続発緑内障
目の不調や視力の変化に不安を感じていませんか?他の目の病気や治療が引き金となり眼圧が上昇する「続発緑内障」は、原因が多岐にわたるため、診断に戸惑う方もいるかもしれません。実際、小児白内障手術後の発生率は約2.8%と報告されており、特定の条件下では誰もが発症しうる病気の一つと考えられています。
この記事では、続発緑内障の具体的な原因や種類、症状、そして検査から治療法までを詳しく解説します。
ご自身の目の状態を深く理解し、適切な医療機関への受診や、大切な視野を守るための具体的な対策を見つける一助となるでしょう。
続発緑内障の概要
続発緑内障は、何らかの別の目の病気や治療が引き金となり、眼圧が上昇することで視野が狭くなる緑内障の一種です。生まれつき眼圧が高い「原発緑内障」とは異なり、このタイプでは、眼圧上昇の背景に明確な原因疾患や治療行為が存在するのが特徴といえます。
具体的な原因としては、以下のようなケースが挙げられます。
・目の炎症
・糖尿病などの全身疾患
・目の外傷
・ステロイド薬の長期使用
また、特定の目の手術後に合併症として発症する可能性もあります。
特に、小児の白内障手術を受けた後に続発緑内障を発症するケースも報告されています。あるメタ分析によると、小児白内障手術後の続発緑内障の発生率は約2.8%であると示されました ※。この分析では、小児白内障手術における眼瞼結膜側と強膜平坦部の2つのアプローチを比較していますが、どちらの手術方法を選んだとしても、術後の続発緑内障を含む合併症発生率に有意な差は見られませんでした。ただし、いずれの手術方法においても、熟練した外科医が執刀する場合には合併症の発生率が低い傾向にある、という見方もできるでしょう ※。
このように、続発緑内障は多様な要因によって引き起こされるため、原因となる病気を速やかに見つけ出し、適切に治療することが大切です。そして、眼圧を安定的に管理することが、病状の進行を防ぐ上で極めて重要な鍵となります。
続発緑内障の種類
続発緑内障は、その発症原因によって多岐にわたる種類に分類されます。これは、目の病気や全身疾患、あるいは薬の影響など、さまざまな背景から二次的に眼圧が上昇することで発症するからです。原因を特定し、それに応じた適切な治療へと繋げるためにも、どのような種類があるのか理解しておくことが重要といえます。
代表的な続発緑内障の種類と、それぞれの発症メカニズムは以下のとおりです。
・ぶどう膜炎関連緑内障: 目の炎症であるぶどう膜炎が、房水の排出経路を塞いだり、眼圧を調整する組織に影響を及ぼしたりすることで眼圧が上昇する緑内障です。
・血管新生緑内障: 糖尿病網膜症などで網膜に酸素や栄養が不足すると、新しい血管(新生血管)が異常に増えることがあります。この新生血管が房水の排出を妨げ、眼圧を高めてしまうのが特徴です。
・ステロイド緑内障: ステロイド薬を長期的に使用したことが原因で眼圧が上昇し、緑内障に至るタイプです。ステロイドが房水の排出経路にある線維柱帯の抵抗を高め、眼圧を上げると考えられています。
・外傷性緑内障: 目の外傷によって房水の排出路が損傷したり、出血によって詰まったりすることで眼圧が上がる緑内障です。
・術後緑内障: 特定の目の手術がきっかけとなり、続発緑内障が発症するケースも存在します。例えば、小児の白内障手術後に続発緑内障が生じる場合があり、あるメタ分析では、小児白内障手術後の発生率は約2.8%と報告されています※。この分析では、眼瞼結膜側と強膜平坦部の2つの手術アプローチを比較していますが、どちらの手術方法でも合併症発生率に有意な差は認められていません※。ただし、熟練した外科医が執刀する場合には、合併症の発生率が低い傾向にあると示唆されています※。
このように、続発緑内障は多様な原因によって分類され、それぞれの種類に応じて目の状態や適切な治療法が異なります。原因疾患の特定と、それに合わせたきめ細やかな治療が、続発緑内障の進行を抑える上で非常に大切です。
続発緑内障の原因
