食物アレルギー

「もしかして、これもアレルギー?」特定の食べ物を食べた後に、じんましんやかゆみなどの不調を感じた経験はありませんか。実は今、食物アレルギーを持つ人は世界的に増加傾向にあり、決して他人事ではないのです。

その原因は、体を守るはずの免疫システムの「勘違い」にあると言われています。さらに驚くべきことに、2番目以降に生まれたり兄弟が多かったりすると発症リスクが少し低くなるという、育った環境との意外な関係性も研究で示唆されています。放置すれば、命に関わる重篤な症状を引き起こすこともあります。

この記事では、食物アレルギーの意外な原因から正しい検査方法、そして最新の治療法までを詳しく解説します。あなたや大切な家族の健康を守るために、正しい知識を身につけ、適切な一歩を踏み出しましょう。

食物アレルギーの概要

特定の食べ物を食べた後に、体に良くない反応が起きる病気です。 体を守るはずの「免疫」という仕組みが、食べ物を敵と勘違いし、過剰に攻撃することで起こります。

食物アレルギーには、次のような特徴があります。

  • 原因 体を守る免疫システムの、食べ物に対する勘違いが原因です。
  • 発症年齢 特に赤ちゃんや小さい子どもに多く、0歳での発症が最も多いです。
  • 症状 皮膚のかゆみやじんましん、腹痛、せき、息苦しさなど様々です。
  • 重症な場合 アナフィラキシーという、命に関わる危険な状態になることもあります。

近年、食物アレルギーを持つ人は世界的に増える傾向にあります。 その原因はまだはっきりしていませんが、様々な研究が進んでいます。

例えば、多くの研究をまとめた分析では、興味深い報告がされています。 2番目以降に生まれたり兄弟が多かったりすると、食物アレルギーのリスクが少し低くなる可能性があるのです。

また、妊娠中の栄養と子どものアレルギーの関係も調べられています。 ビタミンDなどの栄養素が注目されていますが、現時点ではっきりとした予防法はまだ見つかっていません。 このように、食物アレルギーは誰にでも起こりうる身近な病気であり、正しい知識を持つことが大切です。

食物アレルギーの種類

食物アレルギーと一言でいっても、実は様々な種類があります。 原因となる食べ物や症状の出方で、いくつかのタイプに分けられます。 自分の症状がどのタイプかを知ることは、正しい対策への第一歩です。

アレルギーは、症状があらわれるまでの時間によって、主に2つに分けられます。

種類

症状が出るまでの時間

主な症状

即時型(そくじがた)

食後すぐ〜2時間以内

じんましん、かゆみ、せき、息苦しさ、お腹の痛みなど

非即時型(ひそくじがた)

食後数時間〜数日後

嘔吐、下痢、血便、アトピー性皮膚炎の悪化など

このほか、特定の状況で症状があらわれる、特殊なタイプもあります。

  • 口腔(こうくう)アレルギー症候群 生の果物や野菜を食べたときに、口や唇、のどがかゆくなったり、イガイガしたりします。花粉症を持っている方によくみられます。
  • 食物依存性運動誘発(いぞんせいうんどうゆうはつ)アナフィラキシー 原因の食べ物を食べた後に運動をすることで、重いアレルギー症状(アナフィラキシー)が引き起こされます。

また、アレルギーは体だけでなく、心にも影響を与えることがあります。 厳しい食事制限から、食べること自体に強い不安を感じる人もいます。 これは「回避・制限性食物摂取症」という状態につながる可能性も報告されています。

一方で、生まれ育った環境がアレルギーの発症に関わるという研究もあります。 多くの研究を分析した結果、2番目以降に生まれたり兄弟が多かったりすると、食物アレルギーのリスクが少し低くなる可能性が示されました。

食物アレルギーの原因

食物アレルギーがなぜ起こるのか、その仕組みはまだ全てわかっていません。 しかし、いくつかの要因が複雑に絡み合って発症すると考えられています。 主な原因として、次の4つのポイントが重要です。

  • 体を守る仕組みの「勘違い」 私たちの体には、ウイルスなどから身を守る「免疫」という仕組みがあります。 この免疫が、食べ物に含まれるたんぱく質を「敵だ!」と勘違いし、過剰に攻撃してしまうのです。 この体の防御反応が、かゆみやじんましんなどの症状として現れます。
  • 遺伝しやすい体質 ご両親がアレルギー体質の場合、お子さんもなりやすい傾向があります。 ただし、遺伝だけでアレルギーになるわけではありません。 次に説明するような、生活環境も発症に大きく影響します。
  • 育った環境の影響 実は、お兄さんやお姉さんがいるお子さんは、食物アレルギーになるリスクが少し低いという研究報告があります。 これは、幼い頃から様々な菌に触れる機会が増えることが、免疫の発達に良い影響を与える可能性を示唆しています。
  • 皮膚のバリア機能の低下 最近、特に注目されているのが、皮膚とアレルギーの関係です。 湿疹などで皮膚が荒れていると、バリア機能が弱くなります。 その隙間から食べ物の成分が入り込み、体が「敵」と認識してしまうことがあるのです。 これを「経皮感作(けいひかんさ)」と呼びます。 実際、赤ちゃんのへその緒の血液に含まれるビタミンDが多いと、1歳頃の湿疹が少ない傾向も報告されています。 皮膚を健康に保つことが、アレルギー予防の第一歩になるかもしれません。

