後発白内障

白内障の手術でせっかくクリアになった視界が、数ヶ月から数年経ってまたかすんできた…。「もしかして、白内障が再発したのでは?」と、不安に感じていませんか。その症状は、手術の失敗や再発とは限りません。

実は、白内障手術を受けた方のうち、5年後には約20%、つまり5人に1人が「後発白内障」という状態を経験すると言われています。これは、手術で入れた眼内レンズを支える袋が濁ることで起こる、決して珍しくない現象なのです。

この記事では、多くの人が経験する後発白内障の原因から、痛みも少なく短時間で終わる最新のレーザー治療までを詳しく解説します。あなたの不安を解消し、再び快適な視界を取り戻すための第一歩として、ぜひご一読ください。

後発白内障の概要

白内障の手術で視界がクリアになったのに、 またかすみや見えにくさを感じていませんか。

「白内障が再発したのでは」と心配になるかもしれません。 しかし、これは白内障の再発とは違う状態ですのでご安心ください。

白内障の手術では、濁った水晶体を取り除きます。 そして水晶体が入っていた「後嚢(こうのう)」という薄い袋の中に、 新しい人工の眼内レンズを入れます。

後発白内障は、このレンズを支える袋が濁ることで起こります。 レンズ自体が汚れたり傷ついたりするわけではありません。

この状態は決して珍しいものではありません。 白内障手術後、5年で約20%、つまり5人に1人が発症すると言われています。 海外の研究でも、後発白内障は術後の視力に影響する 主な原因の一つとして広く知られています。

後発白内障のポイントを以下にまとめます。

  • タイミング 白内障の手術を受けてから数ヶ月~数年後に起こります。
  • 原因 眼内レンズを支えている「後嚢」という膜が濁るためです。
  • 症状 視界がかすむ、視力が下がるなど、白内障に似ています。

手術後の見え方に気になる変化があれば、 後発白内障の可能性も考えられます。 まずは手術を受けた眼科へご相談ください。

後発白内障の種類

後発白内障は、濁り方や見た目の特徴によって種類が分けられます。 手術後のかすみの原因として、後発白内障は最も多いものの一つです。

海外の研究でも、術後の見え方に関する不満の原因として、 後発白内障は広く知られています。

濁りのタイプによって、見えにくさの感じ方も少し異なります。 代表的な2つのタイプを見ていきましょう。

種類の名前

見た目の特徴

濁りの原因

線維化(せんいか)型

後ろの袋(後嚢)に薄い膜が張り、

すりガラスのように白く濁ります。

手術後に残った細胞が、

膜のように広がってしまいます。

真珠(しんじゅ)型

キラキラした真珠のような、

白い粒状の濁りができます。

残った細胞が集まって、

かたまりを作ることで生じます。

線維化型は、視界全体が霧がかったようにぼやけるのが特徴です。 一方、真珠型は、濁りの粒が光を遮るため、まぶしさを感じやすいです。

実際には、この2つが混ざり合った「混合型」として現れることも少なくありません。 どのタイプでも、濁りが視力に影響する場合は治療を検討します。

後発白内障の原因

白内障の手術が無事に終わったのに、なぜまたかすむのでしょうか。 「手術がうまくいかなかったのでは?」と心配になるかもしれません。 しかし、これは手術の失敗ではなく、体の自然な反応によるものです。

原因を理解するために、白内障手術の流れを簡単に見てみましょう。 手術では、濁ったレンズ(水晶体)の中身をきれいに取り除きます。 このとき、水晶体が入っていた透明な「ふくろ(水晶体嚢)」は残します。

この「ふくろ」は、新しく入れる人工の眼内レンズを支える土台です。 実は、この「ふくろ」の内側には、目に見えないほど小さな細胞が残ります。 これは「水晶体上皮細胞」といい、もともと水晶体を作っていた細胞です。

手術から数ヶ月~数年経つと、この残った細胞が増殖することがあります。 増えた細胞が「ふくろ」の後ろ側に広がり、膜のように濁らせてしまうのです。 この濁りがすりガラスのように光の通りを妨げ、かすみの原因となります。

後発白内障は、術後のかすみの原因として最も頻度の高いものです。 ただし、かすみの原因は一つとは限りません。 海外の研究では、ドライアイや、ごくわずかなピントのずれなども、 術後の不満につながる可能性があると報告されています。

