かぜ(こども)
「また熱が出た…」「保育園に行き始めてから、ずっと鼻水が続いている…」など、お子さんの度重なるかぜにお悩みの保護者の方は多いのではないでしょうか。なぜ、お子さんは大人よりもこんなに頻繁にかぜをひいてしまうのでしょう。
ある研究では、2歳未満のお子さんは1年に平均5〜6回、大人の約2倍もかぜをひくと報告されています。その理由は、体を守る力がまだ発達途中であることに加え、原因となるウイルスが200種類以上もいるため。一度治っても、すぐに別のウイルスにかかってしまうのは、ごく自然なことなのです。
この記事では、お子さんがかぜをひきやすい根本的な理由から、見逃してはいけない危険なサイン、ご家庭でできる適切なケアまでを詳しく解説します。ただのかぜと侮らず、正しい知識でお子さんの健やかな成長をサポートしましょう。
かぜ(こども)の概要
お子さんがかかる病気の中でも、特によく見られるのが「かぜ」です。 正式には「かぜ症候群」といい、主にウイルスが原因となります。 鼻やのどにウイルスが入り込むことで、さまざまな症状があらわれます。
お子さんが大人よりもかぜをひきやすいのには、2つの理由があります。
- 体を守る力が未熟 病原体から体を守る「免疫」という力が、まだ発達の途中だからです。
- 集団生活での接触 保育園や学校などでは、ウイルスに接する機会が多くなります。
ある研究では、2歳未満のお子さんは1年に平均5〜6回かぜをひくと報告されています。 これは、大人の約2倍の回数です。
かぜの原因となるウイルスは200種類以上もいるといわれています。 そのため、一度かぜが治っても、すぐに別のウイルスにかかることも珍しくありません。
ほとんどのかぜは、1週間から10日ほどで自然によくなっていきます。 しかし、熱などの強い症状が治まった後も、鼻水やせきは少し長引くことがあります。 かぜをひくのは、体がウイルスと戦って強くなるための成長の過程ともいえます。 ですが、症状がいつもより重い場合や長引く場合は、早めに受診しましょう。
かぜ(こども)の種類
ひとことで「かぜ」といっても、原因となるウイルスは200種類以上います。 実は「かぜ」は正式な病名ではなく、症状の集まりを指す言葉です。 ウイルスによって得意な場所が違うため、症状の出かたも変わります。
これを「かぜ症候群」と呼び、ウイルスの種類によって分類できます。 かぜの原因の約半分は「ライノウイルス」というウイルスが占めています。 ここでは、お子さんがかかりやすい代表的なウイルスを紹介します。
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ウイルスの名前 |
主な病気や症状の特徴 |
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ライノウイルス |
「鼻かぜ」の主な原因で、鼻水や鼻づまりが中心です。<br>熱は出ても軽いことが多いのが特徴です。 |
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アデノウイルス |
「咽頭結膜熱(プール熱)」の原因になります。<br>高い熱、のどの強い痛み、目の充血がみられます。 |
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RSウイルス |
特に2歳未満のお子さんで重症化しやすいウイルスです。<br>せきがひどくなり「急性細気管支炎」をおこします。<br>息をする時にゼーゼー、ヒューヒューという音がします。 |
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パラインフルエンザウイルス |
のどが強く腫れて、気道が狭くなる「クループ」の原因です。<br>犬がほえるような「ケン、ケン」という特徴的なせきが出ます。 |
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エンテロウイルス |
夏にかかることが多いウイルスです。<br>のどに水ぶくれができる「ヘルパンギーナ」や、<br>手・足・口に発疹が出る「手足口病」などを引きおこします。 |
このように、原因ウイルスによって鼻やのどの症状は大きく異なります。 ほかにも、発疹やお腹の症状が出ることも珍しくありません。 症状に合わせて、原因となっているウイルスを推測していきます。
かぜ(こども)の原因
お子さんが大人よりも頻繁にかぜをひくのは、主に2つの理由があります。 体を守る「免疫」という力が、まだ十分に発達していないことが理由の一つです。 そして、ウイルスが体の中に入ってくる経路を知ることも大切になります。
かぜの原因の8割から9割は「ウイルス」という、目に見えない病原体です。 このウイルスには200種類以上もの種類があるといわれています。 そのため、一度かぜが治っても、また別のウイルスに感染してしまうのです。 いろいろなウイルスと戦う経験を積むことで、体は少しずつ強くなっていきます。
ウイルスは、主に2つの方法で人から人へとうつり、体の中へ侵入します。 特に、症状が出始めてから最初の2〜4日間はうつりやすい時期です。
- 飛沫(ひまつ)感染 かぜをひいている人の咳やくしゃみで、ウイルスが空気中に飛び散ります。 そのウイルスを周りの人が吸い込んでしまうことで感染します。
- 接触(せっしょく)感染 ウイルスがついた手で、ご自身の目や鼻、口をさわることで感染します。 ドアノブやおもちゃなど、みんなが触る場所にウイルスは潜んでいます。
保育園や学校などの集団生活では、ウイルスに触れる機会が多くなります。 過去にかかったことのないウイルスと出会うため、かぜをひきやすくなるのです。
かぜ(こども)の症状
