脂質異常症

「自分は大丈夫」その油断が、命に関わる病気への静かな一歩かもしれません。脂質異常症は痛みなどの自覚症状が全くなく進行するため「サイレントキラー」と呼ばれ、健康診断で指摘されても放置されがちです。しかし、その状態が血管を傷つけ、心筋梗塞や脳梗塞のリスクを静かに高めているのです。

ですが、希望はあります。実は、ショウガやベリー類といった驚くほど身近な食材が、あなたの数値を改善する味方になる可能性が研究で示唆されています。この記事では、脂質異常症の本当の怖さと、今日から実践できる具体的な対策を徹底解説します。ご自身の未来のために、ぜひご一読ください。

脂質異常症の概要

脂質異常症とは、血液中の脂質の量が多すぎたり、 逆に少なすぎたりしてバランスが崩れた状態のことです。 以前は脂質が多い状態を指し「高脂血症」と呼ばれていました。 しかし、体に良い善玉コレステロールが少ないことも、 血管の病気につながるため、今の病名に変わりました。

この病気で最も注意すべき点は、自覚症状がほとんどないことです。 そのため「サイレントキラー(静かな殺し屋)」とも呼ばれ、 気づかぬうちに血管の中で静かに問題が進行します。 多くの場合、健康診断などで偶然見つかります。

症状がないからと放置すると、動脈硬化が進んでしまいます。 動脈硬化とは血管が硬く、そして狭くなる状態のことです。 これが心筋梗塞や脳梗塞といった、命にかかわる病気の、 引き金になるため、早期の対応が非常に重要になります。

治療の基本は生活習慣の見直しですが、食事の工夫も大切です。 海外の研究では、ショウガの摂取に関する報告があります。 複数の研究をまとめて分析した結果、ショウガには、 総コレステロールと中性脂肪を下げる効果が示されました。

特に、肥満や糖尿病をお持ちの方において、 中性脂肪をより効率的に下げる可能性も示されています。 ただし、善玉や悪玉のコレステロール値には、 はっきりとした影響は見られなかったとされています。

食事の工夫はあくまで健康維持の一環です。 ショウガを食べるだけで病気が治るわけではありません。 まずは健康診断でご自身の体の状態を正しく知り、 異常があれば必ず医師に相談するようにしてください。

脂質異常症の種類

脂質異常症と一言でいっても、実は顔ぶれがいくつかあります。 血液検査の結果を見る際、どの脂質が異常なのかを知ることが、 ご自身の状態を理解し、対策を立てるための第一歩になります。 主に次の4つのタイプに分けられます。

脂質異常症の種類

どのような状態か

診断の目安(空腹時)

高LDLコレステロール血症

血管を傷つける「悪玉」が多い

140mg/dL 以上

低HDLコレステロール血症

血管を掃除する「善玉」が少ない

40mg/dL 未満

高トリグリセライド血症

いわゆる「中性脂肪」が多い

150mg/dL 以上

高non-HDLコレステロール血症

「悪玉」とその仲間たちが全体的に多い

170mg/dL 以上

※non-HDLコレステロールは、総コレステロールから善玉を除いた数値です。

これらのタイプは、食生活とも深く関わっています。 例えば、海外の研究を複数まとめた分析では、 ベリー類に多いアントシアニンという色素成分について、 脂質全体の状態を健康的に整える可能性が報告されました。 特に、元々の数値が高い人ほど、良い変化がみられたようです。

ほかにも、トウガラシの成分は総コレステロールに、 良い影響を与える可能性があることも示唆されています。 ご自身のタイプを知り、生活習慣を見直す参考にしてください。

脂質異常症の原因

脂質異常症がなぜ起こるのか、その原因は一つではありません。 多くの場合、日々の暮らしが深く関わっています。 しかし、生まれつきの体質や他の病気が隠れていることもあります。 原因は、主に以下の3つに分けられます。

原因の種類

具体的な内容

生活習慣

・食べ過ぎ、飲み過ぎ

・脂肪や糖質の多い食事

・運動不足

・肥満、喫煙、過度な飲酒

遺伝的な要因

・生まれつきコレステロール値が高くなりやすい体質

(家族性高コレステロール血症など)

その他の要因

・甲状腺や腎臓の病気

・服用しているお薬の影響

最も多い原因は、食生活の乱れや運動不足といった生活習慣です。 これらは血液中の脂質のバランスを直接崩すきっかけになります。 特に肥満、中でも内臓脂肪が増えると、脂質の代謝が悪化します。

生活習慣に気をつけても数値が改善しない場合は、遺伝も考えられます。 「家族性高コレステロール血症」などがその代表です。 ご家族に同じ病気の方がいる場合は、一度検査をおすすめします。

食事の工夫も健康管理の一環として考えられます。 海外の研究では、ショウガを摂ることで総コレステロールや中性脂肪が、 低下する可能性が示唆されました。 特に肥満の方や糖尿病の方で、中性脂肪をより下げる効果が、 期待できるという報告もあります。 また、トウガラシにも総コレステロールを下げる可能性が示されています。

しかし、原因は人によって様々で、複数が絡み合っていることも少なくありません。 まずはご自身の原因を正しく知ることが、改善への大切な一歩です。

脂質異常症の症状

脂質異常症の一番の特徴は、自覚できる症状がほとんどないことです。 血液の中の脂質のバランスが崩れても、痛みやかゆみは感じません。 そのため「サイレントキラー(静かな殺し屋)」とも呼ばれます。 気づかないうちに、血管の中で静かに問題が進行するのが怖い点です。

