運動を頑張った後に訪れる筋肉痛。多くの人が経験する身近な症状ですが、その痛みの原因を「運動のせい」と決めつけていませんか?実は、筋肉痛は運動だけで起こるわけではなく、病気や普段飲んでいるお薬が原因となっているケースも少なくありません。
実際に海外の研究では、ある胃薬を服用している人は筋肉痛を訴える割合が約半分だったというデータがあります。また、治療法を変えるだけで筋肉痛のリスクが約4分の1に減るという報告もあり、筋肉痛は体の様々なサインとして現れるのです。
この記事では、そんな奥深い筋肉痛の世界を詳しく解説していきます。単なる痛みと放置する前に、ご自身の体の声に耳を傾けるきっかけにしてください。
筋肉痛の概要
運動を頑張った後などに起こる筋肉の痛み、それが筋肉痛です。 多くの人が経験したことのある、とても身近な症状ですよね。
一般的に筋肉痛は、普段使わない筋肉を急に動かした時や、 同じ筋肉を使いすぎた時に起こると考えられています。 筋肉のとても細い線維が傷つき、それを治す過程で痛みが出ます。
しかし、筋肉痛は運動だけで起こるわけではありません。 実は、体の不調を知らせる大切なサインという側面もあります。 例えばインフルエンザなど、病気の症状として現れることもあります。
また、服用しているお薬が原因となる場合も少なくありません。 実際に、がん治療に役立つ成分を調べる研究がありました。 複数の研究をまとめて分析した、信頼性の高い報告です。
その中で、キノコ由来の成分を使った治療の副作用として、 吐き気や下痢などと一緒に筋肉痛が挙げられていました。 このように、筋肉痛は体の様々なサインとして現れるのです。
この記事では、そんな筋肉痛について詳しく解説していきます。 ご自身の痛みの原因を知る、一つのきっかけにしてください。
筋肉痛の種類
ひとくちに「筋肉痛」といっても、痛みがいつ起こるかによって、 大きく2つの種類に分けられます。 また、運動以外の原因で起こる筋肉痛もあります。
時間差でやってくる痛み(遅発性筋肉痛)
運動した数時間後から数日後にあらわれる、最も身近な筋肉痛です。 普段使わない筋肉を動かすと、筋肉のとても細い線維が傷つきます。 その傷を体が治そうとする過程で、痛みを引き起こす物質が出ます。 これが遅発性筋肉痛の原因と考えられています。
運動の最中や直後の痛み(早発性筋肉痛)
運動している最中や、終わった直後に感じる急な痛みです。 筋肉を使いすぎると、筋肉の中に疲労のもとになる物質がたまります。 その物質が神経を刺激して、痛みとして感じられるのです。 運動をやめると、比較的はやく痛みが落ち着くことが多いです。
運動以外の原因で起こる筋肉痛
筋肉痛は、運動だけで起こるわけではありません。 インフルエンザなどの病気や、お薬の副作用が原因のこともあります。
例えば、うつ病の治療法の一つに電気けいれん療法(ECT)があります。 この治療では、副作用として筋肉痛が起こることが報告されています。 一方で、同じうつ病の治療で使われるケタミンというお薬もあります。
複数の研究をまとめて分析した信頼性の高い報告があります。 それによると、ケタミンはECTと比べて筋肉痛のリスクが低いのです。 具体的には、筋肉痛が起こるリスクが約4分の1に減ることが示されました。 このように、治療法によっても副作用の出方は変わるのです。
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種類の名前
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いつ痛くなる?
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主な原因はなに?
