症候性低血圧症

立ちくらみやめまい、全身の倦怠感が続き、日常生活に支障が出ていませんか?単なる低血圧と自己判断されがちですが、そのつらい症状は「症候性低血圧症」かもしれません。特に、立ち上がった時にふらつきや意識の低下を感じる方も少なくないでしょう。

この記事では、症候性低血圧症の概要から、種類、原因、具体的な症状、検査、そして最新の治療法までを詳しく解説します。骨盤静脈疾患が原因で起こる起立性低血圧では、適切な治療によって症状が平均約50%改善したという報告もあり、新しい治療選択肢も登場しています。

本記事を通して、ご自身の症状の原因と向き合い、適切な医療機関での診断や治療に向けた具体的な一歩を見つけ、つらい症状の軽減と生活の質の向上を目指せるでしょう。

症候性低血圧症の概要

症候性低血圧症とは、血圧が低いだけでなく、その低血圧が原因でつらい症状が現れ、日常生活に支障をきたす病態を指します。単に血圧の数値が基準よりも低いだけでは、この診断にはなりません。心臓から送り出される血液が体の隅々まで十分に行き渡らないことで、全身はさまざまな不調を訴えると考えられます。

特に、重力の影響で血液が下半身に溜まるのを防ぐ体の調節機能(自律神経の働き)がうまくいかず、立ち上がった際に血圧が急激に下がる「起立性低血圧」も、症候性低血圧症の一種です。これにより、立ちくらみや、時には意識を失う失神を引き起こすこともあります。

なかでも、パーキンソン病に似た症状が現れる「多系統萎縮症」という神経の病気が原因で、血圧を調整する自律神経の働きが低下して起こるものは「神経原性起立性低血圧」と呼ばれます。このような病態は治療が難しいケースもありましたが、近年では新しい治療薬の研究が進んでいます。

多系統萎縮症に伴う神経原性起立性低血圧に対し、特定の薬剤である「アンプリロキセチン」が症状の改善に有効な可能性が示されました。この薬は、脳内のノルアドレナリンという神経伝達物質の再取り込みを阻害することで、自律神経の働きをサポートすると考えられています。特に、これまでの治療薬では、横になったときに血圧が異常に上がってしまう(仰臥位高血圧)という副作用が問題になることがありました。しかし、アンプリロキセチンは、横になった時の血圧が過度に上がりすぎるのを防ぎながら、立ち上がった時の症状を安定させる効果が期待されています※。これは、新しい治療選択肢として注目されています。

めまいやふらつきなど、体の不調が長く続く場合は、自己判断で済ませずに早めに医療機関へ相談し、適切な診断と治療を受けることが重要です。

症候性低血圧症の種類

症候性低血圧症は、血圧が低いことだけでなく、そのために現れるさまざまな不調の背景によっていくつかの種類に分けられます。多くの場合、体質や特定の病気が関係し、その病態によって症状の出方や必要な対処も異なります。

特に、日常でよく問題となるのが、立ち上がったときに血圧が大きく低下する「起立性低血圧症」です。これは、重力によって血液が下半身に移動する際に、身体が血圧を適切に保てなくなることで起こります。

起立性低血圧症の種類

起立性低血圧症は、その原因によってさらに細かく分類できます。主に次の3つのタイプが考えられます。

・神経原性起立性低血圧症

自律神経の働きに問題が生じることで発症するタイプです。通常、立ち上がると自律神経が血管を収縮させて血圧が下がるのを防ぎますが、この機能が障害されると、十分に血圧を維持できなくなります。例えば、多系統萎縮症(MSA)のような神経の病気によって自律神経がうまく機能しなくなり、神経原性起立性低血圧症を引き起こすことがあります※。

・体液量減少による起立性低血圧症

体内の水分量(循環血液量)が不足することで起こります。脱水症状(発熱、嘔吐、下痢など)、出血、あるいは過度な利尿作用によって血管の中を流れる血液の量が減ると、心臓から十分な血液を送り出せなくなり、立ち上がったときに血圧が保てなくなります。

