小児副鼻腔炎
「また風邪かな?」「いつまで鼻水が続くのだろう…」お子さんの長引く咳や、黄色くねばりのある鼻水に、そんな不安を感じていませんか。その症状、単なる風邪ではなく、実は「小児副鼻腔炎(蓄膿症)」かもしれません。お子さんの体はまだ発達途中であるため、大人とは違う原因でかかりやすく、症状を繰り返しやすい特徴があります。
「たかが鼻水」と軽く考えてしまうと、中耳炎やまれな合併症につながる可能性も指摘されています。しかし、研究によれば約6割は自然に治るとも言われており、正しい知識で見守ってあげることが大切です。この記事では、保護者の方が見逃したくない症状のサインから、ご家庭でできるケアまで、詳しく解説します。
小児副鼻腔炎の概要
お子さんの鼻の周りには「副鼻腔(ふくびくう)」という、 いくつかの空洞のお部屋があります。 このお部屋の壁がウイルスや細菌で炎症を起こす病気です。 「蓄膿症(ちくのうしょう)」という名前でも知られています。
お子さんの副鼻腔は、成長とともに大きさが変わります。 そのため、年齢によって病気へのかかりやすさが違うのです。
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年齢のめやす |
副鼻腔の様子と病気へのかかりやすさ |
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〜3歳ごろ |
副鼻腔がまだ小さいため、病気になることは少ないです。 |
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4〜6歳ごろ |
副鼻腔が発達して鼻との通路も広がるため、炎症を起こしやすくなります。 |
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6歳以降 |
副鼻腔はさらに大きくなりますが、通路は大人より狭いです。そのため、炎症が長引きやすくなることがあります。 |
多くは風邪がきっかけで発症します。 しかし、まれに歯のトラブルが原因になることもあります。 これを「歯原性(しげんせい)副鼻腔炎」と呼びます。
子どもの歯が原因となる副鼻腔炎は、まだ研究が十分ではありません。 そのため、現在の診療の目安にも詳しく書かれておらず、 原因が分かりにくい場合があるのが現状です。 たかが鼻水と軽く考えず、長引く場合はご相談ください。
小児副鼻腔炎の種類
副鼻腔炎は、症状があらわれている期間によって、 大きく2つの種類に分けられます。
- 急性副鼻腔炎(きゅうせいふくびくうえん) 風邪などをきっかけに、急に鼻の症状が出るタイプです。 ウイルスや細菌の感染が主な原因で、 症状は4週間以内におさまることが多いです。
- 慢性副鼻腔炎(まんせいふくびくうえん) 急性副鼻腔炎が治りきらずに長引くことで、 症状が3ヶ月以上続く状態です。 アレルギーが関係していることもあります。
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種類 |
症状が続く期間のめやす |
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急性副鼻腔炎 |
4週間以内 |
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慢性副鼻腔炎 |
3ヶ月以上 |
お子さんは免疫の力がまだ発達していないため、よく風邪をひきます。 そのたびに急性副鼻腔炎をくり返し、 まるでずっと治らないように見えることもあります。 これは、厳密な意味での慢性副鼻腔炎とは少し違う状態です。
また、まれな種類として虫歯などが原因の 「歯原性(しげんせい)副鼻腔炎」があります。 お子さんの歯が原因となる副鼻腔炎は、まだ研究が十分に進んでいません。 そのため、お医者さんが使う診療の目安にも詳しく書かれていないのが現状です。 大人の同じ病気に比べて、他の病気を引き起こす可能性も考えられています。
小児副鼻腔炎の原因
お子さんの副鼻腔炎は、風邪がきっかけで起こることがほとんどです。 鼻の粘膜でウイルスや細菌が増えて炎症が起こります。 その炎症が、鼻の奥にあるお部屋「副鼻腔」にまで広がってしまうのです。
お子さんが大人よりも副鼻腔炎になりやすいのには、 いくつかの理由が重なっています。
- からだのつくり お子さんの鼻や副鼻腔は、まだ成長の途中です。 大人に比べて鼻と副鼻腔をつなぐ通路が狭くなっています。 そのため、少しの炎症でもふさがりやすく、鼻水がたまりやすいのです。
- 風邪やアレルギー 風邪をひくと鼻の粘膜が腫れて、鼻水が副鼻腔にたまりやすくなります。 アレルギー性鼻炎も、鼻の粘膜が常に腫れている状態です。 そのため副鼻腔炎を引き起こしたり、長引かせたりする原因になります。
- 免疫の力 お子さんの免疫はまだ十分に発達していません。 そのため、ウイルスや細菌に感染しやすく、 何度も副鼻腔炎を繰り返してしまうことがあります。
- アデノイドが大きい 鼻の奥には「アデノイド」というリンパ組織があります。 このアデノイドが大きいと、鼻の通り道をふさいでしまいます。 その結果、鼻水がうまく出せずに副鼻腔炎の原因になることがあります。
