アミロイド関連画像異常(ARIA)

薬

アルツハイマー病の治療が進む中、新たな治療法への期待と同時に、治療に伴う脳の変化『アミロイド関連画像異常(ARIA)』に不安を感じていませんか?実際に、ある臨床試験ではARIA-Eが約24%、ARIA-Hが約31%の患者さんに見られています。

この記事では、抗アミロイド抗体薬の副作用として知られるARIAについて具体的に解説します。ARIAの種類や症状、原因、検査、治療法までを詳しく見ていきましょう。

この記事を読み進めることで、ARIAを正しく理解できるでしょう。治療への不安を軽減し、医師と協力して安全に治療を進めるための一助となります。

アミロイド関連画像異常(ARIA)の概要

アミロイド関連画像異常(ARIA)は、アルツハイマー病の新たな治療薬である抗アミロイド抗体薬の投与中に、脳の画像検査で見つかることがある特徴的な変化です。これは、薬が脳内に蓄積した異常なたんぱく質「アミロイドβ」を取り除く作用で、一時的に脳の血管や組織に変化が生じる現象と考えられています。

特に、ドナネマブという抗アミロイド抗体薬を用いた臨床試験では、ARIAの発生頻度が薬を投与しないグループ(プラセボ群)よりも高いことが報告されており、治療中に注意が必要な主な有害事象の一つとして認識されています※。

ARIAは大きく分けて2つのタイプがあります。

・ARIA-E(浮腫/滲出): 脳の血管から水分が漏れ出て、脳がむくむ(浮腫)、あるいは血液成分が染み出る(滲出)状態です。

・ARIA-H(微小出血/ヘモシデリン沈着): 脳の血管からごく小さな出血が起きたり、過去の出血の痕跡(ヘモシデリン沈着)が見られたりする状態です。

ドナネマブの臨床試験では、ARIA-Eが24.4%の患者さんに見られたのに対し、プラセボ群では1.9%でした。また、ARIA-Hはドナネマブ群で31.3%、プラセボ群で13.0%と、ドナネマブを投与した場合にARIAの発生率が有意に高まることが示されています※。

多くのARIAは軽度で、患者さんが自覚する症状がないことがほとんどです。しかし、中には以下のような症状を伴う場合もあります。

・頭痛

・錯乱状態

・視覚の異常

・めまい

・吐き気

・歩行障害

症状を伴うARIA-Eは、ドナネマブの臨床試験において5.8%の患者さんに報告されており、中でも頭痛と錯乱状態が最も頻繁に現れる症状でした。重症のARIA-Eは1.5%と比較的少ないですが、症状が出た場合は速やかに医師に相談することが重要です※。

ARIAは、ドナネマブの投与開始から比較的早期に現れる傾向があります。実際、ARIA-Eが初めて確認された患者さんのうち、約6割は3回目の点滴(治療開始からおよそ3カ月目)までに発症しています※。そのため、治療中は定期的な画像検査(MRIなど)で脳の状態を細かく確認し、ARIAの発生やその程度を慎重にモニタリングすることが欠かせません。

また、ARIAの発生リスクを高める要因もいくつか特定されています※。

・APOE ε4対立遺伝子の数: アルツハイマー病のリスク遺伝子であるAPOE ε4を多く持つほど、ARIAのリスクも高まります。

・ベースラインでの微小出血の数: 治療開始前に脳内に微小な出血が多い場合、ARIAのリスクが増加します。

・皮質表層シデローシス: 脳の表面に鉄分が沈着している状態です。

・アミロイドプラーク量: 脳内のアミロイドβの蓄積量が多いほど、リスクが上昇します。

・平均動脈圧の上昇: 血圧が高いこともリスク要因の一つです。

これらの危険因子や、治療開始前の画像検査結果などに基づいて、一人ひとりの患者さんのARIAリスクを事前に評価できる可能性があります※。一方で、降圧剤の使用はARIAのリスクを減らすことに関連するとも報告されています※。

ARIAについて正しく理解し、治療中は医師と密に連携を取りながら、安全に治療を進めていくことが大切です。

アミロイド関連画像異常(ARIA)の種類

アミロイド関連画像異常(ARIA)は、脳の画像検査で確認される特徴的な変化により、主に「ARIA-E」と「ARIA-H」の2つのタイプに分類されます。アルツハイマー病の新たな治療薬である抗アミロイド抗体薬による治療を安全に進めるためにも、それぞれのタイプがどのような状態を指すのか、またどのような特徴があるのかを理解しておくことは重要です。

ARIA-E(アミロイド関連画像異常-浮腫/滲出)

