いちご状血管腫

赤ちゃんの肌に突然現れる赤いあざ、「いちご状血管腫」。日本人では100人に1〜2人の赤ちゃんに見られると言われ、決して珍しいものではありません。「そのうち自然に消える」という言葉を耳にしたことがあるかもしれませんが、本当に放置していて大丈夫なのでしょうか。

実は、いちご状血管腫の治療法は近年大きく進歩しています。ある研究では、新しいお薬の登場により、手術が必要になる割合が約35%からわずか8.86%にまで激減したと報告されました。放置すると跡が残る可能性もありますが、今は早期治療できれいに治せる時代になっているのです。

この記事では、いちご状血管腫の種類や原因、そして手術だけではない最新の治療選択肢について詳しく解説します。大切なお子さんのために、正しい知識で最善の選択をしましょう。

いちご状血管腫の概要

いちご状血管腫は、赤ちゃんの皮膚にできる赤あざの一種です。 「乳児血管腫(にゅうじけっかんしゅ)」とも呼ばれます。 血管の細胞が異常に増えることで起こる、良性のできものです。 「良性」とは、がんのように命を脅かすものではないという意味です。

生まれてすぐに見つかることは少なく、多くは生後数週間で現れます。 一時的に大きくなった後、1歳頃から自然に小さくなるのが特徴です。 日本人では100人に1〜2人の赤ちゃんに見られると言われています。 特に、以下のような場合にできやすい傾向があります。

  • できやすいケース
  • 早く生まれた赤ちゃん(早産児)
  • 生まれた時の体重が軽い赤ちゃん(低出生体重児)
  • 女の子

以前は自然に消えるのを待つのが一般的でした。 しかし近年、治療法が大きく進歩し、考え方も変わってきています。 特に「プロプラノロール」という成分の飲み薬が登場した影響は大きいです。

ある研究では、このお薬で治療した赤ちゃんは手術が必要になる割合が、 他の治療や何もしなかった場合と比べて、とても低くなったと報告されました。 お薬のおかげで、手術をせずに治療できることが格段に増えたのです。 ただ、お薬だけでは難しい場合もあり、手術も大切な選択肢の一つです。 お子さんのあざが気になったら、まずは専門の医療機関へご相談ください。

いちご状血管腫の種類

いちご状血管腫は、あざができる皮膚の深さで分けられます。 大きく3つの種類があり、見た目や治療の進め方が異なります。 どの種類かを正しく見分けることが、治療の第一歩になります。

種類

特徴

表在型(ひょうざいがた)

皮膚の浅い場所にできる、最も多いタイプです。<br>表面は平らか、いちごのように少し盛り上がります。<br>色は鮮やかな赤色に見えます。

深在型(しんざいがた)

皮膚の深い場所にできるタイプです。<br>皮膚の表面は赤くならず、青みがかって見えます。<br>こぶのように盛り上がることもあります。

混合型(こんごうがた)

表在型と深在型の両方の性質を持つタイプです。<br>皮膚の深い部分にこぶのような盛り上がりがあり、<br>その表面が赤くなっています。

特に深在型は、見た目だけでは分かりにくいことがあります。 そのため、専門の医師による診断がとても重要です。

近年、お薬での治療が中心となり、手術の必要性は大きく減りました。 ある研究では、プロプラノロールというお薬で治療した赤ちゃんは、 手術が必要になる割合が8.86%だったと報告されています。 これは、他の治療や何もしなかった場合の約35%と比べて非常に低い数字です。

しかし、お薬が効きにくい場合や、跡が残りそうな場合もあります。 そのようなケースでは、レーザー治療や手術も大切な選択肢です。 種類や場所、大きさなどを総合的に見て、治療法を慎重に選びます。

いちご状血管腫の原因

いちご状血管腫は、皮膚のとても細い血管が異常に増えることでできます。 お肌の表面近くで、血管がもこもことかたまりを作ってしまう状態です。

しかし、なぜ血管が勝手に増えてしまうのか、その根本的な原因は、 残念ながらまだはっきりとわかっていません。 世界中の研究者が、原因の解明に向けて研究を続けている段階です。

ただ、原因は不明ですが、できやすい子の特徴はいくつかあります。

  • 性別 男の子よりも女の子に多く見られることが知られています。
  • 生まれたときの状況 予定日より早く生まれたり(早産児)、体重が軽く生まれたりした(低出生体重児)赤ちゃんにできやすい傾向があります。
  • 人種 ある報告では、日本人は欧米の白人と比べて、発症する割合が高いとも言われています。

