手足口病
夏の訪れとともに流行し始める手足口病。「一度かかったからもう安心」と思っていませんか?実は、手足口病の原因ウイルスは一つではないため、何度もかかる可能性があるのです。
さらに近年の研究では、ウイルス感染だけでなく、PM10に代表される「大気汚染」が発症リスクを高める可能性も指摘されています。原因ウイルスの種類によっては、回復後に爪がはがれたり、ごくまれに髄膜炎などの重い合併症につながることもあるため、油断は禁物です。
この記事では、手足口病の症状や最新の原因、ご家庭でできるケアの方法、そして重症化を見分ける危険なサインについて詳しく解説します。大切なお子さんを守るために、正しい知識を身につけましょう。
手足口病の概要
手足口病は、口の中や手のひら、足のうらを中心に、水ぶくれのような発しんができるウイルス性の感染症です。
主に1~5歳くらいのお子さんがかかりやすく、夏に流行することが多い病気です。「ヘルパンギーナ」や「プール熱」と並び、「子どもの三大夏風邪」の一つとして知られています。
手足口病の主な特徴を以下にまとめます。
- 主な症状
- 口の中、手のひら、足のうらや足の甲にできる、2~3mmほどの水ぶくれ
- かかりやすい年齢
- 1~5歳の子どもが中心です。しかし、小学生や大人がかかることもあります。
- 流行しやすい季節
- 主に夏に流行が見られます。
これまで手足口病はウイルス感染が原因とされてきました。しかし最近では、ウイルスだけでなく環境も発症に関係している可能性がわかってきています。
複数の研究結果を分析した報告によると、大気汚染が手足口病のリスクを高めることが示唆されています。
具体的には、PM10や二酸化窒素(NO2)といった空気の汚れがひどい環境では、手足口病にかかる危険性が高まるのです。そのため、天気予報などで大気汚染がひどいと注意喚起されている日は、お子さんの屋外での活動を控えることも予防策の一つになるかもしれません。
手足口病の種類
手足口病は、一度かかればもう安心という病気ではありません。
風邪の原因となるウイルスに様々な種類があるのと同じように、手足口病を引き起こすウイルスも一つではないのです。そのため、違う種類のウイルスに感染すれば、何度もかかる可能性があります。
主に原因となるウイルスは、以下の2つのグループに分けられます。
- コクサッキーウイルスA群 CA6、CA10、CA16といった種類が代表的です。
- エンテロウイルス71(EV71) こちらも手足口病の主な原因の一つです。
これらのウイルスは、流行する種類が毎年変わることがあります。そして、原因となるウイルスの種類によって、症状の出方や注意すべき点が少し異なります。
例えば、コクサッキーウイルスA6(CA6)が原因の場合、回復してから1か月後くらいに手足の爪がはがれてくることがあります。一方、エンテロウイルス71(EV71)が原因の場合は注意が必要です。まれに髄膜炎や脳炎といった重い合併症につながることがあるからです。
ぐったりしている、何度も吐く、頭をひどく痛がるといった症状が見られる場合は、すぐに医療機関を受診してください。
手足口病の原因
手足口病は、特定のウイルスが体の中に入ることで起こる病気です。 主に「エンテロウイルス」や「コクサッキーウイルス」が原因となります。
ウイルスが体に侵入するルートは、主に以下の3つが知られています。
- 飛沫(ひまつ)感染 感染した人のせきやくしゃみに含まれるウイルスを、吸い込むことで感染します。
- 接触(せっしょく)感染 ウイルスが付いた手で、口や鼻に触れることで感染します。おもちゃやドアノブなどを介してうつることがあります。
- 糞口(ふんこう)感染 便の中に排出されたウイルスが、おむつ交換などで手に付き、その手から口に入ることで感染します。
これらのウイルス感染だけでなく、最近では住んでいる環境も発症に関係することがわかってきました。
複数の研究をまとめて分析した報告によると、PM10や二酸化窒素(NO2)といった大気汚染物質が、手足口病にかかるリスクを高める可能性が示されています。
空気が汚れている環境では、体の防御機能がうまく働かなくなり、ウイルスに感染しやすくなるのかもしれません。大気汚染がひどい日は、お子さんの屋外活動を控えることも一つの予防策と言えるでしょう。
手足口病の症状
ウイルスが体に入ってから3〜5日ほど症状が出ない期間があります。 この期間を潜伏期間(せんぷくきかん)と呼びます。 潜伏期間の後、特徴的な症状があらわれ始めますが、お子さんによって症状の出方には個人差があります。
手足口病の主な症状は、その名前のとおり「口のなか」「手」「足」です。 それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
- 口のなかの症状 頬の内側や舌、歯ぐきなどに、小さな赤い発疹ができます。 この発疹は水ぶくれになり、やがて潰れて口内炎のようになります。 痛みが強いことが多く、食事や水分をとるのを嫌がることがあります。
- 手足の症状 手のひらや足の裏、足の甲などに、2〜3mmほどの水ぶくれができます。 症状が広がり、おしりやひざ、ひじなどにも見られることもあります。 口のなかの痛みと比べ、かゆみや痛みは軽い場合がほとんどです。
