大腿骨骨幹部骨折

人体で最も太く、そして長い骨、それは太ももにある「大腿骨」です。この体を支える重要な柱が折れる大腿骨骨幹部骨折は、激しい痛みで歩けなくなるだけでなく、時には1000mlもの大量出血を引き起こし、命の危険も伴う非常に重篤なケガです。

この骨折は、若者の交通事故から高齢者の転倒まで、幅広い年代で起こり得ます。そのため、誰もが知っておくべき知識と言えるでしょう。

この記事では、大腿骨骨幹部骨折の具体的な症状や原因、そして治りを早め体への負担を減らす「ロボット支援手術」のような最新の治療法まで、詳しく解説していきます。ご自身や大切な方の万が一に備え、正しい知識を身につけましょう。

大腿骨骨幹部骨折の概要

大腿骨(だいたいこつ)は太ももの骨のことです。 体の中で一番太く、そして一番長い骨になります。 この丈夫な骨の真ん中あたりが折れることを、 大腿骨骨幹部骨折と呼びます。

大腿骨は体を支える大事な柱なので、 折れると激しい痛みで歩けなくなります。 また、骨の周りには太い血管がたくさんあり、 骨折すると500mlから1000mlもの出血をします。 これは、命に関わることもある非常に危険な状態です。

この骨折の原因は、年齢によって大きく違います。

  • 若者・成人の場合 交通事故や高い場所からの転落など、 とても強い力が加わったときに起こります。 頭やお腹など、他の部分も大ケガしていることが多いです。
  • 高齢者の場合 骨がもろくなる骨粗鬆症(こつそしょうしょう)が原因で、 少し転んだだけで折れてしまうことがあります。

治療は手術が必要になることがほとんどですが、 その技術は常に進歩しています。 例えば、大腿骨の骨折治療ではロボット技術を使い、 より正確で安全な手術を行う研究が進んでいます。

ロボット支援による手術には、 以下のような利点が期待されています。

  • 治りが早くなる可能性がある
  • 手術による体への負担や出血が少ない
  • 手術後の機能回復が良くなる

このように、大腿骨骨幹部骨折は大きなケガですが、 治療法も進化しており、早期の回復が目指せます。

大腿骨骨幹部骨折の種類

大腿骨骨幹部骨折は、骨の折れ方やケガの状態で、 いくつかの種類に分けられます。 どの種類の骨折かを見極めることが、 一番良い治療を選ぶための大切な第一歩になります。

骨折の種類は、主に3つのポイントで分類します。

分類のポイント

骨折の種類

特徴

皮膚の状態

開放骨折(かいほうこっせつ)

折れた骨が皮膚を突き破り、体の外に見えている状態です。傷口からばい菌が入る危険があり、急いで手術が必要です。

閉鎖骨折(へいさこっせつ)

皮膚は破れておらず、体の内側で骨が折れている状態です。

骨の折れ方

完全骨折(かんぜんこっせつ)

骨がポッキリと完全に2つ以上に分かれている状態です。

不完全骨折(ふかんぜんこっせつ)

骨にヒビが入った状態で、完全には離れていません。子どもの骨でよく見られる「若木骨折」もこの一種です。

骨のズレ

転位骨折(てんいこっせつ)

折れた骨の端が、元の正しい位置から大きくズレた状態です。筋肉に引っ張られてズレることが多く、手術が必要になります。

特に、骨が大きくズレたり複雑に折れたりしている場合は、 手術で治療することがほとんどです。 手術では、折れた骨をパズルのように正確な位置に戻し、 金属の板や棒でしっかりと固定します。

最近では、この手術をロボットが手伝う技術も進んでいます。 ある研究では、ロボット支援の手術は人の手による手術と比べて、 治りが早く、手術中の出血も少ないことがわかっています。 さらに、手術後の足の機能回復も良いと報告されています。 このように、最新技術は体への負担を減らし、 早く回復するための大きな助けとなっています。

大腿骨骨幹部骨折の原因

大腿骨は体の中で一番硬くて丈夫な骨です。 そのため、この骨が折れるときは、 とても大きな力が加わった場合がほとんどです。

骨折の主な原因は、年齢によって大きく異なります。

  • 若い方・成人の場合 交通事故や高い場所からの転落など、 強い衝撃が骨に直接加わることが原因です。 これを「高エネルギー外傷」と呼びます。 ラグビーなど激しいスポーツでの衝突でも起こります。
  • お年寄りの場合 骨がもろくなる「骨粗鬆症(こつそしょうしょう)」で、 家で軽く転んだだけで折れてしまうことがあります。 骨粗鬆症は、骨の中がスカスカになる病気です。