お子さんがかぜをひくと、原因ウイルスによって様々な症状が出ます。 体がウイルスと一生懸命に戦っているサインとしてあらわれるのです。 ここでは、お子さんのかぜでよく見られる症状について解説します。
かぜの代表的な症状
- 鼻の症状 鼻水や鼻づまりが代表的です。 最初は水のように透明な鼻水ですが、だんだん色がつくこともあります。 黄色や緑色に変わるのは、ウイルスと戦った白血球の残骸が混じるためです。 鼻水の色が変わっても、必ずしも細菌感染というわけではありません。
- 熱 ウイルスと戦うために、体が熱を出します。 かぜのひき始めから3日間くらいは、38度以上の熱が出ることが多いです。
- のどの痛みやせき ウイルスがのどで増えて、炎症を起こしているサインです。
- そのほかの症状 元気がなくなったり、食欲が落ちたりすることもあります。 また、首のリンパ節が腫れて「ぐりぐり」ができることもあります。
これらの症状の多くは、1週間から10日ほどで自然とよくなります。 しかし、熱が下がった後も、鼻水やせきが長引くことは珍しくありません。 ある研究では、お子さんの約半数は10日以上鼻水が続くとの報告もあります。
ひとつの風邪が治った直後に、また別の風邪をひくこともよくあります。 特に空気が乾燥する秋や冬は、風邪をくり返しやすい季節です。
ただし、症状がなかなかよくならない、あるいは悪化する時は注意が必要です。 中耳炎や肺炎といった、別の病気を合併している可能性も考えられます。 次のようなサインが見られたら、早めに医療機関を受診してください。
受診を考えるべき症状のサイン
- 10日以上、鼻水やせきがよくならない
- 耳をしきりに気にする、痛がるそぶりを見せる(中耳炎の可能性)
- 呼吸が速い、苦しそう、肩で息をしている(肺炎の可能性)
- 一度下がった熱が、また高くなってきた
かぜ(こども)の検査・診断
お子さんのかぜを診断する時、特別な検査をすることはあまりありません。 お医者さんは、お子さんの様子を注意深く見て、お話を聞くことで判断します。 これを「診察」といい、かぜの診断では最も大切なステップになります。
診察では、主に次の3つのことを丁寧に行います。 おうちの方からのお話は、病気を突き止めるための重要な手がかりです。
- 問診(もんしん):お話を聞くこと いつから、どんな症状があるか、元気や食欲はあるかなどを聞きます。 周りではやっている病気も、診断のヒントになることがあります。
- 視診(ししん):目でみること のどが赤く腫れていないか、鼻水の色や量、顔色などを確認します。 呼吸のしかたがいつもと違わないかも、大事なチェックポイントです。
- 聴診(ちょうしん):音をきくこと 聴診器を胸や背中にあてて、呼吸の音に異常がないかを確認します。 肺炎など、かぜ以外の病気が隠れていないかを調べるために行います。
かぜの症状は、ほかの病気と似ていることがあります。 そのため、次のような病気の可能性がないかも考えながら診察を進めます。
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病気の名前 |
かぜとの違い(主な特徴) |
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アレルギー性鼻炎 |
熱はなく、鼻や目のかゆみ、くしゃみが目立ちます。 |
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インフルエンザ |
38℃以上の急な高熱や、体の節々の痛みが出やすいです。 |
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百日咳(ひゃくにちぜき) |
発作のような激しいせきが、長く続くのが特徴です。 |
いつもと様子が違う場合や、次のような症状がみられる時があります。 この時は、かぜがきっかけで別の病気(合併症)を起こしているかもしれません。 その場合は、原因をはっきりさせるために、追加で検査を行うことがあります。
特別な検査を考える症状のサイン
- 38℃以上の熱が3日以上続く
- せきがひどく、呼吸が苦しそう
- 水分をあまりとれず、ぐったりしている
このようなサインがある場合は、インフルエンザの迅速検査などを行います。 必要に応じて、体の中の炎症の強さを調べる血液検査や、 肺の状態を確認するレントゲン検査をすることもあります。 気になる症状があれば、どんなことでもお医者さんに相談してください。
かぜ(こども)の治療
お子さんのかぜには、ウイルスを直接やっつける「特効薬」はありません。 治療の基本は、お子さん自身の免疫力で回復するのを手助けすることです。 つらい症状を和らげる「対症療法」が中心となり、ご家庭でのケアが重要です。
おうちでできるケア
- ゆっくり休ませる 体がウイルスと戦うことに集中できるよう、静かな環境で休ませましょう。
- 水分をしっかりとる 熱や鼻水で体の水分が失われがちです。 麦茶やスープ、子ども用のイオン飲料で、こまめに水分を補給してください。
- 鼻水をこまめに吸ってあげる 小さなお子さんは自分で鼻をかめません。 鼻づまりは中耳炎の原因になることもあります。 市販の鼻吸い器を使うのもよい方法です。
病院で処方されるお薬は、あくまで症状を楽にするためのものです。 かぜの原因のほとんどはウイルスなので、細菌を退治する抗生剤は効きません。 不要な抗生剤の使用は、下痢などの副作用や薬が効かない菌を増やす恐れもあります。
ただし、中耳炎や肺炎など、細菌による病気を合併していると医師が判断した場合、 その時は抗生剤が必要になることがあります。 お子さんの状態に合わせ、必要なお薬を最小限に使い回復を支えます。













