新生児けいれん
赤ちゃんの口をもぐもぐさせる仕草や、手足のピクッとした動き。愛らしく感じるその行動が、実は脳の異常を知らせる「新生児けいれん」のサインかもしれません。新生児けいれんは、赤ちゃん1,000人あたり1人から5人にみられ、決してまれなものではありません。
しかし、そのサインは大人が想像するような激しいものではなく、普段の動きと見分けがつきにくいために、見過ごされがちです。ある研究では、脳性麻痺の子どもの約38%がてんかんを併発し、その要因の一つに新生児期のけいれんが挙げられています。この記事では、見分けにくいサインや原因、対処法について詳しく解説します。
新生児けいれんの概要
新生児けいれんは、生まれてから28日までの新生児期に起こるけいれん発作です。赤ちゃん1,000人あたり1人から5人にみられ、決してまれなものではありません。特に、予定日より早く生まれたり、小さく生まれたりした赤ちゃんは注意が必要です。
このけいれんは、赤ちゃんの未熟な脳で何かが起きていることを示すサインです。けいれん自体が脳の発達に影響するだけでなく、背景に治療が必要な病気が隠れている可能性もあります。そのため、早期の発見と対応がとても大切になります。
新生児けいれんを経験すると、将来の脳性麻痺やてんかんのリスクが高まることが研究で指摘されています。ある研究では、脳性麻痺の子どもの約38%が、てんかんを併発していると報告されました。そして、新生児期のけいれんは、てんかんを併発する重要な要因の一つとされています。
大人のように全身をガクガクと震わせるけいれんと違い、新生児のけいれんは非常に分かりにくいのが特徴です。口をモグモグさせる、一点をじっと見つめる、手足をつっぱるなど、普段の動きと見分けがつきにくいことも多いため、赤ちゃんの様子を注意深く観察しましょう。
新生児けいれんの種類
赤ちゃんのけいれんは、大人が想像するものと違い、とても分かりにくいです。これは、赤ちゃんの脳がまだ発達の途中であることが関係しています。そのため、体の一部分だけで、ごくささいな動きとして現れることがほとんどです。
新生児けいれんには、主に以下の4つの種類があります。普段の動きとの違いに気づけるよう、それぞれの特徴を知っておきましょう。
- 微細(びさい)発作
- 最も多く見られ、口をもぐもぐさせたり、一点をじっと見つめたりします。自転車をこぐような動きや、呼吸が少し止まることもあります。
- 間代(かんだい)性けいれん
- 手や足、顔の一部などが、規則正しくピクピクと動くけいれんです。手で動きを止めようとしても、ピクピクは止まらないのが特徴です。
- 強直(きょうちょく)性けいれん
- 体や手足が、急にピンと突っ張ってカチッと硬くなるような動きです。全身で起こることも、一部分だけで起こることもあります。
- ミオクロニーけいれん
- 眠りに入る時のように、手足がビクッと瞬間的に動きます。この動きが何度も繰り返される場合は、けいれんの可能性があります。
これらのサインは、脳で何か問題が起きていることを知らせる重要なものです。ある研究では、新生児期のけいれんが、将来てんかんを発症する要因の一つであることが示されています。
「いつもと違うな」と感じたら、その時の様子を動画で撮っておくと、診察の際にとても役立ちます。自己判断せず、すぐにかかりつけの医師に相談してください。
新生児けいれんの原因
新生児けいれんの原因は非常にたくさんあります。赤ちゃんのデリケートな脳に直接問題が起きている場合と、体全体の調子が脳に影響している場合の、2つに大きく分けられます。
脳に直接関係する原因
赤ちゃんの脳そのものに何らかのトラブルが生じて、けいれんを引き起こすことがあります。
- 低酸素性虚血性脳症 お腹の中や生まれる時に、脳へ十分な酸素や血液が届かなくなる状態です。これにより脳細胞がダメージを受け、けいれんの原因となります。
- 頭蓋内出血 特に予定日より早く、または小さく生まれた赤ちゃんに多くみられます。脳の血管がもろいために、出血が起こりやすくなっています。
- 感染症 髄膜炎や脳炎など、細菌やウイルスが脳に入り込む病気です。脳に炎症が起こることで、けいれんが誘発されます。
- 脳の形の異常(脳奇形) 生まれつき脳の構造に通常とは違う部分がある状態です。脳の神経回路がうまく働かず、けいれんが起こることがあります。
体全体の状態が関係する原因
一見すると脳とは関係ないように思える体の不調が、けいれんを引き起こすことも少なくありません。
- 代謝の異常 低血糖(血液中の糖分が不足する状態)や、電解質異常(カルシウムやマグネシウムなど、体の調子を整えるミネラルのバランスが崩れること)が代表的です。
- 先天性代謝異常症 生まれつき特定の栄養素をうまくエネルギーに変えられない病気です。体に不要な物質がたまり、脳に影響を与えてしまいます。