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遅発性筋肉痛
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運動の数時間〜数日後
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傷ついた筋肉の線維が治る過程
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早発性筋肉痛
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運動中〜運動直後
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筋肉にたまる疲労のもと
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その他の筋肉痛
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さまざま
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病気、お薬の副作用、特定の治療など
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筋肉痛の原因
運動を頑張った後に起こる筋肉痛は、なぜ生じるのでしょうか。 その原因は一つではなく、いくつかの要因が関わっているのです。
最もよく知られている原因は、筋肉の細い線維に傷がつくことです。 普段使わない筋肉を動かすと、目に見えない小さな傷ができます。 この傷を体が治そうとする時に炎症が起こり、痛みを出す物質が出ます。 この物質が神経を刺激して、私たちは痛みとして感じるのです。
特に、筋肉が伸びながら力を出す動きは、筋肉痛になりやすいです。 これを「伸張性収縮(しんちょうせいしゅうしゅく)」と呼びます。 具体的には、以下のような動きが当てはまります。
- 階段や坂道を下りる 太ももの前の筋肉が伸びながら体を支えます。
- 重い物をゆっくり床に下ろす 腕の筋肉が伸びながら重力に抵抗します。
- スクワットでしゃがむ動作 お尻や太ももの筋肉が伸びながら体を支えます。
これらの動きは、筋肉の線維に大きな負担がかかりやすいのです。 そのため、筋肉を縮める動きよりも痛みを引き起こしやすくなります。
また、服用しているお薬が筋肉痛の起こりやすさに関わることもあります。 例えば、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の患者さんを 対象とした海外の研究報告があります。
その研究によると、胃薬の一種(プロトンポンプ阻害剤)を 飲んでいる人は、飲んでいない人と比べて筋肉痛の症状を 訴える割合が約半分と、明らかに低いことが分かりました。 このように、筋肉痛の原因は運動だけでなく、体の状態や お薬など、様々な要因が複雑に絡み合って起こるのです。
筋肉痛の症状
運動後に起こる筋肉痛ですが、その症状は人によって様々です。 痛みだけでなく、他にもいくつかのサインが体に現れます。 ご自身の状態と比べながら、チェックしてみてください。
筋肉痛の主な症状には、次のようなものがあります。
- 筋肉を押したり、動かしたりした時に感じる痛みです。
- 「ズキズキする」「重だるい」など、感じ方は色々です。
- じっとしている時は楽でも、動くと痛むのが特徴です。
- 筋肉がカチカチに固まって、動かしにくくなる感覚です。
- 特に朝起きた時など、関節を曲げ伸ばししにくいです。
- 痛む部分が少しだけ腫れたり、熱を持っている感じがします。
- これは、傷ついた筋肉を治そうと体が頑張っている証拠です。
- 一時的に、筋肉にうまく力が入らなくなることもあります。
- 普段は持てる荷物が重く感じたり、力が出なかったりします。
これらの症状の現れ方は、体の状態やお薬によっても変わります。 例えば、うつ病の治療法の一つに電気けいれん療法があります。 この治療では、副作用として筋肉痛が起こることがあります。
しかし、複数の研究をまとめて分析した信頼性の高い報告があります。 それによると、ケタミンという別のお薬を使った治療法では、 筋肉痛が起こるリスクが約4分の1に減ることが分かっています。
また、胃薬の一種(プロトンポンプ阻害剤)を飲んでいる人は、 筋肉痛を感じにくいという海外の研究報告も存在します。 新型コロナの患者さんを対象とした調査では、この薬を飲んでいる人は 飲んでいない人に比べ、筋肉痛を訴える割合が約半分でした。
このように、筋肉痛は身近な症状ですが、その感じ方には個人差があり、 他の病気や服用中のお薬が関係している可能性もあるのです。
筋肉痛の検査・診断
いつもの筋肉痛であれば、病院に行かなくても自然に治ることがほとんどです。 しかし、痛みがひどい、長引くなど、普段と違うと感じる場合は注意が必要です。 体の不調を知らせる、大切なサインが隠れているかもしれません。
病院ではまず、お医者さんがお話を聞いて、痛みの原因を探ります(問診)。 ご自身の状態と比べながら、以下の点を確認してみてください。
- 痛みの状態について いつから、体のどのあたりが痛みますか?
- きっかけについて 痛くなる前に、特別な運動や活動をしましたか?
