低カルシウム血症

健康診断でカルシウム不足を指摘されたものの、つい放置してしまっていませんか?手足のしびれや筋肉のけいれんを、ただの疲れだと思っている方もいるかもしれません。しかし、その不調は血液中のカルシウムが基準値の「8.5 mg/dL」を下回る「低カルシウム血症」のサインである可能性があります。

カルシウムは骨を丈夫にするだけでなく、心臓の鼓動や神経の伝達を支える、生命維持に欠かせない重要な役割を担っています。そのため、不足すると心身に様々な影響を及ぼし、重症化すると命に関わる危険性も潜んでいます。

実は、その原因は食生活だけでなく、腎臓の病気や、骨粗しょう症の治療で使われる特定のお薬が関係していることも。この記事では、見過ごされがちな低カルシウム血症の症状や原因、そして正しい治療法について詳しく解説していきます。

低カルシウム血症の概要

血液の中に含まれる「カルシウム」というミネラルの量が、 基準より少なくなってしまう状態を低カルシウム血症と呼びます。

私たちの体の中では、カルシウムはとても狭い範囲で、 常に一定の濃度に保たれるように調整されています。

▼カルシウムの主な働き

  • 骨や歯を丈夫にする 体の土台となる骨や歯の、主成分として活躍します。
  • 筋肉をスムーズに動かす 筋肉が力を入れたり抜いたりする時に、重要な役割を担います。
  • 心臓を規則正しく動かす 心臓が一定のリズムで拍動するのを支える働きがあります。
  • 神経の情報を伝える 脳からの命令を体のすみずみまで正確に伝えるのを助けます。

このように、カルシウムは生命を維持するために不可欠です。 そのため、血液検査で血清総カルシウムの値が「8.5 mg/dL」を下回ると、 低カルシウム血症と判断され、注意が必要になります。

低カルシウム血症は、特定の病気だけでなく、お薬が原因となることもあります。 例えば、骨を強くする骨粗しょう症の治療薬を使った場合に、 副作用として血液中のカルシウム濃度が下がることがあります。 実際に、腎臓移植後の患者さんに特定のお薬を使用したところ、 低カルシウム血症になる危険性が高まった、 という複数の研究をまとめた信頼性の高い報告もあります。

体の重要な機能に影響を与える可能性があるため、 この状態を正しく理解しておくことが大切です。

低カルシウム血症の種類

低カルシウム血症は、原因によって大きく2つの種類に分けられます。 血液中のカルシウム量を調整するホルモンが関係するかどうかで、 見分けるのが一般的です。

1. 副甲状腺ホルモン(PTH)が関係するタイプ 首にある副甲状腺から出るPTHというホルモンの異常で起こります。 PTHはカルシウムの量を保つための司令官のような働きをします。

  • 副甲状腺機能低下症 司令官(副甲状腺)の働きが弱くなり、 命令(PTH)が出せなくなる状態です。
  • 偽性副甲状腺機能低下症 命令は出ていても、現場の臓器がうまく反応できず、 結果的にカルシウムが不足してしまいます。

2. 副甲状腺ホルモン(PTH)が関係しないタイプ 司令官(PTH)は正常でも、他の原因でカルシウムが減るタイプです。 こちらには様々な原因があります。

  • ビタミンDの不足 食べ物からカルシウムを吸収するのを助ける、 ビタミンDが足りない状態です。
  • 腎臓の病気 腎臓の機能が落ちると、カルシウムをうまく再利用できず、 体の外に出ていってしまいます。
  • 特定の薬の副作用 骨粗しょう症の治療薬(デノスマブなど)を使った場合に、 カルシウム濃度が下がることがあります。 特に腎臓移植を受けた方では、低カルシウム血症になる 危険性が高まるという信頼性の高い報告もあります。
  • マグネシウムの不足 マグネシウムは司令官(PTH)の働きを助けるため、 不足するとカルシウムも減りやすくなります。

このように、低カルシウム血症の原因は一つではありません。 そのため、専門の医師による正確な診断がとても大切になります。

低カルシウム血症の原因

血液中のカルシウムが少なくなる原因は、一つだけではありません。 いくつかの原因が、複雑にからみあっていることも珍しくありません。 ここでは、主な原因を4つに分けて解説します。

  • 副甲状腺ホルモンの異常 カルシウム量を調整する「司令官」の働きが弱まることです。
  • ビタミンDの不足 カルシウムの吸収を助ける「助っ人」が足りない状態です。
  • 腎臓の機能低下 カルシウムを再利用する「フィルター役」の不調です。
  • お薬の副作用 飲んでいるお薬が、カルシウム量に影響することがあります。

司令官(副甲状腺ホルモン)の異常

私たちの体には、カルシウム量を調整する司令官がいます。 それが「副甲状腺ホルモン」です。 この司令官の働きが弱まると、低カルシウム血症につながります。 例えば、甲状腺の手術で副甲状腺が傷つくことなどが原因です。

助っ人(ビタミンD)の不足

食べ物からカルシウムを吸収するには、「ビタミンD」という助っ人が必要です。 ビタミンDは、食事から摂るだけでなく、日光を浴びることでも作られます。 食事の偏りや日光不足でビタミンDが足りないと、 カルシウムもうまく吸収できなくなってしまいます。

フィルター役(腎臓)の機能低下

腎臓は、体に必要なカルシウムを再利用する大切なフィルターです。 この腎臓の働きが弱くなると、大切なカルシウムが尿と一緒に、 体の外へたくさん流れ出てしまうことがあります。