ARIA-Eは、脳の血管から水分が漏れ出して脳がむくむ「浮腫(ふしゅ)」や、血液成分が染み出る「滲出(しんしゅつ)」の状態を指します。これは、アミロイドβを取り除く治療の過程で、脳の血管や組織に一時的な変化が生じることで起こると考えられています。

ドナネマブのような抗アミロイド抗体薬で治療を受けた患者さんでは、ARIA-Eの発生頻度が、薬を投与しないグループ(プラセボ群)よりも有意に高くなることが報告されています。具体的には、ドナネマブ群では24.4%の患者さんにARIA-Eが見られたのに対し、プラセボ群では1.9%でした※。

ARIA-Eの多くは、軽度から中程度の重症度で、患者さんが自覚する症状がないケースがほとんどです。しかし、中には症状を伴うARIA-Eも存在し、ドナネマブの臨床試験では5.8%の患者さんに確認されました※。この際、最も頻繁に現れる症状は頭痛と錯乱状態であるとされています※。比較的まれではありますが、重症のARIA-Eは1.5%の患者さんで報告されています※。

ARIA-Eは、治療を開始してから比較的早い時期に現れる傾向があります。最初にARIA-Eが確認された患者さんのうち、約6割は治療開始から3カ月目までに発症していることが示されています※。

ARIA-H(アミロイド関連画像異常-微小出血/ヘモシデリン沈着)

ARIA-Hは、脳内のごく小さな出血である「微小出血」や、過去の出血の痕跡として鉄分が沈着した状態である「ヘモシデリン沈着」を指します。これらはMRIなどの脳画像検査で確認される変化です。

このARIA-Hも、ドナネマブ治療を受けた患者さんにおいて、プラセボ群と比較して発生頻度が高いことがわかっています。ドナネマブ群では31.3%の患者さんにARIA-Hが確認されましたが、プラセボ群では13.0%でした※。

これらのARIAは、抗アミロイド抗体薬による治療中において、脳の状態を注意深くモニタリングするために定期的な画像検査が不可欠となる主な有害事象として認識されています。

アミロイド関連画像異常(ARIA)の原因

アミロイド関連画像異常(ARIA)は、アルツハイマー病の治療に用いられる抗アミロイド抗体薬が、脳内の異常なたんぱく質「アミロイドβ」を除去する過程で引き起こされる画像上の変化です。具体的には、薬の作用によって脳の血管や組織に一時的な変化が生じると考えられています。

ドナネマブという薬を使った治療では、ARIAの発生頻度が薬を投与しない場合(偽薬)よりも高くなることが報告されています。これは、アミロイドβを除去する作用が、脳の血管の透過性(物質の通りやすさ)を一時的に変化させたり、ごく小さな出血を起こしやすくするためと考えられています。この薬の安全性と有効性を確認する臨床試験(TRAILBLAZER-ALZおよびALZ 2)のデータを用いた解析では、60歳から85歳の早期症状性アルツハイマー病患者、合計3,030名が対象となりました※。この解析から、ARIAが薬の作用と深く関連していることが明らかになっています。

ARIAの発生リスクを高める要因として、以下の点が「独立して」関連しているとされています※。

・遺伝的な背景: アルツハイマー病の発症リスクに関わる「APOE ε4対立遺伝子」を多く持つ人ほど、ARIAのリスクも高まります。

・脳内の微小出血の数: 治療を始める前から脳内にごく小さな出血(微小出血)が多く見られる場合、ARIAの発生リスクが増加する傾向があります。

・皮質表層シデローシス: 脳の表面に鉄分が沈着している状態を指します。このような状態がある場合も、リスク要因の一つです。

・アミロイドプラーク量: 脳内に蓄積しているアミロイドβの量が多いほど、ARIAのリスクが上昇する可能性が考えられます。

・平均動脈圧の上昇: 血圧が高いことも、ARIAの発生リスクを高める要因として指摘されています。

一方で、降圧剤(血圧を下げる薬)を使用している人は、ARIAのリスクが低い傾向にあることもわかっています※。

多くのARIA-E(浮腫/滲出)は、治療開始後3回目の点滴まで、つまりおよそ3カ月以内に発生することが確認されています※。そのため、治療を開始する前には、APOE ε4の状態や脳の画像検査の結果に基づいて、一人ひとりの患者さんのARIAリスクを事前に評価できる可能性があります※。そして、治療中は定期的に脳のMRI検査などを行い、患者さんの状態を慎重に確認し、安全に治療を進めていくことが大切です。

