溝状舌
鏡で舌をチェックしたとき、まるで脳のシワや葉脈のような深い溝があって、思わず「これって病気?」と不安になったことはありませんか?その正体は「溝状舌(こうじょうぜつ)」かもしれません。
実はこれ、日本人のおよそ100人に2〜3人が持つと言われる、決して珍しくない舌の状態なのです。多くは体に害のない良性のものですが、ときに口臭や痛みの原因になったり、ごくまれに他の病気のサインであったりすることも。
この記事では、溝状舌ができる原因から種類、ご自宅でできる正しいケア方法までを徹底解説します。あなたの舌の謎を解き明かし、日々の不安をスッキリ解消しましょう。
溝状舌の概要
鏡でご自身の舌を見たとき、深い溝やシワがたくさんあって驚いた方もいるかもしれません。
この状態を「溝状舌(こうじょうぜつ)」と呼びます。舌の表面がシワシワに見えることから、「皺襞舌(しゅうへきぜつ)」とも呼ばれます。
多くの場合、痛みなどの症状はなく、体に害のない良性の状態と考えられています。
溝状舌の主な特徴
- 舌の真ん中を中心に 深い溝や浅い溝ができます。
- 左右対称に 溝が現れることが多いです。
- 地図のような模様 舌の表面にある「糸状乳頭(しじょうにゅうとう)」という ザラザラした部分がまだらに少なくなることで、 地図のような模様に見え、時間とともに形が変わることがあります。
実は、溝状舌はそれほど珍しいものではありません。日本人では100人におよそ2〜3人に見られると言われています。
そのほとんどが生まれつき(先天性)のものです。年齢を重ねるにつれて溝がはっきりしてきたり、女性より男性にやや多く見られたりする傾向があります。
はっきりとした原因はまだわかっていませんが、最近の研究では、お口の中にいる細菌のバランスとの関連性が考えられています。
また、皮膚の病気である「乾癬(かんせん)」との関連も指摘されています。まれに、ダウン症候群などの全身の病気の一つの症状として現れることもあります。
ほとんどの場合は治療の必要はありませんが、ご自身の舌の状態が気になる方は、一度専門医にご相談ください。
溝状舌の種類
溝状舌は、溝ができるタイミングや形によって、いくつかの種類に分けられます。 ご自身の舌がどのタイプに近いか、確認してみましょう。
まず、溝ができた時期によって大きく2つに分類します。
- 先天性(せんてんせい) 生まれつき舌に溝があるタイプです。 ご家族に同じような方がいることもあります。
- 後天性(こうてんせい) 生まれた後に、成長や加齢に伴って溝が現れるタイプです。 舌の炎症やお口の乾燥などが関係すると考えられます。
次に、溝の走り方や深さによる見た目の分類です。 診察の際には、このような形で舌の状態を判断します。
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分類名 |
見た目の特徴 |
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葉脈型(ようやくがた) |
舌の真ん中の太い溝から、葉の脈のように細かい溝が左右に広がります。 |
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脳回型(のうかいがた) |
脳の表面のシワのように、不規則で複雑な溝が舌全体に見られるタイプです。 |
また、溝状舌の方には「地図状舌(ちずじょうぜつ)」が合併することがあります。 これは「良性遊走性舌炎(りょうせいゆうそうせいぜつえん)」とも呼ばれます。
舌の表面にあるザラザラした「糸状乳頭(しじょうにゅうとう)」が、部分的に無くなることで起こります。 これにより、赤と白のまだら模様が地図のように見えます。
この模様は日によって形や場所が変わるのが特徴です。 原因は不明ですが、舌の細菌バランスとの関連が考えられています。 皮膚の病気である乾癬(かんせん)との関連も指摘されています。
ほとんどの場合、溝状舌も地図状舌も体に害はありません。 しかし、まれに他の病気との見分けが必要なこともあります。 気になる症状があれば、一度専門のクリニックにご相談ください。
溝状舌の原因
溝状舌がなぜできるのか、そのはっきりとした原因は、まだ完全には解明されていません。 しかし、原因は大きく2つのタイプに分けられると考えられています。
1. 生まれつきのもの(先天性) 溝状舌の多くは、生まれつき舌に溝がある先天性のものです。 これは遺伝的な要因が関係していると考えられています。 ご家族に同じような舌の方がいる場合は、このタイプかもしれません。
2. 生まれてからできるもの(後天性) 生まれてから、何らかのきっかけで溝ができる後天性のものもあります。 考えられる主なきっかけは、以下のとおりです。
