鎖骨骨折

スポーツや日常での転倒。「ただの打撲」だと思っていたら、実は骨が折れていた…。そんな鎖骨骨折は、すべての骨折のうち約10%を占める、決して珍しくないケガです。しかし、その治療法には「手術しない保存療法」と「手術療法」の2つの選択肢があり、あなたの今後の生活を大きく左右する可能性があることをご存知でしたか?

最近の研究では手術後の機能回復は良好とされていますが、一方で手術方法によっては3%から17%という確率で合併症が起こるという報告もあります。「よくある骨折」だからこそ、正しい知識がなければ後悔につながりかねません。この記事では、あなたのケガに最適な治療法を見つけるための重要な情報を、種類や原因から詳しく解説していきます。

鎖骨骨折の概要

鎖骨骨折とは、首のすぐ下にあるS字の形をした「鎖骨」が折れるケガです。 すべての骨折のうち約10%を占める、比較的よくみられる骨折として知られます。

スポーツ中の転倒や交通事故などで肩を強く打つことが主な原因です。 特に、活発に活動する子どもや若い方に多くみられる傾向があります。 鎖骨の中でも、真ん中あたり(中央部)が折れることが最も多いです。

治療は、骨のずれの大きさなどによって方法が大きく変わります。 骨のずれが少ない場合は、手術をしない「保存療法」が基本となります。

  • 保存療法で使うもの
  • 鎖骨バンドや三角巾という布で腕をつって固定します。

一方、骨のずれが大きい場合や、神経・血管を傷つけるおそれがある場合は、 手術で骨を固定する「手術療法」が選ばれることもあります。 近年の研究報告によると、手術でプレートという金属の板で骨を固定した場合、 多くは腕の機能が良好に回復するとされています。

しかし、手術には合併症のリスクも伴うことを知っておく必要があります。 合併症の発生率は、手術の方法により3%~17%の範囲と報告されています。 最も多いのは、体に入れた金属が皮膚に当たって違和感が出る合併症です。

鎖骨骨折の種類

ひとことで鎖骨骨折といっても、実は折れる場所によって種類が分かれます。 どこが折れたかによって治療の方法も変わるため、とても大切な分類です。

鎖骨骨折は、折れた場所によって主に3つの種類に分けられます。

  • 鎖骨の真ん中あたり(骨幹部骨折) 鎖骨骨折の中で最も多く、全体の約80%を占めます。 スポーツや転倒で肩を強くぶつけたときに起こりやすい骨折です。
  • 肩に近い外側(遠位端骨折) 全体の約15%を占める骨折です。 肩の関節や、骨と骨をつなぐ靭帯という組織に近い部分です。 そのため、骨のずれが大きいと手術が必要になることがあります。
  • 胸骨に近い内側(近位端骨折) 最もまれな骨折で、全体の約5%ほどです。 胸の近くは頑丈なため、交通事故のような強い力で起こります。

折れる場所

割合

特徴

真ん中あたり

約80%

最も多い種類の骨折です。

肩に近い外側

約15%

肩の動きに関わる靭帯を傷つけることがあります。

胸に近い内側

約5%

強い力が原因で起こりやすいです。

最も多い真ん中の骨折で手術が必要な場合、プレートで骨を固定します。 最近の研究では、手術後の腕の機能は良好に回復すると報告されています。

しかし、手術には合併症のリスクがあることも知っておく必要があります。 合併症が起こる割合は、手術法により3%~17%の範囲と報告されています。 最も多いのは、体に入れたプレートが皮膚に当たり違和感が出ることです。

どの種類の骨折か、どんな治療が最適かは、医師が慎重に判断します。 自分の体のことなので、医師とよく相談して治療法を決めることが重要です。

鎖骨骨折の原因

鎖骨骨折は、肩や腕に強い力が加わることで起こるケガです。 日常生活やスポーツなど、様々な場面で発生する可能性があります。

具体的には、以下のような状況で発生することが多いです。

  • 転倒・転落 スポーツ中に転んで手をついたり、肩を直接ぶつけたりします。 自転車やバイクからの転倒、ベッドからの転落なども原因です。
  • 衝突 ラグビーや柔道など、人と接触するスポーツでの衝突です。 また、交通事故で肩や胸を強く打った場合にも起こります。

肩を直接ぶつけるだけでなく、転んだ際に手をつくことでも骨折します。 手をついた衝撃が腕の骨を伝わって、鎖骨に力が集中するためです。 特に鎖骨の中央部分はS字カーブの頂点にあたり、構造的に弱くなっています。

このような強い力が原因で骨が折れると、骨が大きくずれることがあります。 ずれが大きいと、腕の機能をしっかり回復させるために手術が必要な場合も。 手術では金属の板で骨を固定しますが、合併症のリスクも報告されています。 例えば、体に入れた金属が皮膚に当たり、違和感が出ることもあります。

