結膜炎

目の充血、ゴロゴロとした異物感、かゆみ…。誰もが経験しうる「結膜炎」ですが、「そのうち治るだろう」と自己判断で放置していませんか?実はその症状、原因によって対処法が全く異なり、単なる目の不調にとどまらないケースもあるのです。

例えば、ある研究ではアレルギー性の結膜炎があるお子さんは、まばたきなどを繰り返すチック症状のリスクが約3.6倍にもなると報告されています。また、アトピー性皮膚炎の治療が結膜炎を引き起こし、本来の治療効果を弱めてしまう可能性も指摘されています。

本記事では、「うつるタイプ」と「うつらないタイプ」の見分け方から、原因ごとの正しい治療法までを詳しく解説します。たかが結膜炎と侮らず、適切なケアへの第一歩として、ぜひご自身の症状と照らし合わせてみてください。

結膜炎の概要

「結膜炎」とは、目の「結膜」という部分が炎症を起こす病気です。 目が充血したり、目やにが出たり、ゴロゴロしたりする症状が出ます。

結膜は、まぶたの裏側と白目の表面をおおう、薄くて透明な膜です。 この膜には、目を守るための大切な働きがあります。

  • バリア機能 外からゴミや細菌などが目の中に入るのを防いでいます。
  • うるおい保持 涙で目の表面をおおい、目が乾かないように守っています。

結膜は常に外気にさらされているため、刺激を受けやすい部分です。 また、血管が多く、袋のような構造のため炎症が起きやすいといえます。

結膜炎は、目だけの問題にとどまらないことがあります。 例えば、アレルギーが原因の結膜炎は、お子さんのチック症状と関連します。

ある研究では、アレルギー性結膜炎のあるお子さんは、そうでない子に比べ、 まばたきなどを繰り返すチックが約3.6倍起こりやすいと報告されました。 うつりやすいタイプの結膜炎もあるため、適切な対処が大切です。

結膜炎の種類

ひとくちに結膜炎といっても、原因によって対処法は全く異なります。 自分の症状がどの種類に近いかを知ることが、治療への大切な一歩です。 結膜炎は、主に次の3つの種類に分けられます。

  • ウイルス性結膜炎 「はやり目」とも呼ばれ、アデノウイルスなどが原因です。 感染する力が非常に強く、学校などで集団で流行することがあります。 涙がたくさん出て、目にゴミが入ったようにゴロゴロするのが特徴です。
  • 細菌性結膜炎 黄色ブドウ球菌などの「細菌」が原因で起こります。 ウイルス性ほど強力ではありませんが、人から人へとうつります。 黄色や緑色をした、ドロッとした膿(うみ)のような目やにが出ます。
  • アレルギー性結膜炎 花粉や家のホコリなど、アレルギー反応が原因で起こります。 人にうつる心配はなく、耐えがたいほどのかゆみが特徴です。 アトピー性皮膚炎の方は、この結膜炎を併発しやすい傾向にあります。 実際に、アトピー性皮膚炎の治療薬を使った方の副作用として、 結膜炎が最も多かったという海外の大規模な研究報告もあります。 この研究では、結膜炎が治療の効果を弱める可能性も示されており、 アトピー治療中の目の症状には、特に注意が必要です。

種類

主な原因

うつるか

特徴的な症状

ウイルス性

ウイルス

とても強い

多量の涙、充血、ゴロゴロ感

細菌性

細菌

弱い

黄色い膿のような目やに、充血

アレルギー性

アレルゲン

(花粉、ホコリなど)

うつらない

非常に強いかゆみ、サラサラした涙

結膜炎の原因

結膜炎の原因は、大きく「うつるタイプ」と「うつらないタイプ」に分けられます。 原因によって対処法が全く違うため、自分の症状がどれに近いかを知ることが大切です。

種類

主な原因

うつるか

ウイルス性

アデノウイルスなど

とてもうつりやすい

細菌性

黄色ブドウ球菌など

うつることがある

アレルギー性

花粉、ホコリなど

うつらない

ウイルスが原因の場合

「はやり目」や「プール熱」とも呼ばれるタイプで、ウイルスが原因です。 アデノウイルスなどが目に感染することで起こり、感染力が非常に強いのが特徴です。 ウイルスがついた手で目をこすったり、タオルを共有したりすると感染が広がります。

細菌が原因の場合

インフルエンザ菌や黄色ブドウ球菌といった、身の回りにいる細菌が原因です。 風邪をひいて体の抵抗力が落ちているときや、目にけがをしたときに感染しやすくなります。 ウイルス性ほどではありませんが、人から人へうつることがあります。

アレルギーが原因の場合

花粉や家のホコリなど、アレルギーを引き起こす物質(アレルゲン)への反応です。 このタイプは、人にうつる心配は全くありません。 強いかゆみが特徴で、アレルギー性鼻炎やぜんそくなど、他のアレルギーと一緒に起こることも多いです。 また、ある研究では、アレルギー性結膜炎のあるお子さんは、チック症状が起こりやすいと報告されています。

その他の原因

アトピー性皮膚炎の治療で使うお薬が、結膜炎を引き起こすこともあります。 海外の研究では、アトピー性皮膚炎の治療薬による副作用として、結膜炎が最も多かったと報告されました。 この結膜炎が、アトピー治療の効果を弱めてしまう可能性も指摘されています。 原因がはっきりしない場合は、自己判断せず、必ず医療機関を受診しましょう。