人工のレンズ自体が汚れたり濁ったりしているわけではありません。 正確な原因を特定するためにも、まずは眼科医の診察を受けましょう。

後発白内障の症状

白内障の手術で一度はっきりと見えるようになった後、 再び視界に不調を感じたら後発白内障のサインかもしれません。

海外の研究でも、白内障手術後の見え方に関する不満として、 「かすんだ視覚」と「光を異常にまぶしく感じること」が、 最も多い症状だと報告されています。

後発白内障で現れる具体的な症状は、以下のとおりです。

  • 目のかすみ すりガラスを通して見ているように、視界が白っぽくかすみます。 霧がかかったような見え方になることもあります。
  • 視力の低下 手術で改善したはずの視力が、また少しずつ落ちてきたと感じます。 細かい文字が読みにくくなるなど、生活の中で不便を感じ始めます。
  • 物がぼやける 物の輪郭がはっきりしなくなり、二重に見えることもあります。 眼鏡やコンタクトレンズの度数を変えても改善しません。
  • 光をまぶしく感じる 屋外の太陽光や夜間の対向車のライトが、以前よりギラギラします。 これは濁った部分で光が乱反射するために起こる症状です。

これらの症状は、もともとの白内障の症状とよく似ています。 そのため、「白内障が再発した」と感じる方も少なくありません。

症状が現れる時期は、手術後数ヶ月から数年後と個人差が大きいです。 進行がとても緩やかな場合、ご自身で見え方の変化に気づきにくいこともあります。

手術後の見え方と比べて少しでも気になることがあれば、 自己判断せずに、まずは手術を受けた眼科へご相談ください。

後発白内障の検査・診断

白内障の手術後、再び視界がかすむと不安になりますよね。 まずは眼科を受診し、原因を正確に調べることが大切です。 後発白内障の検査は、痛みもなく短い時間で終わります。

主な検査は以下のとおりです。

  • 視力検査 手術後の最も見えやすかった時と比べて、 視力がどのくらい変化したかを確認します。
  • 細隙灯(さいげきとう)顕微鏡検査 光を当てて目を拡大する顕微鏡で、眼球の状態を詳しく観察します。 眼内レンズを支える「ふくろ(後嚢)」の濁りの程度を直接見て、 後発白内障かどうかを正確に判断できます。
  • 眼圧検査 目に優しい風をあてて、目の硬さ(眼圧)を測定します。 他の病気が隠れていないかを確認するために行う大切な検査です。

手術後のかすみは、後発白内障が原因とは限りません。 海外の研究でも、術後の不満の原因は複数あると報告されています。 例えば、ドライアイや、ごくわずかなピントのズレも考えられます。

また、まれですが、物を見る中心部分(黄斑)のむくみなど、 他の目の病気が原因で見えにくくなっている可能性もあります。

これらの検査を組み合わせ、かすみの本当の原因を突き止めます。 正確な診断こそが、あなたに合った治療への第一歩となるのです。

後発白内障の治療

後発白内障と診断されても、心配はいりません。 治療はレーザーを使い、体への負担が少なく済みます。 入院の必要もなく、外来で短時間で終わります。

YAG(ヤグ)レーザー治療

現在の標準的な治療法が「YAGレーザー治療」です。 これは、濁ったレンズのふくろ(後嚢)の中心に、 レーザーで小さな穴を開ける方法です。

この穴が光の通り道となり、再びクリアな視界を取り戻します。 治療の流れはとてもシンプルです。

  • 1. 麻酔の目薬をします 痛みを感じなくするための目薬なので、 治療中に痛むことはほとんどありません。
  • 2. 専用のコンタクトレンズをつけます レーザーを濁りの中心へ正確に当てるための、 大切な準備です。
  • 3. レーザーを当てます 医師が顕微鏡で慎重に確認しながら、 濁った部分にだけレーザーを照射します。

治療にかかる時間は片方の目でおよそ5分程度です。 治療後は特別な制限もなく、普段どおりの生活が送れます。

治療後の注意点と他の選択肢

レーザーで砕かれた濁りの破片が、一時的に、 虫やゴミのように見える「飛蚊症」が出ることがあります。 多くは時間とともに自然に吸収され、気にならなくなります。

海外の研究でも、術後のかすみは最も多い症状の一つです。 しかし、原因は後発白内障だけとは限りません。

もしレーザー治療をしても見えにくさが改善しない場合、 眼内レンズの位置のズレなどが原因の可能性もあります。 カナダの研究でも、レンズの不具合が視力に影響すると報告されています。

このような場合は、眼内レンズを交換する手術も選択肢となります。 気になる症状があれば、自己判断せず、必ず眼科医に相談しましょう。