打撲傷

タンスの角に足をぶつけたり、ドアに指を挟んだり…。「打ち身」とも呼ばれる打撲傷は、誰もが一度は経験する身近なケガです。しかし、「ただの打ち身」と軽視し、青あざができただけで自己判断で放置してしまってはいないでしょうか。

実はその打撲傷、ダメージが及ぶ深さによって「皮下出血」「筋挫傷」「骨膜損傷」の3種類に分けられます。場合によっては骨折や、筋肉が異常に腫れて血流が悪くなる危険な状態に至ることも。また、美容医療の注射後にできるアザも、打撲傷と非常によく似た仕組みで起こることが報告されています。

この記事では、打撲傷の種類ごとの症状から、家庭でできる正しい応急処置、そして医療機関を受診すべき危険なサインまでを詳しく解説します。ご自身の症状と照らし合わせ、適切な対応を知ることで、つらい痛みを早く和らげましょう。

打撲傷の概要

打撲傷は「打ち身」とも呼ばれ、誰でも経験する身近なケガです。 転んだり物にぶつかったりした時に、体の外側には傷がなくても、 皮膚の下にある組織がダメージを受けてしまう状態を指します。

打撲傷が起こる仕組みは、以下のようになっています。

  1. 強い衝撃が加わる
    体に鈍い力が加わることで、皮膚の下にある脂肪や筋肉、
    そして細い血管が傷つきます。
  2. 内出血が起こる
    傷ついた血管から血液が漏れ出し、皮膚の下にたまります。
    これが、青紫色に見える「あざ」の正体です。

実は、美容医療の分野でも、注射の後に副作用として、 あざや血のかたまり(血腫)、しこり(結節)が報告されています。 これは注射の針が皮下の血管を傷つけるために起こるもので、 打撲傷で「あざ」ができる仕組みと非常によく似ています。

打撲傷の主な症状には、痛みや腫れ、熱っぽさ(熱感)などがあります。 多くの場合、数日から数週間で自然に治っていきます。 しかし、衝撃が非常に強いと、筋肉が異常に腫れあがり、 血の流れが悪くなる「コンパートメント症候群」に至ることもあります。 痛みが激しい、腫れが全く引かないといった場合は、 骨折の可能性も考えられるため、医療機関を受診しましょう。

打撲傷の種類

ひとくちに打撲傷といっても、ダメージの深さで種類が分かれます。 体の表面からどれだけ深い部分が傷ついたかで、主に3つに分けられます。 ご自身の症状がどれに近いか、確認してみましょう。

1.皮下出血(ひかしゅっけつ) 皮膚のすぐ下にある細い血管が傷ついて起こる、最も浅い打撲傷です。 一般的に「青あざ」と呼ばれるもので、痛みや腫れは比較的軽度です。 最初は青紫色ですが、治るにつれて緑色から黄色っぽく変化していきます。

2.筋挫傷(きんざしょう) 皮膚の下にある筋肉までダメージが及んだ状態です。 強い痛みや腫れをともない、内出血も広範囲に広がることがあります。 筋肉の中に血のかたまり(血腫)や、硬いしこり(結節)が残ることも。 実は美容医療でも、注射の副作用として同様の血腫や結節が報告されます。 これは注射針で血管が傷つくためで、打撲傷の仕組みと似ています。

3.骨膜損傷(こつまくそんしょう) 骨をおおう「骨膜」という組織が傷ついた、最も深い打撲傷です。 スネのように皮膚のすぐ下に骨がある場所をぶつけた時に起こります。 骨に響くような非常に強い痛みが特徴で、骨折との区別が難しいです。

種類

ダメージの深さ

主な症状

皮下出血

浅い

青あざ、軽い痛み、軽い腫れ

筋挫傷

中くらい

強い痛み、広範囲の腫れや内出血、血のかたまり

骨膜損傷

深い

骨に響くような激しい痛み、強い腫れ

痛みが激しい、腫れが全く引かないといった場合は骨折の可能性もあります。 自己判断せず、必ず整形外科などの医療機関を受診してください。

打撲傷の原因

打撲傷は、一般的に「打ち身」とも呼ばれています。 その原因は、体に外から鈍い力が加わることです。 私たちの生活のさまざまな場面で起こる可能性があります。

具体的には、以下のような状況で起こりやすくなります。

  • 家の中でのケガ 床で滑って転んだり、タンスの角に体をぶつけたりします。 ドアに指をはさむのも、打撲傷の原因の一つです。
  • スポーツをしている時 サッカーで他の選手とぶつかったり、野球のボールが当たったりします。
  • 大きな事故 交通事故や、階段から落ちてしまうことなどです。 このような場合は、より強い力が体に加わります。

私たちの皮膚は、体を守るためにとても丈夫にできています。 そのため、物がぶつかっても表面は破れにくいのです。 しかし、その下にある脂肪や筋肉、細い血管は傷つきやすいです。