食物アレルギーの症状

食物アレルギーの症状は、原因の食べ物や体質によって様々です。 食べてから2時間以内に症状が出る「即時型」がほとんどです。 症状は体の色々な場所にあらわれます。

多くの研究をまとめた分析では、興味深い報告がされています。 2番目以降に生まれたり兄弟が多かったりすると、食物アレルギーのリスクが少し低くなる可能性があるのです。

  • 皮膚の症状 蚊に刺されたように赤く盛り上がるじんましんや、体のかゆみ、赤み、湿疹などが出ます。
  • 粘膜(ねんまく)の症状 まぶたや唇が腫れぼったくなります。 また、目のかゆみや充血、口の中のイガイガ感やかゆみもよくみられます。
  • 消化器の症状 お腹が痛くなったり、気持ち悪くなったりします。 ひどい場合は、吐いてしまったり、下痢をしたりすることもあります。
  • 呼吸器の症状 くしゃみや鼻水、鼻づまりが起きます。 のどが締め付けられる感じや、ゼーゼー、ヒューヒューという呼吸も危険なサインです。

これらの症状が、体のあちこちに、そして急激にあらわれる状態を「アナフィラキシー」と呼びます。 ぐったりする、意識がもうろうとするなどのショック症状を伴うと命に関わるため、すぐに救急車を呼ぶ必要があります。

また、アレルギーは体だけでなく、心にも影響を与えることがあります。 アレルギー反応を恐れるあまり、食事を過度に避けてしまう人もいます。 このような状態は「回避・制限性食物摂取症」という摂食障害につながる可能性も報告されています。

気になる症状があれば、自己判断で食事を制限せず、まずは医療機関で相談することがとても大切です。

食物アレルギーの検査・診断

何かを食べた後にじんましんが出ても、それが食物アレルギーとは限りません。 体の調子や、食べ物に含まれる物質の作用で症状が出ることもあるのです。 自己判断で食事を制限せず、まずは医療機関で正確な診断を受けましょう。

食物アレルギーの診断は、主に次の3つのステップで丁寧に進められます。

  1. 詳しい問診 いつ、何を、どれくらい食べた時に、どのような症状が出たか詳しく伺います。 症状が出るまでの状況をメモしておくと、診断の大きな助けになります。
  2. アレルギー検査 問診でアレルギーが疑われる場合、原因を探るための検査を行います。 ただし、これらの検査はあくまでアレルギーの可能性を探るものです。

検査の種類

方法

特徴

血液検査

血液を採り、特定の食べ物に対する「IgE抗体」という物質の量を調べます。

・原因の候補を絞るのに役立ちます。

・数値が高くても症状が出るとは限らず、この検査だけで診断は確定しません。

皮膚プリックテスト

原因かもしれない食べ物の液体を皮膚に垂らし、専用の針でごく浅く刺激して反応を見ます。

・約15分で結果がわかります。

・兄弟がいるかなどの生活環境が、このテスト結果に影響する可能性も報告されています。

  1. 食物経口負荷試験 アレルギーが疑われる食べ物を、医師が見守る中で少量から実際に食べます。 症状が出るかを確認する、最も確実な診断方法です。 この検査は、次のような大切な目的のために行われます。
  • 確定診断 本当に食物アレルギーかどうかをはっきりさせます。
  • 安全な量の確認 どれくらいの量なら、症状なく食べられるかを確認します。
  • 耐性獲得の確認 アレルギーが治ったかどうかを確認します。

これらの結果を医師が総合的に見て、初めて診断が確定します。 気になる症状があれば、専門の医療機関に相談することがとても重要です。

食物アレルギーの治療

食物アレルギーの治療は、原因を正しく知ることが第一歩です。 その上で、原因となる食べ物を食事から適切に除くことが基本です。 しかし、自己判断で多くの食べ物を避けると、栄養が偏る恐れもあります。 医師の診断に基づき、必要最小限の除去にとどめることが大切です。

治療法は、主に3つの方法に分けられます。

1. 基本の治療(原因の除去と症状への対処) アレルギー反応を起こす食べ物を、食事から取り除きます。 もし症状が出てしまった場合は、お薬を使って和らげます。

  • 抗ヒスタミン薬 かゆみやじんましんなど、比較的軽い症状を抑えるお薬です。
  • アドレナリン自己注射薬 アナフィラキシーという重い症状の際に、命を守るためのお薬です。

2. 体を慣らす治療法(経口免疫療法) アレルギーを根本的に改善することを目指す治療法の一つです。 医師の管理のもと、原因の食べ物を少しずつ食べて体を慣らします。 ただし、強い症状が起こる危険もあるため、専門の医療機関で慎重に行います。

3. 新しい薬を使った治療法(生物学的製剤) 近年、体の仕組みに直接働きかける新しいお薬も登場しています。 その一つが「オマリズマブ」という注射薬です。 このお薬は、アレルギー反応の引き金となる「IgE」という物質の働きを抑えます。 多くの研究をまとめた分析でも、その有効性と安全性が示されています。

このお薬は、経口免疫療法と組み合わせることで、治療の効果を高めたり、安全に進めやすくしたりする可能性が報告されています。 どの治療法が合うかは、年齢や症状の重さで異なります。 必ず専門の医師とよく相談し、ご自身に合った治療計画を立てましょう。