腹壁ヘルニア

お腹の膨らみや違和感に気づき、「脱腸(腹壁ヘルニア)ではないか」と不安に感じていませんか?腹壁ヘルニアは自然に治癒せず、放置すると「嵌頓」と呼ばれる臓器が締め付けられる重篤な状態に至るリスクを伴います。

この記事では、腹壁ヘルニアの概要から、加齢や腹圧上昇など多岐にわたる原因、鼠径ヘルニアをはじめとする多様な種類、診断方法、そして唯一の根治が期待できる治療法である手術について詳しく解説します。非貫通性外傷によるヘルニア診断ではCTが最も有効とされるなど、具体的な知見も提示します。

本記事を通じて、ご自身の症状や状況を正しく理解し、適切な医療機関の受診へと安心して踏み出すきっかけとなれば幸いです。

腹壁ヘルニアの概要

腹壁ヘルニアは、一般的に「脱腸(だっちょう)」とも呼ばれる病気です。これは、お腹の壁にある筋肉や筋膜に生じたわずかな隙間から、本来お腹の中にあるべき腸などの臓器が、皮膚の下へ飛び出してくる状態を指します。

なぜこのような状態になるのか、主な原因は以下の二つです。

・腹壁の構造的な弱さ:

生まれつき腹壁の筋肉や筋膜が弱い部分がある場合や、加齢によってこれらの組織が緩み、脆弱になることで隙間ができやすくなります。

・腹圧の上昇:

慢性的な咳、便秘による強いいきみ、あるいは重いものを持ち上げるなどの動作で腹部に強い圧力がかかると、それが引き金となって臓器が突出することがあります。

まれなケースとして、交通事故など、体を突き破らない「非貫通性外傷」が原因で腹壁ヘルニアが発生することもあります。このような外傷による腹壁ヘルニアの診断では、コンピューター断層撮影(CT)が特に有効な検査方法とされています※。治療においては、多くの場合オープン手術が選択され、特に緊急性の高い状況ではこの手術法が優先される傾向にあります。また、症状の経過やヘルニアの状態によって、初期段階では直接縫い合わせる「一次縫合」、慢性的なケースでは人工の網(メッシュ)を用いて修復する「メッシュ修復」が採用されることが報告されています※。

腹壁ヘルニアは、一度発生すると自然に治ることはありません。放置していると、飛び出した臓器が腹壁の隙間に挟まって締め付けられる「嵌頓(かんとん)」という状態に陥るリスクがあります。嵌頓が起こると、臓器への血流が悪くなり、壊死に至る危険性もあるため、お腹にしこりや膨らみなどの異変を感じたら、できるだけ早く医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けることが重要です。

腹壁ヘルニアの種類

腹壁ヘルニアは、発生する場所や原因によって、いくつかの異なるタイプに分類されます。ご自身にどのようなヘルニアができているのかを知ることは、適切な治療へつながる第一歩といえるでしょう。

代表的な腹壁ヘルニアの種類は、以下のとおりです。

・鼠径(そけい)ヘルニア

足の付け根(鼠径部)から、お腹の中にあるはずの腸の一部などが皮膚の下に膨らみとして現れるヘルニアです。成人に最も多く見られるタイプで、特に男性の発症が多い傾向にあります。

・大腿(だいたい)ヘルニア

鼠径ヘルニアと発生部位が似ていますが、太ももの付け根に近い部分、鼠径部のさらに下方から突出するタイプです。特徴として、特に高齢の女性に多く見られます。

・臍(さい)ヘルニア

おへその部分から、腸などが出てくるヘルニアです。乳幼児によく見られますが、成人でも、妊娠や肥満、慢性的な咳などで腹圧が高い状態が続くことで発症することがあります。

・腹壁瘢痕(ふくへきはんこん)ヘルニア

過去に受けた腹部の手術の傷跡が、時間の経過とともに弱くなることで、そこから腸などが飛び出してくるヘルニアです。手術部位の癒着や縫合部の緩みなどが原因で発生すると考えられています。

