかった。
- 脳卒中/TIA RCTにおけるORBをさらに低減するための取り組みが必要である。
- 今回の知見が、Cochraneレビュー外のRCTや登録記録・プロトコルがないRCT、および副次評価項目に一般化できるかを探求する必要がある。
- 脳卒中/TIA患者を対象としたRCTにおける主要アウトカムのORB有病率は、登録記録やプロトコルが存在する範囲では低いことが示された(89%がリスクなし)。
- しかし、多くのRCT(サンプルの大部分)で試験登録記録やプロトコルが特定できなかったという大きな課題が明らかになった。
- ORBをさらに減らし、Cochraneレビュー外の試験や副次評価項目への知見の一般化を検証することが今後の課題である。
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Rationale and design of a randomised double-blind 2×2 factorial trial comparing the effect of a 3-month intensive statin and antiplatelet therapy for patients with acute mild ischaemic stroke or high-risk TIA with intracranial or extracranial atherosclerosis (INSPIRES) – PubMed
Yingying Yang, Jing Jing, Liu T, et al.
INSPIRES試験は、軽度虚血性脳卒中または高リスク一過性脳虚血発作(TIA)患者において、早期の集中スタチン療法と抗血小板療法の有効性および安全性を評価するためにデザインされた、無作為化二重盲検2×2要因多施設共同プラセボ対照試験である。
- 研究目的・背景: 頭蓋内または頭蓋外動脈硬化症に起因する脳虚血イベント発生後24~72時間以内に開始される集中抗血小板療法およびスタチン療法の有効性と安全性が不明確であるため、これを明らかにする。
- 主要な手法・アプローチ:
- 対象者: 35~80歳で、72時間以内に軽度虚血性脳卒中または高リスクTIAを発症し、主要な頭蓋内または頭蓋外動脈の50%以上の動脈硬化性狭窄、または動脈硬化性起源の多発性梗塞がある6100名を登録。
- 試験デザイン: 無作為化、二重盲検、プラセボ対照、多施設共同、2×2要因試験。
- ランダム化グループ (1:1:1:1の4群):
- 集中抗血小板療法(クロピドグレル+アスピリン:1-21日、クロピドグレル+アスピリンプラセボ:22-90日)+即時集中スタチン療法(アトルバスタチン80mg:1-21日、40mg:22-90日)
- 集中抗血小板療法+遅延集中スタチン療法(アトルバスタチンプラセボ:1-3日、アトルバスタチン40mg:4-90日)
- 標準抗血小板療法(クロピドグレルプラセボ+アスピリン:90日)+即時集中スタチン療法
- 標準抗血小板療法+遅延集中スタチン療法
- 主要有効性評価項目: 無作為化後90日以内のあらゆる新規脳卒中(虚血性または出血性)。
- 主要安全性評価項目: 90日時点の中等度から重度の出血。
- 最も重要な結果・知見: この論文は研究デザインに関するものであり、結果はまだ報告されていないため、情報なし。
- 結論・今後の展望: INSPIRES試験は、頭蓋内または頭蓋外動脈硬化症を原因とする急性軽度虚血性脳卒中または高リスクTIA患者において、発症後72時間以内に開始される集中抗血小板療法および即時集中スタチン療法の、90日以内の脳卒中再発減少における有効性と安全性を評価する。
参考論文
Percutaneous transluminal angioplasty and/or stenting for the treatment of basilar artery stenosis: a systematic review and meta-analysis
, Xu R, Zhang X, Liu S, Wang X, Wang W, Yang K, Wang T, Dmytriw AA, Bai X, Ma Y, Jiao L, Yang B., Xu R, et al., Peyman Shirani 4 ,, Antoniou GA, Murray D, Georgiadis GS, Antoniou SA, Schiro A, Serracino-Inglott F, Smyth JV., Aaron W Grossman 4 ,, Bonati LH, et al., Nana Agyeman 3 ,, Paolo Palmisciano 1 ,, Matthew S Smith 4 ,, Seth Street 3 ,, Giancarlo Ventre 3 ,, Paolo Palmisciano et al., Bonati LH, Lyrer P, Ederle J, Featherstone R, Brown MM., Hagar A Algburi 2 ,, Zhou ZL, et al., Kim JH, et al., Coward LJ, et al., Charles J Prestigiacomo 5, Zhou ZL, Zhu LF, Li TX, Gao BL., Palmisciano P, et al., Coward LJ, Featherstone RL, Brown MM., Michael W Robinson 1 ,, Antoniou GA, et al., Kim JH, Cho KC, Kim T, Ha SW, Suh SH., Samer S Hoz 1 ,, Palmisciano P, Street S, Hoz SS, Choutka O, Andaluz N, Zuccarello M.
- 研究目的・背景: 脳底動脈狭窄症(BAS)は高い罹患率と死亡率を伴い、血管内治療後の転帰は様々であるため、経皮的経管的血管形成術および/またはステント留置術(PTAS)に関する文献を体系的にレビューすることを目的とした。
- 主要な手法・アプローチ: PubMed、EMBASE、Web-of-Science、Scopus、CochraneをPRISMAガイドラインに従って検索し、BASに対するPTASを記述した前向き/後ろ向きコホート研究を含めた。介入関連の合併症と転帰のプールされた割合をランダム効果モデルメタ解析で分析した。
- 最も重要な結果・知見:
- 25の後ろ向きコホート研究(患者数1016名)が含まれた。
- 対象患者はすべて症候性で、一過性脳虚血発作または虚血性脳卒中を呈していた。
- PTASは、デュアル抗血小板療法に反応しない重度(≥ 50-70%)、症候性、非急性期のBASが適応とされた。
- 術前BAS中央値は81%に対し、術後BAS中央値は13%であった。
- 介入成功率は100%、良好な最終転帰率は89%であった。
- 介入関連の再発性虚血性脳卒中は5%(穿孔枝性5.4%、ステント内2.6%、塞栓性0.4%)であった。
- 介入関連の解離、再狭窄、死亡率はそれぞれ0%、1%、0%と低かった。
- 選択された医学的に難治性、重度、症候性、非急性期のBAS患者において、待機的PTASは安全かつ有効であると考えられる。
- 病変の臨床的・放射線学的特性に基づき、異なるステントタイプと血管形成術補助手技を検討すべきである。
- これらの知見を裏付けるためには、将来的に無作為化比較試験が必要である。
- 脳底動脈狭窄症(BAS)に対する経皮的経管的血管形成術および/またはステント留置術(PTAS)は、医学的に難治性で重度の症候性BAS患者において安全かつ有効であることが示された。
- 25の研究、1016人の患者を対象としたメタ解析の結果、介入成功率は100%、良好な最終転帰率は89%と高い成功率を示した。
- 介入関連の再発性虚血性脳卒中の発生率は5%で、解離、再狭窄、死亡などの重篤な合併症は低率であった。
- 将来の無作為化比較試験により、これらの知見のさらなる検証が求められる。