外耳炎

耳の強いかゆみや、ズキズキとした痛み。耳たぶを引っ張ると痛みが強くなることはありませんか?その不快な症状、実は耳掃除のしすぎやイヤホンの長時間使用といった、日常の何気ない習慣が引き起こしている「外耳炎」かもしれません。

外耳炎は、耳の穴の皮膚に炎症が起きる、誰にでも起こりうる非常に身近な病気です。特に、湿気の多い夏場は注意が必要で、実際にオーストラリアなど暖かい地域では発症が多いという報告もあります。軽いかゆみだからと放置してしまうと、痛みが強くなったり、重い合併症につながったりする危険性も潜んでいます。

この記事では、外耳炎の意外な原因から、細菌性・真菌性といった種類ごとの特徴、そして専門的な治療法までを詳しく解説します。ご自身の症状と照らし合わせ、つらい症状から抜け出すための第一歩を踏み出しましょう。

外耳炎の概要

外耳炎(がいじえん)は、耳の入り口から鼓膜までの道、「外耳道(がいじどう)」の皮膚に炎症が起きる病気です。

耳掃除のしすぎや、長時間イヤホンを使うことなどがきっかけで、誰にでも起こる可能性があります。特に汗をかきやすい夏場や、湿度の高い環境では注意が必要です。実際に、オーストラリアのような暖かい地域では、外耳炎の発症が多いという報告もあります。湿気で耳の中が蒸れると、細菌が繁殖しやすくなるためです。

主な症状には、以下のようなものがあります。

  • 耳のかゆみや痛み
  • 耳だれ(耳から液体が出ること)
  • 耳が詰まった感じ
  • 聞こえにくさ

耳たぶを軽くひっぱったり、耳の入り口を押したりすると痛みが強くなるのも、外耳炎のひとつの特徴です。

ほとんどの場合はお薬などで良くなりますが、放置は禁物です。研究でも、早めに治療を始めることの重要性が強調されています。症状が軽いと感じても、痛みが強くなる前や重い合併症を招く前に、早めに医療機関で相談しましょう。

外耳炎の種類

外耳炎とひとことで言っても、原因によっていくつかの種類にわけられます。 実は外耳炎はとても歴史が古く、犬を対象とした研究では、古代の記録にも記述がみられるほど昔からある身近な病気です。

原因を正しく見きわめることが、適切な治療への第一歩となります。 外耳炎は、主に原因となる微生物や病気の状態によって分類されます。

  • 細菌性外耳炎(さいきんせいがいじえん) 最もよくみられるタイプです。 耳かきなどでできた小さな傷から、黄色ブドウ球菌や緑膿菌といった細菌が入りこんで炎症をひきおこします。 強い痛みや腫れ、膿のような耳だれが特徴です。
  • 真菌性外耳炎(しんきんせいがいじえん) カンジダやアスペルギルスといったカビ(真菌)が原因で起こります。 耳の中が湿った状態が続くと発症しやすくなります。 細菌性とくらべて痛みは軽いことが多いですが、しつこいかゆみが特徴です。
  • その他の外耳炎 アレルギー体質の方に多い「外耳道湿疹」や、まれなケースですが、炎症が長く続くことで耳の中にポリープという良性のできものができてしまうこともあります。 このようなポリープは、さらなる感染の原因になることもあります。

種類

主な原因

主な症状の傾向

細菌性外耳炎

細菌(ブドウ球菌など)

強い痛み、腫れ、膿

真菌性外耳炎

真菌(カビ)

強いかゆみ、特有の耳だれ

外耳道湿疹

アレルギー、乾燥など

かゆみ、皮膚のかさつき

このように種類によって治療法も変わってくるため、自己判断は禁物です。 気になる症状があれば、早めに専門のクリニックを受診することが大切です。

外耳炎の原因

外耳炎の主な原因は、耳の穴(外耳道)の皮膚にできた、ほんの小さな傷です。その傷から細菌やカビ(真菌)が入り込むことで、炎症が起こります。

では、なぜ耳の中に傷ができてしまうのでしょうか。原因の多くは、私たちの日常的な習慣にひそんでいます。

  • 耳のいじりすぎ 最も多い原因は、耳掃除のやりすぎです。 耳の皮膚はとてもデリケートで、硬い耳かきでこすると簡単に傷がついてしまいます。
  • 耳の中がジメジメしている お風呂やプールの後、耳に水が残っていると注意が必要です。 湿気で細菌が増えやすくなります。 実際に、暖かく湿度の高い地域では外耳炎が多いという研究報告もあります。 日本の蒸し暑い夏も、特に気をつけたい季節です。
  • イヤホンや補聴器の長時間使用 イヤホンなどを長くつけていると耳の中が蒸れて、皮膚がふやけてしまいます。 ふやけた皮膚はとても傷つきやすくなっています。