その他にも、骨を強くするビタミンDの不足や、 骨の腫瘍(しゅよう)などの病気が原因で、 骨が折れやすくなることもあります。

特に強い力で複雑に折れた場合は、 より正確で安全な手術が求められます。 最近ではロボットが手術を手伝う技術も進んでいます。

ある研究では、ロボット支援による手術は、 人の手による手術と比べて治りが早いことや、 手術中の出血が少ないことがわかっています。 手術後の足の機能回復も良いと報告されており、 体への負担を減らし、早い回復につながります。

大腿骨骨幹部骨折の症状

大腿骨骨幹部骨折は、とても強い力が加わるケガなので、 はっきりとした症状があらわれます。 体を支える柱が折れるため、日常生活はまず送れません。

具体的には、以下のような症状がみられます。

  • 立っていられないほどの激しい痛み 足を少しでも動かそうとすると、 電気が走るような強い痛みが走ります。 これは骨が不安定になり、周りの神経を刺激するためです。
  • 足の見た目が変わってしまう 太ももの強い筋肉が、折れた骨の端を引っ張ります。 そのため、足が短く見えたり、 外側へねじれたりして、形が変わって見えます。
  • パンパンに腫れて紫色になる 骨折した周りは、大きく腫れあがります。 皮膚の下で出血が起きているため、 紫色や青色のあざ(皮下出血)ができます。
  • 歩けない、立てない 痛みと骨の不安定さで、体重を支えることができません。 自分の力で立つことも、歩くこともできなくなります。

これらの症状は、股関節の動きにも大きな影響を及ぼします。 つらい症状を早く治し、後遺症を少なくするには、 正確な治療を受けることがとても重要です。

ある研究では、手術の方法によって、 その後の股関節の機能回復が良くなることや、 治るまでの期間が短くなることが報告されています。 適切な治療は、回復を良くすることにつながるのです。

大腿骨骨幹部骨折の検査・診断

大腿骨骨幹部骨折が疑われる場合、 まずはお医者さんが足の状態を丁寧に調べます。 痛む場所や腫れ具合、足の形の変化などを、 目で見て、優しく触って確認します。

次に、骨の状態を詳しく知るために、 機械を使って体の中の写真を撮ります。 これにより、骨折の正確な診断を行います。

検査の種類

どんなことを調べるの?

レントゲン検査

骨が折れているか、どのくらいズレているかを確認する基本的な検査です。正面と横からの2方向から撮影し、骨の状態を正確に見ます。

CT検査

レントゲンよりも詳しく、骨折を3Dの立体画像で見ることができます。交通事故など大きなケガの時に、複雑な骨折の状態を把握します。

MRI検査

骨だけでなく、その周りにある筋肉や神経など、柔らかい組織に傷がないかを詳しく調べたい時に行います。

また、この骨折は出血が多くなることがあります。 そのため、血液検査で貧血になっていないか調べ、 必要であれば点滴や輸血の準備をします。

これらの検査結果を総合して、骨折のタイプを診断し、 一人ひとりに合った一番良い治療計画を立てます。 最近の研究では、ロボット支援手術という方法が、 回復を良くすることがわかっています。

この手術は、手術中のレントゲン撮影回数を減らし、 体への負担を少なくできると報告されています。 このような良い治療を選ぶためにも、 最初の正確な検査と診断がとても大切になるのです。

大腿骨骨幹部骨折の治療

大腿骨骨幹部骨折の治療は、手術を行うことがほとんどです。 体を支える柱である骨を、正確に元の位置へ戻すためです。 もし手術をしないと、長期間ベッドで安静にする必要があり、 足の筋肉が弱ったり、関節が固まったりする恐れがあります。

手術の方法は、骨折の状態に合わせて主に3つから選びます。

手術の方法

どんな手術?

髄内釘(ずいないてい)固定術

骨の中に金属の丈夫な棒を入れて固定する、最も一般的な方法です。手術の傷が小さく、体への負担が少ないのが特徴です。

プレート固定術

骨の外側から金属の板(プレート)とネジを使って、折れた部分をしっかりと固定する方法です。

創外固定(そうがいこてい)術

折れた骨が皮膚を突き破っている時などに行います。体の外から金属の棒で骨を支え、傷口のばい菌を防ぎます。

最近では、手術をロボットが手伝う技術も進んでいます。 ロボットの目(カメラ)と手(アーム)を借りることで、 より正確で安全な手術を目指すことができます。

ある研究報告では、ロボットが手伝う手術には、 以下のような良い点があるとされています。

  • 治るまでの期間が短くなる可能性がある
  • 手術後の足の機能がより良く回復する
  • 手術中の出血量を少なくできる
  • レントゲンを撮る回数が減り体への負担が少ない

子どもの場合は骨がつきやすく、自然に治る力も強いです。 そのため、ギプスで固定する治療が選ばれることもあります。 しかし、骨のズレが大きい場合は手術が必要になります。

どの治療法が良いかは一人ひとり違うため、 お医者さんとよく相談して決めることが大切です。