色素沈着

そのシミ、本当にただの「シミ」だと思っていませんか?実は、色素沈着にはニキビ跡や紫外線によるもの、さらにはホルモンバランスの乱れが原因の「肝斑」など、様々な種類があります。原因が違えば、もちろん効果的な対処法も異なります。自己流のケアで、かえって悪化させてしまうケースも少なくありません。

近年、色素沈着の治療法は大きく進歩しています。複数の研究で効果が示されているレーザー治療に加え、「幹細胞培養上清液」を用いた最新の治療法も登場し、選択肢は増え続けています。この記事では、あなたの色素沈着の原因と種類を明らかにし、最適な改善策を見つけるための知識を詳しく解説します。

色素沈着の概要

色素沈着とは、肌の色が部分的に濃くなる状態です。 一般的には「シミ」や「黒ずみ」として知られています。

私たちの肌には「メラニン」という色素が存在します。 このメラニンは、紫外線などの刺激から肌の細胞を守る、 まるで日傘のような大切な役割を担っています。

通常、肌は決まった周期で新しく生まれ変わります。 この「ターンオーバー」という仕組みのおかげで、 作られたメラニンも古い角質と一緒にはがれ落ちます。

しかし、何らかの理由でこのバランスが崩れると、 色素沈着、つまりシミや黒ずみができてしまいます。 主な原因は次の2つです。

  • メラニンの作りすぎ
  • 紫外線を浴びすぎたり、ニキビや虫刺されの炎症、 下着の締め付けによる摩擦などが原因で起こります。
  • メラニンの排出の遅れ
  • 不規則な生活やストレス、加齢によって 肌のターンオーバーが乱れると、排出が滞ります。

近年、色素沈着の治療法は進歩しています。 複数の信頼できる研究をまとめた分析では、 「幹細胞培養上清液」という成分に注目が集まっています。 この成分が色素沈着を改善する効果を持つと報告され、 新しい治療の選択肢として期待されています。

色素沈着の種類

ひとくちに「色素沈着」といっても、原因や見た目は様々です。 これらはいくつかの種類に分けられ、対処法も異なります。 ご自身のシミや黒ずみがどれに近いか知っておきましょう。

色素沈着は、まず2つのタイプに大きく分けられます。 ニキビ跡のように一部分にできるものと、 病気などが原因で広い範囲に現れるものです。

クリニックでご相談が多いのは、一部分にできるタイプです。 代表的なものを下の表にまとめました。

種類

主な特徴

炎症後色素沈着

ニキビ、けが、やけど、虫刺されなど、

皮膚の炎症が治った後に茶色い跡として残ります。

老人性色素斑

(日光黒子)

紫外線が主な原因でできる、最も一般的なシミです。

顔や手の甲など、日光にあたる場所にできます。

肝斑

(かんぱん)

ほほ骨のあたりに、もやっとした形で

左右対称に現れることが多い薄茶色の色素沈着です。

雀卵斑

(そばかす)

鼻を中心に、小さな茶色い斑点が散らばります。

遺伝的な要因が大きく、子どもの頃から見られます。

ADM

(後天性真皮

メラノサイトーシス)

皮膚の深い部分(真皮)に色素ができるアザの一種。

灰色や青みがかった茶色に見えることがあります。

また、他の病気の治療が原因で色素沈着が起こることもあります。 例えば、足の血管の治療(硬化療法)では、 使う薬の種類によって色素沈着が起きやすくなることが、 複数の研究を比較した分析で報告されています。

逆に、肌の色が白く抜ける「白斑」という病気では、 あえて色素を作らせる「再色素沈着」という治療を行います。 皮膚の表面を整える処置で、色が戻りやすくなるという研究もあり、 色素沈着は一概に悪いものとは限りません。

近年、幹細胞の技術を応用した治療も進んでいます。 複数の研究を分析した結果、「幹細胞培養上清液」という成分が 色素沈着を改善する効果を持つ可能性が示されています。 治療の選択肢は、このように少しずつ増えています。

色素沈着の原因

色素沈着がなぜ起こるのか、その原因は一つではありません。 お肌の「外側」からの刺激が原因の場合もあれば、 私たちの「体の中」の変化が原因のこともあります。

原因を正しく知ることが、改善への第一歩です。 主な原因を、大きく2つのタイプに分けて見ていきましょう。

1. お肌への「外からの刺激」

毎日の生活の中にある、ささいな刺激の積み重ねが 色素沈着を引き起こすことがあります。

  • 紫外線 太陽の光に含まれる紫外線が、最も多い原因です。 お肌が自分を守るために、日傘の役割をする メラニンをたくさん作り出すことで起こります。
  • まさつや圧迫 かたいナイロンタオルで体をゴシゴシこすったり、 きつい下着で肌が締め付けられたりすることも 色素沈着の原因になるので注意が必要です。
  • お肌の炎症 ニキビや虫さされ、やけど、かぶれなどが治った後、 茶色いシミのような跡として残ることがあります。 これを「炎症後色素沈着」と呼びます。