続発緑内障は、他の目の病気や全身疾患、特定の薬剤が引き金となり、目の内部を循環する「房水(ぼうすい)」の流れが滞ることで眼圧が上昇し発症します。この緑内障は、生まれつきの体質や加齢が主な原因となる原発緑内障とは異なり、明確なきっかけがあるのが特徴です。
具体的には、次のような要素が眼圧上昇につながると考えられます。
・目の病気:
ぶどう膜炎や網膜剥離、目の外傷(怪我)、眼底出血といった病気や症状が、房水の排出経路を直接妨げたり、目の内部に炎症を引き起こしたりすることで眼圧が上がります。例えば、ぶどう膜炎では炎症によって房水の出口である「線維柱帯(せんいちゅうたい)」が詰まったり、炎症性物質が流れを阻害したりする可能性があります。また、糖尿病網膜症が進行すると、目の奥に異常な新生血管が増殖します。この新生血管が房水の排出口を塞ぎ、眼圧が急激に上昇する「血管新生緑内障」を引き起こすこともあります。
・全身の病気:
糖尿病や自己免疫疾患、特定の血管疾患などが目の状態に影響を与え、続発緑内障につながる場合もあります。特に糖尿病は、網膜症の進行から血管新生緑内障を招くほか、自己免疫疾患の一種であるサルコイドーシスでは、全身の炎症が目のぶどう膜炎を引き起こし、結果的に眼圧が上昇することが考えられます。
・薬剤の影響:
ステロイド剤を長期にわたって使用すると、眼圧が上昇しやすくなるリスクがあります。これは、ステロイドが房水の排出経路である線維柱帯に作用し、房水の流れに対する抵抗を高めるためとされています。点眼薬としてステロイドを使用している方はもちろん、内服や吸入など全身性のステロイド治療を受けている場合も、眼圧の定期的なチェックが重要になります。
・手術や治療:
目の手術後に、ごくまれに合併症として眼圧が上昇し、続発緑内内障を発症するケースもあります。例えば、小児の白内障手術を受けた後にも、続発緑内障が発生する可能性が報告されています。あるメタ分析では、小児白内障手術後の続発緑内障の発生率は約2.8%であったと示されました※。この分析では、「眼瞼結膜側アプローチ」と「強膜平坦部アプローチ」という2つの術式が比較され、どちらの手術方法を選んだとしても、続発緑内障を含む術後の合併症発生率に有意な差は見られませんでした※。また、いずれのアプローチにおいても、熟練した外科医が執刀する場合には、合併症の発生率が低い傾向にあると考えられています※。目の手術後は、術後の眼圧管理を適切に行うことが病状の進行を防ぐ上で大切です。
続発緑内障の症状
続発緑内障の症状は、その原因や病気の進行度合いによって異なりますが、初期段階ではご自身で気づくことが難しい点が特徴です。これは、視野の欠損がゆっくりと進むため、脳がその変化を補おうと働き、左右の目で互いに見えにくい部分を補い合ってしまうためと考えられています。
しかし、病気が進行すると、以下のような症状が現れる可能性があります。
・視野の欠損:見える範囲が部分的に狭くなったり、暗く感じたりすることがあります。特に、緑内障では視野の周辺部から欠損が始まることが多く、中心部は比較的長く保たれる傾向にあります。そのため、日常生活では自覚しにくい場合が多いといえます。
・視力低下:視神経へのダメージが大きくなると、徐々に視力が低下していきます。視力低下が進んでしまうと、回復が困難になる可能性もあります。
・目の痛みや充血:眼圧が急激に高まると、目の奥に強い痛みを感じたり、目が充血したりする可能性があります。
・かすみ目や虹視症(こうししょう):眼圧が急激に高まると、角膜(黒目の表面)がむくみ、光がにじんで見えたり、光の周りに虹のような輪が見えたりする場合もあります。これは、角膜のむくみで光が不規則に散乱するために起こる症状です。