アミロイド関連画像異常(ARIA)の症状

アルツハイマー病の治療で用いられる抗アミロイド抗体薬を投与していると、脳の画像検査でアミロイド関連画像異常(ARIA)が確認されることがあります。このARIAは、多くのケースで患者さんが自覚する症状がない「無症状」であることがほとんどです。しかし、中には症状が現れる場合もあり、その種類や程度はさまざまです。

症状の多くはARIA-Eに見られる

ARIAは、主に脳の浮腫(むくみ)や滲出(血液成分の染み出し)が見られる「ARIA-E」と、ごく小さな出血やその痕跡が見られる「ARIA-H」に分けられます。実際に患者さんが症状として自覚するのは、主にARIA-Eの場合が多いと考えられています。

ドナネマブという抗アミロイド抗体薬の臨床試験では、症状を伴うARIA-Eが対象患者さんの5.8%に報告されました※。症状の多くは軽度から中等度であり、特に頻繁に報告された症状は以下のとおりです※。

・頭痛

・錯乱状態(一時的に意識がぼんやりしたり、状況を把握しにくくなったりする状態)

非常にまれなケースではありますが、重症のARIA-Eは1.5%の患者さんで報告されています。これには意識障害やけいれんなど、より重篤な症状につながる可能性も指摘されています※。

症状が現れやすい時期と体調変化への対応

症状を伴うARIA-Eは、治療開始後比較的早期に現れる傾向があります。ドナネマブの臨床試験のデータを見ると、初めてARIA-Eが確認された患者さんのうち、およそ6割(58.3%)が3回目の点滴(治療開始から約3カ月目)までに発症していました※。

もし治療中に、いつもと違う頭痛を感じたり、物忘れがひどくなったように感じるなど、体調に普段と異なる変化があった場合は、自己判断せずにすぐに医師へ相談することが非常に大切です。早期に医師に伝えることで、ARIAの状態を正確に評価し、必要に応じて適切な対応をとり、安全に治療を継続できる可能性が高まります。

アミロイド関連画像異常(ARIA)の検査・診断

アミロイド関連画像異常(ARIA)は、アルツハイマー病の治療で使われる抗アミロイド抗体薬を投与している期間中に、脳に現れる可能性のある変化です。このARIAの有無や状態を把握するためには、脳の画像検査が診断の中心となります。

抗アミロイド抗体薬による治療を安全に進めるには、ARIAの早期発見が欠かせません。画像検査では、MRI(磁気共鳴画像)を用いて脳の詳しい状態を映し出し、ARIAの特徴である脳の浮腫(むくみ)やごく小さな出血(微小出血)、鉄分の沈着などを確認できます。

特にドナネマブという薬を用いたTRAILBLAZER-ALZおよびALZ 2の臨床試験の解析では、ARIA-E(浮腫/滲出)を発症した患者さんの約6割(58.3%)で、治療開始からおよそ3カ月目(3回目の点滴)までに最初のARIA-Eが確認されています※。このようにARIAは治療のごく早期に現れる傾向があるため、治療中は定期的なMRI検査によるきめ細かなモニタリングが不可欠です。

ARIAの診断は、画像検査の結果だけでなく、患者さんの自覚症状や体調の変化、これまでの病歴などを医師が総合的に判断して行われます。画像検査でARIAが見つかった場合でも、必ずしもすべての患者さんに症状が現れるわけではありません。実際に、ドナネマブの臨床試験では、ARIA-Eの大部分は軽度から中等度であり、症状を伴うARIA-Eは全体の5.8%にとどまりました※。

ARIAのリスクを事前に評価する要因

ARIAの発生リスクには個人差があり、いくつかの要因が「独立して」関連していることがTRAILBLAZER-ALZおよびALZ 2の臨床試験のデータ解析から明らかになっています。医師はこれらの情報や、治療開始前の画像検査結果に基づいて、個々の患者さんのARIAリスクを事前に評価できる可能性があります※。

ARIAのリスクを高める要因は、以下のとおりです。

・APOE ε4対立遺伝子の数: アルツハイマー病のリスク遺伝子であるAPOE ε4を多く持つ人ほど、ARIAのリスクは高まります。

・ベースラインでの微小出血の数: 治療開始前に脳内に微小出血が多く見られる場合、ARIAのリスクが増加する傾向があります。

・皮質表層シデローシス: 脳の表面に鉄分が沈着している状態を指します。このような状態がある場合も、リスク要因の一つです。

・アミロイドプラーク量: 脳内に蓄積しているアミロイドβの量が多いほど、ARIAのリスクが上昇する可能性が考えられます。

・平均動脈圧の上昇: 血圧が高いことも、ARIAの発生リスクを高める要因として指摘されています。

一方で、降圧剤(血圧を下げる薬)を使用している場合は、ARIAのリスクが減少することと関連しているとされています※。医師はこれらのリスク因子を考慮し、患者さん一人ひとりに合わせた最適な治療計画と経過観察を検討します。

