反復性耳下腺炎
お子さんの耳の下が、またぷくっと腫れていませんか?「おたふくかぜかと思ったのに、熱もないし、何度も繰り返す…」そんな経験から、不安やもどかしさを感じている方も多いかもしれません。その症状、実は人にうつらず、学校を休む必要もない「反復性耳下腺炎」の可能性があります。
この病気は「おたふくかぜ」と間違われやすい一方で、専門家でも診断が難しいことがあり、周りに理解されにくい苦痛を伴います。「またか」と諦めてしまう前に、その正体と正しい対処法を知ることが、つらい症状から抜け出す第一歩です。
この記事では、なぜ症状を繰り返すのかという原因から、ある研究で90%以上の患者さんに改善が見られた最新の治療法までを詳しく解説します。ご自身やお子さんの状況と照らし合わせ、不安を解消するヒントを見つけてください。
反復性耳下腺炎の概要
反復性耳下腺炎とは、耳の下にある「耳下腺」が何度も腫れてしまう病気です。 耳下腺は、食事の時などにつば(唾液)を作る大切な場所です。 この病気は、特に小学生くらいのお子さんによく見られます。
耳の下がぷくっと腫れるため、「おたふくかぜ」と間違われやすいのが特徴です。 しかし、この二つは全く違う病気であり、対応も異なります。
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反復性耳下腺炎 |
おたふくかぜ(流行性耳下腺炎) |
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感染力 |
人にうつらない |
人にうつる |
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登園・登校 |
休む必要はない |
出席停止期間がある |
反復性耳下腺炎は、おたふくかぜの原因であるウイルスとは関係ありません。 そのため、他の人にうつる心配はなく、基本的には学校などを休む必要もありません。
実は、この病気は唾液腺の病気の中では比較的珍しいものです。 専門家でも診断が難しい場合があり、何度も腫れを繰り返すことで、患者さんがつらい思いをすることも少なくありません。 「また腫れただけ」と自己判断せず、かかりつけの医療機関に相談することが大切です。
反復性耳下腺炎の種類
「反復性耳下腺炎」とひとことで言っても、実はいくつかの種類があります。 原因や背景によって分けられ、どのタイプかを見極めることが大切です。 なぜなら、種類によって治療や今後の見通しが変わってくるからです。
- 若年性再発性耳下腺炎(JRP) お子さんの反復性耳下腺炎の多くが、このタイプにあたります。 「若年性」とは、若い人に多いという意味です。 まだはっきりした原因はわかっていませんが、小学生くらいで発症し、 思春期になると自然に症状が出なくなることが多いとされています。
- その他の原因が考えられるタイプ 大人の場合や、症状が長く続く場合は、他の原因が隠れていることもあります。 この病気は専門家でも診断が難しいことがあり、患者さんの苦痛が大きいのが特徴です。 背景には以下のような状態が関連していると考えられています。
- 自己免疫によるもの 体をばい菌から守る「免疫」が、間違えて自分の唾液腺を攻撃してしまう病気です。
- 唾液の通り道(唾液管)の問題 唾液が通る管が狭くなったり、詰まりやすくなったりして炎症を繰り返します。
- 原因が特定しにくい炎症 詳しい検査をしても、はっきりとした原因が見つからないタイプです。
このように、症状の背景はさまざまであり、複数の原因が関わることもあります。 気になる症状が続く場合は、自己判断せずに専門の医療機関に相談しましょう。
反復性耳下腺炎の原因
反復性耳下腺炎の原因は、実はお医者さんの間でもまだ完全にはわかっていません。 おたふくかぜのように特定のウイルスが原因ではなく、いくつかの要因が関係していると考えられています。
現在、原因として考えられている主なものをいくつかご紹介します。
- 体の防御システムの問題 体をばい菌から守る「免疫」という仕組みが、間違えて自分の耳下腺を攻撃してしまうことがある、という説です。アレルギー反応が関わっている可能性も指摘されています。
- 唾液(つば)の通り道の問題 唾液が通る管(唾液管)が生まれつき少し狭かったり、形に特徴があったりすると、唾液が流れにくくなり炎症が起きやすくなることがあります。
- ウイルス感染の可能性 おたふくかぜの原因ウイルスとは違いますが、他の風邪のウイルスなどが引き金となって、耳下腺の炎症が始まってしまうのではないか、とも考えられています。
このように、原因が一つに特定できないのが、この病気の難しいところです。 特に、複数の唾液腺に炎症が起きるような病気は、原因の特定や診断が難しいことが知られています。
原因がはっきりしないため、患者さんは「なぜ繰り返すのだろう」と大きな不安を感じることが少なくありません。 患者さんの苦痛が大きい病気であるからこそ、専門家による丁寧な診察が重要になります。
反復性耳下腺炎の症状
反復性耳下腺炎の最も特徴的な症状は、耳の下にある「耳下腺」が繰り返し腫れることです。
この症状は、おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)とよく間違われます。 しかし、両者には以下のようなはっきりとした違いがあります。
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項目 |
反復性耳下腺炎 |
おたふくかぜ(流行性耳下腺炎) |
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熱 |
ないことが多い、または微熱程度 |
38度以上の高熱が出ることが多い |
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腫れの強さ |
軽い腫れや痛みのことが多い |
痛みが強く、パンパンに腫れる |
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繰り返すか |
何度も繰り返す |
基本的に一度だけ |
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感染力 |
人にうつらない |
人にうつる |
この病気は何度も症状を繰り返すため、ご本人やご家族のつらさが大きいことが知られています。 「また腫れてしまった」という不安や、周りに理解されにくい苦痛を感じる方も少なくありません。
こんな症状はありませんか?