・薬剤性起立性低血圧症

特定の薬の副作用として血圧が下がりやすくなることがあります。高血圧の治療に使われる降圧剤や利尿剤のほか、精神安定剤、抗うつ剤、パーキンソン病の治療薬などが原因となる場合もあります。薬の種類や飲み合わせ、あるいは高齢により腎機能が低下している場合などに、血圧が過度に下がる可能性があります。

その他の症候性低血圧症

起立性低血圧症以外にも、身体の構造的な問題が原因となる症候性低血圧症もあります。一例を挙げると、骨盤静脈疾患です。

・骨盤静脈疾患に伴う起立性低血圧

骨盤内の血管に異常(静脈の還流障害や逆流)があると、血液が下半身に滞留しやすくなります。これにより、心臓に戻る血液の量が減少し、結果として立ち上がったときに血圧が下がる「起立不耐症」を引き起こすことが示唆されています※。特に、体位性頻脈症候群(POTS)の患者さんでは、左総腸骨静脈や左腎静脈の圧迫(ナットクラッカー症候群など)が高頻度で認められることも報告されています。このようなケースでは、静脈の血流を改善するためのステント留置術などの治療により、起立時の症状が改善する可能性も考えられます※。

このように、症候性低血圧症は単に血圧が低いだけでなく、その背後にあるさまざまな原因によって分類され、それぞれに特徴的な病態があります。

症候性低血圧症の原因

症候性低血圧症は、特定の病気や体の状態が原因となり、血圧が下がるだけでなく、その低さからつらい症状が引き起こされる病態を指します。体には、血圧を常に一定に保とうとする大切な機能が備わっていますが、何らかの理由でこの血圧を調整する仕組みがうまく働かなかったり、血圧を保つために必要な要素が不足したりすると、症状を伴う低血圧へとつながってしまうのです。

この病気の原因はさまざまですが、主に血液の量、心臓のポンプ機能、血管の状態、神経の働き、そしてホルモンのバランスといった要素の異常が関係していると考えられます。

1. 循環血液量の減少

体の中を巡る血液の量が減ると、心臓が全身に送り出せる血液の絶対量が不足し、血圧が下がります。

・脱水: 発熱や下痢、嘔吐、多量の汗などによって体内の水分が失われると、血液全体の量が減ってしまいます。すると、血管の中を満たす血液が少なくなり、血圧が低下する原因となります。

・出血: 胃や腸からの出血、外傷などによって体外へ血液が失われると、やはり循環する血液量が減り、血圧が低くなります。

2. 心臓のポンプ機能の低下

心臓は全身に血液を送り出すポンプの役割を担っています。このポンプ機能が弱まると、十分に血圧を維持できません。

・心不全: 心臓が血液を全身に送り出す力が弱くなる状態です。ポンプの力が足りないと、体の隅々まで血液を効率よく届けられず、血圧が低くなってしまいます。

・不整脈: 心臓の拍動が速すぎたり、反対に遅すぎたりすると、血液を効率よく送り出せなくなります。これにより、血圧が不安定になったり、低血圧を引き起こしたりすることがあります。

3. 血管の異常

血管の状態に問題が生じることも、症候性低血圧症の原因となります。

・血管拡張: 敗血症(重い感染症)やアレルギー反応などによって全身の血管が異常に広がると、血液が分散してしまい、血圧が急激に下がることがあります。これは、例えるなら、細いホースで流れていた水が急に太いパイプに流れ込むことで水圧が下がるのと同じような現象です。

・静脈の還流障害(骨盤静脈疾患など): 血管の中でも、特に静脈の血流に問題があると、心臓に戻る血液の量が減り、低血圧につながることがあります。

・骨盤内にある静脈に、血液の流れが悪くなる「還流障害」や「逆流」といった異常がある状態を「骨盤静脈疾患(PeVD)」と呼びます。この疾患があると、横隔膜よりも下の部分(下半身や骨盤内)に血液がたまりやすくなることが示唆されています※。