お薬の副作用

飲んでいるお薬が、原因になることもあります。 例えば、骨を丈夫にする骨粗しょう症の治療薬(デノスマブなど)です。 このお薬は、副作用としてカルシウム濃度を下げることがあります。 特に腎臓の働きが弱っている方では、注意が必要です。

実際に、腎臓移植を受けた方を対象にした複数の研究をまとめた、 信頼性の高い報告があります。 その報告によると、デノスマブというお薬を使った場合、 低カルシウム血症になる危険性が高まることが示されています。 原因は様々ですので、自己判断せずに医師に相談することが大切です。

低カルシウム血症の症状

血液中のカルシウムが少なくなると、体に様々なサインが現れます。 カルシウムは、神経の伝達や筋肉の動きを調整する大切な役割を担います。 そのため、不足するとこれらの機能に異常が出やすくなるのです。 症状の出方は、カルシウム濃度がどのくらい低いかによって変わります。

▼低カルシウム血症でみられる主な症状

  • 神経や筋肉の症状 手足の先や唇の周りが、ピリピリとしびれる感じがします。 筋肉がこわばったり、痛みを伴うけいれんが起きやすくなります。 「テタニー」と呼ばれる、強い筋肉のけいれんも特徴的な症状です。
  • 精神的な症状 特に理由もなく気分が落ち込んだり、不安な気持ちが強くなります。 物忘れをしやすくなったり、混乱状態になることもあります。
  • 長期間続いた場合の変化 皮膚が乾燥してカサカサになり、爪がもろくなって割れやすくなります。 髪の毛が硬くなる、といった変化が見られることもあります。 心臓のリズムが乱れる不整脈や、白内障の原因にもなります。

カルシウム濃度がごくわずかに低い段階では、自覚症状がないことも多いです。 しかし、急激に、あるいは極端に低くなると、命に関わることもあります。 のどの筋肉がけいれんして呼吸困難になったり、全身のけいれん発作を 起こしたりする危険があるため、速やかな対応が必要です。

また、骨粗しょう症の治療で使われるお薬(デノスマブなど)が、 副作用として低カルシウム血症を引き起こすことがあります。 実際に、腎臓移植を受けた方を対象にした複数の研究をまとめた 信頼性の高い報告では、このお薬によって低カルシウム血症になる 危険性が高まる可能性が示されています。

お薬を飲んでいる方で気になる症状が出た場合は、自己判断で中止せず、 必ず処方した医師に相談するようにしてください。

低カルシウム血症の検査・診断

低カルシウム血症は、はっきりした症状がなくても見つかることがあります。 会社の健康診断など、何気なく受けた血液検査が診断のきっかけになることも多いです。 診断のためには、血液検査で体の状態を詳しく調べることが中心になります。

診断の基本となるのは、血液検査です。 この検査で、原因を特定するためにいくつかの項目を詳しく調べます。 まるで探偵が手がかりを集めるように、原因を探っていくのです。

▼血液検査で調べる主な項目

  • カルシウムとアルブミン 血液中のカルシウムと、その運び役であるアルブミンという たんぱく質の量を測り、正確なカルシウム濃度を計算します。
  • 原因を探るための項目 カルシウム量を調整する司令官(PTH)や、助っ人(ビタミンD)、 仲間であるマグネシウムやリンの量も同時に調べます。 フィルター役である腎臓の機能も確認します。

血液検査の他に、必要に応じて尿検査や遺伝子検査を行うこともあります。 尿検査では、腎臓からカルシウムが漏れ出ていないかなどを確認します。

また、飲んでいるお薬が原因になることもあるため、問診も非常に大切です。 例えば骨粗しょう症の治療で使われるお薬(デノスマブなど)は、 低カルシウム血症を引き起こす可能性が知られています。

実際に、腎臓移植を受けた方を対象にした複数の研究をまとめた報告があります。 この報告では、特定のお薬を使った場合、低カルシウム血症になる 危険性が高まる可能性が示唆されています。

そのため、診察の際には今飲んでいるお薬やサプリメントについて、 正確に医師へ伝えていただくことが、正しい診断への近道となります。

低カルシウム血症の治療

低カルシウム血症の治療は、原因を突き止め、それに対応することが基本です。 その上で、症状の重さに合わせて治療法を選択していきます。 治療の目標は、不足しているカルシウムや、その吸収を助けるビタミンDを 適切に補い、血液中のカルシウム濃度を正常な範囲に戻すことです。

▼症状の重さに合わせた治療

  • 症状が重い場合 けいれんなど、緊急の対応が必要な症状が見られるときは、 すぐにカルシウム濃度を上げるため、点滴でカルシウム製剤を注射します。
  • 症状が軽い、または慢性的な場合 飲み薬での治療が中心となります。カルシウム製剤や、 カルシウムの吸収を助ける活性型ビタミンD製剤などが使われます。

治療では、原因となっている病気への対応も同時に進めます。 例えば、副甲状腺の病気が原因の場合は、専門の医師による カルシウム濃度の細やかな調整が、特に重要になります。

また、お薬の副作用が原因の場合、そのお薬の見直しが必要です。 例えば、骨粗しょう症の治療で使われるデノスマブというお薬は、 低カルシウム血症を引き起こす可能性が知られています。

実際に、腎臓移植を受けた方を対象とした複数の研究をまとめた、 信頼性の高い報告があります。 その報告によると、このお薬を使った場合、低カルシウム血症になる 危険性が高まる可能性が示されています。 自己判断で服用を中止せず、必ず処方した医師に相談してください。