・白線(はくせん)ヘルニア(正中ヘルニア)

おへその上からみぞおちにかけての、体の正中線上(白線と呼ばれる部分)にできるヘルニアです。このタイプのヘルニアは、腹腔鏡手術で人工の網(メッシュ)を使って修復する際、「一次腹筋縫合閉鎖」という方法を併用することで、メッシュが膨らむ現象(メッシュバルジング)や再発率が低下し、術後の痛みも軽減される可能性が示唆されています※。これは、単にメッシュを当てるだけでなく、腹筋をしっかりと修復することの重要性を示しています。

・非貫通性外傷による腹壁ヘルニア(TAWH)

交通事故や転落事故など、皮膚が破れない程度の強い外傷によってお腹の壁が損傷し、ヘルニアが発生する比較的まれなタイプです。これを非貫通性外傷による腹壁ヘルニア(TAWH:Traumatic Abdominal Wall Hernia)と呼びます。診断にはコンピューター断層撮影(CT)が最も有効な検査方法とされています※。治療は多くの場合、外科手術が選択され、特に緊急性の高い状況では開腹手術が優先される傾向にあります。ヘルニアの状態によって、直接縫い合わせる「一次縫合」や、人工の網(メッシュ)を用いて修復する「メッシュ修復」が使い分けられます※。

このように、腹壁ヘルニアは一言で「脱腸」と言っても、その種類や特徴はさまざまです。ご自身の症状がどのタイプに当てはまるのか、そしてどのような治療が最適なのかを判断するためには、専門医による正確な診断が不可欠です。お腹にしこりや膨らみを感じたら、自己判断せずに、早めに医療機関を受診してください。

腹壁ヘルニアの原因

腹壁ヘルニアが発生する背景には、お腹の壁が弱くなることと、お腹にかかる圧力(腹圧)が高まることの二つの主要な要因があります。これらの要因は単独、または複合的に作用することで、臓器が腹壁の外に飛び出す隙間が生まれてしまうのです。

腹壁の脆弱性(弱さ)

腹壁を構成する筋肉や筋膜などの組織が、もともと脆弱であるか、あるいは後天的に弱くなることが、ヘルニア発生の土台となります。その要因は次のとおりです。

・加齢による変化

歳を重ねると、体の組織は全体的に弾力性を失い、筋力も低下します。腹壁を構成する筋肉や、それらを覆う結合組織も例外ではありません。加齢によってこれらの組織が徐々に薄く、弱くなることで、ヘルニアが生じやすい状態になると考えられています。

・先天的な構造

おへそ(臍帯が通っていた場所)や足の付け根(鼠径部)などは、胎児期に血管や臓器が通過していたため、もともと腹壁が完全に閉じきらない構造的な弱点を持つことがあります。この生まれつきの脆弱性が、成人になってヘルニアとして現れるケースも少なくありません。

・手術による影響

以前に腹部の手術を受けた場合、その切開した部分や縫合した部分の腹壁は、他の部位に比べて強度が低下しやすい傾向にあります。手術による瘢痕(傷跡)組織は、もともとの筋肉や筋膜のような弾力性や強度を持たないため、時間の経過とともに弱くなり、そこから臓器が飛び出す腹壁瘢痕ヘルニアのリスクが高まる可能性があります。

・肥満の状態

体重が増加し、特に腹部に脂肪が蓄積すると、腹壁は常に内側から強い圧力を受けることになります。この持続的な負荷が腹壁の組織に負担をかけ、徐々に弱くする原因となることがあります。

・妊娠時の腹壁伸展

妊娠によって子宮が大きくなると、腹壁は大きく引き伸ばされます。出産後、腹壁の筋肉や結合組織は元の状態に戻ろうとしますが、完全に回復せず、緩んだ状態が残ることがあります。これが、特に経産婦における臍ヘルニアなどの原因となることがあります。

・外傷の影響

まれなケースですが、交通事故や転落など、皮膚に傷はつかないものの、お腹に強い衝撃が加わる「非貫通性外傷」によって、腹壁の筋肉や筋膜が損傷し、ヘルニアが発生することが報告されています※。外からの強い衝撃が腹壁の組織を損傷させ、弱くしてしまうためです。

