視覚障害
「目が見えにくい」と聞いて、あなたはどんな状態を想像しますか?多くの方が全く光を感じられない「全盲」を思い浮かべるかもしれませんが、実はそれは視覚障害のある方全体の約1割に過ぎません。残りの約9割は、メガネなどを使っても見えにくい「弱視(ロービジョン)」なのです。
厚生労働省の調査によると、日本には約27万3千人の視覚障害者がおり、そのうち約7割を65歳以上の方が占めています。加齢に伴う病気が原因となることも多く、誰にとっても決して他人事ではありません。この記事では、意外と知られていない視覚障害の多様な実態について、その種類や原因を詳しく解説します。ご自身や大切な人のために、正しい知識を身につけましょう。
視覚障害の概要
「目が見えにくい」と聞くと、どんな状態を想像しますか? 全く光を感じられない状態を思い浮かべるかもしれません。 しかし、実際には「ものがぼやけて見える」など様々です。 見え方は一人ひとり、大きく異なっているのです。
厚生労働省の調査によると、日本には視覚に障害のある方が、 約27万3千人いると報告されています。(令和4年時点) このうち、65歳以上の方が全体の約7割を占めています。
視覚障害の内訳は、次のようになっています。
- 全盲(ぜんもう) 全く見えない、または光がわかる程度の状態です。 視覚障害のある方全体の約1割といわれています。
- 弱視(じゃくし) メガネやコンタクトをしても、見えにくい状態です。 全体の約9割の方が、この弱視(ロービジョン)です。
このように、多くの方は少しは見えていて、その視力を活用して生活しています。
視覚障害は、病気やけがが原因で、大人になってから起きることが多いです。 その一方で、生まれつきの要因が関係することもあります。
例えば、生まれたときの体重がとても少なかった赤ちゃんについて、 ある研究が報告されています。 お腹の病気にかかった場合、将来、目が見えにくくなるなど、 発達に影響が出る可能性が指摘されているのです。 この研究はまだ始まったばかりで、更なる調査が待たれます。
このように、視覚障害と一口に言っても、その状態は様々です。 見えにくさで困ることもありますが、いろいろな道具や、 周りの人のサポートを活用して生活を送っています。
視覚障害の種類
「視覚障害」とひとことで言っても、その状態は様々です。 見えにくさの特徴によって、いくつかの種類に分けられます。 どのような見えにくさがあるか、具体的に見ていきましょう。
- 視力障害 ものがぼやけて見えたり、ピントが合わなかったりする状態です。
- 視野障害 見える範囲が狭くなる障害です。 例えば、視野の中心が見えにくい、トンネルの中から覗いているように周りが見えない、など様々なパターンがあります。
- 光覚障害 光をまぶしく感じすぎたり、暗い場所で物が見えにくくなったりする状態を指します。
- 色覚障害 特定の色が区別しにくい状態のことです。
これらの障害は、生まれつきの場合もあります。 また、病気やけがで後から視力が低下する中途視覚障害もあります。
生まれつきの原因の中には、お母さんのお腹の中にいる時の状況が、 関係することもあります。 例えば、とても小さく生まれた赤ちゃんがお腹の病気を経験した場合、 将来的に視覚の障害などが起こりやすくなる可能性が、 ある研究で指摘されています。 しかし、この関連性はまだ詳しく調査されている段階です。
このように視覚障害には多くの種類があり、困りごとは多岐にわたります。
視覚障害の原因
ものが見えにくくなる視覚障害は、なぜ起こるのでしょうか。 その原因は人によって様々で、大きく3つに分けられます。 ご自身の原因を知ることが、適切な対応への第一歩です。
1. 病気によるもの
大人になってから発症する視覚障害の原因で、最も多いのが目の病気です。 代表的な病気には、以下のようなものがあります。
- 緑内障(りょくないしょう) 目の圧力が高くなるなどで、目と脳をつなぐ大事な神経が傷つき、見える範囲が狭くなってしまう病気です。
- 糖尿病網膜症(とうにょうびょうもうまくしょう) 糖尿病が原因で、目の奥にある「網膜」というフィルムのような場所の、細い血管が傷ついてしまう病気です。
- 加齢黄斑変性(かれいおうはんへんせい) 年齢を重ねることで、ものを見る中心部分である「黄斑」という場所に、異常が起こる病気です。
2. 生まれつきのもの
生まれたときから視覚に障害がある場合もあります。 網膜色素変性症や先天性白内障などが知られています。
また、お母さんのお腹の中にいる時の状況も関係することがあります。 例えば、予定よりも早く、とても小さく生まれた赤ちゃんについて、 ある研究が報告されています。
その研究によると、極めて体重が少なく生まれた赤ちゃんが、 お腹の病気を経験した場合、将来、視覚の障害が起こる可能性が、 高くなるかもしれないと指摘されています。 ただ、この関連性はまだ詳しく調査中の段階です。