・通常、心臓は全身から戻ってきた血液を送り出しますが、この「心臓に戻ってくる血液の量」を医学用語で「前負荷」といいます。骨盤静脈疾患で下半身に血液が貯留すると、心臓に戻る前負荷が減ってしまい、結果として起立時の血圧が下がったり、立ちくらみなどの症状(起立不耐症)を引き起こしたりする可能性があるのです※。

・特に、立ち上がると心拍数が異常に速くなる「体位性頻脈症候群(POTS)」の患者さんを調べた研究では、健康な人と比べて、左の総腸骨静脈や左の腎臓の静脈が圧迫される「ナットクラッカー症候群」といった病態が、高頻度に見られると報告されています※。ナットクラッカー症候群は、静脈が周囲の動脈などに挟まれて、血液の流れが悪くなる状態を指します。

・こうした骨盤静脈疾患が原因で起こる低血圧や起立不耐症に対しては、静脈の血流を改善するための治療が検討されることがあります。具体的には、血管の中に筒状の網(ステント)を留置して広げる「ステント留置術」や、異常な血管を詰める「塞栓術」、あるいは腎臓の静脈の位置を調整する「腎静脈転位術」などが行われることがあります。これらの治療によって、起立時の症状が改善したとの報告もあり、起立性低血圧質問票(OHQ)のスコアで平均約50%の改善が見られたとされています※。

・ただし、これらの治療法については、まだ研究の質に限界があるため、今後はより多くの患者さんを対象とした長期的な研究が進められていくことが望ましいといえます※。

4. 神経系の調節異常

血圧の調整は自律神経という神経が担っています。この自律神経に異常があると、うまく血圧を保てなくなります。

・自律神経の障害: 糖尿病による神経障害やパーキンソン病といった病気では、自律神経が影響を受け、血圧を適切に調整する機能が損なわれることがあります。特に、立ち上がった時に血圧を上げる指令がうまく伝わらなくなることで、低血圧を引き起こしやすくなります。

・薬剤の副作用: 高血圧の治療薬(降圧剤)はもちろん、精神安定剤や抗うつ剤など、特定の薬の中には血圧を下げる作用を持つものもあります。これらの薬を服用している場合は、副作用として低血圧が起こる可能性があります。

5. 内分泌系の異常

ホルモンのバランスが崩れることでも、血圧に影響が出ることがあります。

・ホルモンバランスの乱れ: 甲状腺機能低下症(甲状腺ホルモンが不足する病気)や副腎機能低下症(副腎から出るホルモンが不足する病気)など、体の機能を調整するホルモンのバランスが崩れると、血圧が低くなることがあります。

症候性低血圧症の原因は多岐にわたるため、ご自身のつらい症状がどの原因によるものなのかを正しく把握することが、適切な治療への第一歩となります。

症候性低血圧症の症状

症候性低血圧症の症状は、血圧が低くなることで全身へ十分な血液が行き渡らなくなり、特に脳への血流が一時的に不足することで現れます。めまいや立ちくらみ、ふらつき、全身の倦怠感、頭痛、吐き気などが主な症状として挙げられます。これらの不調は、急に立ち上がったときや、長時間立っているときに特に感じやすくなります。

脳の血流不足が引き起こす不調

体は常に血圧を一定に保とうとする機能を持っていますが、この調節がうまくいかないと、脳に必要な血液が届かなくなります。脳はわずかな血流の変化にも敏感であり、一時的な血流不足によって、思考力や集中力の低下、頭痛、吐き気といったさまざまな不調を引き起こすと考えられます。

起立不耐症と骨盤静脈疾患

姿勢を変えたときに現れるめまいや立ちくらみ、失神などの症状は、「起立不耐症」と呼ばれます。この起立不耐症の背景には、骨盤内の静脈の異常が関わっている可能性が指摘されています※。

・骨盤静脈疾患(PeVD)とは

骨盤静脈疾患(PeVD)は、骨盤内の静脈に血液の流れが悪くなる「還流障害」や、血液が逆流する異常が生じる状態です。この状態が起こると、横隔膜よりも下の部分、つまり下半身や骨盤内に血液が滞留しやすくなります※。

