骨折
転んだりぶつかったりした時に起こる「骨折」。しかし、単に骨が折れるだけと軽く考えていませんか?実は、くしゃみのような些細なきっかけで起こる骨折や、スポーツなどで同じ場所に負担がかかり続けることで発生する疲労骨折など、その原因は様々です。
骨折は折れ方によって種類が細かく分かれ、適切な診断が将来を左右することもあります。ある研究では、腕の骨折手術で100人に4人の割合で神経に影響が出たという報告もあり、合併症のリスクも無視できません。特に高齢者の場合、骨折が心の健康にまで影響を及ぼすこともわかっています。
この記事では、骨折の種類や原因、最新の治療法から心身両面におけるリハビリの重要性までを詳しく解説します。ご自身や大切なご家族を守るため、骨折に関する正しい知識を身につけましょう。
骨折の概要
転んだりぶつかったりして強い力が加わると、骨の連続性が断たれてしまうことがあります。この状態を「骨折」と呼びます。
骨折は、骨の状態によって、まず大きく2つに分けられます。
- 不全骨折(ふぜんこっせつ)
- 骨の一部にひびが入った状態で、一般的に「ひび」と呼ばれます。
- 完全骨折
- 骨が完全にポキッと折れてしまった状態です。
- 折れた骨が元の位置からずれる「転位(てんい)」を伴うこともあります。
また、皮膚の状態によっても、次のように分類されます。この分類は、治療方針を決める上で非常に重要です。
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骨折の種類 |
特徴 |
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閉鎖骨折(皮下骨折) |
皮膚に傷がなく、折れた骨が体の中にとどまっている状態です。 |
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開放骨折 |
折れた骨が皮膚を突き破って外に出てしまったり、傷口から骨が見えたりする状態です。細菌が入りやすく、感染症を起こす危険があります。 |
骨折は、単に骨だけの問題にとどまらない場合があります。特にご高齢の方が大きな骨折をすると、体の回復だけでなく心の健康に影響を及ぼすことも少なくありません。
活動が制限されることで気分が落ち込んでしまうのです。近年の研究では、股関節を骨折した高齢者の方々において、運動を中心としたリハビリテーションが、うつ症状を和らげるのに役立つ可能性が示唆されています。そのため、リハビリは心と体の両面を支える大切な治療と考えられています。
骨折の種類
ひとくちに「骨折」と言っても、原因や折れ方で種類が分かれます。 自分の体の状態を正しく知るために、骨折の種類を学んでみましょう。
骨折は、まず「原因」によって大きく3つに分けられます。
- 外傷性骨折
- 転んだりぶつかったりした時のような、
- 強い力で起こる一般的な骨折です。
- 疲労骨折
- スポーツなどで、同じ場所に繰り返し弱い力がかかり、
- 骨にひびが入ったり折れたりする状態です。
- 病的骨折
- 病気で骨が弱くなり、くしゃみなどのごく弱い力で、
- 折れてしまう骨折です。
さらに、骨の折れ方や皮膚の状態によっても、細かく分類されます。 この分類は、治療法や将来のリスクを考える上でとても大切です。
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分類 |
種類 |
説明 |
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折れ方 |
不全骨折(ひび) |
骨にひびが入っただけで、完全には折れていない状態です。 |
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完全骨折 |
骨がポキッと完全に折れた状態です。 折れ方によって横、斜め、らせん状などがあります。 |
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粉砕骨折 |
骨が3つ以上にバラバラに折れた、複雑な状態です。 |
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皮膚の状態 |
閉鎖骨折 |
皮膚に傷がなく、折れた骨が体の中に収まっています。 |
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開放骨折 |
折れた骨が皮膚を突き破り、外から見えている状態です。 細菌が入りやすく、感染の危険性が高まります。 |
骨折の種類によって、その後の合併症のリスクも変わってきます。 例えば、腕の付け根の骨(上腕骨)の骨折は注意が必要です。
ある研究では、この部分の骨折を手術で治療した際、近くの神経を傷つけてしまう可能性が報告されています。特に複雑な骨折に対する特殊な手術では、100人に4人ほどの割合で神経に影響が出たというデータもあります。
また、骨の折れ方(骨折タイプ)によっては、治療後に骨の一部に栄養が届きにくくなる「骨壊死(こつえし)」という合併症のリスクが高まることも分かっています。
このように、骨折の種類を正確に診断することが、適切な治療計画を立て、合併症を防ぐための第一歩となるのです。
骨折の原因
骨が折れると聞くと、転んだりぶつかったりした時を想像するかもしれません。 しかし、骨折の原因はそれだけではなく、大きく3つの種類に分けられます。
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骨折のタイプ |
どんなときに起こる? |
具体的な例 |
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外傷性骨折 |
強い力が一度に加わる |
