紫外線障害
夏の日差しだけでなく、曇りの日でも私たちの肌や目に降り注いでいる紫外線。その本当の怖さをご存知でしょうか?気象庁の観測によれば日本の紫外線量は年々増加しており、単なる日焼け対策だけでは不十分かもしれません。紫外線の影響は、シミやシワといった美容の問題にとどまらず、将来的には皮膚がんや失明にもつながりかねない白内障のリスクを高めるのです。
実は、紫外線のダメージには、すぐに現れる「急性障害」と、数十年かけて蓄積し病気として現れる「慢性障害」の2種類があります。この記事では、気づかぬうちに体を蝕む「紫外線障害」の正体と、その種類、原因、そして治療法について徹底解説します。
紫外線障害の概要
紫外線障害とは、太陽の光に含まれる目に見えない光、「紫外線」を浴びすぎることで起こる健康トラブルです。
皮膚や目に様々な悪影響を及ぼす可能性があります。 太陽光だけでなく、溶接作業で使うアーク灯などの人工の光が原因になることもあります。
地上に届く紫外線には、主に2つの種類があります。 それぞれの特徴を知っておくことが、対策の第一歩です。
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紫外線の種類 |
特徴 |
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UVA(紫外線A波) |
肌の奥深く(真皮)まで届きます。 シワやたるみといった肌の老化(光老化)の主な原因となります。 |
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UVB(紫外線B波) |
肌の表面(表皮)に強いダメージを与えます。 日焼けによる炎症やシミ、皮膚がんの原因になります。 |
紫外線を浴びた影響は、すぐにあらわれるものと、長年かけて蓄積し、後からあらわれるものに分けられます。
- すぐにあらわれる影響(急性障害)
- 皮膚 日焼け(サンバーン)で肌が赤くなり、ヒリヒリと痛みます。
- 目 紫外線角膜炎(雪目)で目が充血し、異物感や涙が出ます。
- 長い時間をかけてあらわれる影響(慢性障害)
- 皮膚 シミやシワが増える「光老化」や、皮膚がんのリスクが高まります。
- 目 目のレンズが白く濁る「白内障」という病気のリスクが高まります。
気象庁の観測では、日本の紫外線量は年々増加傾向にあります。 若い頃から浴び続けた紫外線の影響が、将来の病気につながるため、誰にとっても注意が必要な問題です。
紫外線障害の種類
紫外線による体への影響は、2つのタイプに分けられます。 一つはすぐ症状が出る「急性障害」です。 もう一つは、長年浴びたダメージがたまって起こる「慢性障害」です。
それぞれ皮膚と目にどんな影響があるのか、見ていきましょう。
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障害の種類 |
皮膚への影響 |
目への影響 |
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急性障害 (すぐに症状が出る) |
日焼け(サンバーン) 肌が真っ赤に腫れて、ヒリヒリと痛みます。ひどいと水ぶくれができます。 |
紫外線角膜炎 「雪目(ゆきめ)」とも呼ばれます。目が充血し、強い痛みで涙が止まらなくなります。 |
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慢性障害 (長年の蓄積で起こる) |
・光老化 シミや深いしわが増え、肌のハリが失われます。 ・良性のできもの 脂漏性角化症(しろうせいかくかしょう)など、がんではないできものができます。 ・皮膚がん がんになる一歩手前の「日光角化症(にっこうかくかしょう)」や、皮膚がんが発生することがあります。 |
・白内障(はくないしょう) 目のレンズ(水晶体)が白く濁って、ものが見えにくくなります。 ・翼状片(よくじょうへん) 白目の部分が、黒目に向かって三角に伸びてくる病気です。 |
急性障害は、海やスキー場などで強い紫外線を浴びた後、数時間で症状が現れるのが特徴です。
一方で慢性障害は、子どもの頃から浴び続けた紫外線のダメージが、まるで貯金のように体に蓄積されて起こります。何十年も経ってから病気として現れるため、気づかないうちに進行していることが多いのが特徴です。
将来の健康を守るためにも、日頃の紫外線対策がとても重要になります。
紫外線障害の原因
紫外線障害の最も大きな原因は、太陽光に含まれる紫外線です。 特に「UVB(紫外線B波)」は、皮膚の細胞まで直接届きます。 そして、細胞の中にある体の設計図であるDNAを傷つけてしまいます。
私たちの皮膚には、このダメージを防ぐ「メラニン」という色素があります。 日焼けをすると肌が黒くなるのは、メラニンが作られている証拠です。 しかし、強い紫外線を長時間浴びると、メラニンの防御が追いつきません。 DNAの傷の修復が間に合わず、シミやしわ、皮膚がんの原因になります。
紫外線の強さは、いつも同じではありません。 以下の条件で大きく変わるため、生活の中で意識することが大切です。
- 季節 日本では、春の終わりから夏(5月〜8月)にかけて最も強くなります。
- 時間帯 1日のうち、太陽が高い位置にある午前10時から午後2時頃がピークです。
- 場所 標高が高い山の上や、光を反射しやすい砂浜、雪の上は特に強烈です。
- 天気 晴れの日はもちろんですが、薄曇りの日でも80%以上の紫外線が届きます。