ケガの原因を知り、日頃から注意することがとても大切です。 特に活動的な若い世代だけでなく、骨が弱くなるご高齢の方も要注意です。

鎖骨骨折の症状

鎖骨を骨折すると、痛みだけでなく、見た目にも分かりやすい変化が現れます。 骨折の場所や程度によって症状は異なりますが、主に以下のようなサインが見られます。

  • 強い痛みと腫れ 骨折した鎖骨の周辺に、強い痛みを感じます。 腕を動かしたり、骨折部分を押したりすると痛みが激しくなります。 また、内出血によって皮膚が青紫色になり(皮下出血)、腫れてきます。
  • 見た目の変化 折れた骨がずれることで、皮膚がテントのように盛り上がって見えます。 骨折した側の肩が下がり、健康な側と比べて肩幅が狭くなったように見えるのも、特徴的なサインの一つです。
  • 腕を動かせない 強い痛みのため、腕を上げたり肩を動かしたりすることが難しくなります。 ケガをした方の腕を、反対側の手で支えていないと、いられないことも多いです。
  • 骨がきしむような感覚 腕を動かそうとした際に、折れた骨の端同士がこすれあうような「ゴリゴリ」「ジャリジャリ」といった音や感触(軋轢音:あつれきおん)を感じることがあります。

まれですが、折れた骨の先端が近くにある神経や血管を傷つけてしまうことも。 そうなると、腕や指にしびれが生じるなどの「合併症」を引き起こす場合があります。 手術後の合併症だけでなく、骨折自体が原因で体の機能に影響が出ることもあるため、注意が必要です。

【鎖骨骨折のチェックリスト】 ご自身の症状と照らし合わせてみてください。

□ 鎖骨のあたりに強い痛みがある □ 腕や肩を動かすと痛みがひどくなる □ 鎖骨のまわりが腫れている、または青あざがある □ 肩の形がおかしい、骨が出っ張っているように見える □ 腕を上げるのがつらい □ 腕や指にしびれを感じる

これらの症状に気づいたら、自己判断せずにできるだけ早く整形外科を受診しましょう。

鎖骨骨折の検査・診断

肩の痛みや腫れで病院に行くと、まずはお話を聞くことから始まります。 いつ、どこで、どのようにケガをしたのかを詳しくお聞きします(問診)。 その後、医師が骨折した部分を見て、やさしく触って状態を確認します。 これを視診・触診といい、腫れや変形の程度、痛む場所を調べます。

主な検査方法

正確な診断のためには、骨の状態を写す「画像検査」を行います。

  • レントゲン(X線)検査 骨折の診断で、最も基本となる検査です。 骨がどこで折れ、どのくらいずれているかなどを確認できます。 ほとんどの鎖骨骨折は、このレントゲン検査で診断が確定します。
  • CT検査 骨折が複雑で、レントゲンだけでは分かりにくい時に行います。 骨を輪切りのような画像で撮影し、3Dの立体画像で詳しく見ます。 骨のずれが大きい場合や、手術を考える際には特に重要です。 この検査で、より安全で正確な手術の計画を立てられます。

これらの検査結果をもとに、一人ひとりに合った治療法を決定します。 最近の研究では、手術で使う金属の板(プレート)の種類や場所により、 合併症が起こる割合は3%から17%の範囲と報告されています。 しかし、どの方法が一番良いかという結論はまだ出ていません。 だからこそ精密な検査で骨の状態を正確に把握することが、 最適な治療を選ぶために非常に重要なのです。

鎖骨骨-折の治療

鎖骨を骨折したときの治療法は、主に2つの方法があります。 手術をしない「保存療法」と、手術で治す「手術療法」です。 骨のずれの大きさや年齢、スポーツをしているかなどによって、 一人ひとりに合った最適な治療法を医師が慎重に選びます。

保存療法(手術をしない方法)

骨のずれが少ない場合や、お子さまの骨折で選ばれることが多いです。 子どもの骨は、大人と比べて治る力がとても強いためです。

  • 治療の進め方 鎖骨バンドや三角巾という布で腕をつって、骨が動かないようにします。 固定期間は、お子さまで2~4週間、大人で4~6週間ほどが目安です。 骨がしっかりくっつくまで、安静に過ごすことが大切になります。 定期的にレントゲン検査で、骨の回復具合を確認していきます。

手術療法

骨のずれがとても大きい場合や、折れた骨が皮膚を破りそうなとき、 また、スポーツ選手など早く復帰したい場合に手術を考えます。 手術では、ずれた骨を元の位置に戻し、金属の板(プレート)で固定します。

最近の研究報告によると、手術後の腕や肩の機能は良好に回復します。 しかし、手術には合併症が起こる可能性も知っておく必要があります。

  • 手術の合併症 最も多いのは、皮膚の下に入れたプレートが当たる違和感です。 この合併症は「ハードウェア刺激」と呼ばれています。 他にも、骨がうまくつかない状態(偽関節)や感染症などがあります。

合併症が起こる割合は、手術で使うプレートの種類や固定する場所により、 3%から17%の範囲で報告されていますが、最適な方法はまだ研究中です。 どの治療を選ぶかは非常に重要なので、医師とよく相談しましょう。