ご自身やお子さんの症状をチェックしてみましょう。
- □ 耳の下やあごのあたりが、ぷくっと腫れている
- □ 腫れている部分に軽い痛みや、押されるような感じがある
- □ 食事をすると、腫れや痛みが少し強くなることがある
- □ 高い熱は出ていない
- □ これまでに何度も同じような腫れを経験している
これらの症状に当てはまる場合は、反復性耳下腺炎の可能性があります。 自己判断せず、気になる症状があれば早めに医療機関を受診することが大切です。
反復性耳下腺炎の検査・診断
「また耳の下が腫れた…」と不安な気持ちになりますよね。 反復性耳下腺炎の診断で最も大切なのは、人にうつる「おたふくかぜ」としっかり見分けることです。 この病気は専門家でも診断が難しいことがあり、患者さんのつらさが大きいことも知られています。 そのため、いくつかの検査を組み合わせて慎重に診断を進めます。
主な検査方法は、次の3つです。
- 超音波(エコー)検査 ゼリーをぬって機械をあてるだけの、痛くない検査です。 耳下腺の中の様子をリアルタイムで見ることができます。 おたふくかぜでは全体が腫れて見えますが、この病気では特徴的な「小さな丸い影」がたくさん見られます。
- 血液検査 おたふくかぜの原因ウイルスと体が戦った証拠(抗体)があるかを調べます。 これにより、過去におたふくかぜにかかったかどうかがわかります。 ただし、結果が出るまで数日かかることがあります。
- 唾液腺内視鏡検査 診断が難しい場合に行う、より詳しい検査です。 髪の毛のように細いカメラで、つばの通り道(唾液管)を直接のぞきます。 この検査は、診断だけでなく治療も同時に行えるという大きな利点があります。 ある研究では、この検査と治療で多くの患者さんの症状が良くなったと報告されています。
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検査方法 |
何を調べるの? |
特徴 |
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超音波(エコー)検査 |
耳下腺の中の状態 |
痛みがなく、その場ですぐにわかる |
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血液検査 |
おたふくかぜのウイルスの抗体 |
過去の感染歴がわかる |
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唾液腺内視鏡検査 |
唾液管の内部 |
診断と治療が同時にできることがある |
これらの検査結果を総合的に見て、お医者さんが診断を確定します。 自己判断で様子を見ず、気になる症状があれば必ず医療機関に相談しましょう。
反復性耳下腺炎の治療
反復性耳下腺炎の治療は、まずつらい症状を和らげることが中心です。 多くの場合、腫れや痛みは数日で自然に落ち着いていきます。 まずは慌てずに、基本的な治療とご自宅でのケアをしっかり行いましょう。
基本的な治療とケア
- お薬による治療 痛みや腫れが気になる場合は、痛みを抑えるお薬(鎮痛薬)を使います。 ばい菌による二次的な感染が疑われるときには、抗菌薬(抗生剤)を処方することもあります。
- ご自宅でのケア 腫れている間は、無理をせずゆっくり体を休ませることが大切です。 こまめにうがいをして、お口の中を清潔に保つことも回復を助けます。
何度も繰り返す場合の専門的な治療
この病気は症状を繰り返すため、ご本人やご家族のつらさが大きいことが知られています。 なかなか良くならない場合には、より専門的な治療も選択肢になります。
代表的な治療法に「唾液腺内視鏡(だえきせんないしきょう)」があります。 これは、髪の毛のように細いカメラを使い、つばの通り道を直接見て治療する方法です。 管の中をきれいに洗浄したり、詰まりの原因を取り除いたりします。
ある研究では、この治療を受けた患者さんの多くで症状が改善したと報告されています。 具体的には、約64%の患者さんで症状が完全になくなり、約26%で症状が軽くなったとされています。 診断と治療を同時に行える、効果的で安全な選択肢の一つです。
どの治療が合うかは、一人ひとりの症状や状態によって異なります。 自己判断で悩まず、まずは専門の医療機関へ相談することが大切です。