強い力が加わると、皮膚の下にある血管が傷ついて血液が漏れ出します。 これが「内出血」で、青あざになって皮膚の上から見えます。

実は、強くぶつからなくても打撲傷と似た状態になることがあります。 例えば、美容医療で行う注射もその一つです。 注射の針が皮膚の下にある細い血管を傷つけることがあります。

研究によると、注射の後にあざや血のかたまり(血腫)、 しこり(結節)ができることがあると報告されています。 これらは、注射の針で血管が傷ついた結果起こるもので、 打撲傷で内出血が起こる仕組みと非常によく似ています。

打撲傷 の症状

打撲傷、いわゆる「打ち身」の症状は様々です。 ぶつけた強さや場所によって、現れる症状も変わります。 体にどのような変化が起きるのか、詳しく見ていきましょう。

打撲した場所にみられる主な症状は、次のとおりです。

  • 痛み ぶつけた直後から痛みを感じ、患部を押すと特に強く痛みます。 この押したときの痛みを「圧痛(あっつう)」と呼びます。
  • 腫れ(はれ) ぶつかった衝撃で組織が傷つき、炎症が起こることで腫れます。 専門的には「浮腫(ふしゅ)」と呼ばれる状態です。
  • 熱っぽさ 炎症を治すために血液がたくさん集まってくるためです。 腫れている部分に触れると、熱く感じることがあります。
  • あざ(内出血) 皮膚の下で血管が壊れ、血液が漏れ出てできるものです。 最初は赤紫色ですが、治る過程で青、緑、黄色と変化します。
  • しこり 漏れ出た血液がかたまり(血腫)、硬いしこりになることがあります。 これを「結節(けっせつ)」と呼ぶこともあります。

実は、美容医療の研究でも、治療のための注射の後に副作用として、 あざや血のかたまり(血腫)、しこり(結節)などが報告されています。 これらは打撲傷の症状と非常によく似た仕組みで起こります。

ほとんどの打撲傷は自然に治りますが、注意が必要な場合もあります。 痛みがどんどん強くなる、腫れが異常にひどい、しびれを感じる、 といった症状があれば、早めに整形外科を受診してください。

打撲傷の検査・診断

「ただの打ち身」と思っていても、骨折を合併していることがあります。 痛みや腫れといった症状が似ているため、自己判断は禁物です。 医療機関ではまず、ケガをした時の状況を詳しくお聞きします。 その上で、患部の状態を見て、触って確認します(視診・触診)。

正確な診断のためには、体の中の状態を詳しく見る検査が必要です。

  • レントゲン検査(X線検査) 骨に異常がないかを確認するための、最も基本的な検査です。 打撲傷の診断では、骨折の可能性を否定するためにまず行います。
  • CT検査 レントゲンでは見つけにくい、ごく小さな骨折も発見できます。 また、筋肉や内臓など、体の深い部分の状態も詳しく調べます。 特に頭やお腹を強く打った際に、重要な検査となります。
  • エコー(超音波)検査 筋肉や腱(けん)といった、骨以外のやわらかい部分の状態や、 お腹の中の臓器を調べるために行われる検査です。

これらの検査では、あざの広がりや血のかたまり(血腫)、 しこり(結節)の大きさなども客観的に評価します。 実は美容医療の研究においても、治療の副作用として血腫や結節などが、 軽度から中等度の有害事象として報告されています。 問診や診察の結果と画像検査をあわせて、総合的に診断を確定します。

打撲傷の治療

打撲傷、つまり「打ち身」の治療で一番大切なのは、ケガをした直後の応急処置です。 この最初の対応が、その後の治りの速さを大きく左右します。 お家でもできる基本の応急処置として、「RICE(ライス)処置」を覚えましょう。

RICE処置の基本

処置

内容と目的

Rest(安静)

ぶつけた部分を動かさず休みます。

腕なら三角巾でつるし、足なら体重をかけないようにします。

これ以上、傷ついた場所を悪化させないためです。

Ice(冷却)

氷の入った袋や冷たいタオルで、患部を冷やします。

痛みを感じにくくし、腫れや炎症という「火事」を鎮めます。

Compression(圧迫)

包帯などで、ぶつけた場所を軽く押さえるように巻きます。

内出血や腫れが、周りに広がるのを防ぐためです。

Elevation(挙上)

ぶつけた場所を、心臓より高い位置に上げます。

腕や足に余計な血液が集まるのを防ぎ、腫れを早く引かせます。

病院では、これらの応急処置に加え、痛みや炎症を抑える飲み薬や湿布が処方されます。 場合によっては、「シーネ」という添え木で患部を固定し、しっかり休ませることもあります。

打撲でできる「あざ」や血のかたまり(血腫)、しこり(結節)は適切な処置で早く治せます。 美容医療の研究でも、治療の副作用として軽度から中等度のあざや血腫、結節が報告されています。 打撲の際も、これらの症状を悪化させないための初期対応がとても重要です。

もし痛みがとても強い、腫れが異常にひどい、しびれるといった症状があれば注意が必要です。 筋肉がパンパンに腫れて血の流れが悪くなる「コンパートメント症候群」の可能性もあります。 このような場合は、すぐに整形外科を受診してください。