また、まれな原因として歯のトラブルから起こる、 「歯原性(しげんせい)副鼻腔炎」という病気もあります。 お子さんの歯が原因となる副鼻腔炎は、まだ研究が十分ではありません。 そのため、お医者さんが使う診療の目安にも詳しく書かれていないのが現状です。 大人の同じ病気に比べて、他の病気を引き起こす可能性も考えられています。
このように、お子さんの副鼻腔炎は、 ひとつの原因だけでなく、いくつかの要因が重なって起こることが多いのです。
小児副鼻腔炎の症状
お子さんの「風邪が長引いているな」というサインは、 実は副鼻腔炎の症状かもしれません。 大人とは少し違う症状で現れることもあるため、 保護者の方が気づいてあげることがとても大切です。
主な症状
副鼻腔炎の主な症状は、鼻水と鼻づまりです。 普段の風邪とは少し違う点に注意しましょう。
- 鼻水 黄色や緑色をした、ねばり気のある鼻水が特徴です。 このような色のついた鼻水がだらだらと続く場合は、 副鼻腔で炎症が起きているサインかもしれません。
- 鼻づまり 鼻がつまることで、お子さんが口で呼吸したり、 いびきをかくようになったりします。 夜中に苦しそうで、眠りが浅くなることもあります。
鼻以外のサイン
鼻の症状以外にも、からだの様々な場所にサインが出ます。 お子さんは自分の症状をうまく言葉で伝えられないため、 周りの大人が変化に気づいてあげることが重要です。
- 咳やたん ねばっこい鼻水がのどに流れること(後鼻漏)で、 たんがからんだような、しつこい咳が出ます。 特に、夜寝ている時や朝起きた時に咳がひどくなります。
- 痛みや発熱 頭痛や、ほっぺのあたりに痛みを感じることがあります。 また、なんとなく体が熱っぽい微熱が続くことも、 副鼻腔炎の症状のひとつです。
- その他の変化 においが分かりにくくなることもあります。 また、なんとなく元気がなく機嫌が悪かったり、 集中できていないように見えたりすることもあります。
症状をそのままにしておくと、中耳炎などを引き起こすことがあります。 まれに、目のまわりが赤く腫れるといった合併症を起こすこともあります。 研究によると、お子さんの副鼻腔炎は、 大人の場合に比べて合併症のリスクが高い可能性も指摘されています。 気になる症状があれば、早めに医療機関へ相談しましょう。
小児副鼻腔炎の検査・診断
長引く鼻水や咳が、本当に副鼻腔炎なのかを確かめます。 お医者さんはいくつかのステップで丁寧に調べていきます。
まず、保護者の方からお子さんの症状を詳しくお聞きします。 いつから症状があるか、鼻水の色やねばり気はどうか、 咳や頭の痛みはないかなど、大切な情報をお伺いします。 その後、専用の器具で鼻の中を直接見て、 粘膜の腫れや、うみのような鼻水がないかを観察します。
さらに詳しく調べる必要があると判断した場合は、 次のような検査を行うことがあります。
- 画像検査 顔のレントゲン写真を撮り、副鼻腔というお部屋に、 鼻水やうみがたまって白く写っていないかを確認します。 症状が長引く場合はCT検査で、より詳しく調べることもあります。 まれに歯が原因の「歯原性副鼻腔炎」という病気もあります。 この病気はまだ研究が十分でなく、見つけるのが難しいことがあります。 そのためCT検査が診断の助けになるのです。
- 細菌の検査 鼻水を綿棒で少し取り、原因となっている細菌の種類を調べます。 どの菌に、どんなお薬が効きやすいかを判断する参考にします。
これらの検査結果を総合的にみて、 お子さんに一番合った治療方法を決めていきます。
小児副鼻腔炎の治療
お子さんの副鼻腔炎の治療は、症状やその重さに合わせて行います。 鼻の中にたまった鼻水をきれいにし、炎症を落ち着かせることが目標です。 治療は主にお薬と、ご家庭でのケアの2つが中心になります。
お薬による治療
原因となっているウイルスや細菌、症状の強さに応じてお薬を使い分けます。
- ばいきんをやっつけるお薬(抗菌薬) 細菌が原因と考えられる場合に使います。 しかし、お子さんの副鼻腔炎は約6割が自然に治るとも言われています。 そのため、お薬が効きにくい菌を増やさないよう、 慎重に使うかどうかを判断します。
- 症状を楽にするお薬 ねばねばした鼻水を出しやすくするお薬や、 鼻の粘膜の腫れをおさえるお薬を使います。 これらで鼻づまりや咳などのつらい症状を和らげます。
まれに歯のトラブルが原因となる副鼻腔炎もあります。 お子さんの歯が原因の副鼻腔炎は、まだ研究が十分ではありません。 そのため診療の目安にも詳しく書かれておらず、注意深い診断が必要です。 この場合は鼻だけでなく、歯の治療も一緒に進めることが大切です。
ご家庭でできる大切なケア
お薬での治療と合わせて、お家でのケアが回復への近道です。
- 上手な鼻のかみ方 鼻水をためないことが、炎症を悪化させないために重要です。 まだ上手に鼻をかめないお子さんには、やり方を教えてあげましょう。
- 口をしっかり閉じる
- 片方の鼻のあなを指で完全にふさぐ
- もう片方の鼻から、ゆっくり静かに鼻水を出す
- 反対側も同じように行う
- 鼻水の吸引 まだ自分で鼻をかめない小さなお子さんには、 市販の鼻水吸引器を使って吸い取ってあげましょう。 特に寝る前に行うと、鼻の通りがよくなり、 夜ぐっすり眠れるようになります。
症状が長引く場合は、自己判断せず、必ず医師に相談してください。