腹圧の上昇

腹壁に弱点がある場合でも、日常の動作によってお腹にかかる圧力が繰り返し、あるいは急激に高まることで、その弱点から臓器が押し出されやすくなります。主な要因は次のとおりです。

・慢性的な咳や喘息

風邪やアレルギー、気管支喘息などによる慢性的な咳は、繰り返しお腹に強い力を加えることになります。特に激しい咳は、そのたびに腹圧を急激に上昇させ、腹壁の弱い部分を押し広げる原因となることがあります。

・便秘での強いいきみ

便秘で排便時に長時間、強くお腹に力を入れる(いきむ)ことは、一時的ではあるものの、非常に高い腹圧を生み出します。この「いきみ」が習慣化すると、腹壁への負担が蓄積し、ヘルニア発症のリスクを高める可能性があります。

・重い物を持ち上げる動作

仕事や趣味で日常的に重い物を持ち上げる動作は、意識的または無意識的に腹部に強い力を入れています。特に、正しい体の使い方をしていない場合、腹圧が過度に上昇し、腹壁の弱点に大きな負担がかかり、ヘルニアを誘発することがあります。

・排尿時のいきみ

前立腺肥大症などで排尿が困難な場合、排尿時に無意識に強くお腹に力を入れてしまうことがあります。この「いきみ」も腹圧を上昇させる要因の一つとなり、ヘルニアの発症につながることがあります。

このように、腹壁の弱さと腹圧の上昇が重なることで、腹壁ヘルニアは発生しやすくなります。ご自身の生活習慣や既往歴を振り返り、思い当たる点があれば医療機関での相談を検討してみてください。

腹壁ヘルニアの症状

腹壁ヘルニアの代表的な症状は、体の表面に現れる「膨らみ」と、それに伴う「痛み」や「違和感」です。これらの症状は、日常生活の動作によって一時的に現れたり、消えたりする特徴があります。

膨らみ

腹壁ヘルニアでもっとも多く見られる症状は、皮膚の下にできるやわらかい「膨らみ」です。この膨らみは、お腹に力が入る特定の動作で現れ、力を抜くと自然に引っ込んだり、指で軽く押すと戻ったりします。

膨らみが現れる主なタイミングと特徴は次のとおりです。

・現れる時: 咳をする、重いものを持つ、立ち上がるなど、お腹に力を入れると現れやすくなります。

・消える時: 横になる、お腹の力を抜くといった動作で自然に引っ込んだり、指で軽く押すと戻ったりすることがあります。

・触感: 触るとやわらかく、弾力があるのが特徴です。

この膨らみは、最初小さく痛みも少ないため見過ごされがちですが、放置すると徐々に大きくなる傾向があります。膨らみの変化に気づいたら、早めに医療機関を受診することが大切です。

痛みと違和感

膨らみに加えて、以下のような痛みや不快感を感じる場合があります。

・鈍い痛み: 患部に鈍い痛みや、引っ張られるような違和感、重い感じが続くことがあります。これは、飛び出した臓器が周囲の組織を圧迫したり、刺激したりすることで生じると考えられます。

・不快感: 特に足の付け根(鼠径部)やおへその周りに、何かが挟まっているような不快感や異物感を覚えることがあります。

・消化器症状: ヘルニアが腸の一部である場合、便秘や吐き気などの消化器症状を伴うことがあります。これは、腸の動きが妨げられることで生じる可能性があります。

これらの症状は、長時間立っていたり、激しい運動をしたりすることで悪化することがあります。

嵌頓(かんとん)の症状

腹壁ヘルニアで特に注意が必要なのは、「嵌頓(かんとん)」と呼ばれる状態です。嵌頓とは、飛び出した臓器がヘルニアの出口で強く締め付けられ、お腹の中に戻らなくなる状態を指します。この状態になると、急を要する緊急事態となり、以下のような症状が現れます。