・血液の流れと症状のメカニズム

全身から心臓へ戻る血液の量(これを医学用語で「前負荷」といいます)が減少すると、ポンプの役割を果たす心臓が全身へ送り出す血液も少なくなります。これにより脳への血流が一時的に不足するため、起立不耐症の症状が引き起こされると考えられます※。

・体位性頻脈症候群(POTS)との関連

特に、立ち上がった時に心拍数が異常に速くなる「体位性頻脈症候群(POTS)」の患者さんを対象とした研究では、左総腸骨静脈や左腎静脈が周囲の血管などに挟まれて血液の流れが悪くなる「ナットクラッカー症候群」といった病態が、健康な人と比べて高頻度に見られることが報告されています※。これらの状態も、起立時の血流調節に影響を及ぼし、症状を悪化させる一因となる可能性があります。

日常生活への影響と受診の重要性

症状が重い場合には、意識を失って倒れてしまう失神につながることもあり、転倒による怪我のリスクも高まります。また、集中力の低下や思考力の低下は、仕事や学業、日常生活の質を大きく低下させる要因となります。このような不調が長く続く場合は、自己判断せずに早めに医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けることが大切です。

症候性低血圧症の検査・診断

症候性低血圧症の検査と診断は、患者さんの「つらい」という自覚症状を丁寧に聞き取り、身体の状態を詳しく診察することから進めます。特に、立ちくらみやめまいといった症状が「いつ」「どのような場面で」「どれくらい」現れるのかを詳しく伺うことが、診断の第一歩です。その上で、医師は患者さんの訴えに基づき、適切な検査を選択します。

診察では、血圧が体位によってどのように変化するかを詳細に確認します。具体的には、横になった状態、座った状態、そして立った状態での血圧を測定し、その変動から低血圧の原因を探ります。なぜなら、症候性低血圧症の中でも「起立性低血圧」のように、特定の体位で症状が悪化するタイプがあるためです。さらに、心臓の電気的な活動を記録する心電図検査や、貧血の有無、電解質のバランス、内分泌系の異常などを調べる血液検査も行い、心臓や血管、神経系に隠された問題がないかを総合的に評価します。

基本的な検査で原因が特定できない、あるいは症状が長く続く場合には、より専門的な検査が必要です。ここでは、自律神経の機能異常を詳細に評価する検査や、血管の構造的な問題を特定するための画像診断が検討されます。

画像診断による血管の異常特定

特に画像診断においては、近年、骨盤静脈疾患(PeVD)と呼ばれる状態が、症候性低血圧症の原因の一つとして注目されています。骨盤静脈疾患とは、骨盤内の静脈で血液の流れが悪くなる「還流障害」や、血液が逆流する異常が生じることです。この状態が起こると、体の上半身と下半身を分ける横隔膜よりも下、つまり下半身や骨盤内に血液が滞留しやすくなると考えられています※。

本来、全身から心臓に戻る血液の量(これを医学用語で「前負荷」と呼びます)が十分にあって初めて、心臓は全身へ効率よく血液を送り出せます。しかし、下半身に血液が貯留すると前負荷が減少し、心臓が送り出す血液量も減るため、特に立ち上がったときに脳への血流が不足し、「起立不耐症(OI)」と呼ばれるめまいや立ちくらみなどの症状を引き起こす可能性があるのです※。

さらに、立ち上がった際に心拍数が異常に速くなる「体位性頻脈症候群(POTS)」の患者さんを対象とした研究では、左総腸骨静脈や左腎静脈が周囲の血管に圧迫されて狭くなる「ナットクラッカー症候群」が、健康な人に比べて高頻度で見られることが報告されています※。これは、血管の構造的な問題が血流に影響を与え、症状を引き起こす具体的な例と言えるでしょう。