結膜炎の症状

結膜炎の症状は、原因によって全く異なります。 自分の症状がどれに近いか、見分けるためのヒントをお伝えします。 主な3つのタイプの症状を、下の表で比べてみましょう。

種類

主な症状

ウイルス性

・サラサラした涙や白い目やにがたくさん出る

・目の充血、ゴロゴロとした異物感

・耳の前やあごの下のリンパ節がはれて痛む

細菌性

・黄色や緑色のドロッとした膿のような目やに

・朝、目やにでまぶたがくっついて目が開かない

・目の充血

アレルギー性

・我慢できないほどの強いかゆみ

・目が充血し、まぶたが腫れる

・サラサラした涙や、白っぽい目やにが出る

ウイルス性や細菌性の結膜炎は、片方の目から始まることが多いです。 その後、もう片方の目にうつってしまうことがよくあります。

一方、アレルギー性結膜炎は花粉などが原因で起こるため、 両方の目に同時に強いかゆみが出ることが特徴です。 目だけでなく、鼻水やくしゃみなどのアレルギー症状も一緒に出ることがあります。

また、アレルギー性結膜炎は、他の病気と関係することがあります。 ある研究では、アレルギー性結膜炎のお子さんは、そうでない子と比べて、 まばたきを繰り返すなどのチック症状が約3.6倍起こりやすいと報告されました。

アトピー性皮膚炎の治療で使うお薬が、結膜炎を引き起こすこともあります。 海外の研究では、この結膜炎がアトピー自体の治療効果を弱める可能性も指摘されています。 気になる症状があれば、自己判断せず眼科を受診することがとても大切です。

結膜炎の検査・診断

「目が赤い」「目やにがたくさん出る」といった症状で眼科を受診すると、 まず原因を突き止めるための診察と検査が行われます。 結膜炎は原因によって治療法が全く違うため、正確な診断がとても大切です。

診察では、主に次のことを行います。

問診

いつからどのような症状があるかなど、医師がお話を聞きます。 周りの人に同じ症状の人がいないか、アレルギーがあるかなども、 原因を探るための大切な手がかりになるので、詳しく教えてください。

視診・検査

「細隙灯(さいげきとう)顕微鏡」という、目に光をあてて、 目の状態をくわしく観察できる特別な顕微鏡を使います。 結膜の充血の具合や、黒目(角膜)に傷がないかなどをチェックします。

必要に応じて、さらに詳しい検査を行うこともあります。 下の表で、どのような検査があるのか見てみましょう。

検査の種類

どのような検査か

ウイルス迅速検査

「はやり目」が疑われる時に、綿棒で目をこすり、

原因のウイルスがいるか10分ほどで調べます。

細菌培養検査

細菌が原因と考えられる時に、目やにを採って、

どの菌が原因かを特定します。結果に数日かかります。

アレルギー検査

アレルギーが原因と疑われる場合に、血液検査などで

原因となる物質(アレルゲン)を調べます。

これらの診察や検査の結果から、結膜炎の原因がわかります。 例えば「はやり目(流行性角結膜炎)」と診断された場合、 その後の治療方針が決まります。

ある研究では、はやり目の症状が強い時期には、 炎症を抑えるステロイドの目薬が症状を和らげるのに役立つと報告されました。 しかし、目の硬さ(眼圧)が変わる副作用の可能性も考えられます。 そのため、医師は症状の時期や程度を慎重に見極めて薬を選びます。

このように、正確な診断があなたに合った治療への第一歩となるのです。

結膜炎の治療

結膜炎の治療は、原因によって全く異なります。 自己判断で市販薬を使う前に、まずは眼科を受診しましょう。 正しい原因を知ることが、回復への一番の近道です。 治療の基本は、原因に合わせた目薬を使うことになります。

ウイルス性結膜炎の治療

ウイルスに直接効く特効薬というものはありません。 自分の体の力(免疫)でウイルスを退治するのを待ちます。 治療は、つらい症状を和らげ、他の菌から目を守ることが中心です。

  • 抗菌薬の目薬 弱った目に、他の細菌が入り込む「二次感染」を防ぎます。
  • 抗炎症薬の目薬 目の充血やゴロゴロ感といった、不快な症状を和らげます。

特に「はやり目」で炎症がひどい場合、ステロイドの目薬を使うことがあります。 ある研究では、この薬が急な症状を和らげるのに役立つと報告されました。 しかし、目の硬さ(眼圧)が変わる副作用も考えられるため、医師が慎重に判断します。

細菌性結膜炎の治療

原因となっている細菌を退治するための、抗菌薬の目薬が中心です。 症状が良くなっても、菌を完全にやっつけることが大切です。 医師から指示された期間は、きちんと目薬を続けましょう。

アレルギー性結膜炎の治療

アレルギー反応を抑えることが、治療の中心になります。 かゆみを抑える抗アレルギー薬や、症状が強い場合はステロイドの目薬を使います。

また、アトピー性皮膚炎の治療で使うお薬が原因で、結膜炎が起こることもあります。 海外の研究では、この薬を使った方の副作用で、結膜炎が最も多かったと報告されました。 この結膜炎が、アトピー自体の治療効果を弱める可能性も指摘されています。

多くの場合は目薬で対応できますが、改善しないこともあります。 その場合は、アトピーのお薬を別の種類(ヤヌスキナーゼ阻害薬など)に変えることで、 結膜炎が良くなるという報告もあります。 目の症状だけでなく、体全体のことを考えて治療法を選ぶことが大切です。