続発緑内障の症状の現れ方は、その原因となる病気や治療内容によってさまざまです。たとえば、小児の白内障手術後にも続発緑内障が発症するケースがあり、あるメタ分析ではその発生率は約2.8%と報告されています※。この分析では、白内障手術のアプローチ方法として眼瞼結膜側と強膜平坦部の2種類が比較されていますが、どちらの手術方法を選んだとしても、続発緑内障を含む術後の合併症発生率に大きな差は認められませんでした※。ただし、熟練した外科医が執刀する場合には、合併症の発生率が低い傾向にあるとも示唆されています※。こうした情報からもわかるように、原因が多様であるほど症状の出方も多岐にわたるため、常に目の状態を注意深く観察することが大切です。
緑内障による視野の欠損は一度起こると元に戻すことはできません。そのため、病気の進行を止めるためには、早期発見と早期治療が非常に重要です。少しでも気になる症状があれば、放置せずに早めに眼科を受診し、目の専門家による診断と適切なアドバイスを受けるようにしましょう。
続発緑内障の検査・診断
続発緑内障の検査と診断は、目の内部の圧力(眼圧)や視神経の状態を調べるだけでなく、眼圧上昇の引き金となった原因疾患を特定することが欠かせません。この原因を突き止めることが、一人ひとりの患者さんに合った適切な治療へとつながる重要なステップです。
1. 基本的な眼科検査
緑内障の有無や進行度合いを評価するため、主に以下の検査を行います。
・眼圧検査
目の硬さを測定し、眼球内の圧力が高くなっていないかを確認します。眼球内を循環する「房水(ぼうすい)」の排出経路が滞ると眼圧が上昇します。眼圧が高すぎると、視神経に過度な圧力がかかり、ダメージを与える原因になるため、慎重に測定します。
・眼底検査
瞳孔から目の奥にある「眼底」を直接観察する検査です。特に、視神経が集まって脳へとつながる部分である「視神経乳頭(ししんけいにゅうとう)」の状態を詳しく調べます。緑内障では、この視神経乳頭に特有の陥凹(へこみ)や、視神経線維の薄さが見られるため、視神経が傷ついていないか、その程度はどのくらいかを確認します。
・視野検査
見える範囲(視野)が狭くなっていないか、部分的に欠けている部分がないかを測定します。緑内障は、初期には自覚症状がほとんどなく、視野の欠損がゆっくりと進行するため、片方の目で補い合ってしまい気づきにくい傾向にあります。この検査で、患者さん自身が気づかない視野の変化を客観的に評価できます。
2. 原因を特定するための検査
続発緑内障の診断では、これらの一般的な緑内障検査に加えて、眼圧上昇の原因となっている病気や要因を見つけ出すための追加検査を行います。原因によって治療法が大きく変わるため、この特定が非常に大切です。
具体的な追加検査は、疑われる原因によって次のように異なります。
・ぶどう膜炎が原因の場合
目の炎症の程度や、ぶどう膜炎のタイプを特定するための血液検査、あるいは目の内部の液体を詳しく調べる眼内液検査などを行うことがあります。
・糖尿病が原因の場合
血糖値やHbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)の測定を通じて、糖尿病のコントロール状態を評価します。また、網膜の状態を詳しく見るための光干渉断層計(OCT)などの画像検査も実施することがあります。
・ステロイド薬が原因の場合
ステロイド薬の使用歴について詳しく確認し、必要に応じて使用の中止や減量が検討できるかを調べます。
・目の外傷が原因の場合
外傷の詳細な聞き取りを行い、目の内部の損傷状況を評価するための精密な画像検査や、眼底の観察を行います。
また、小児の場合には、白内障手術後に続発緑内障を発症する可能性も指摘されています。あるメタ分析によると、小児白内障手術後の続発緑内障の発生率は約2.8%であったという報告があります※。この分析では、白内障手術の方法として「眼瞼結膜側アプローチ」と「強膜平坦部アプローチ」という2つの術式が比較されましたが、どちらの手術方法を選んだとしても、続発緑内障を含む合併症発生率に有意差は認められませんでした※。一方で、熟練した外科医が執刀する場合には、合併症の発生率が低い傾向にあることも示唆されています※。
3. 診断と治療方針の決定
