舌苔

鏡の前で舌を見て、白っぽい汚れが付いていることに気づいた経験はありませんか?その正体は「舌苔(ぜったい)」と呼ばれ、実は多くの人が悩む口臭の主な原因になることが知られています。舌苔が厚くなると、味が感じにくくなることもあり、放置は禁物です。

舌は「健康の鏡」とも言われ、色や厚さによって疲れやストレスといった体からのサインを読み取ることができます。この記事では、あなたの舌が教えてくれる健康状態のヒントから、舌苔がつく原因、ご自身でできる簡単なケア方法まで詳しく解説します。ご自身の舌の状態を知り、今日からできる対策を始めてみませんか?

舌苔の概要

鏡の前で「あっかんべー」をした時、舌の上が白くなっていませんか。 これは「舌苔(ぜったい)」と呼ばれる、舌に付いた汚れのことです。

舌の表面は、実はツルツルではありません。 味を感じるための「味蕾(みらい)」という小さな突起がたくさんあり、 じゅうたんの毛のようにデコボコしています。

このデコボコしたすき間に、食べ物の残りかすや、 お口の中にいる細菌、古くなった粘膜などが溜まってしまいます。 これらが集まってできたものが、舌苔の正体なのです。

舌苔は、口臭の主な原因になることが知られています。 舌に付いた細菌が、食べかすなどを分解する時に、 卵が腐ったようなにおいのガスを発生させます。 このガスが、いやな口のにおいにつながるのです。

実際に、舌ブラシを使って舌苔をきれいにすると、 口臭がすぐに和らぐ効果があることが研究でもわかっています。 舌苔がうっすらと白く付いている程度なら心配いりません。 ですが、分厚くなると口臭が強くなったり、 味が感じにくくなったりすることもあるため、 ご自身の舌の状態に関心を持つことが大切です。

舌苔の種類

舌苔は、色や厚さによって体の状態を知るヒントになります。 舌は「健康の鏡」とも呼ばれ、体調の変化が表れやすい場所です。 ご自身の舌を鏡で見て、どのタイプに近いか確認してみましょう。

舌苔の色

特徴と考えられる体の状態

白くうすい舌苔

健康な状態の舌苔です。舌のピンク色が透けて見える程度であれば、特に心配はいりません。

白く厚い舌苔

疲れやストレスがたまっているサインかもしれません。胃腸の働きが弱まっていたり、体が冷えていたりする時に見られます。

黄色い舌苔

カレーなどの食べ物や、タバコで一時的に色が付くことがあります。また、体の中に熱がこもっている時にも黄色くなる傾向があります。

黒い舌苔(黒毛舌)

舌の表面が黒く、毛が生えたように見える状態です。抗生物質などを長く飲んでいると、口の中の細菌バランスが変わり、黒毛舌(こくもうぜつ)になることがあります。

舌苔が厚くなると、口のにおいが気になることもあります。 実際に、舌ブラシで舌苔を取り除くと、口臭がすぐに和らぐ効果が あることが研究でわかっています。

ただし、舌苔の色が普段と違う状態が続いたり、 急に厚くなったりした場合は、何かの病気のサインかもしれません。 気になる変化があれば、医療機関に相談することをおすすめします。

舌苔の原因

舌苔は、舌の表面にある細かいでこぼこのすき間に、 お口の中の細菌や食べかすなどがたまってできます。 これは、お風呂に入らないと体に垢がたまるのと同じ仕組みです。

舌苔がつきやすくなる原因は一つではなく、 いくつかの理由が重なっていることがほとんどです。 ご自身の生活を振り返り、当てはまるものがないか見てみましょう。

お口の中の環境が原因の場合

  • 舌のお掃除が足りていない 歯と同じように、舌の上もお掃除をしないと汚れがたまります。 ある研究では、舌ブラシで舌苔をお掃除することで、 口のにおいがすぐに和らぐ効果があると報告されています。
  • お口の中が乾いている 唾液には、口の中の汚れを洗い流したり、 細菌が増えるのを防いだりする大切な働きがあります。 口呼吸やストレスなどでお口が乾くと、舌苔がつきやすくなります。
  • 舌の形や位置 生まれつき舌に深い溝がある方や、舌の位置が低くて 上あごにあまり触れない方は、汚れがたまりやすい傾向にあります。

体の調子や生活習慣が原因の場合

  • 胃腸の調子が悪い 胃や腸の働きが弱まると、舌の細胞が新しく生まれ変わる リズムが乱れ、古い細胞がたまって舌苔が厚くなることがあります。
  • お薬の影響 抗生物質などを長い期間飲んでいると、 口の中の細菌バランスが変化することがあります。 その結果、舌苔が黒っぽくなる「黒毛舌(こくもうぜつ)」という 状態になることもあります。

舌苔の症状

舌の上が白く見えるだけのものと思われがちな舌苔ですが、 実は、お口の中や体全体の健康に関わるサインを出しています。 舌苔が原因で起こる可能性のある主な症状は、次の3つです。