- 発熱 感染したお子さんのうち、約3人に1人の割合で発熱が見られます。 熱が出ても38℃以下のことが多く、高熱が長く続くことはまれです。
これらの発疹は、かさぶたになることはなく、3〜7日ほどで自然に消えていきます。 まれに症状が治ってから1か月後くらいに、手足の爪がはがれてくることがあります。 これは原因ウイルスによるもので、自然に新しい爪が生えてくるので心配はいりません。
ほとんどの場合は軽い症状で回復しますが、ごくまれに重い合併症を起こすことがあります。 以下のような症状が見られたら、すぐに医療機関を受診してください。
- 注意すべき症状リスト
- ぐったりして元気がない
- 高い熱が2日以上続いている
- 何度も吐いてしまう
- 頭をひどく痛がる
これらの症状は、髄膜炎(ずいまくえん)や脳炎といった、重い病気のサインかもしれません。 お子さんの様子がいつもと違うと感じたら、早めに医師に相談しましょう。
手足口病の検査・診断
手足口病の診断に、特別な機械を使った検査はほとんど必要ありません。 お医者さんが、お子さんの様子や症状をじっくりと観察して判断します。
お医者さんは、主に以下の2つのポイントから診断の手がかりを探します。
- 1. 発疹(ほっしん)の確認 口のなか、手のひら、足のうらといった特徴的な場所に、 水ぶくれのような発疹があるかを目で見て確認します。 この発疹の見た目が、手足口病の診断で最も大切な手がかりです。
- 2. 詳しいお話を聞くこと(問診) いつから症状が出たか、熱はあるか、周りではやっていないかなど、 ご家族から詳しくお話を聞きます。 これらの情報は、病気を正確に見つけるためにとても重要です。
基本的には、これらの診察だけで診断がつきます。 ただし、症状がいつもと違う場合や、ぐったりして重症化が疑われる場合。 このようなケースでは、原因のウイルスを特定するための検査をすることがあります。
この検査は、のどを綿棒でこすったり、便を調べたりして行います。
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診断のポイント |
内容 |
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目で見る診察 |
口の中、手、足などにできた発疹の状態を直接観察します。 |
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お話を聞くこと |
症状が出始めた時期や、幼稚園や学校での流行状況などを確認します。 |
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ウイルス検査 |
基本的には行いませんが、重い合併症が疑われる場合などに行います。 |
手足口病の治療
手足口病の原因ウイルスに直接効く、特別な薬は残念ながらありません。 そのため治療は、今出ているつらい症状を和らげることを中心に行います。 これを「対症療法(たいしょうりょうほう)」と呼びます。 基本的には、お子さん自身の体の力で回復するのを待つことになります。
ご自宅で過ごす際は、以下の3つのポイントを心がけることが大切です。
- 1. こまめな水分補給 口の中にできた水ぶくれや口内炎の痛みで、飲むのがつらくなることがあります。 特に夏は汗をかくため、脱水症状になりやすいので注意が必要です。 麦茶やイオン飲料、冷めたスープなど、少しずつこまめに与えましょう。
- 2. 食事の工夫 口への刺激が少なく、のどごしの良いものを選んであげてください。
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おすすめの食べ物・飲み物 |
避けたほうがよいもの |
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ゼリー、プリン、アイスクリーム |
オレンジジュースなど酸味の強いもの |
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ヨーグルト、冷めたおじや、豆腐 |
熱いもの、味の濃いもの、硬いお菓子 |
- 3. 十分な休息をとる ウイルスと戦う体力を回復させるため、安静にすることが大切です。 近年の研究では、大気汚染が手足口病のリスクを高める可能性が指摘されています。 療養中は、天気予報などを確認し、空気が汚れている日は室内で過ごしましょう。
ほとんどは自然に良くなりますが、まれに重い合併症を起こすことがあります。 次のような症状が見られたら、すぐに医療機関を受診してください。
- すぐに受診が必要な症状リスト
- ぐったりして元気がない
- 水分をほとんどとれない
- 高い熱が2日以上続く
- 頭をひどく痛がる
- 何度も吐いてしまう
これらの症状は、髄膜炎や脳炎といった重い病気のサインかもしれません。 お子さんの様子がいつもと違うと感じたら、早めに医師に相談しましょう。