これらの基本的な眼科検査と原因特定のための追加検査の結果を、医師が総合的に判断します。それにより、正確な診断を下し、患者さん一人ひとりの状態に合わせた最適な治療計画を立てることが可能になります。
緑内障によって一度傷ついた視神経は元に戻らないため、病気の進行を食い止めるためには、早期発見と早期治療が非常に重要です。少しでも目に気になる症状があれば、放置せずに早めに眼科を受診し、定期的な眼科検診を受けることで、大切な目の健康を守るようにしましょう。
続発緑内障の治療
続発緑内障の治療は、眼圧を適切に管理し、視野の障害がこれ以上進まないようにすることが第一の目的です。この病気は、別の病気や薬の影響で眼圧が上がるため、原因となっている病気を特定して治療することも非常に大切になります。治療法は、主に薬物療法、レーザー治療、そして手術の3つの柱から成り立っています。
薬物療法
眼圧を下げる治療の第一選択肢となるのが、点眼薬や内服薬を使った薬物療法です。
・点眼薬: 目の内部でつくられる「房水(ぼうすい)」の量を減らしたり、房水が目の外へ流れ出るのをスムーズにしたりすることで眼圧を下げます。患者さんの緑内障の種類や眼圧の状況に合わせて、いくつかの種類の中から最適なものが選ばれます。複数の点眼薬を組み合わせて使うこともあります。
・内服薬: 点眼薬だけでは眼圧のコントロールが難しい場合や、急激に眼圧が上がってしまった場合など、緊急時に一時的に使用されることがあります。飲み薬によって房水の産生を抑え、眼圧の急な上昇を速やかに落ち着かせることが期待できます。
レーザー治療
点眼薬で十分な効果が得られないときや、点眼薬が使いにくい状況にある場合に、レーザー治療が選択肢となります。レーザーは、目の内部にある房水の排出経路に働きかけ、眼圧を下げることを目的としています。
具体的な治療法は以下のとおりです。
・SLT(選択的レーザー線維柱帯形成術): 房水が排出される「線維柱帯(せんいちゅうたい)」という部分にレーザーを照射し、房水の流れを改善させます。この治療は、線維柱帯の細胞に働きかけることで、房水の排出機能を高める効果が期待できます。
・レーザー虹彩切開術: 「虹彩(こうさい)」という瞳孔の周りにある部分に小さな穴を開ける治療です。これにより、房水の流れを妨げている閉塞部分を解消し、房水がスムーズに目の外へ流れ出るようにすることで眼圧を下げます。特に、房水の出口が狭くなっているタイプの緑内障で効果的です。
手術
薬物療法やレーザー治療を行っても眼圧が十分にコントロールできない場合や、視野の進行が止まらない場合には、手術が検討されます。手術は、房水の新しい排出口を作ったり、房水の流れを調整する装置を埋め込んだりすることで、眼圧を安定させることを目指します。
主な手術方法は次のとおりです。
・濾過手術(ろかしゅじゅつ): 目の奥に房水を逃がすための小さな穴を新しく作り、房水が眼外へゆっくりと排出されるようにする手術です。これにより、眼圧を安定的に低い状態に保つことが期待できます。
・チューブシャント手術: 目の内部に小さなチューブ状の装置を埋め込み、房水を眼外に誘導することで眼圧をコントロールします。複雑なタイプの緑内障や、他の手術が難しい場合に選ばれることがあります。
小児の白内障手術後に続発緑内障が発症するケースもあります。小児白内障手術では、目のふちから行う「眼瞼結膜側アプローチ」と、目の横から行う「強膜平坦部アプローチ」という2つの術式がありますが、あるメタ分析によると、どちらのアプローチを選んでも術後の続発緑内障を含む合併症発生率に大きな差はないと報告されています※。いずれの手術アプローチも術後の視力改善を示すとされており※、熟練した外科医が行う場合は合併症発生率が低く、有効かつ安全であると考えられています※。
どの治療法を選ぶかは、続発緑内障の種類や進行度合い、患者さんの全身の状態、ライフスタイルなどを考慮して、医師が総合的に判断します。大切な視野を守り、病気の進行を抑えるためには、定期的な診察を受け、医師の指示通りに根気強く治療に取り組むことが非常に重要です。