こうした骨盤静脈疾患が原因と疑われる症例では、詳細な画像診断によって静脈の異常を確認することが、診断と治療方針を決定する上で非常に重要です。実際に、血管内にステントという筒状の網を留置して血管を広げる「ステント留置術」や、異常な血管を詰める「塞栓術」、あるいは腎臓の静脈の位置を調整する「腎静脈転位術」といった治療が行われた患者さんでは、起立性低血圧質問票(OHQ)という評価スコアにおいて、平均で約50%の症状改善が報告されているのです※。

ただし、これらの治療法に関する現在の研究は、エビデンスの質に限界がある点も指摘されています。そのため、今後はより多くの患者さんを対象に、標準化された画像診断基準と客観的な自律神経評価を用いた長期的な多施設共同研究が求められています※。

これらの詳細な検査結果を総合的に分析し、症候性低血圧症の診断を確定するとともに、その症状を引き起こしている具体的な原因や背景にある病気を特定します。なぜなら、原因を正確に突き止めることこそが、患者さん一人ひとりに最適な治療計画を立て、つらい症状を改善していくための重要な第一歩となるからです。

症候性低血圧症の治療

症候性低血圧症の治療は、単に血圧の数値を上げるだけでなく、患者さんを悩ませるつらい症状を取り除き、日常生活の質を取り戻すことを目指します。そのためには、まず低血圧を引き起こしている根本的な原因を見極め、その病態に合わせた治療が不可欠です。また、具体的な症状を和らげ、日々の生活の中で工夫を凝らすことも重要と考えられます。

生活習慣の改善と薬物療法

日々の生活の中では、いくつかの工夫で症状を和らげることができます。例えば、脱水を避けるためにこまめに水分を摂ること、そして、塩分の摂取量を極端に制限しすぎず、適度に摂ることも大切です。また、座った状態や寝た状態から急に立ち上がると、血圧が大きく下がりやすいため、ゆっくりと体位を変えるように意識することも有効な対策といえます。

症状が強い場合や、日常生活への影響が大きい場合には、薬物療法が選択されます。血圧を上げる作用のある薬剤は、血管を収縮させたり、体内の血液量を増やしたりすることで、血圧の維持を助けます。

特定の病態への介入

症候性低血圧症の原因が特定の病態にある場合、その原因に対する治療が症状改善の鍵となります。

・骨盤静脈疾患への介入

特に、骨盤内の静脈に血流の滞りや逆流が見られる「骨盤静脈疾患(PeVD)」が原因で起立性低血圧が起きている場合は、その静脈の異常に対する治療が症状改善に繋がる可能性があります※。具体的には、血液が下半身に溜まるのを防ぐため、血管の中にステントと呼ばれる筒状の器具を留置して血管を広げたり、問題のある静脈を塞栓術で閉じたりする治療が検討されます。これにより、心臓へ戻る血液の量(前負荷)が改善され、立ちくらみなどの起立時の症状が平均で約50%改善したという報告もあります※。この治療は、症状の原因となっている構造的な問題を直接解決することで、根本的な改善を目指すものです。ただし、これらの治療法については、まだ研究の質に限界があるとされているため、今後のさらなる研究の進展が期待されています※。

・神経原性起立性低血圧に対する新薬

また、多系統萎縮症(MSA)のように、自律神経の障害が原因で起こる「神経原性起立性低血圧」に対しては、新しいタイプの治療薬の研究も進められています※。例えば、アンプリロキセチンという薬剤は、脳内の神経伝達物質であるノルアドレナリンの働きをサポートすることで、起立時の血圧と症状を安定させる効果が期待されています。これまでの治療薬では、横になったときに血圧が過度に上がってしまう「仰臥位高血圧」という副作用が問題になることがありました。しかし、アンプリロキセチンは、この仰臥位高血圧のリスクを抑えつつ、立ち上がったときの症状を安定させることが示唆されており、新たな治療選択肢として注目されています※。

症候性低血圧症の治療は、一人ひとりの患者さんの体の状態、症状の程度、そして何より原因となっている背景の病気によって最適なアプローチが異なります。つらい症状に悩んでいる方は、自己判断で済まさずに、まずは医療機関を受診し、ご自身の症状や状況について医師とじっくり話し合い、適切な診断と治療プランを見つけることが大切です。