・激しい痛み: 突然、患部にこれまでにないような強い痛みが起こります。

・膨らみの硬化: 膨らみが硬くなり、押しても引っ込まなくなります。

・吐き気・嘔吐: 腸が締め付けられることで、吐き気や嘔吐、お腹の張りが生じることがあります。

・発熱: 状況によっては発熱を伴うこともあります。

嵌頓が起こると、締め付けられた臓器への血流が悪くなり、壊死に至るリスクがあります。このため、嵌頓が疑われる場合は、一刻も早く医療機関を受診し、緊急の処置を受ける必要があります。

もし腹壁ヘルニアの手術が必要と診断された場合、術後の再発や合併症のリスクについても理解しておくことが重要です。例えば、腹壁ヘルニアの修復手術と同時に、お腹のたるんだ皮膚を切除する「同時腹部皮膚切除術(VHR-PAN)」を行った場合、再発率が低下する可能性があります※。しかし、その一方で、手術部位の感染症(SSI)や皮膚の壊死、再手術のリスクが高まる可能性も指摘されています※。外科医は、これらのリスクとベネフィットを慎重に評価し、患者さん一人ひとりに最適な治療法を提案します。

腹壁ヘルニアの検査・診断

腹壁ヘルニアの検査と診断は、主に医師の診察と画像検査を通じて行われます。これらの検査は、患者さんの症状と体の状態を詳細に確認し、ヘルニアの有無やその特性を総合的に判断するために重要です。

まず、診察では、医師が患者さんの腹部を直接見て触れることで、膨らみの有無や特徴、やわらかさ、位置などを確認します。特に、咳をしたり、重いものを持ったりと、お腹に力を入れる動作で膨らみが現れるか、あるいは自然に引っ込むかを確認します。この観察によって、ヘルニアの存在や種類をおおよそ把握できる場合があります。

次に、より詳細な情報や確定診断のために画像検査が用いられます。主な画像検査の種類と特徴は次のとおりです。

・超音波検査

体の表面に近いヘルニアの状態を、リアルタイムで確認できる手軽な検査です。膨らみの内容物や血流の有無などを評価する際に役立ちます。

・コンピューター断層撮影(CT)

CT検査は、お腹の深部にある筋肉や筋膜の詳しい状態、飛び出した臓器の種類、周囲の血管との位置関係など、肉眼では見えない詳細な情報を正確に捉えることが可能です。これにより、複雑なヘルニアの診断や、他の病気との鑑別にも役立つことが多いため、広く活用されています。

特に、交通事故や転落など、皮膚に傷はないものの強い衝撃でお腹の壁が損傷する「非貫通性外傷」による腹壁ヘルニアの場合、コンピューター断層撮影(CT)が最も信頼性が高いとされる「ゴールドスタンダード」です※。これは、CTが腹壁の損傷部位やヘルニアの状態を立体的に詳細に映し出すことができ、正確な診断に不可欠であるため、この種のヘルニアにおいては特に重視されます。

これらの診察と画像検査の結果をもとに、腹壁ヘルニアと診断された場合、患者さん一人ひとりの状態に合わせた最適な治療方針が決定されます。

腹壁ヘルニアの治療

腹壁ヘルニアは一度発症すると自然に治ることはなく、唯一の根治的な治療法は手術です。そのまま放置すると、飛び出した臓器が腹壁の隙間に強く締め付けられる「嵌頓(かんとん)」を起こし、臓器の壊死など命に関わる事態に発展する可能性もあります。そのため、適切な時期に手術を行い、腹壁の弱くなった部分を補強して臓器が再び飛び出さないように修復することが重要です。

手術方法は、ヘルニアの種類や大きさ、患者さんの全身状態、そしてライフスタイルなどを総合的に判断して選択されます。主に、飛び出した臓器を元の位置に戻し、腹壁の弱い部分を直接縫い合わせる「縫合閉鎖(ほうごうへいさ)」と、人工のメッシュを使って腹壁を補強する「メッシュ修復」があります。