また、原因は太陽光に限らず、人工の光にも注意が必要です。 工事現場のアーク溶接の光や、日焼けサロンの機械も原因となります。 ある調査では、溶接作業を行う人の86%が、目の日焼け(紫外眼炎)を経験したとの報告もあります。
紫外線障害の症状
紫外線による体への影響は、2つのタイプに分けられます。 一つはすぐ症状が出る「急性障害」です。 もう一つは、長年のダメージがたまって起こる「慢性障害」です。
それぞれ皮膚と目にどんなサインが出るか、詳しく見ていきましょう。
すぐに現れる症状(急性障害)
紫外線を浴びてから数時間~1日ほどで現れる、急性の症状です。
<皮膚の症状>
- 日焼け(サンバーン) 紫外線を浴びた数時間後から、皮膚がやけどのように赤く腫れます。 ヒリヒリとした痛みを伴い、炎症のピークは8~24時間後です。 症状が重いと水ぶくれができ、数日後には皮がむけてきます。
<目の症状>
- 紫外線角膜炎(雪目:ゆきめ) 強い紫外線を浴びた数時間後、目に強い痛みや異物感が出ます。 涙が止まらなくなり、まぶしくて目を開けていられないこともあります。 特にスキー場など、雪の照り返しが強い場所で起こりやすいです。
長い時間をかけて現れる症状(慢性障害)
子どもの頃から浴び続けた紫外線のダメージが蓄積して起こります。
<皮膚の症状>
- 光老化 肌のハリを保つコラーゲンなどが紫外線によって壊されてしまいます。 そのため、年齢以上にシミや深いしわ、たるみが目立つようになります。
- 良性の腫瘍 脂漏性角化症(しろうせいかくかしょう)といった良性のできものができます。 「老人性いぼ」とも呼ばれるもので、がんではありません。
- 皮膚がん 長年の紫外線ダメージで、皮膚細胞の設計図(DNA)が傷つきます。 この傷の蓄積が、皮膚がんのリスクを高める原因になります。 がんの一歩手前の「日光角化症」も紫外線によって発生します。
<目の症状>
- 白内障(はくないしょう) 目の中でレンズの役割をする水晶体(すいしょうたい)が濁る病気です。 視界がかすんだり、視力が低下したりする原因になります。
- 翼状片(よくじょうへん) 白目の組織が異常に増え、黒目に向かって三角に入り込む病気です。 進行すると、視力に影響を及ぼすことがあります。
紫外線障害の検査・診断
紫外線による肌や目の不調を感じ、病院を受診した場合の流れを説明します。 診断は、患者さんからのお話を聞く「問診」が第一歩です。 その上で、専門の機器を使った検査を組み合わせて診断を進めていきます。
まず医師は、症状や紫外線に当たった状況を詳しくお聞きします。 いつ、どこで、どのくらい紫外線を浴びたかは診断の重要な手がかりです。 気になる症状があれば、どんな小さなことでも遠慮なくお伝えください。
皮膚の検査
肌の状態を詳しく調べるため、以下のような検査を行います。
- 視診 医師が目で見て、肌の赤みや水ぶくれ、シミの状態を確認します。 できものの形や色、大きさなども細かく観察します。
- ダーモスコピー検査 「ダーモスコープ」という特殊な拡大鏡を使う検査です。 シミやほくろの内部を詳しく観察でき、皮膚がんの早期発見に役立ちます。
- 皮膚生検 皮膚がんが疑われる場合に行う、確定診断のための検査です。 局所麻酔をした後、病変の一部を切り取り、顕微鏡で詳しく調べます。
目の検査
目の不調に対しては、眼科で以下のような検査が行われます。
- 細隙灯顕微鏡(さいげきとうけんびきょう)検査 細い光を目に当てて、角膜や水晶体などを拡大して見る検査です。 紫外線による角膜の傷(雪目)や、白内障の進行度を確認できます。
- その他の眼科検査 必要に応じて、視力検査や眼圧検査なども行います。 これらの検査で、目の状態を総合的に評価します。
これらの検査結果から、症状の原因が紫外線によるものかを判断します。 その上で、一人ひとりの状態に合わせた治療方針を決めていきます。
紫外線障害の治療
うっかり強い紫外線を浴びてしまった場合の治療法を解説します。 ダメージは皮膚と目の両方にあらわれるため、注意が必要です。 症状に合わせた適切な手当てで、悪化を防ぐことが大切です。
皮膚の治療(日焼け)
日焼けは、皮膚がやけどをしている状態と同じです。 頭皮も顔と同じ皮膚なので、日焼けをします。 まずは落ち着いて、応急処置を行いましょう。
<ご自身でできる応急処置>
- 冷やす 冷たい水で濡らしたタオルや、タオルで包んだ保冷剤を当てます。 皮膚の炎症とほてりを鎮めることが目的です。
- 保湿する ほてりがおさまったら、低刺激の保湿剤を優しく塗ります。 日焼けで傷ついた皮膚のバリア機能を助け、乾燥を防ぎます。
痛みが強かったり、水ぶくれができたりした場合は、皮膚科を受診してください。 炎症を抑える「ステロイド」の塗り薬や、飲み薬での治療が必要です。
目の治療(雪目)
目に強い痛みや充血、涙が止まらないといった症状が出た場合です。 これは「紫外線角膜炎(雪目)」という状態で、すぐに眼科を受診しましょう。 自己判断で市販の目薬を使うのは避けてください。
眼科では、角膜の炎症を抑える目薬や、細菌の感染を防ぐ目薬が処方されます。 角膜の傷を守るために、眼帯をすることもあります。
長期的な影響への治療
長年浴びた紫外線は、シミやしわだけでなく、病気の原因になります。 皮膚がんや白内障といった病気には、専門的な治療が必要です。
- 皮膚がん がんの種類や進行度に応じて、手術や放射線治療などを検討します。
- 白内障や翼状片 視力に影響が出るほど進行した場合、手術を検討することがあります。
気になる症状や変化に気づいた際は、自己判断はせず、早めに専門の医療機関へ相談することが何よりも大切です。