- 他の症状について 次のような症状は出ていないでしょうか?
- 熱がある
- 皮ふに赤いブツブツ(皮疹)が出ている
- 息切れや咳がある
- 筋肉だけでなく関節も痛い
次にお体を直接見て、触って状態を確かめます(身体診察)。 痛む場所の腫れや熱っぽさ、関節がスムーズに動くかなどを確認します。 ほとんどの筋肉痛は、ここまでの診察で判断がつきます。
もし、単なる筋肉痛ではなく他の病気が疑われる場合は血液検査をします。 血液検査では、体の中の状態を数字で詳しく見ることができます。
- クレアチンキナーゼ(CK) 筋肉の細胞が壊れた時に血液中に出てくる物質です。 この数値が高いと、筋肉がダメージを受けているサインです。
- 炎症マーカー(ESR、CRP) 体の中で炎症(火事のような状態)が起きているかを示します。 これらの数値が高い場合、体のどこかで異常が起きています。
まれに、筋肉痛の裏に「抗合成酵素症候群」という病気が隠れていることがあります。 この病気では、筋肉痛のほかに皮疹や息切れ、関節痛などの症状が現れます。 血液検査をすると、CKや炎症マーカーの数値が高くなるのが特徴です。
このような難しい病気でも、治療法の研究が進められています。 ある研究では、ヤヌスキナーゼ阻害薬というお薬で治療したところ、 患者さんの筋肉痛や皮疹などの症状が改善したと報告されました。 同時に、高かったCKや炎症マーカーの数値も下がったのです。
ただの筋肉痛と自己判断せず、気になる症状があれば受診しましょう。 それが、隠れた病気を見つけるための大切な一歩になります。
筋肉痛の治療
起きてしまった筋肉痛を早く治すには、適切な手当てが大切です。 ご家庭でできることと、病院の受診を考えるべき場合を解説します。
ご家庭でできる手当て(セルフケア)
まず基本は、痛みを感じる筋肉をしっかり休ませることです。 その上で、痛みの状態に合わせて次の手当てを取り入れましょう。
- 冷やす(アイシング) 運動の直後で、筋肉が熱を持ってズキズキ痛む時に有効です。 氷を入れた袋や冷たいタオルで、15分ほど冷やしてみましょう。 傷ついた筋肉の炎症という「小さな火事」を鎮める効果があります。
- 温める ズキズキした痛みが落ち着いたら、今度は温めるのがおすすめです。 お風呂などで体を温めると、筋肉への血の巡りが良くなります。 筋肉を治すための栄養や酸素が届きやすくなり、回復を助けます。
- 栄養と水分をしっかりとる 傷ついた筋肉を修理するには、材料となる栄養が欠かせません。 お肉や魚、卵などに含まれるタンパク質を意識してとりましょう。 体の調子を整えるため、十分な水分補給も忘れないでください。
病院の受診を考えるべきケース
ほとんどの筋肉痛は自然に治りますが、次のような場合は要注意です。 体の異常を知らせる、大切なサインかもしれません。
- 痛みが1週間以上たっても良くならない
- 我慢できないほど痛みが強い
- 筋肉痛のほかに、次のような症状がある
- 皮ふに赤いブツブツ(皮疹)が出ている
- 息切れや咳がある
- 関節も一緒に痛む
このような場合、背景に何かの病気が隠れている可能性も考えられます。 例えば「抗合成酵素症候群」という病気では、筋肉に炎症が起こり、 つらい筋肉痛や力の入りにくさといった症状が現れます。
ある研究報告では、このような治りにくい病気に対して、 「ヤヌスキナーゼ阻害薬」という専門的なお薬を使う治療があります。 このお薬で治療したところ、筋肉痛や皮疹、息切れなどが 改善したと報告されています。
また、血液検査で見つかる筋肉のダメージを示す数値(CK)や、 体の中の炎症を示す数値(CRP)が下がったことも分かっています。 つらい症状が続く場合は、自己判断せず医療機関へ相談してください。