急性結膜炎

目が充血して真っ赤になった、朝起きると目やにで目が開かない…。そんな症状があらわれたとき、「いつもの結膜炎だろう」と自己判断で市販の目薬に頼ってはいませんか?その対応は、かえって症状を悪化させたり、周りの人にうつしてしまったりする危険性があります。

実は、急性結膜炎には人にうつらないアレルギー性のものから、アデノウイルスが原因で学校伝染病に指定されるほど感染力が強い「はやり目」まで、さまざまな種類が存在します。原因によって治療法は全く異なるため、自己判断は禁物です。

この記事では、急性結膜炎の種類ごとの特徴や正しい治療法について詳しく解説します。ご自身の症状と見比べ、適切な初期対応と眼科受診の重要性を知るために、ぜひ最後までご覧ください。

急性結膜炎の概要

急性結膜炎は、白目やまぶたの裏側をおおう薄い膜、「結膜」が急に赤く腫れてしまう病気です。 結膜は、外からゴミやウイルスなどが入らないように目を守るバリアの役目をしています。

この病気の多くは、ウイルスや細菌が目に入ることで起こります。 特にウイルスが原因のものは「はやり目」とも呼ばれ、うつる力が非常に強いのが特徴です。 涙や目やににウイルスが多く含まれるため、目をこすった手などを介して簡単に広がってしまいます。

うつる力がとても強い一部のウイルス性結膜炎は、「学校伝染病」に指定されています。 これは学校や保育園などで流行させないための大切なルールです。

  • 流行性角結膜炎(りゅうこうせいかくけつまくえん) アデノウイルスが原因で起こる、非常に感染力が強い結膜炎です。
  • 咽頭結膜熱(いんとうけつまくねつ) いわゆる「プール熱」のことで、のどの痛みや熱も出ることがあります。

これらの病気と診断された場合は、医師の許可が出るまで学校などを休む必要があります。 ご自身の目を守るだけでなく、周りの人にうつさない配慮がとても大切になります。 原因によって治療が異なるため、自己判断せず、早めに眼科を受診しましょう。

急性結膜炎の種類

急性結膜炎は、原因によっていくつかの種類に分けられます。 どのタイプかによって、治療法や人にうつるかどうかが大きく異なります。 代表的なものは「ウイルス性」「細菌性」「アレルギー性」の3つです。

それぞれの特徴を、下の表で比べてみましょう。

種類

主な原因

目やにの特徴

特に注意したい症状

人にうつるか

ウイルス性

アデノウイルスなど

サラサラした涙のよう

充血、ゴロゴロ感、まぶたの腫れ

感染力がとても強い

細菌性

ブドウ球菌など

黄色くネバネバした膿(うみ)のよう

充血、目やにで目が開けにくい

うつることがある

アレルギー性

花粉、ハウスダスト

白く糸を引くよう

ガマンできないほどの強いかゆみ

うつらない

もう少し詳しく、それぞれの種類を見ていきましょう。

  • ウイルス性結膜炎 「はやり目」とも呼ばれ、感染力が非常に強いのが特徴です。 アデノウイルスなどが原因で、学校をお休みする必要がある場合も多いです。
  • 細菌性結膜炎 黄色ブドウ球菌などの身の回りにいる細菌が原因で起こります。 朝起きると、黄色い目やにでまぶたがくっついてしまうこともあります。
  • アレルギー性結膜炎 花粉やダニなど、アレルギーの原因物質に反応して起こります。 何よりもまず、強いかゆみが特徴的な症状で、人にはうつりません。

この他にも、ヘルペスウイルスやクラミジアが原因の結膜炎もあります。 このように原因によって対応が全く違うため、自己判断は危険です。 「ただの結膜炎」と思わず、早めに眼科で診断を受けましょう。

急性結膜炎の原因

急性結膜炎の原因は、大きく2つのタイプに分けられます。 一つはウイルスや細菌が原因の「感染性のもの」です。 もう一つはアレルギーやゴミなどが原因の「感染以外のもの」です。

感染によって起こるもの

目に見えない微生物が目の中に入り、増えることで起こります。 原因となる病原体によっては人から人へうつるため、特に注意が必要です。

  • ウイルス 結膜炎の主な原因で、非常にうつる力が強いのが特徴です。 代表的なウイルスには以下のようなものがあります。
  • アデノウイルス 「はやり目」や「プール熱」を引き起こすことで知られています。 涙や目やにに含まれるウイルスの力がとても強いです。
  • エンテロウイルス 白目が出血し、真っ赤になる急性出血性結膜炎の原因です。 こちらもアデノウイルス同様、感染力がとても強いです。
  • 単純ヘルペスウイルス 口の周りに水ぶくれができる、あのヘルペスと同じウイルスです。 普段は体に潜んでいますが、体力が落ちた時などに目を攻撃します。
  • 細菌 私たちの身の回りにいる細菌が原因で起こる結膜炎です。 黄色ブドウ球菌やインフルエンザ菌などが代表的です。 普段は問題なくても、ケガや体調不良で体の抵抗力が落ちると、 細菌が増殖して炎症を引き起こすことがあります。

感染以外のものが原因のもの

これらは人から人にうつることはありませんが、つらい症状が出ます。 日常生活の中に、たくさんの原因が隠れています。

  • アレルギー反応 花粉や家のホコリ(ハウスダスト)などが原因です。 特定のものに対して、体が過剰に守ろうと反応してしまいます。 その結果、強いかゆみや充血といった炎症が起こります。
  • 物理的な刺激 ゴミや砂、逆さまつげなどが目に入ることでも起こります。 目を強くこするクセも、結膜を繰り返し傷つける原因になります。 屋外でのスポーツなどで浴びる紫外線も、目に刺激を与えます。
  • 化学的な刺激 シャンプーや石けん、プールの消毒液などが原因です。 これらの化学物質が目の粘膜を直接刺激してしまいます。