2. 「体の中の変化」が原因

体の内側のバランスの変化や、病気の治療などが きっかけで色素沈着が起こることもあります。

  • ホルモンバランスのみだれ 妊娠や体の変化が大きい時期(更年期など)には、 女性ホルモンの影響でメラニンが作られやすくなり、 「肝斑(かんぱん)」の原因になることがあります。
  • ストレスや生活習慣のみだれ 睡眠不足や強いストレスは、お肌の生まれ変わる リズム(ターンオーバー)を乱してしまいます。 すると、メラニンがうまく外に出せなくなります。
  • おくすりや治療のえいきょう まれに、お薬の副作用として色素沈着がみられます。 また、ある皮膚病の治療法を調べた研究では、 光を使った治療(光線力学療法)の過程で、 一時的に色素沈着が起こることが報告されています。

このように原因は様々で、複数が関係していることもあります。

色素沈着の症状

色素沈着の症状は、肌の色がまわりより濃くなる状態です。 痛みやかゆみなどの症状は、基本的にはありません。 ただ、原因となったニキビや虫刺されの炎症が残っていると、 かゆみなどを伴うことがあります。

具体的な症状のあらわれ方は、原因によって様々です。

  • 色や形
  • ニキビやけが、やけどの跡が茶色いシミとして残ります。 これを「炎症後色素沈着」と呼びます。 また、ほほ骨あたりに左右対称でもやっと広がる、 薄茶色のシミ(肝斑)として現れることもあります。
  • あらわれる場所
  • 紫外線を浴びやすい顔や手の甲には、丸いシミができます。 これを「老人性色素斑(日光黒子)」といいます。 また、ナイロンタオルなどで強くこする習慣があると、 わきの下や首すじが灰色っぽくくすむこともあります。

まれに、他の病気の治療が原因で起こることもあります。 例えば、ある皮膚の病気に対する光を使った治療(光線力学療法)で、 副作用として色素沈着が報告されています。 しかし、このような色素沈着は一時的なものがほとんどで、 治療が終われば自然に薄れていくことがわかっています。

色素沈着の検査・診断

色素沈着の診断は、まずお医者さんが目で見ることから始まります。 シミや黒ずみの色、形、大きさ、できている場所を丁寧に観察し、 どの種類の色素沈着なのかを判断します。

しかし、見た目だけでは区別が難しいことも少なくありません。 特に、ほくろと皮膚がんのように、見た目が似ていても 危険な病気が隠れていないか確認するために、詳しい検査を行います。

  • ダーモスコピー検査 特殊な拡大鏡を使い、皮膚を詳しく観察する検査です。 肉眼では見えない皮膚の深い部分の色素の状態がわかり、 ほくろと皮膚がん(悪性黒色腫)を見分けるのに役立ちます。
  • 皮膚生検 診断をはっきりさせるために、皮膚の一部を小さく切り取り、 顕微鏡で詳しく組織を調べる検査です。 これで色素沈着の確定診断ができます。
  • 血液検査 ホルモンバランスの乱れなど、体の内側の病気が原因で 色素沈着が起きている可能性がある場合に行います。

正確な診断は、その後の治療法を選ぶうえで非常に重要です。 なぜなら、治療法によっては副作用で色素沈着が起こるからです。 例えば、足の血管治療で使う薬の種類によって、 色素沈着のリスクが高まるという研究報告があります。

また、ある皮膚病の治療では、光を使った治療の過程で 一時的に色素沈着が起こることがあります。 しかし、これは許容範囲内の副作用とされています。

このように、検査で原因や種類を正しく見極めることが、 一人ひとりに合った安全な治療を選ぶことにつながります。

色素沈着の治療

色素沈着の治療は、シミの種類や肌の状態に合わせて選びます。 自分で判断してケアをすると、かえって悪化させる恐れがあります。 まずは専門のクリニックに相談することが、改善への近道です。

クリニックでは、主に下の表のような治療法を組み合わせます。 一人ひとりの肌に合わせた、最適なプランを考えていきます。

治療の分類

具体的な方法

特徴とポイント

ぬり薬

(外用薬)

・ハイドロキノン

・トレチノイン

・アゼライン酸 など

メラニンが作られるのを抑える働きや、

肌の生まれ変わりを助ける働きがあります。

今ある色素を外に出しやすくします。

のみ薬

(内服薬)

・ビタミンC

・トラネキサム酸

・L-システイン など

体の内側からメラニンが作られるのを抑え、

肌全体の調子を整える効果が期待できます。

ぬり薬と合わせて行うことが多いです。

レーザー治療

・光治療

・Qスイッチレーザー

・ピコレーザー

・光治療(IPL) など

特殊な光をあてて、メラニン色素だけを

ピンポイントで壊していく治療法です。

多くの研究で、その効果が示されています。

その他の治療

・ケミカルピーリング

・マイクロニードリング

・ダーマアブレーション

肌の表面に働きかけて、新しい皮膚への

生まれ変わりを助ける治療法です。

肌の再生能力を利用して改善を目指します。

最近では、治療の選択肢も増えてきています。 複数の研究を分析した結果、「幹細胞培養上清液」という成分が 色素沈着を改善する効果を持つ可能性が示されました。 レーザー治療などと組み合わせることで、より高い効果が 期待できると注目されています。

ただし、どんな治療にも良い点と注意すべき点があります。 例えば、足の血管の治療に関する研究では、使う薬の種類によって 副作用で色素沈着が起きやすくなることが報告されています。 ご自身の肌に合った安全な治療を選ぶことが何よりも大切です。