褥瘡性潰瘍(口腔粘膜、口腔内)

お口の中にできた、なかなか治らない痛い傷。「また口内炎ができた」と軽く考えていませんか?もしその傷が、入れ歯や尖った歯が当たる場所にできているなら、それは「褥瘡性潰瘍」、つまり“お口の床ずれ”かもしれません。

褥瘡性潰瘍は、原因を取り除けば通常1〜2週間で改善しますが、放置すると危険なサインを見逃すことにも繋がります。特に「2週間以上治らない」「傷の周りに硬いしこりがある」場合は要注意。日本の調査では、体の他の部分から転移した病気の症状として、最も多いのが「しこり」であり、約9割を占めたという報告もあります。

この記事では、褥瘡性潰瘍の原因から正しい治療法、そして見逃してはいけない危険なサインまで詳しく解説します。ご自身の症状と見比べ、大切な口腔内の健康を守る知識を深めましょう。

褥瘡性潰瘍(口腔粘膜、口腔内)の概要

お口の中にできる褥瘡性潰瘍とは、簡単にいうと「お口の粘膜にできる床ずれ」です。合わない入れ歯や尖った歯が、粘膜の同じ場所にずっと当たり続けることで起こります。

粘膜が圧迫され続けると、その部分の血の流れが悪くなります。そして、粘膜の細胞が弱ってしまい、傷(潰瘍)ができてしまうのです。潰瘍は、白や黄色っぽい膜で覆われた、少しえぐれたような見た目をしています。

褥瘡性潰瘍の主なポイントは、以下の3つです。

  • 状態
  • お口の粘膜にできる「床ずれ」のような傷のことです。
  • 原因
  • 入れ歯など、ものが同じ場所に当たり続ける刺激です。
  • 特徴
  • 原因を取り除けば、通常1〜2週間ほどで自然に良くなります。

傷口から細菌が入り込むと、治りが遅れたり痛みが強くなったりします。従来の抗菌薬だけでは対応が難しい細菌も問題となるため、口腔内の細菌感染を乗り越えるための新しい治療法の研究も進められています。

なによりも、原因となっている刺激を取り除くことが治療の基本です。気になる症状があれば、自分で判断せずに歯科医院へ相談しましょう。

褥瘡性潰瘍(口腔粘膜、口腔内)の種類

お口にできる褥瘡性潰瘍は、原因によって大きく2つに分けられます。ご自身の状況がどちらに近いかを知ることで、予防や対策がしやすくなります。

1. 物理的な刺激が原因のタイプ

これは、お口の中の「床ずれ」ともいえる最も一般的なものです。硬いものが粘膜の同じ場所に触れ続けることで、血の流れが悪くなり傷ができます。

  • 入れ歯や矯正装置によるもの
  • 新しい入れ歯が馴染んでいない場合や、長く使ううちに顎が痩せて合わなくなることが原因です。硬い入れ歯の縁が、柔らかい粘膜を圧迫し続けます。
  • ご自身の歯や詰め物によるもの
  • 虫歯で歯が欠けて鋭くなったり、治療した詰め物が尖ったりしていると、舌や頬の粘膜を傷つけます。

2. 全身の状態が関係するタイプ

お口の中だけでなく、体全体の健康状態が原因で潰瘍ができやすくなることもあります。粘膜そのものが弱ってしまう状態をイメージすると分かりやすいでしょう。

  • お口の乾燥(ドライマウス)
  • 唾液には、粘膜を守るバリアのような大切な働きがあります。お薬の副作用などで唾液が減ると、粘膜はとても傷つきやすくなります。
  • 持病や栄養不足によるもの
  • 糖尿病などのご病気があると、体の抵抗力が落ちて傷が治りにくくなります。栄養バランスが悪い場合も、粘膜は弱ってしまいます。

どちらのタイプでも、できた傷口から細菌が入り込むと治りが遅れます。従来の抗菌薬だけでは対応が難しい細菌も問題になるため、新しい治療法の研究も進んでいます。また、治療の選択肢も増えており、例えば患部に直接貼り付けて薬を効率よく届けるフィルム状の薬なども開発されています。

褥瘡性潰瘍(口腔粘膜、口腔内)の原因

お口の中にできる褥瘡性潰瘍は、粘膜への刺激が主な原因です。 硬いものが粘膜の同じ場所にずっと当たり続けることで起こります。 お口の中にできた「床ずれ」とイメージすると分かりやすいでしょう。

原因の多くは、お口の中に直接当たる「物理的な刺激」です。

  • 入れ歯(義歯) 合わない入れ歯が粘膜を圧迫することが最も多い原因です。 新しく作ったばかりで馴染んでいない場合も注意が必要です。
  • ご自身の歯や詰め物 虫歯で欠けた歯や、治療した詰め物の角が尖っていると、 舌や頬の粘膜を知らないうちに傷つけていることがあります。
  • 矯正装置 歯並びを整えるための装置が、粘膜にこすれて傷になります。

こうした直接的な刺激に加えて、お口の環境も大きく関係します。 お口の中が不潔だと、傷口から細菌が入り込みやすくなります。 従来の抗菌薬だけでは対応が難しい細菌も問題になることがあります。