症状がないまま放置すると、血管の壁に余分な脂質がたまります。 これにより血管が硬く、もろくなる「動脈硬化」が進んでしまいます。 これが心筋梗塞や脳梗塞といった、命に関わる病気の引き金になります。

ただし、ごくまれに目に見えるサインが現れることがあります。

  • 黄色腫(おうしょくしゅ) コレステロールが皮膚の下にたまってできる、黄色い盛り上がりです。 アキレス腱が厚くなったり、手の甲やひじ、まぶたなどに見られます。 特に遺伝的な要因が強いタイプの方に見られる特徴的なサインです。

このように症状がほとんど出ないからこそ、普段の食事が大切です。 最近の研究では、日々の食事に取り入れられる食品成分について、 血液中の脂質に良い影響を与える可能性が報告されています。

例えば、ショウガには総コレステロールや中性脂肪を、 下げる働きが期待できるとされています。 特に肥満の方や糖尿病の方では、中性脂肪をより効率的に、 下げる可能性も示唆されています。

他にも、ナスやブルーベリーなどに含まれる紫色の色素成分である、 アントシアニンは、脂質全体を健康的に整える効果が報告されました。 この研究では、もともとの数値が高い人ほど、 良い変化が見られやすいという結果も出ています。

症状がないからこそ、定期的な健康診断でご自身の体を知り、 異常があれば放置せず、医師に相談することが何よりも重要です。

脂質異常症の検査・診断

脂質異常症は自覚症状がほとんどないため、健康診断などで行う、 血液検査が病気を見つけるための、ほぼ唯一の手段になります。 検査は腕の血管から血液を採る「採血」によって行われます。

特に中性脂肪の値は、直前の食事内容に影響されやすいです。 そのため、正確な診断のためには、10時間以上食事を摂らない、 「空腹時」の状態で検査を受けることが基本となります。

血液検査の結果、以下の基準に当てはまると診断されます。

検査項目

基準値

診断される状態

LDLコレステロール(悪玉)

140mg/dL 以上

高LDLコレステロール血症

HDLコレステロール(善玉)

40mg/dL 未満

低HDLコレステロール血症

中性脂肪

150mg/dL 以上(空腹時)

高トリグリセライド血症

Non-HDLコレステロール

170mg/dL 以上

高non-HDLコレステロール血症

※日本動脈硬化学会『動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版』より

ただ、私たちは単に数値だけで診断を下すわけではありません。 その数値の背景にある原因を探ることが、非常に重要になります。 特に注意すべきは、遺伝が原因の「家族性高コレステロール血症(FH)」です。 これは若い頃から動脈硬化が急速に進む、注意が必要な病気です。

海外の研究報告をまとめると、FHは比較的まれではあるものの、 およそ250人から500人に1人の割合で見つかるとされています。 ご家族に若くして心筋梗塞などを起こした方がいる場合は、 この病気である可能性も考えて、一度検査を受けることが望ましいです。

実際、FHと診断されたお子さんが適切に治療を始めることで、 将来の心臓病リスクを下げられる可能性も示されています。 このことからも、ご自身の家系を把握し、早期発見につなげることが、 いかに大切かお分かりいただけるかと思います。

最終的な診断は、血液検査の結果と、生活習慣や家族の病歴など、 問診で得られる情報を総合的にみて、医師が判断します。

脂質異常症の治療

脂質異常症の治療の目的は、未来に起こるかもしれない、 心筋梗塞や脳梗塞といった深刻な病気を防ぐことにあります。 症状がない今だからこそ、将来の自分のために、 治療にしっかりと向き合うことが何よりも大切です。 治療は「生活習慣の改善」と「薬物療法」が2つの大きな柱です。

生活習慣の改善

治療の基本であり、まず最初に取り組むべきことです。 食事と運動を見直すことで、血液の状態は変わります。

  • 食事療法 まずは脂肪や糖質の多い食事を控えることが基本です。 その上で、日々の食事に役立つ成分の研究報告もあります。
  • ショウガ 複数の研究を分析した結果、総コレステロールや、 中性脂肪を下げる効果が期待できるとされています。 特に肥満や糖尿病をお持ちの方では、 中性脂肪をより効率的に下げる可能性も示されました。
  • アントシアニン ナスやブルーベリーの紫色の色素成分です。 脂質全体を健康的に整える可能性が報告されています。 この研究では、もともとの数値が高い人ほど、 良い変化が見られやすいという結果も出ています。
  • トウガラシ 総コレステロールを下げる働きが示唆されています。
  • 運動療法 ウォーキングなどの有酸素運動を、1日30分以上、 週に3日以上行うことが勧められています。 運動は中性脂肪を減らし、善玉コレステロールを増やします。

薬物療法

食事や運動を頑張っても数値が下がらない場合や、 遺伝的な要因が強い場合などには、お薬による治療を行います。 お薬は自己判断でやめず、指示通りに飲み続けることが重要です。

海外の研究では、薬剤師が患者さん一人ひとりの薬の管理を支え、 定期的に関わることで治療効果が高まることが示されました。 特に、悪玉(LDL)コレステロールの目標達成率が、 向上したという結果は、心強いデータと言えるでしょう。

治療は一人で抱え込むものではありません。 医師や薬剤師といった専門家とよく相談しながら、 ご自身に合った治療を根気よく続けていきましょう。