新生児期のけいれんは、将来のてんかん発症のリスクを高める重要なサインです。ある研究では、脳性麻痺の子供の約38%がてんかんを併発し、その要因の一つに新生児けいれんが関連していると報告されています。原因を特定し、適切な治療につなげることが赤ちゃんの未来を守るために不可欠です。
新生児けいれんの症状
大人が想像するような、体全体を硬くして震わせるけいれんは、新生児ではまれです。赤ちゃんの脳はまだ発達の途中なので、症状はとても分かりにくく、普段の動きと見分けがつきにくいのが特徴です。
しかし、新生児けいれんは脳の異常を知らせる大切なサインです。見逃さないために、以下のチェックリストでお子さまの様子を注意深く観察してみてください。
【新生児けいれんのサイン:チェックリスト】
- お口や手足の動き
- 授乳中でもないのに、おっぱいを吸うように口をもぐもぐ、もごもごさせる。
- 自転車をこぐように、両足を交互にバタバタと動かす。
- 片方の手足だけが、規則正しくピクピクと動く。
- 体にぐっと力を入れて、ピンと突っ張るような動きをする。
- 目つきや反応
- 一点をじっと見つめて、呼びかけても視線が合わない。
- 黒目が左右どちらか一方に寄ったままになる。
- ボーッとしていて、呼びかけへの反応がいつもより鈍い。
- 呼吸の様子
- 呼吸が一時的に止まったり、とても浅くなったりする。
これらの症状はごく短時間で終わることも多く、見過ごされやすいかもしれません。しかし、新生児期のけいれんは、脳で何らかの問題が起きているサインであり、その後の発達に影響を及ぼす可能性があります。
ある研究では、脳性麻痺のお子さんの約38%がてんかんを併発し、その重要な要因の一つが新生児期のけいれんであることが報告されています。
「いつもと違うな」と少しでも感じたら、その時の様子を動画で撮影し、すぐにかかりつけの医師に相談してください。動画は、正確な診断のために非常に貴重な情報となります。
新生児けいれんの検査・診断
赤ちゃんにけいれんが起きた場合、その原因を正確に見つけることが治療の第一歩です。原因によって治療法が大きく異なるため、いくつかの検査を組み合わせて慎重に診断を進めます。
主な検査には、以下のものがあります。
- 脳波検査 頭に小さな電極を貼り、脳が活動する時に出す微弱な電気信号を記録します。けいれんに特徴的な異常な波(発作波)が出ていないかを確認するための大切な検査です。
- 画像検査(頭部超音波・CT・MRI) 頭部超音波(エコー)やCT、MRIといった機械で脳の写真を撮ります。脳の中に出血がないか、生まれつきの形に異常がないかなどを詳しく調べることができます。
- 血液検査・髄液検査 血液や、背骨の中を流れる髄液を少しだけ採取して調べます。感染症の有無や、低血糖、カルシウムなどのミネラルバランスの乱れがないかを確認します。
これらの検査は、けいれんの原因を探るだけでなく、赤ちゃんの将来の健康を守るためにも重要です。ある研究では、脳波や画像検査での異常が、将来てんかんを発症する要因の一つになる可能性が示されています。
検査で赤ちゃんの状態を正確に把握することで、最も適した治療をすぐに始めることができます。
新生児けいれんの治療
新生児けいれんの治療は、2つの目標を同時に進めることが重要です。 それは「まずけいれんを止めること」、そして「原因となっている病気を治すこと」です。
けいれんが続くと、赤ちゃんの未熟な脳に大きな負担がかかってしまいます。 そのため、脳の神経細胞の過剰な興奮を鎮める抗けいれん薬を点滴で使い、 できるだけ速やかに発作を止めることから治療を開始します。
これと並行して、けいれんの根本的な原因に対する治療を行います。 原因によって治療法は全く異なるため、正確な診断がとても大切になります。
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原因の例 |
治療法の例(目的) |
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低血糖 |
ブドウ糖の点滴(脳のエネルギーを補給します) |
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細菌による感染症 |
抗生物質の投与(原因となる細菌を退治します) |
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電解質の異常 |
カルシウムなどの補充(体の調子を整えます) |
新生児期のけいれんを迅速に治療することは、赤ちゃんの未来を守るために不可欠です。 ある研究では、脳性麻痺のお子さんの約38%がてんかんを併発し、 その重要な要因の一つが新生児期のけいれんであることが報告されています。
けいれん発作をしっかりと抑え、原因の治療を速やかに行うことが、 赤ちゃんの健やかな成長と将来の合併症リスクを減らすことにつながるのです。