3. ケガや事故によるもの
スポーツ中にボールが目に強く当たったり、転んでしまったり。 目や、ものを見る情報を処理する「脳」に強い衝撃が加わることも、 視覚障害の原因になるため、注意が必要です。
視覚障害の症状
「目が見えにくい」という症状は、人によって様々です。 全く見えない状態だけでなく、生活の中での見え方の変化も、 視覚障害の大切なサインである場合があります。
具体的には、ものを見る機能のどこに問題が起きるかによって、 主に以下のような症状に分けられます。
- 見え方の問題(視力障害) 全体がぼんやりと霧がかったように見えたり、 ピントが合わなかったりする状態です。
- 見える範囲の問題(視野障害) 見える範囲が狭くなる、視野の中心だけが見えないなど、 見える範囲の一部が欠けてしまう状態です。
- 光の感じ方の問題(光覚障害) 暗い場所で物が見えにくかったり、逆に普通の光でも、 とてもまぶしく感じてしまったりします。
- 色の見え方の問題(色覚障害) 特定の色の組み合わせが見分けにくくなる状態です。
これらの症状は、病気やケガだけでなく、 生まれつきの要因が関係することもあります。
例えば、予定より早く、とても小さく生まれた赤ちゃんについて、 ある研究が報告されています。 お腹の病気の一つである「自然発症性腸管穿孔」を経験すると、 将来、視覚障害を含む重い障害が起こる可能性が高まるのです。 ただし、この関連性については、まだ詳しい調査が続いています。
このように症状は多岐にわたるため、少しでも見え方に違和感があれば、 自己判断せず、早めに眼科などの専門機関へ相談しましょう。
視覚障害の検査・診断
「なんだか物が見えにくいな」と感じたら、自己判断せずに、 まずは眼科で相談することが、とても大切です。 眼科では、見えにくさの原因や状態を詳しく調べるために、 いくつかの検査を行います。
主な検査には、以下のようなものがあります。
- 視力検査 学校の健康診断でもおなじみの検査ですね。 ものの形をはっきりと見る力を測る、最も基本の検査です。
- 眼圧検査 目に少しだけ風をあてて、目の硬さ(眼圧)を測ります。 眼圧が高いと緑内障の心配があるため、早期発見に役立ちます。
- 眼底検査 目の奥にある「網膜」というフィルムのような場所を調べます。 血管や神経の状態を直接見て、病気がないかを確認します。
- 視野検査 まっすぐ前を見たまま、周りがどれくらい見えているかを調べます。 見える範囲が狭くなっていないかを確認する大切な検査です。
これらの検査結果をパズルのピースのように組み合わせます。 そして、視覚障害の診断を総合的に行っていきます。
また、生まれつきの原因が関係していないか調べることもあります。 例えば、予定より早く、とても小さく生まれた赤ちゃんについて、 いくつかの研究が報告されています。
ある研究では、お腹の病気を経験した赤ちゃんは、将来的に、 重い障害が起こる可能性が高まるかもしれないと指摘しています。 視覚の障害もその一つですが、この関連性については、 まだ詳しく調査されている段階です。
このように、原因を多角的に探ることが大切なのです。 ですから、気になることがあれば、どんなに小さなことでも、 遠慮なく医師に相談してくださいね。
視覚障害の治療
視覚障害の治療は、原因によって方法が大きく異なります。 治療の目的は、病気の進行を抑え、症状を和らげることです。 そして、今ある視力を守り、最大限に活かすことを目指します。
代表的な治療法には、以下のようなものがあります。
- 点眼治療 緑内障のように、目の圧力(眼圧)が高い場合に用います。 眼圧を下げる目薬を毎日使い、病気の進行を抑えます。
- レーザー治療 糖尿病網膜症などで行われることがあります。 目の奥にある網膜から出血するのを防ぐため、 レーザーで悪い血管を焼き固めて治療します。
- 手術 白内障では、濁った水晶体を取り除き、人工のレンズを入れます。 網膜剥離では、剥がれた網膜を元に戻す手術を行います。
また、生まれつきの要因が関係することもあります。 例えば、とても小さく生まれた赤ちゃんについて、 ある研究が報告されています。 お腹の病気を経験した場合、将来、視覚の障害などが、 起こる可能性が少し高まるかもしれないと指摘されています。 しかし、この関連性はまだ詳しく調査されている段階です。
すべての視覚障害が、治療で完全によくなるわけではありません。 そのため、残された視力を最大限に活用する「ロービジョンケア」も、 とても重要な治療の一つです。 拡大鏡などの補助具を使ったり、生活しやすいように工夫したりする、 積極的なリハビリテーションを行います。 原因に合った適切な治療やサポートを受けることが大切です。