その他にも、アレルギー体質で皮膚が弱いことや、シャンプーなどが耳に残ってしまうことも、外耳炎のきっかけになることがあります。

外耳炎の症状

外耳炎になると、耳が「かゆい」「痛い」といったSOSのサインを出します。 これは、耳の中で炎症が起きていることを知らせる体からの大切な合図です。 もし、ご自身の耳に以下のような症状があれば、外耳炎の可能性があります。

【外耳炎のサイン チェックリスト】

  • 耳のかゆみ 我慢できないほどのかゆみを感じることがあります。 これは、炎症によって皮膚がとても敏感になっているサインです。
  • 耳の痛み 何もしなくてもズキズキと痛むことがあります。 耳たぶを引っ張ったり、耳の入り口を押したりすると痛みが強くなるのは、外耳炎の大きな特徴です。 また、食事であごを動かすだけで耳の奥が痛むこともあります。
  • 耳だれ(耳漏:じろう) 耳から白や黄色、時には透明な液体が出てくることです。 これは炎症によって出てくる分泌物で、細菌が増えているサインでもあります。
  • 聞こえにくさ・詰まった感じ 耳に水が入った後のような、詰まった感じ(耳閉感:じへいかん)がします。 炎症による腫れや耳だれで耳の穴がふさがり、音が聞こえにくくなります。

これらの症状は、外耳炎の代表的なサインです。 症状が軽いからと放置してしまうと、炎症がひどくなり、治りにくくなることがあります。 海外の研究でも、合併症を防ぐためには早期に治療を始めることがとても重要だと報告されています。 気になる症状があれば、悪化する前に専門のクリニックへ相談しましょう。

外耳炎の検査・診断

耳の痛みやかゆみで受診されると、まず正しい診断を下すための診察や検査を行います。 なぜなら、適切な治療は正確な診断から始まるからです。

海外の研究でも、合併症を防ぐためには早期の診断と介入が重要だと強調されています。 自己判断で様子を見ずに、専門の医師に耳の中をしっかり見てもらうことが大切です。

診察では、まず以下のようなことをお伺いします。

  • いつから、どのような症状がありますか?
  • 耳掃除はどのくらいの頻度で行いますか?
  • イヤホンや補聴器を長時間使いますか?

その後、「耳鏡(じきょう)」や細いカメラ(ファイバースコープ)を使い、耳の中を直接観察します。 痛みはほとんどありませんので、ご安心ください。

【耳の中のチェック項目】

  • 外耳道の皮膚 赤みや腫れ、湿疹がないかを確認します。
  • 耳だれ 量や色、においなどを観察し、原因菌のヒントにします。
  • 鼓膜 炎症が鼓膜まで及んでいないか、中耳炎の可能性はないかを確認します。

必要であれば、耳だれを綿棒でそっと拭い、原因菌を特定する検査(細菌培養検査)を行うこともあります。 これは、どの薬が効くかを見極めるための大切な検査です。

外耳炎と似た症状が出る中耳炎など、他の病気との見分けること(鑑別診断)は非常に重要です。 正確な診断に基づいた治療で、つらい症状を早く改善させましょう。

外耳炎の治療

外耳炎の治療は、まず耳の中をきれいにすることが基本です。 自己判断で綿棒などを入れると、かえって症状を悪化させます。 早めに医療機関で相談することが、早く治すための近道です。

海外の研究でも、合併症を防ぐには早期の治療が重要とされます。 治療は主に、以下の2つのステップで進められます。

  • 耳の中のお掃除(清掃・消毒) 治療の第一歩は、耳の中を清潔にすることです。 専門の器具で、耳あかや膿などをやさしく取り除きます。 二次的な感染を防ぐためにも、このお掃除はとても大切です。
  • お薬での治療(薬物療法) 耳の中をきれいにしてから、お薬で炎症を抑えます。 原因や症状に合わせて、以下のようなお薬を使い分けます。

薬の種類

目的と使い方

点耳薬(てんじやく)・軟膏

炎症を直接抑えるための基本の治療です。原因となった細菌やカビに合わせたお薬を使います。

内服薬(飲み薬)

痛みが強い場合や、炎症が耳の周りまで広がっている場合に処方します。耳の手術後に起きた合併症の治療で使われることもあります。

かゆみ止め

かゆみがひどいと、無意識に耳をかいてしまいます。悪化を防ぐために、かゆみを和らげるお薬が処方されることもあります。

症状が長引いたり、繰り返したりする場合は注意が必要です。 まれに、炎症でポリープという良性のできものができ、治療が複雑になることもあります。 つらい症状を感じたら、悪化する前に治療を始めましょう。