このように原因はさまざまで、対処法も全く異なります。 自己判断はせず、原因を特定するためにも眼科を受診しましょう。

急性結膜炎の症状

急性結膜炎になると、目にさまざまなサインがあらわれます。 これは、体がウイルスや細菌と一生懸命に戦っている証拠です。 原因によって症状の出方が少し違うので、よく観察しましょう。

まず、多くの急性結膜炎で共通して見られる主な症状があります。

  • 目の充血 白目が赤くなる症状です。 病原体をやっつけるために、目に血液がたくさん集まってきているサインです。
  • 目やに 涙や、ウイルス・細菌の死がいなどが混じったものです。 朝、目やにでまぶたがくっついて目が開けにくくなることもあります。
  • 涙がたくさん出る 目に入ったゴミや病原体を、涙で洗い流そうとする体の自然な働きです。
  • 目がゴロゴロする、痛い 結膜が腫れることで、まばたきをするたびに目がこすれてしまい、痛みや異物感が出ます。
  • まぶたの腫れ 結膜の炎症がまぶたにまで広がってしまい、赤く腫れぼったくなります。

これらの症状に加えて、原因によって特徴的な症状が出ることがあります。 ご自身の症状と比べて、当てはまるものがないか確認してみましょう。

原因の種類

特に注意したい特徴的な症状

ウイルス性<br>(はやり目)

・熱が出たり、のどが痛くなったりする<br>・耳の前にあるリンパ節(体を守る基地)が腫れて痛む<br>・白目が出血して真っ赤になることがある<br>・光をまぶしく感じたり、ものがかすんだりする

細菌性

・黄色くドロっとした膿(うみ)のような目やにが多く出る

アレルギー性

・ガマンできないほどの強いかゆみ<br>・白っぽく、糸をひくようなサラサラした目やに

特にウイルス性の結膜炎は、黒目の表面に小さな濁りが残ってしまうことがあります。 この濁りが後遺症となり、視力に影響をおよぼす可能性もゼロではありません。 「ただの充血」と自己判断せず、目に異常を感じたら早めに眼科を受診してください。

急性結膜炎の検査・診断

急性結膜炎の疑いで眼科を受診すると、まず問診が行われます。 いつから、どんな症状があるかなどを、お医者さんが詳しく聞きます。 ご家族や学校など、周りに同じ症状の人がいないかも大切な情報です。

そのあと、目の状態を詳しく調べるために、次のような検査をします。 正しい治療のためには、どのタイプの結膜炎か見極めることが重要です。

【おもな検査】

  • 視診・細隙灯顕微鏡(さいげきとうけんびきょう)検査 お医者さんが目で直接、充血や腫れの具合を観察します。 さらに、細隙灯顕微鏡という機械で目を拡大して見ます。 黒目(角膜)の表面に傷や濁りがないかなどを細かく調べます。 まぶたの裏に「偽膜(ぎまく)」という白い膜ができていないかも、 この検査で確認でき、ウイルス性結膜炎を診断する手がかりになります。
  • 原因を特定するための検査 ウイルス感染が疑われる場合は、迅速診断キットを使います。 綿棒で目やにをこすり、アデノウイルスがいるかを調べます。 少しチクッとしますが、原因を早く知るための大切な検査です。 細菌が原因の場合は、目やにから原因菌を特定することもあります。

この他にも、耳の前にあるリンパ節が腫れていないかを触って確認します。 リンパ節は体を守る基地なので、ウイルスと戦うと腫れて痛むのです。 これらの結果を総合的に判断し、原因を突き止めて診断を確定します。

急性結膜炎の治療

急性結膜炎の治療は、原因によって全く違う方法をとります。 ウイルスが原因か、細菌が原因かを見極めることがとても大切です。 自己判断で市販の目薬を使うのは、かえって悪化させる危険もあります。

ウイルスが原因の場合の治療

ウイルス性の結膜炎には、ウイルスを直接やっつける特効薬がありません。 そのため、ご自身の体の力(免疫力)でウイルスに勝つのを、 お薬でサポートすることが治療の中心になります。

ゴールは、つらい症状を和らげ、後遺症を残さず治すことです。 体力をつけて、ウイルスと戦う力を高めることが何より重要です。

  • 休養と栄養をしっかりとる ゆっくり体を休めて、体力を回復させることが一番の薬です。 体の抵抗力を高めて、ウイルスを体の外に追い出しましょう。
  • 症状を和らげるための点眼薬 ウイルスの勢いを直接止めることはできませんが、 つらい症状を軽くするための目薬を使います。
  • 抗炎症薬の点眼 目の充血や腫れなど、つらい炎症を抑えるための目薬です。 主にステロイドという種類の薬を使い、目の火事をしずめます。
  • 抗菌薬の点眼 ウイルスで目が弱っていると、別の細菌が入りやすくなります。 これを「二次感染」といい、防ぐために抗菌薬を使うことがあります。

症状が治まっても、黒目の表面に小さな濁りが残ることがあります。 この濁りは視力に影響することがあるため、完全に消えるまで、 医師の指示通りに治療を続けることが非常に大切です。

細菌が原因の場合の治療

細菌が原因の場合は、その細菌をやっつけるための特効薬があります。 抗菌薬(抗生物質)の入った点眼薬や眼軟膏がとてもよく効きます。

お医者さんが出してくれたお薬を指示通りにきちんと使えば、 多くは数日から1週間ほどで症状は良くなっていきます。

ただし、症状が軽くなったからといって自己判断で薬をやめると、 生き残った細菌が再び増えて、ぶり返してしまうことがあります。 必ず医師の指示があるまで、治療を続けるようにしてください。