- お口の中の変化 加齢によって唾液の量が減ったり、 舌の炎症が繰り返し起きたりすることが関係します。 最近の研究では、お口の中の細菌バランスの乱れや、 乾癬(かんせん)という皮膚の病気との関連も指摘されています。
- 他の病気の一症状として ごくまれですが、他の病気が原因で溝状舌が現れることもあります。 例えば「メルケルソン・ローゼンタール症候群」という病気です。 この病気は、顔の腫れや麻痺とともに、舌に溝ができるのが特徴です。 原因は不明ですが、感染や免疫、遺伝などが関わると考えられています。
このように、溝状舌は様々な原因が考えられる状態です。 ほとんどは体に害のないものですが、気になる場合は一度ご相談ください。
溝状舌の症状
溝状舌は、舌の見た目に変化が現れるのが特徴です。 しかし、痛みなどの自覚症状はほとんどありません。 話したり、味わったりする舌の機能に影響することも、基本的にはないとされています。
鏡でご自身の舌を見て、初めてその状態に気づく方がほとんどです。 ただし、溝の部分に汚れが溜まることで、二次的な症状が現れることがあります。
溝状舌で注意したい二次的な症状
- 口臭が気になる 深い溝に食べかすや細菌が溜まり、 臭いの原因になることがあります。
- 舌がヒリヒリと痛む 溝の中で炎症が起きると、痛みを感じることがあります。 特に熱いものや香辛料などの刺激で、しみるように痛むこともあります。
- 軽い味覚の変化 まれですが、味の感じ方が少し変わったと感じる方もいます。
これらの症状は、溝の清掃が不十分な場合に起こりやすいです。 また、お口の中が乾燥していると、唾液による洗浄作用が弱まるため、症状を感じやすくなる傾向があります。
海外の研究でも、溝状舌は多くの場合で治療を必要としない良性の状態と報告されています。 しかし、痛みや口臭が続くなど、気になる症状があれば専門医に相談しましょう。
溝状舌の検査・診断
溝状舌の診断は、特別な検査をしなくてもできることがほとんどです。 多くの場合、お医者さんや歯医者さんが舌の状態を見るだけでわかります。
学校や会社の歯科検診などで、偶然見つかることも少なくありません。 診断の際には、主に以下の2つの方法で舌の状態を確認します。
- 目で見て確認(視診) 舌の表面にある溝の数、深さ、形などを観察します。 溝状舌は見た目に特徴があるため、 ほとんどは目で見ただけで診断がつきます。
- お話を聞くこと(問診) いつから溝に気づいたか、痛みやヒリヒリ感、 味の感じ方に変化がないかなどをお聞きします。
基本的に溝状舌は、体に害のない良性の状態と判断されます。 そのため、アメリカの研究でも治療の必要はないと報告されています。
ただし、まれに他の病気との区別が必要な場合があります。 例えば、以下のような症状がないか、慎重に確認していきます。
- カビ(カンジダ)の感染
- 栄養不足による舌の炎症
- まれに舌がんなどの病気
もし、これらの病気の可能性が少しでも考えられる場合や、 痛みが強い場合には、より詳しい検査を行うことがあります。
例えば、組織の一部を採って顕微鏡で調べる検査(生検)です。 溝状舌の診断で生検を行うことはまれですが、大切な検査です。
ほとんどの溝状舌は心配いりませんが、気になる症状があれば、 自己判断せずに専門のクリニックに相談するようにしましょう。
溝状舌の治療
溝状舌は、多くの場合で体に害を及ぼすものではありません。 そのため、特別な治療をしなくても問題ないことがほとんどです。 アメリカの研究でも、治療が不要な舌の状態の一つとされています。
しかし、溝に食べかすや細菌が溜まってしまうことがあります。 それが原因で炎症が起きると、痛みや口臭につながることもあります。 そのため、治療の基本はご自身で行うセルフケアが中心です。
ご家庭でできる主なケア
- お口を清潔に保つ 溝に汚れがたまらないように、食後のうがいを習慣にしましょう。 やわらかい歯ブラシや舌専用のブラシで、優しく掃除することも大切です。
- 刺激の強いものを避ける 舌がヒリヒリと痛む場合は、香辛料の多い食事や酸味の強いもの、 熱すぎる飲み物など、舌への刺激になるものは控えましょう。
痛みなどの症状が強い場合には、クリニックで治療を行います。 炎症を抑えるためのうがい薬を処方することがあります。
ごくまれですが、他の病気が原因で溝状舌が現れることもあります。 例えば「メルケルソン・ローゼンタール症候群」という病気です。 この場合は、原因の病気の治療が優先されます。 治療には、炎症を抑える副腎皮質ステロイドという薬が使われることもあります。
溝状舌そのものをなくす確立された治療法はありません。 しかし、舌の状態を清潔に保つことが何よりも大切です。 気になる症状があれば、自己判断せず医師や歯科医師に相談してください。