交通事故、スポーツでの激しい接触、高い所からの転落 |
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疲労骨折 |
弱い力が繰り返し加わる |
長距離走、ジャンプを繰り返すスポーツでの足の骨折 |
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病的骨折 |
病気で骨が弱くなる |
骨粗鬆症(こつそしょうしょう)や骨の病気など |
1. 外傷性骨折 健康な骨でも耐えられないほどの強い力が、一瞬で加わって起こる骨折です。 これが最も一般的なタイプの骨折になります。
2. 疲労骨折 一度では折れないような弱い力が、同じ場所に何度もかかることで発生します。 スポーツ選手が練習で特定の骨に負担をかけ続けることで起こりやすいです。
3. 病的骨折 病気で骨が弱くなり、健康なら折れないような弱い力で折れてしまう状態です。 特に骨がもろくなる骨粗鬆症では、くしゃみで折れることもあります。
また、はっきりしたケガがなくても、骨の中で骨折が起きている場合があります。 骨が弱くなっていると、気づかないうちに小さな骨折が起きる可能性があるのです。 ある研究では、膝の手術後に痛みが続く原因として、骨の内部で起きた小さな骨折(軟骨下不全骨折)の可能性が指摘されています。
このように、骨折の原因は一つではありません。 そして、どのような原因で、どのように折れたかによって、その後の治り方や、骨に栄養が届かなくなる「骨壊死(こつえし)」のような合併症のリスクも変わってきます。 原因を正しく知ることが、適切な治療への大切な一歩となるのです。
骨折の症状
骨が折れると、その場所や周りに様々なサインが現れます。 骨の周りには、痛みを感じる神経や血管がたくさんあります。 そのため、骨折すると強い痛みや腫れが出てくるのです。
骨折した時に見られる主な症状は、次の通りです。
- 強い痛みと押したときの痛み じっとしていてもズキズキと痛むことがあります。 骨折した場所を指で軽く押すだけでも激しい痛みが走ります。
- 腫れとあざ(内出血) 骨折した部分から出血し、周りがパンパンに腫れます。 皮膚の下に血がたまり、青紫色などのあざができます。 このあざは数日かけて、だんだんと下に広がっていきます。
- 見た目の変化や異常な動き 骨がずれると、腕や足が曲がったり短く見えたりします。 本来は曲がらないはずの場所が、ぐらぐらと動くこともあります。
- 動かせなくなる 痛みや骨の不安定さから、手足を動かせなくなります。 また、けがをした足に体重をかけることもできなくなります。
骨折は、ただ痛いだけではなく、後遺症につながることもあります。 例えば、肩の付け根(上腕骨)の骨折には注意が必要です。 ある研究では、骨の折れ方(骨折タイプ)や年齢によって、 治療後に骨へ栄養が届かなくなる「骨壊死」のリスクが変わると報告されています。
「おかしいな」と感じたら、我慢せずに医療機関を受診してください。 特にお子さんやご高齢の方は症状をうまく伝えられないことがあります。 周りの方が注意深く様子を見てあげることがとても大切です。
骨折の検査・診断
「骨が折れたかも」と病院に行くと、まずはお医者さんがお話を聞きます。 いつ、どこで、どのようにケガをしたのかを詳しく確認するのです(問診)。 その後、腫れや変形の具合、痛い場所などを目で見て、優しく触って確かめます(診察)。
問診と診察の次は、骨の状態を詳しく見るための画像検査を行います。
- レントゲン検査 骨折の診断で、まず行われる最も基本的な検査です。 骨が折れているか、折れた骨がずれていないかを確認します。
- CT検査やMRI検査 レントゲンだけでは分かりにくい、複雑な骨折を疑う時に行います。 CT検査は骨を立体的に、MRI検査は周りの筋肉なども見られます。
これらの検査は、ただ骨折を確認するためだけではありません。 どのような折れ方か(骨折タイプ)を正確に見極めることがとても重要です。 なぜなら、最初の診断が、治療の質や後遺症のリスクに大きく関わるからです。
ある研究では、腕の付け根の骨折について、多くの報告が分析されました。 その結果、骨折のタイプや、骨を元の位置に戻す治療(整復)の質が、治療後に骨の一部に栄養が届かなくなる「骨壊死(こつえし)」という合併症に影響することが示唆されています。
正しい診断に基づいて治療計画を立てることが、合併症を防ぐ第一歩なのです。 特にお子さまの場合、骨が成長途中なので、健康な側と比べることもあります。
骨折の治療
骨が折れてしまった時の治療は、2つの大切なステップで進められます。 ずれた骨を元の位置に戻す「整復(せいふく)」と、動かないように支える「固定」です。
骨のずれが少ない場合は、お医者さんが手で骨の位置を直し(徒手整復)、 ギプスやシーネ(添え木)といった道具で体の外から固定します。 しかし、骨のずれが大きい場合や、皮膚を破って骨が外に出ている「開放骨折」の場合は、 手術で治療することが多くなります。 手術では、金属の板(プレート)や棒(ネイル)を使い、体の内側から骨を直接固定します。
骨がくっつけば治療が終わり、というわけではありません。 特にご高齢の方が股関節などを骨折した場合、治療後のリハビリが非常に重要です。 体を動かすリハビリは、体の機能を回復させるだけでなく、 気分が落ち込むのを和らげる効果も期待できる、と研究で報告されています。 心と体の両面から回復を目指すことが、元の生活に戻るための鍵となります。
また、骨折の原因が、骨がもろくなる「骨粗鬆症(こつそしょうしょう)」の場合は、 次の骨折を防ぐための治療も同時に行います。 骨の状態に合わせて薬を順番に使う「逐次治療(ちくじちりょう)」という方法もあります。 この方法は、将来の骨折を防ぐ上で、費用面でも効果が高い選択肢となる可能性があります。