  • 口臭 口のにおいが気になる
  • 味覚の変化 食べ物の味がわかりにくい
  • 誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)のリスク 細菌が肺に入りやすくなる

口臭 舌苔による症状で、最も多くの人が気にするのが口のにおいです。 舌苔の中には、目に見えないほど多くの細菌が住んでいます。 この細菌が、食べかすなどを分解する時にガスを発生させます。 このガスが、卵が腐ったような嫌なにおいの主な原因です。 ある研究では、舌ブラシで舌苔をお掃除することで、 口のにおいがすぐに和らぐ効果があると報告されています。

味覚の変化 舌の表面には、「味蕾(みらい)」という味を感じるための 小さな粒がたくさん並んでいます。 舌苔が分厚くなると、この味蕾がじゅうたんのように覆われます。 その結果、食べ物の味が感じにくくなることがあります。 「最近、何を食べてもおいしくない」と感じる場合、 もしかすると舌苔が原因かもしれません。

誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)のリスク 特にご高齢の方や、飲み込む力が弱くなっている方で 注意が必要なのが、誤嚥性肺炎です。 誤嚥とは、唾液や食べ物が食道ではなく気管に入ることです。 舌苔にいる細菌が唾液と一緒に肺に入ると、肺炎を起こします。 お口の中をきれいに保つことは、肺炎の予防にもつながります。

舌苔の検査・診断

舌苔は、鏡があればご自身で簡単にチェックすることができます。 もし気になることがあれば、歯科医院などを受診しましょう。

ご自身でできるチェック方法 明るい場所で鏡を見ながら、舌の状態を確認してみましょう。 ポイントは、舌の奥の方までしっかり見ることです。

  • 準備 明るい部屋で、手鏡を用意します。
  • 確認 鏡に向かって、舌を「べー」っとできるだけ前に出します。
  • 観察 舌の表面全体、特に奥の方の色や汚れの付き方を見ます。

健康な舌は、うっすらと白く、舌のピンク色が透けて見えます。 もし、舌が分厚い苔で覆われてピンク色が見えない場合や、 黄色や黒っぽい色をしている場合は、専門家に相談しましょう。

医療機関での診断 病院では、まず目で見て確認する「視診」と、 お話を聞く「問診」で舌の状態を詳しく調べます。 いつから気になっているか、口の渇きやにおい、 味の変化など、感じていることを医師に伝えましょう。

口のにおいが特に気になる場合は、特別な機械を使うこともあります。 口臭測定器(ガスクロマトグラフィー)という機械で、 においの原因となるガスの量を数字で客観的に測れます。 ある研究では、この機械を使って舌ブラシで舌をきれいにすると、 口のにおいを一時的に減らす効果があると確かめられています。 気になる症状があれば、自分で判断せずに専門家に相談することが大切です。

舌苔の治療

舌苔は、まずご自身でできるお口のケアから始めるのが基本です。 それでも良くならない時や、体の不調が原因と考えられる場合は、 無理せず病院に相談しましょう。

ご自身でできるケア

毎日のちょっとした工夫で、舌の状態は良くなることがあります。 できることから試してみましょう。

① 舌のお掃除

舌苔を取り除くための、最も直接的な方法です。 研究でも、舌ブラシを使うことで口のにおいがすぐに和らぐ効果が あると報告されています。

  • 使うもの 舌専用のブラシか、毛のやわらかい歯ブラシを使いましょう。
  • いつやるの? 1日1回、朝の歯みがきの時がおすすめです。 寝ている間に増えた細菌をお掃除できます。
  • やり方
  1. 鏡で舌苔が付いている場所を確かめます。
  2. ブラシを舌の奥の方にそっと当てます。
  3. 力を入れず、奥から手前に向かって優しくなでるように 汚れをかき出します。(3回くらいで十分です)

※ゴシゴシこすると舌が傷ついてしまうので、 「優しく、なでるように」がポイントです。

② お口の中のうるおいを保つ

お口の中が乾くと、汚れがこびりついて落ちにくくなります。 唾液は、お口の中を洗い流してくれる天然のシャワーです。

  • 鼻で息をするように意識する
  • お部屋が乾燥しないように加湿器などを使う
  • 歯医者さんで相談できる保湿剤を使ってみる

③ 生活習慣を見直す

胃や腸の調子が悪いと、舌苔が厚くなることがあります。 体の内側からのケアも大切です。

  • 好き嫌いせず、バランスのよい食事を心がける
  • 消化のよいものを、よく噛んで食べる
  • 体を冷やさないように気をつける

医療機関での治療

ご自身でのケアを続けても良くならない場合は、 歯科や内科などを受診しましょう。 舌苔の原因に、何か他の病気が隠れている可能性もあります。

病院では、原因に応じた治療を行います。 例えば、胃腸の調子が悪い場合はその治療をしたり、 お口の中の細菌を減らすための専門的な治療をしたりします。 近年では、特別な光と薬を組み合わせて細菌を減らす治療法もあり、 口のにおいをすぐに減らす効果が研究で確かめられています。