メッシュ修復と一次腹筋縫合閉鎖

特に、おへそからみぞおちにかけての正中線上に発生する「正中(せいちゅう)ヘルニア」に対する腹腔鏡手術では、腹腔内に人工の網(メッシュ)を留置する際に、ヘルニアの入り口(欠損部)を直接縫い閉じる「一次腹筋縫合閉鎖(いちじふくきんほうごうへいさ)」を同時に行うことで、以下のような治療効果が期待できます※。

・再発率の低下: メッシュのみで欠損部を覆う「ブリッジング」という方法に比べ、ヘルニアの再発率が大幅に低下する可能性があります。ある研究では、縫合閉鎖を併用した場合の再発率は4%であったのに対し、メッシュのみの場合は20%であったと報告されています。

・メッシュバルジングの抑制: 術後にメッシュが膨らんで突出する現象(メッシュバルジング)を抑えられます。

・術後の痛み軽減: 手術後の痛みが軽減される可能性が示唆されています。

この「一次腹筋縫合閉鎖」は、単にメッシュで補強するだけでなく、腹筋を本来の位置でしっかりと縫い合わせることで、より強固な腹壁を再建し、再発や合併症のリスクを減らすことにつながります。

肥満を伴うヘルニアと同時腹部皮膚切除術

肥満を伴う患者さん(対象となった研究では、平均BMIが29〜45kg/m²、平均年齢37〜59歳、約73%が女性でした)の腹壁ヘルニア修復手術において、ヘルニアの修復と同時に、たるんだ腹部の皮膚や脂肪を切除する「同時腹部皮膚切除術(VHR-PAN)」が行われることがあります。この手術は、美容的な改善だけでなく、ヘルニアの再発率を低下させる可能性が示されていますが、一方でいくつかのリスクも考慮すべきといえます※。

下表に、VHR-PANのメリットとリスク(VHR単独の場合との比較)をまとめました。

項目 | VHR-PANのメリットとリスクの可能性

再発率 | 約26%減少(単独手術と比較して、再発リスクが0.74倍)

術後合併症 | ・手術部位感染(SSI)約31%増加(リスクが1.31倍) ・皮膚壊死 約194%増加(リスクが2.94倍) ・再手術リスク 約73%増加(リスクが1.73倍)

入院期間 | 平均0.90日延長

(※リスク比とは、同時腹部皮膚切除術を行った場合に、行わない場合と比較して特定の合併症が発生する確率が何倍になるかを示す数値です。)

外科医は、患者さんの具体的なヘルニアの状態(ヘルニア欠損面積36〜389cm²など)や健康状態、そして再発予防というメリットと、創部感染や皮膚壊死、入院期間の延長といったデメリットを慎重に評価した上で、患者さんにとって最適な治療法を提案します。

ドレーン留置の必要性

手術後、体内にたまった血液や体液を排出するために、「ドレーン」と呼ばれる細い管を一時的に挿入し、体外へ出す処置をすることがあります。しかし、近年行われることの多い「拡張型全腹膜外アプローチ(eTEP)」という腹腔鏡下腹壁ヘルニア修復術の場合、ドレーンを留置しなくても術後の合併症の頻度に大きな差がないとする報告があります※。

この研究では、ドレーンを留置しなかった群の方が平均ヘルニア欠損サイズが小さい傾向にあったものの(ドレーン非留置群6.5cm² vs 留置群13cm²)、術後合併症(ドレーン留置群13% vs 非留置群8.5%)や手術部位感染(SSI)の発生率に有意な差は見られませんでした。

この結果から、腹腔鏡下手術においては、ドレーンの有無が必ずしも術後合併症の発生を左右するとは限らない可能性が示唆されています。ドレーンの留置については、患者さんのヘルニアの状態や手術の内容、そして医師の判断に基づいて検討されます。

腹壁ヘルニアの治療は、一人ひとりの患者さんの状況やヘルニアの種類、合併症のリスクなどを総合的に判断し、最適な手術方法を選択することが重要です。不安なことや不明な点があれば、遠慮なく担当医に相談し、納得のいく治療を受けてください。