アミロイド関連画像異常(ARIA)の治療

アミロイド関連画像異常(ARIA)の治療は、その発生を早期に発見し、適切に対応することが最も大切です。アルツハイマー病の治療に用いられる抗アミロイド抗体薬は、脳内の異常なたんぱく質「アミロイドβ」を除去する作用によって、ARIAを引き起こす可能性があります。そのため、治療中は注意深く経過を観察しながら進めます。

ドナネマブという薬を使った治療では、脳のむくみ(ARIA-E)や、ごく小さな出血(ARIA-H)が起こる頻度が、薬を使わない場合と比べて高くなることがわかっています。例えば、プラセボ(偽薬)群ではARIA-Eが1.9%、ARIA-Hが13.0%であったのに対し、ドナネマブ群ではARIA-Eが24.4%、ARIA-Hが31.3%と、いずれも有意に高い頻度で確認されました※。

1. 定期的なモニタリングと早期発見

ARIAは、薬の点滴を開始してから比較的早い時期に現れる傾向があります。ドナネマブの臨床試験(TRAILBLAZER-ALZおよびALZ 2)では、ARIA-Eが初めて見つかった患者さんの約6割(58.3%)が、治療を始めてから3回目の点滴まで(およそ3カ月以内)に発生していることが報告されています※。

このようなARIAを早期に発見するために、治療中はMRI(磁気共鳴画像)検査を定期的に行い、脳の状態を注意深く確認するモニタリングが欠かせません。この検査によって、患者さんが自覚症状を感じる前にARIAの兆候を見つけ出し、適切な対応をとることが可能になります。

2. ARIA発生時の対応

もしMRI検査でARIAが確認された場合は、患者さんの症状やARIAの重症度に合わせて、医師が抗アミロイド抗体薬の投与を一時的に中断したり、中止したりする判断をします。

ARIA-Eの多くは軽い症状か、あるいはまったく症状が出ない無症状のこともあります。しかし、中には以下のような症状を伴う場合もあります※。

・頭痛

・錯乱状態(一時的に意識がぼんやりしたり、状況を把握しにくくなったりする状態)

・視覚の異常

・めまい

・吐き気

・歩行障害

ドナネマブの臨床試験では、症状を伴うARIA-Eが対象患者さんの5.8%に報告され、最も頻繁に見られたのは頭痛と錯乱状態でした※。比較的まれではありますが、重症のARIA-Eは1.5%の患者さんで報告されており、意識障害やけいれんなど、より重篤な症状につながる可能性も指摘されています※。

体調に普段と異なる変化を感じた場合は、決して自己判断せず、すぐに主治医に伝えることが非常に大切です。

3. ARIAのリスク評価と治療計画

ARIAの発生リスクには個人差があり、治療を始める前に患者さん一人ひとりのリスクを評価することも大切です※。

ドナネマブの臨床試験データを用いた解析では、60歳から85歳の早期症状性アルツハイマー病患者、合計3,030名を対象とした研究から、ARIAの発生リスクを高める要因が特定されています。以下に挙げる項目が、ARIAのリスク増加と「独立して」関連していることがわかっています※。

・APOE ε4対立遺伝子の数: アルツハイマー病の発症リスクに関わる遺伝子(APOE ε4)を多く持つ人ほど、ARIAのリスクも高まります。

・治療開始前の微小出血の数: 治療を始める前に脳内にごく小さな出血が多く見られる場合、ARIAの発生リスクが増加する傾向があります。

・皮質表層シデローシス: 脳の表面に鉄分が沈着している状態です。このような状態がある場合も、リスク要因の一つです。

・アミロイドプラーク量: 脳内に蓄積しているアミロイドβの量が多いほど、ARIAのリスクが上昇する可能性が考えられます。

・平均動脈圧の上昇: 血圧が高いことも、ARIAの発生リスクを高める要因として指摘されています。

一方で、降圧剤(血圧を下げる薬)を使用している人は、ARIAのリスクが減少することと関連していることも報告されています※。

医師は、これらのリスク因子や治療開始前の画像検査結果などに基づいて、個々の患者さんのARIAリスクを評価し、治療計画を検討します。治療を安全に進めるためには、患者さんご自身がARIAについて正しく理解し、治療中は気になる症状があればすぐに主治医に伝え、密に連携を取ることが非常に重要です。不安なことや疑問な点があれば、遠慮なく医師や医療スタッフに相談しましょう。