原因の解明はまだですが、治療の研究は大きく進歩しました。 ある研究では、お薬による治療で手術が必要になる割合は8.86%でした。 これは、他の治療や何もしなかった場合の約35%と比べて非常に低い数字です。

原因がわからなくても、効果的な治療法が開発されています。 お子さんのあざに気づいたら、まずは専門の医師に相談してください。

いちご状血管腫の症状

いちご状血管腫の主な症状は、その名の通り赤いあざです。 しかし、その現れ方や時間による変化には特徴があります。 ただのあざだと考えず、正しい知識を持つことが大切です。

多くの場合、生まれてすぐではなく、生後数週間で現れます。 最初は小さな赤い点でも、一時的に急速に大きくなる時期があります。 特に生後3〜4ヶ月頃に、最も大きくなることが多いです。 その後、1歳頃から自然に小さくなり始めるのが一般的です。

見た目の問題だけでなく、できる場所によっては注意が必要です。 次のような症状は、お子さんの成長に影響を与えることがあります。

  • 機能的な問題
  • 目の周り まぶたにかかると、視力の発達を妨げる可能性があります。
  • 鼻や口の周り 呼吸がしづらくなったり、ミルクが飲みにくくなったりします。
  • おむつが当たる場所 こすれて傷つき、出血や感染の原因になることがあります。

また、血管腫の表面が崩れてしまうこともあります。 これは「潰瘍(かいよう)」といい、強い痛みを伴います。 潰瘍になると治った後も跡が残りやすくなるため、注意が必要です。

多くは自然に消えますが、跡が残ることも少なくありません。 ある研究では、お薬で治療しなかった場合、約35%で手術が必要でした。 一方でお薬による早期治療を行うと、その割合は8.86%まで下がります。 気になる症状があれば、跡を残さないためにも早めに専門医へご相談ください。

いちご状血管腫の検査・診断

いちご状血管腫の診断は、まず医師が目で見て確認することから始まります。 あざの見た目と、これまでの変化の様子から診断がつくことがほとんどです。

医師は「視診(ししん)」と「問診(もんしん)」で診断を進めます。 視診とは、あざの色や形、大きさ、盛り上がり方を直接見ることです。 問診では、いつ頃あざに気づいたか、などを保護者の方にお聞きします。 どのように大きくなったかという情報も、診断の大切な手がかりです。

ただ、あざが皮膚の深い場所にある「深在型」が疑われる場合や、 非常に大きい場合など、詳しい検査が必要になることがあります。 他の病気の可能性がないか確かめるためにも、検査は重要です。

詳しい検査が必要な場合は、主に次の画像検査が行われます。

  • 超音波(エコー)検査 体に影響のない音の波を使い、あざの内部を調べます。 血管腫の深さや大きさ、血の流れの状態が分かります。 お子さんへの負担が少なく、簡単に行える検査です。
  • MRI検査 強力な磁石と電波を使い、体の断面図を撮影します。 血管腫が周りの組織とどう繋がっているか詳しく見たい時に行います。

これらの検査で正確な診断がつけば、最適な治療計画を立てられます。 ある研究では、お薬で早く治療を始めると手術の必要性が大きく減りました。 手術が必要になった割合は、お薬なしの約35%から8.86%まで下がりました。 正確な診断は、跡を残さないための適切な治療への第一歩なのです。

いちご状血管腫の治療

以前は、自然に消えるのを待つ「経過観察」が治療の中心でした。 しかし、あざが消えた後にしわやたるみなどの跡が残ることがあります。 そのため最近では、跡をできるだけきれいに治す早期治療が重要です。

治療法は、お子さんの血管腫の状態や場所によって使い分けられます。

  • 飲み薬による治療(内服治療) 「プロプラノロール」という成分のシロップを使う治療法です。 血管が異常に増えるのを抑え、あざを小さくする働きがあります。 このお薬が登場し、手術が必要な赤ちゃんは大幅に減りました。 ある研究では、手術が必要な割合が約35%から8.86%に下がりました。 ただし、副作用の可能性もあるため、医師の管理のもとで治療します。
  • レーザー治療 血管の赤い色だけに反応する、特別な光(レーザー)をあてる治療です。 表面の赤みを薄くしたり、出血やただれ(潰瘍)を治したりします。 治療は数回に分けて行い、あざを目立たなくさせていきます。
  • 手術 飲み薬で効果が十分でない場合や、治療後に皮膚のたるみが目立つ場合に行います。 形をきれいに整えるのが目的です。 お薬の登場で手術は減りましたが、今でも大切な選択肢の一つです。

どの治療法がお子さんにとって一番良いかは、専門の医師が慎重に判断します。 気になることがあれば、まずは相談してみましょう。