また、ご高齢で粘膜が弱くなったり、唾液が減ってお口が乾いたりすると、 粘膜のバリア機能が落ち、潰瘍ができやすくなります。 まれなケースですが、なかなか治らない潰瘍は注意が必要です。

日本人を対象とした調査では、肺など体の他の部分にできた病気が、 お口の中に症状として現れることがあると報告されています。 原因を取り除いても2週間以上治らない場合は、自己判断せずに 必ず歯科医院や口腔外科を受診するようにしてください。

褥瘡性潰瘍(口腔粘膜、口腔内)の症状

褥瘡性潰瘍ができると、お口の中に様々なサインが現れます。 食事や会話の際に「いつもと違うな」と感じたら注意が必要です。 ご自身の症状と当てはまるものがないか、一緒に確認しましょう。

【お口の傷、こんな症状はありませんか?】

  • 見た目の変化 粘膜に、白や黄色っぽい膜でおおわれた傷ができています。 傷の周りがドーナツのように赤く腫れていることもあります。
  • 痛みや違和感 食事中、特に熱いものや酸っぱいものがしみて痛みます。 入れ歯や歯が当たると、ズキッとした痛みを感じます。
  • その他の症状 話すときに舌が動かしにくかったり、違和感があったりします。

これらの症状は、入れ歯が当たりやすい歯ぐきや上あご、 尖った歯が触れやすい舌の側面や頬の内側によく見られます。

通常、原因となっている刺激を取り除けば1〜2週間で良くなります。 しかし、傷口が不潔だと細菌が入り込み、治りが遅れることがあります。 中には、従来の抗菌薬だけでは対応が難しい細菌も存在します。

特に注意したいのは、潰瘍が2週間以上たっても治らない場合です。 また、傷の周りに硬い「しこり」を触れるときは危険なサインです。 日本での調査では、お口にできる他の病気の転移において、 最も多い症状は「しこり(結節)」で、約9割を占めたと報告されています。 気になる症状があれば、自己判断せず早めに歯科医院を受診してください。

褥瘡性潰瘍(口腔粘膜、口腔内)の検査・診断

お口の中にできた傷が褥瘡性潰瘍かどうかは、まず目で見て確認します。 歯科医師が、傷の状態や原因となりそうなものを丁寧に探していきます。

ほとんどの場合は、目で見る「視診」だけで原因がわかります。 入れ歯が当たっていないか、尖った歯がないかなどを確認するのです。 原因を取り除けば、通常は1〜2週間ほどで自然に良くなっていきます。

しかし、なかなか治らない場合や、傷の周りに硬いしこりがある場合は、 「ただの傷」ではない可能性も考え、より詳しい検査を行うことがあります。

実は、お口にできる「しこり」は、注意深く調べる必要があるサインです。 日本で行われた調査では、体の他の部分から転移してきた病気において、 最も多い症状は「しこり(結節)」で、約9割を占めたと報告されています。

検査の種類

どんな検査?

どんな時に行う?

病理検査

傷の組織を少しだけ取って、

顕微鏡で詳しく調べる検査です。

・2週間以上治らない

・口腔がんなどの病気が疑われる

適合試験

特殊な材料を使い、入れ歯が

強く当たる部分がないか調べます。

・入れ歯が原因だと疑われるとき

血液検査

体全体の健康状態を

チェックするために行われる検査です。

・糖尿病など、全身の病気が

影響していると考えられるとき

これらの検査は、見た目だけではわからない原因を見つけるために大切です。 気になる症状があれば自己判断せず、必ず歯科医院や口腔外科を受診しましょう。

褥瘡性潰瘍(口腔粘膜、口腔内)の治療

褥瘡性潰瘍の治療で最も大切なのは、傷を作る原因を取り除くことです。 原因がなくなれば、多くの場合、1〜2週間ほどで自然に治っていきます。 治療は主に以下の3つのステップを組み合わせて、丁寧に進めていきます。

治療のステップ

具体的な内容

1. 原因の除去

・合わない入れ歯の調整

・とがった歯や詰め物を丸く削る

・矯正装置の調整

2. 口腔ケア

・毎日の丁寧な歯磨き

・うがい薬によるお口の消毒

・保湿剤によるお口の乾燥予防

3. 薬物療法

・痛みや炎症を和らげる塗り薬

・粘膜を保護する貼り薬やジェル

・細菌感染がある場合の飲み薬

原因を取り除くことが治療の第一歩

まず、入れ歯が合っていなければ調整し、歯がとがっていれば丸くします。 これが根本的な治療となり、お口の粘膜が回復する環境を整えます。

お薬を使った治療の工夫

お薬による治療では、患部に直接効かせる方法が中心となります。 最近では、薬の成分を長く留めて効果を高めるための工夫も進んでいます。 例えば、フィルム状の貼り薬は、唾液で流されずに薬を届け続けます。

細菌感染への新しいアプローチ

傷口から細菌が入ると、治りが遅れたり、痛みが強くなったりします。 中には、従来の抗菌薬が効きにくい手強い細菌も問題になることがあります。 そのため、細菌の増殖を抑え、組織の回復を助ける新しい材料を用いた 治療法の開発も進められています。

まずは原因を取り除き、お口の中を清潔に保つことが回復への近道です。 症状が長引く場合は自己判断せず、必ず歯科医師に相談してください。